南ア深南部・池口岳...2003.6.7〜8(1泊2日)

 

 長年の懸案だった(?)南ア深南部・池口岳に登りに行って来た。ゴールデン・ウィーク中は残雪が多そうだったので、残雪がほとんど解けて陽も長くなった梅雨入り前の6月上旬に決行。
 登山口の信州・遠山谷の南信濃村池口まではクルマを利用。6月7日(土)、富山を6時に出発し、安房峠→塩尻→伊那→駒ヶ根→元善光寺を経て、三遠南信自動車道の矢筈トンネルを抜けて遠山谷へ。南信濃村大島から池口林道に入る。長年、池口岳への登山者の便宜を図ってくれてたという遠山要さん宅からさらに凄まじい悪路を行くと、最近造られたような新しい道に変わり、標高1,080 m という池口岳登山口に12時過ぎに到着。富山からは6時間余のドライヴになった。今回、クルマを使ったけど、もし、公共交通機関利用なら、JR飯田線平岡駅─和田─上村─程野─JR飯田線飯田駅を結ぶ路線バスに乗車し、大島バス停から登山口まで1時間半くらいの歩きになるだろうか。
 登山口には3台分の駐車スペースがあったけど、すでに先客のクルマで埋まってた。さらに、路肩に1台クルマが駐められていて、これ以上駐車スペースは無い。仕方がないので、さらに林道を行く。すぐに、大型トラックも駐められそうな広いスペースが林道の左側にあったので、ここに駐車。クルマのなかで昼食を摂った後、13:00、行動開始。2分の歩きで元の登山口に戻る。木製の階段を上がって林のなかに入ると、すぐに道の両側から雑草が覆いかぶさってくる。いきなり南アルプス深南部らしいヤブ道に、この先思いやられるワ...と思ってたら、すぐに雑草の無い歩き易い道になった。コースサインは頻繁に現れ、迷うような場所はない。
 1,234.9 m 三角点のある水源保安植林帯付近はなだらかな道。時折陽が差すなか道を往くと、祠が祀られている山ノ神に到着。ここから10分ほどの歩きで薄暗い林のなかに「面切り」の標識を見つける。登山口から58分の歩き。ここで、最初の休憩を取ることにする。
 この日の予定は、ザラ薙平の通称「キャンプ場」まで歩いてテント泊。キャンプ場から水場まで往復1時間以上とのこと。水場まで往復してる時間も体力もないので、自宅を出た時から水を4リットル用意し、これを背負って歩いた。涼しいお蔭で、思っていたほど水を飲むことはない。面切りから小ピークを2つばかり越えたあと、一度下る。下り切ったところに「うしくび」なる標識があった。このうしくびから黒薙までは急な登り坂が続く。面切りから黒薙までは1時間ではムリで、途中、休憩。このあたりから遠くで雷がゴロゴロと鳴ってるのが聞こえ始める。そういえば、この日は寒気が日本列島に入り込んでいるとかで、「雷に注意するように」と天気予報で言ってたな。休憩後さらに登り始めると、黒薙ノ頭に出た。黒薙ノ頭は見晴しが良く、南側がガレ場になっている。テントを張るのに適した広場(「池口岳→」の木の標識があるところ)もあったけど、予定どおりザラ薙を目指す。黒薙ノ頭からすぐに1,875 m 三角点に出た。ここに登山者がひとり休憩中。もっと先まで来てるつもりだった私には、まだ1,875 m 三角点までしか来ていない事実はちょっとショックだったり...。
 なおもだだっ広い樹林帯の尾根を往く。やがて標高1,901 mの利検沢ノ頭に到着。ここまで来ればザラ薙平は目前。利検沢ノ頭から10分あまりでザラ薙到着。16:53。ザラ薙から東に少し下った草地の「テント場」でこの日はテント泊。時折雷が鳴ったりして、今にも雨が降り出しそうな空だったけど、雨が降り出す前になんとか目的地に着いた。相当に疲れていたのか、テントの中で休んでいるとふとしたはずみで足がつった。7時半頃には就寝。9時くらいから2時間ほど雷を伴い雨が降ったようだ。今年で15シーズン目になるゴアライトに、またも(笑)水が侵入...。少しだけだけどね(苦笑)。


