奥秩父・甲武信ヶ岳―金峰山
2003.11.21〜24(前夜発、2泊3日)

 

 勤労感謝の日がからんだ3連休を利用して、奥秩父の甲武信ヶ岳―国師ヶ岳―金峰山を縦走して来た。毛木平からの周遊コースが組み易い甲武信ヶ岳には何度も来てるけど、金峰山に登るのは、13年前に瑞牆山―金峰山―国師ヶ岳―甲武信ヶ岳の順に縦走した時以来になる。
 11月21日(金)の夜のうちにクルマで富山を出発。安房トンネルで信州に入ったところで睡魔に負けて仮眠。日付けが11月22日(土)に変わってから、さらにクルマで移動。甲武信ヶ岳の登山口の毛木平へは何回か行ったことがあって、大概JR小海線の佐久海ノ口駅南の国道141号線沿いのレストラン『ストローハット』そばの駐車帯にクルマを置いて、佐久海ノ口駅から小海線のワンマンカーで信濃川上駅へ移動し、川上村営バスで梓山で乗ってから高原野菜畑のなかを小一時間ほど歩いて毛木平に出ていた。以前、山岳雑誌『山と渓谷』の読者欄『CAMP SITE』の投稿でうかがい知れたように、毛木平では木々の間の狭いスペースに無理矢理クルマを駐めるために登山者どうしの「当て逃げ」が多発してたようなので、毛木平にクルマで乗り付ける気がしなかったから。今回も佐久海ノ口駅そばにクルマを置いておくつもりだったけど、「もう11月下旬だし、登山者のクルマも少ないだろう」と思い直し、クルマで毛木平へ向かった。川上村営バスで何度も揺られながらみた景色を望みがら、クルマを転がしてくと、やがて毛木平に到着。そしたら、立派な駐車場が整備されてるぅぅぅ〜〜〜!!! やっぱり、地元・川上村でも登山者どうしの「当て逃げ」が問題化してたのか、地元のほうで鋪装もされた立派な駐車場を整備したようだ(苦笑)。トイレもある立派な駐車場。30台はクルマが駐めれそう。ただし、トイレは冬期の凍結防止のため、すでに封鎖されてた。
 この立派な駐車場にクルマを置いて、十文字峠に向けて、8:08、出発。私のちょっと先を中高年の登山者が歩いてたけど、すぐに追い抜くと、千曲川源流コースと十文字峠へのコースの分岐に出て、私は十文字峠のほうに入る。後ろから誰も来る気配が無いところをみると、もう1人の登山者は千曲川源流コースに向かったみたいだ。一旦、千曲川の河原に降りる。この十文字峠の道も過去2回歩いてるけど、前になかった立派な木橋が架かってる。その立派な千曲川源流秋霧橋で川を渡ると、十文字峠へのつづら折りの道が始まる。3連休といえども、11月下旬ともなれば山を歩くひとは少ないようで、自分しか居ない山旅。毛木平から1時間20分の登りで八丁ノ頭に着くと、ここからは傾斜も緩む。10時ちょうどに十文字峠に到着。
 本来なら十文字峠でテント泊したかったけど、まだ10時だったので先を進む。煙突からケムリが上がる十文字小屋を後にし、甲武信ヶ岳への道に入る。急な登りを登り切ったところが最初のピーク・大山で、ここでオレンジ食べながら休憩。この狭い頂上からの景色は抜群。ほんの3時間前にクルマで通り過ぎて来た川上村の野菜畑がよく見える。バックの男山、天狗岩の眺めも壮観だ。

 


大山頂上から川上村の高原野菜畑を見下ろす。背後は男山、天狗岩。

 20分の休憩ののち、甲武信ヶ岳へ向かって出発。大山頂上からは右手の林の中へ降り口がついている。からは進行方向が変わるから、さらに南進。林のなかの道を行くと、武信白岩山頂上分岐に出る。ここでは武信白岩山の頂上へは行かずに先を進む。鬱蒼とした林のなかの尻岩でチョコレート食べて休憩。なおも視界のない登山道を往く。もう少しで三宝山頂上というところでひとりの登山者とすれ違った。その登山者は、先ほど私と同時期に毛木平を出発しながら、(私の進んだ方向とは別の)千曲川林道のほうへと歩みを進めていったひとだった。甲武信の頂上を踏んで、もう下山にかかってるワケである。この時間でここまで来るのはペースが早いと言えるけど、私と違って荷物が軽いしねぇ...(苦笑)。「埼玉県の最高峰」三宝山の頂上には13:39到着。大山の頂上以来、展望が開けた場所だ。冬型の気圧配置のため、快晴(笑)。富士山もよく見えた。


