安倍奥・十枚山―安倍峠
2004.4.30〜5.3(前夜発、1泊2日、車中2泊)

 

 ゴールデン・ウィークに静岡県の安倍川上流の十枚山から安倍峠、八紘嶺、大谷崩ノ頭を経て山伏までの縦走を2泊3日の日程で計画し、実行に移したが...。
 4月30日の夜のうちにクルマで富山を出発。国道158号線の安房トンネルを抜けた先の道の駅『風穴の里』にクルマを入れて、仮眠。翌朝5月1日は朝4時からさらに東進。山梨県南巨摩郡身延町の国道52号線大庭バス停そばの駐車帯にクルマを置いて、ここから21分の歩きでJR身延線の波高島駅に出て、電車で(富士乗り換えで)静岡へ。当初の予定では内船駅から(甲州側の)十枚峠登山口まで歩くつもりだったけど、駅から登山口までの2時間もの車道歩きを嫌い、急遽計画を変更。静岡側の十枚峠登山口まで移動することにした。静岡駅前から安倍線の梅ヶ島温泉ゆきのバスに乗る。この梅ヶ島ゆきのバスに乗るのは5回目だけど、いつ乗っても車窓からの風景が凄い...と思う。文字どおり谷底を這うようにつけられた細い車道を往くバス。安倍川の両側ともまるで壁のように山が聳え立つ。自分で運転するクルマじゃあ、運転に気をとられてここまで景色を楽しむことは出来ないだろう。っていうか、対向車とのすれ違いを嫌って、最初から安倍奥には自分の運転するクルマじゃ行かない(笑)。1時間くらいバスに揺られ、六郎木バス停に12時過ぎに着く。ガイドブック(『アルペンガイド7 富士山周辺と駿遠の山』山と渓谷社
、1993年刊)が薦めるままに六郎木バス停で降りたけど、実は、次の関の沢入口バス停からのほうが十枚峠登山口に近い。が、関の沢入口バス停で降りると、バス賃が50円高い(笑)。安倍川の橋を渡る前/渡った後の違いだけで、距離的には100 m くらいしか違いがないから、運賃50円の違いは大きいと言える(「ケチ!」って言うなぁぁぁ〜!!!)。関の沢集落からは沢沿いの林道を行くと、いよいよ中の段集落へのつづら折りのカーヴ道が始まる。登山者向けの駐車スペースがあるけど、駐車出来る台数は少ない。車道のつづら折りのカーヴをショート・カットする登山道があったりしたけど、その登山道はほんのすぐで終わり。結局は車道に出てアスファルトの照り返しを受けながらのつらい登り。中の沢は茶畑の出作り小屋のみの集落のようで、人影は感じられない。集落のなかの車道で休憩後なおも歩みを進めると、車道は終わり、登山道に入る。登山道に入ってすぐ十枚山頂上への直登コースと十枚峠コースの分岐に出た。ここでは十枚峠コースに入る。中の段のつづら折りの車道歩きは暑くて大変だったけど、山腹をぬってつけられた林のなかの登山道は直射日光が当たらないためラクだ(苦笑)。ちょっと悪場になっててロープのある一番目の沢を越え、10分ほど歩いたところで休憩。さらに歩くと県有林の看板があり、ここからさらに登る。峠状になってるところを過ぎ、二番目の沢を通過。そして、15:29に当初から宿泊予定地としていた三番目の沢に到着。
 この三番目の沢には数張分のキャンプ適地がある。このことは1999年に正月登山として内船駅―十枚山―地蔵峠―青笹―徳間峠―高ドッキョウ―樽峠―井出駅の縦走をした時にリサーチ済み(笑)。その時は、十枚峠から水汲みしに来ただけで、テントは張らなかった(1999年の時は、十枚岳登山口手前の林道、地蔵峠、樽峠にテント泊)。今回、ようやく此所でテント泊である。勿論、主に地元の静岡県のひとの日帰りが主体の十枚山だから、他にテントを張る者は居ない。テントのなかで夕食の準備してたら、フルーツ缶を2個も持ってきてるのに、缶切りが無いことが発覚!!! ショックだ!(苦笑)
 翌5月2日は、朝5:05に三番目の沢を出発。晴れ渡ってた前日とは違って、ガスが出てて、視界200 m くらい。天気はあまり良くない。十枚峠には5:29到着。ここから十枚山の頂上を目指す。5:54に無人の十枚山頂上に到着。