ザラ薙平のテント場に張ったゴアライト

 翌6月8日(日)は、空が白み始めた4時過ぎに起床。インスタントラーメンを作って食べたあと、テント場を5:09に出発。一雨あったのが良かったのか、空はスッキリ晴れ渡り、これから向う池口岳もよく見えた。


ザラ薙平からみた池口岳

 歩き出してすぐにテントが張ってあって、登山者が朝食中。「アレッ? 随分と早いですね」と言われる。「すぐ近くにテント張ってるので」と答えておいたけど、登山口から登り始めてここまで来るためには、深夜2時くらいに登山口を出発しないとムリだろうねぇ(笑)。この登山者がテント張ってた場所からすぐに、例の往復1時間以上かかる水場への分岐を示す標識があった。私自身は正しい「テント場」に張ってたつもりたっだけど、どうやらガイドブックなどで言うところの「テント場」はここら辺りを指すようだ(苦笑)。テントを張ったところから1時間で、ロープがある岩峰に着く。地形図での・2156 m だろう。この岩峰を乗り越して下り切ったところで休憩を取ってると、池口岳のほうから下りてくる夫婦らしき中年登山者と遭遇。この時間ここに居るってことは、頂上付近で幕営したのだろう。さらに樹林帯のなかの山道を往く。さすがに標高が上がって来たので、南アルプス深南部といえども残雪が現れる。岩峰から30分余の登りであっけなく標高2,392 m の池口岳北峰に出た。6:54到着。樹林帯に囲まれているせいか、展望は良いとはいえない。北峰で10分の休憩の後、池口岳南峰を目指す。すぐ近くに見えるのに、アップダウンが激しいため、意外に時間がかかる。鶏冠山方面への分岐あたりで10人くらいの大所帯パーティーと出会う。この時間にここに居るってことは、鶏冠山の笹ノ平でキャンプしたようだ。私もいちど笹ノ平でキャンプしてみたいなぁ。
 鶏冠山方面分岐からは道が残雪で寸断されて分かりにくかったものの、7:35、池口岳南峰到着。池口岳南峰は、長野県と静岡県の県境から静岡県側に入ったところにある。100%、静岡県の山だ(笑)。北峰よりも標高は低いけど、こちらのほうが南アルプスの展望が得られた。池口岳南峰からみて、すぐに目を引いたのが南アルプス南部の山々。特に、大沢岳から中盛丸山、兎岳にかけての稜線は特徴的なので、すぐにそれと分かる(笑)。頂上ではパイン缶を空けてゆっくり休憩。