三宝山頂上から見た甲武信岳。奥にはうっすらと富士山がみえる。

 ケータイをオフラインにするのを忘れてたため、バッテリーが半分減ってる...。この後ケータイは大して使いもしないのにバッテリー切れ状態に...。1998年11月14日〜15日にここに来た時には道端/日陰に雪がうっすら積もってたけど、今年は1ミリも雪が無かった。さらに三宝山から甲武信ヶ岳へ向かう。途中、甲武信小屋への近道が新設されていた!!! 昔は十文字峠から甲武信小屋へ行こうとすると、頂上踏まないと行けなかったのに! こんな有り難い道が出来ている以上、利用しない手は無い(笑)。甲武信ヶ岳の頂上は翌日に踏むことにして、小屋への近道に入る。変わらないようでいて、山はどんどん便利になっていくなぁ〜。グリーンのネットをくぐるとそこは甲武信小屋だ。14:11、甲武信小屋・着。この日は小屋前でテント泊。日陰にあたるせいか、寒い...。

 翌11月23日、朝起きてテントの外を見渡すと、雪がばんばん降り積もってる...という悪夢をみた(苦笑)。実際の天気は快晴。雪なんぞ1ミリも積もってないのだった(苦笑)。6:35、甲武信小屋・発。16分の登りで甲武信ヶ岳頂上に到着。頂上には多くの登山者が居て、記念撮影などをしていた。


甲武信岳頂上から見た富士山

 快晴だけど、風が強くて寒い。テントのなかで一晩放置してた水筒の水も見事に凍ってたしな...。 


甲武信岳頂上から見た国師ヶ岳(左)と金峰山(中央)