十枚山頂上にて、筆者

 南アルプスの秀峰の絶好の展望場として名高い十枚山も今日の天気では展望も望むべくもない。10分で頂上を辞し、笹ヤブの切り開きのなかの県境縦走路を北へ歩き出す。頂上の北側の登山道は笹ヤブはきれいに切り開かれているけど、もしも登山者が行き倒れて笹ヤブに隠れてしまったら、発見しようがないほどササが繁茂してる。十枚山までは気軽なハイキングコースとして地元では親しまれているお蔭でコースも整備されているけど、十枚山より北はヤブがうるさそうな印象を持っていた。だけど、意外なほど整備されていて、歩き易い。露にも濡れない(笑)。落雷の跡が残る「かみなりの木」、そして「黒崩」を過ぎ、7:04に刈安峠に到着。刈安峠という名前のとおり、昔は甲州側からも駿州側からも道が付いていた。しかし、甲州側がまず消え、登山コースとして近年まで使用されていた駿州側もルートの崩壊と死者が出たことによる閉鎖により廃道化が著しい。刈安峠から駿州側への降り口にはロープが張ってあって通行禁止になっている。封鎖されて久しくひとが歩かないため、雑草が繁茂し、どこが登山ルートだったのかも判別し難い状況。ひとが通らなくなった道はあっという間に廃道化するものなんだなぁ...。刈安峠で休んでると登山者が大光山方面から来てビックリ! 今日はいったいどこから来たんだろう?
 刈安峠から大光山を目指す。大光山頂上には7:53到着。腹が減ったので、フルーツ缶(ミカン缶)を開ける。缶切りがないので、テントのペグと石を使い、中身を取りだせるだけの大きさの穴を開けた。もし、これがパインアップルの輪切りの缶ヅメだったら、この方法もムリだったろう(笑)。
 大光山頂上から奥大光を過ぎ、9:19に大笹ノ頭に到着。相変わらず天気はすぐれず、今にも雨粒が落ちてきそうだ。途中、中高年男女混成パーティーとすれ違った。前夜はどこかでテント泊したようで、いったいどこに泊まったのか疑問を抱いたんだけど、向こうのほうも私が昨夜テント泊したと知ると、いったいどこに泊まったのか疑問に感じたようで、前泊地を訊かれた。十枚峠の下の沢...と答えたら、「この先、水場があるの?」とオバサンに喜ばれた。あのぅ...峠から水場まで往復30分はかかるんだけど...。
 大笹ノ頭の先からは細かいアップダウンが続き、とくにバラの段前後のヤセ尾根のアップダウンに意外に手こずる。ヒイヒイ言いながら、10:19にバラの段到着。


バラの段頂上

 バラの段からは急な下り。途中、携帯電話で会話しながら登ってくる30歳前後の男性登山者とすれ違った。昔ながらの安倍峠には70代くらいの女性がひとり居た。ここまでハイキングがてらやってきたとのこと。
 この日は山伏までの長距離を踏破するつもりだったけど、バラの段のまで来た時点で(この時点で5時間歩いてる)かなりヘバってて安倍峠から八紘嶺の登りがキツそうだったのと、たまに雨粒が落ちて来るのとで、この先の行程を放棄し、安倍峠から梅ヶ島温泉へ下山を決意。安倍峠から梅ヶ島温泉へのコースを行くと、やがて沢の流れに沿った道となり、キャンプ適地があらわれる。静かだし、居心地がよさそう。安倍峠にこんなに素敵なキャンプサイトがあったなんて! いつか是非ここで泊まってみたいと思った。林道に出てしばらく下ると、林道を道なりに行くよりもずっと近道の登山道の分岐に到着。林道は通行止め措置がとられてるみたいで、通るクルマは1台も無く、静かだ。梅ヶ島温泉バス停には12:19到着。バスの時間まで時間があったので、入浴。バスに乗って静岡駅に出て、電車でJR波高島駅へ移動、大庭バス停駐車場に戻った。山の疲れもあり、この日のうちには富山までクルマを運転して帰れそうもないので、『道の駅はくしゅう』で仮眠。翌5月3日、9時に富山に帰宅。
 今回の登山、1日目・十枚峠三番目の泊、2日目・山伏小屋泊、3日目・下山...って計画を立てて途中敗退したんだけど、後から考えると、1日目・十枚峠三番目の沢泊、2日目・安倍峠泊、3日目・山伏通って下山...ってしとけばラクだったかもしれない。ま、いずれにせよ天気がこれじゃあ、実行不可能だったワケだったケド...。

【行動記録】2003年4月30日(金)〜5月3日(月) 前夜発、1泊2日、車中2泊
5月1日(土)
六郎木バス停1222─出合橋1243─中の段入口1254―十枚山登山口1303―車道1313―
―1322//1332―直登コース分岐1406―一番目の沢1420―1432//1443―看板1448―
―峠1510―三番目の沢1529

5月2日(日)
三番目の沢505─十枚峠529―554十枚山604―かみなりの木626―黒崩650―704刈安峠
刈安峠714―753大光山813―奥大光839―909大笹ノ頭919―1019バラの段1039―
―安倍峠1105―安倍峠入口1120―1129八紘嶺入口1140―1219梅ヶ島温泉バス停

【1:25,000地形図】湯の森、篠井山、南部、梅ヶ島

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