池口岳南峰からみた加加森山。背後には赤石岳から聖岳にかけての秀峰が。

 池口岳南峰からは、来た道を忠実に戻るだけ。だけど、とてつもなく大仕事に思えてならないのは、ここが南アルプス深南部だからだろうか? 標高差よりも、集落から離れている山深さとコースの長さが、そういう気分にさせるのだろう。8:00に池口岳南峰を出発。30分で池口岳北峰に戻る。北峰では先ほど鶏冠山方面への分岐で出会った大所帯パーティーと出会う。彼らの集合写真のシャッターを切る役を仰せつかった(笑)。この後、この大所帯パーティーと抜きつ抜かれつで下山したんだけど、2名とても足の遅い高年登山者が居て、この2人だけ本隊と大きく離れて歩いてたんだよな。大丈夫か?
 下りでは、登りの時に見落としてた加加森山・光岳方面への縦走路分岐を確認。例の・2156 m 岩峰の手前でこの日の朝から入山したと思われるパーティーと遭遇。登山口を4時台に出発してれば、この時間にここまで来れるハズ。10:01に「テント場」の自分のテントに戻る。この日も涼しく、水を殆ど飲まなかったので、富山から持って来て担ぎ上げた水が大量に残ってる。テントを撤収する前に、インスタントラーメンを作って食べる。このコース、水を補給するには、例の往復1時間以上かかる水場に行くか、笹ノ平まで足を伸ばすしかないので、暑い時はかなり地獄だろうな...。10:50に「テント場」出発。例の大所帯パーティーの本隊は私がテントに戻った頃に先に行ってしまったが、遅い2人は、私がラーメン作って喰ってテント片付けた頃にようやく「テント場」を通過(苦笑)。そして、下り始めた私に、あっという間に追い抜かれた(笑)。黒薙三角点を過ぎて黒薙展望地(「池口岳→」の木の標識があるところ)で休憩。遠山川を挟んだ対岸の『日本のチロル』下栗集落がよく見える。私が去年泊まった
高原ロッジ下栗も見えた。


黒薙展望地から見た『日本のチロル』下栗集落

 黒薙展望地から下ってると、ひとりの中年登山者とすれ違う。「この後、もう2人登ってくるので、『黒薙で待ってる』と伝えてくれ」と言われる。この登山者と会ったところから10分くらい下ったところで、話のとおり2人の中年カップルと出会う。ちゃんと伝言しておいたけど、この時点で12時だし、2人ともバテてるので池口岳頂上まではムリだったろうな。うしくびを通過し、このまま山ノ神まで下ろうかと思ったところ、急に鼻血が出たため、緊急の休憩。鼻血が止まった後、薄暗い面切りを過ぎて山ノ神へ。山ノ神の祠に手を合わせ登山の無事を御礼し、13:38、元の池口岳登山口に戻った。池口岳登山口には先に下山してた例の大所帯パーティーの2名だけが居て、遅れて歩いてる高齢の仲間2人の下山を待っていた。駐めてあったクルマが浜松ナンバー。モロに南アルプス深南部の地元(笑)。私が最後にみた時、仲間の2人はすでに本隊から30分遅れだったことを告げ、「1時間は遅れて下りてくるんじゃないかな?」と言うと、「や、2時間くらいは遅れて来るでしょう(苦笑)」と、大所帯パーティーのひとは言っていた。あと、私が富山から来てることについて、「立山や剱があるのに、何を好んでこんなヤブ山に!?」って言われた(苦笑)。「立山や剱に登ったことがないけど、ここら辺の山にはよく来るんですよ。蕎麦粒山、大札山、沢口山、高ドッキョー、十枚山、篠井山にも登ってますよ」と言うと、その大所帯パーティーのひとは我が意を得たりといった表情で、「マイナーな静かな山が好きなんだ? その気持ち、よく分かるよ」。
 登山口から林道を歩き、クルマを駐めてた広場に戻り、またもや6時間余のドライヴで富山に帰宅。

【行動記録】2003年6月7日(土)〜6月8日(日) 1泊2日
6月7日(土)
池口岳登山口1302─山ノ神1348─1400面切り1410─うしくび1440─1510//1520─
─黒薙三角点1542─1620//1630─利検沢ノ頭1635─ザラ薙平1653─1656テント場

6月8日(日)
テント場509─水場分岐514─610・2156 m 南620─654池口岳北峰704─735池口岳南峰
池口岳南峰800─830池口岳北峰840─・2156 m 南904─940//950─水場分岐955─
─1001テント場1050─ザラ薙平1053─利検沢ノ頭1106─黒薙三角点1143─
─1145黒薙展望地1155─うしくび1223─1238//1248─面切り1257─1304山ノ神1314─
─1338池口岳登山口

【1:25,000地形図】伊那和田、上町、光岳、池口岳

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