 展望の無い林のなかの歩きで面白味がないと酷評されることも多い甲武信ヶ岳―国師ヶ岳間の稜線歩きに入る。最初はガレ場で展望もあったけど、風が強くて吹き飛ばされそうだし、第一、寒い。甲武信ヶ岳からの急な下りが終わり、林のなかに入ると風が弱まった。防風林です(苦笑)。千曲川林道経由で毛木平へと下る道の分岐を越え、いよいよ甲武信ヶ岳―国師ヶ岳の核心部へと入っていく。最初の主要ピーク・ミズシを過ぎ、次の主要ピーク・富士見台で休憩。林の中のピークで、いったいどこが「富士見」なのかよく分からない場所である。この富士見台でコースが90°曲がるので、ボヤ〜〜〜っとしてると間違ったところへ入っていきそうだ(苦笑)。いくつものピークを越えた末にたどり着いた両門ノ頭を過ぎ、標高2,271 m の東梓で10分休憩。この奥秩父主稜線の不人気区間を歩くひとは稀なせいか、すれ違うひとも少なかったけど、大弛から甲武信ヶ岳をカラ身で往復してるとおぼしき軽装のハイカー(登山者とは呼びたくない)とすれ違った。「甲武信まで何時間か?」と訊かれたんで、ここまで私が歩いた時間(2時間半)に、甲武信へは登りのほうが多いことを加味して「3時間」と答えておいたけど、彼らのペースだともっと早く着いたことだろう。んにしても、大弛から甲武信往復とは...。甲武信往復するなら千曲川林道からの往復のほうが楽なのに。ま、大弛をベースとして、「1日目は金峰往復、2日目は甲武信往復」というふうに「百名山ハント」をしてると考えれば合点がいく。東梓―国師ヶ岳間の最低鞍部の国師ノタワを過ぎ、相変わらず展望のない稜線歩きが続く。一旦休憩後、国師ヶ岳への登りにかかる。高度差から考えると丸々1時間の登り。一旦登り切ったところは頂上ではなく、天狗尾根コースの分岐。この天狗尾根コースを歩くひとはどれくらい居るんだろう?(苦笑) ここから8分で、国師ヶ岳頂上に11:32、到着。大弛から国師ヶ岳までは「お気軽なハイキングコース」ということもあり、国師ヶ岳頂上は登山者で大にぎわい。20人くらい居た。頂上から金峰山などが見えたが、次第に雲行きがアヤしくなって来た。
 本来なら、この日のうちに金峰山まで行くつもりだったけど、幕営しようと思うと大日小屋まで行かなきゃいけない。秋の陽は短いことを考慮すると、大日小屋まで行くのはかなりキビしそうだ。金峰山まで行くのはヤメにして、この日は大弛止りにすることにし、その代わり...といっては何だけど、13年の山旅の際には先を急ぐあまり割愛した北奥千丈岳往復を果たすことにした。
 国師ヶ岳頂上から三繋平の分岐点へ移動。ここに荷物を置いて、奥秩父の最高峰、標高2,601 m の北奥千丈岳へカラ身で往復。ほんの5分ほどの歩きで北奥千丈岳頂上に到着。この頂上も登山者が多く休憩中。ここで休んでると下からどんどんガスが上がってくる。ほんの10分ほどの間に金峰山は見えなくなった。北奥千丈岳から三繋平に戻り、前国師ヶ岳へ。すっかりカズに包まれたせいでここで休んでる登山者は皆無。大弛への下りに入ると、夢ノ庭園への分岐が現れる。大弛から夢ノ庭園一帯にかけては過剰と思えるくらい登山道が整備されていて、そのお蔭?で、13年前に私が歩いた道は廃道になったようだ。で、この道、整備され過ぎ! 単なる「木道」というよりは、「清水の舞台」や「空中回廊」などと形容したくなるくらいの仰々しさ。登山道の踏み荒らし防御のための木道なんだろうけど、ここまで仰々しい木道は自然景観を著しく損ねてると私は思います。木道を抜け、大弛小屋に12:51着。林道川上牧丘線(峰越林道)が通過してる大弛には、山をやらない一般ピーポー、ハイキング客のクルマが殺到してた。小屋でキャンプの手続きをして、テント張ったんだけど、午後1時からテントの中で何をやる?(苦笑) ポータブルCDプレイヤーで『ラッシュ・イン・リオ』聴いてたら、Disc 3 の“By-Tor & The Snow Dog”ンところで電池切れでプツリ...。午後5時からやること何もなくなった...。やることは...寝ることしかない...(苦笑)。

 前日早くに就寝したため、10時間睡眠になってました(苦笑)。翌11月24日は、6:24に大弛を出発。前日の正午頃からのガスが気掛かりだったけど、夜の間にすっかりガスは晴れ、この日の天気も快晴。雨が降るようなら、金峰山は割愛して大弛から峰越林道を下って川端下に降りようと考えてたが、まったくもって杞憂だった。駐車場には金峰山を往復する登山者のクルマが早くも数台駐まってる。今回の山旅、11月の下旬だと言うのに全然雪を見なかったけど、朝日岳付近で、ようやく雪らしきモノをようやく発見!(笑) 朝日岳の手前の・2528 m を頂上と勘違いして休んでる登山者が居たけど、朝日岳の頂上よりも・2528 m のほうが開けてて展望もよい(笑)。朝日岳の頂上で休憩した後、一旦急なガレ場を下り、鉄山の北側を巻く。森林限界越えていかにも高山ぽいハイマツ帯が現われると、金峰山の頂上は近い。ハイマツ帯が消え、大きな岩がゴロゴロし始めたところで、金峰山頂上に8:14に到着。


金峰山頂上から見た八ヶ岳連峰

 金峰山からは八ヶ岳連峰がよくみえたが、殆ど雪が無い。今年の雪は遅いようだ。
 金峰山のシンボルといえば、五丈岩。私の後に頂上に到着したパーティー(老若男女が揃ってた)のみなさんが五丈岩登頂にトライ。私は彼らの登頂を見届けずに下山にかかったけど、年輩のリーダーが「ムリせずに降りてこい」というふうに叫んでるのが聴こえたから、もしかしたら登頂果たせずに断念したかもしれない。私? 時間に余裕がある時にじっくり五丈岩登頂を果たしたいと思います(笑)。


金峰山頂上の巨岩、五丈岩 

 金峰山頂上から北側の金峰山小屋へと下る登山道に入った途端、めっきり登山者の姿が減った。金峰山の登山者の8割は大弛からの往復組?と思えるほど。金峰山小屋もひとの気配もなくヒッソリとしている。ま、9時頃だから登山者はみんな出払ってても当然だけど、女主人のお顔くらいみたかった(笑)。金峰山小屋からは、下り一辺倒ではなく地形図上の・2,302 m へ向けてビミョーに登り気味になる(すなわち、地形図記載の登山道は間違い)。この登り区間を早く通り過ぎたいとあせったばかりに、折れ枝にズボンを引っ掛け、ズボンが破れた...(泣)。地形図上の・2,302 m 付近を過ぎると後は下るばかりだけど、登山口の林道がちょうど工事中のため、登山者は専用の迂回路(しかもアップダウンが多い)をあるかされる。最後の降り口はヤセてて、急坂で、ロープまで張ってある、今回の山旅で一番危険な場所はこの迂回路の降り口だ(笑)。ようやく林道に出ると、後は川端下まで単調な歩きが待っている。村営の金峰山荘前でザックを下ろして、インスタントラーメン作って食べた後、なおも車道を往くと、大弛峠からの峰越林道合流点を経て、11:55、川端下バス停・着。登山者はみな「川端下」を「かわはげ」と読んでるけど、地元の道路標識にはローマ字で「Kawahake」とあるから、「かわはけ」と呼ぶのが正しいようです(笑)。川上村営バスが来るまで55分。待った末にやって来た村営バスに乗ったのは私ともうひとり。3連休だというのに、こんなに登山者少ないんですかぁ? もっとショックだったのは、梓山のバス停でバスを待ってた登山者はゼロ! てっきり甲武信ヶ岳から下山してきた登山者がバス待ちしてると思ったのに! この梓山のバス停でバスを降りた私、最後のひと仕事が待っている。そう、毛木平に駐めてあるクルマを回収しにひと歩きだ、ザックを梓山のバス停に置いて、身一つでクルマを回収しに行ってもよかったが、置き引きが怖くて、結局ザックを担いだまま、高原野菜畑のなかの一直線な道路を歩く。バス停から50分かけて毛木平の自分のクルマのところに戻ってみると、車内に放置しておいたコカコーラの500 mlペットボトルが見事に凍ってた(苦笑)。クルマに乗り、富山へ向けて出発。梓山から毛木平まで、歩きで50分かかった道のりはクルマだと7分...(苦笑)。
 ところで、今回の山旅、ケータイのバッテリーが無くなったり、ポータブルCDプレイヤーが電池切れで動かなくなったりしたけど、実はコレ、みんな低温障害のなせるワザだった(苦笑)。ケータイなんて、家に戻って確認してみたらバッテリーがフル状態に戻ってたんだもんなぁ〜(笑)。

【行動記録】2003年11月21日(金)〜11月24日(日) 前夜発、2泊3日
11月22日(土)
毛木平駐車場808─千曲川源流秋霧橋818─908//918―八丁ノ頭938―1000十文字峠
十文字峠1010―1056大山1116―武信白岩山頂上分岐1145―1212尻岩1223―1319三宝山
三宝山1339―甲武信小屋近道分岐1404―1411甲武信小屋

11月23日(日)
甲武信小屋635─651甲武信ヶ岳711─千曲川源流コース分岐725─ミズシ737─806富士見台
富士見台816―両門ノ頭836―911東梓921―国師ノタワ947―1021//1031―
―天狗尾根コース分岐1124―1132国師ヶ岳1152―三繋平1157―1203北奥千丈岳1223―
―三繋平1226―前国師ヶ岳1230―1251大弛小屋

11月24日(月)
大弛小屋624─朝日峠650─717朝日岳727―814金峰山834―金峰山頂上小屋849―
―中間地点923―934//944―迂回路入口954―迂回路出口1009―1041金峰山荘1111―
―峰越林道入口1124―1155川端下バス停1250=1300梓山バス停1301―1351毛木平駐車場

【1:25,000地形図】居倉、金峰山、瑞牆山

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