「言葉は生き物」ということが解らない文化庁(ら)、愚かなり!
『ZAKZAK』にこんな記事が載ってました。
60%前後の人が誤って理解
慣用句の「流れに棹(さお)さす」や「役不足」「確信犯」の意味を、60%前後の人が誤って理解していることが19日、文化庁の日本語に関する世論調査で分かった。コンビニなどで耳にする「1,000円からお預かりします」「お会計のほう」などの言葉遣いは、前回(1996年度)調査より「気になる」人が増えた。外来語120語の理解度や使用度では「ストレス」が1位となった。
昨年11〜12月に16歳以上の男女計3,000人を対象に調査、73%が回答した。
「役不足」の意味は、本来の「力量に対し役目が軽すぎること」とした人が28%。「役目が重すぎる」と逆の意味を選んだ人が63%に上った。上司から仕事を任され、謙そんのつもりで「自分には役不足の仕事ですが」と答えると、不快感を与えることもありそうだ。
「流れに棹さす」は「傾向に乗って勢いを増すような行為をする」が本来の意味だが正解は12%。64%が「勢いを失わせるような行為をする」と誤解していた。「確信犯」も本来の「信念に基づき正しいと信じてなされれる行為、犯罪」は16%にとどまり、58%が「悪いことと分かった上での行為、犯罪」と答えた。(以下、略)
(ZAKZAK 2003/06/19)
この記事が掲載された頃に新聞などでも大々的に取り上げられていたから、目にしたひとも多いことでしょう。この手の記事が出る度に思うのは、言葉は生き物であって、時代時代によって意味や用法が変化して異なっていくのはこれまでの歴史が証明しているというのに、どーして文化庁やら大学教授やらの偉いセンセイがたは、旧来の用法や意味や文法にこだわるんでしょうか?...ってこと。
特に、6割のひとが(文化庁らがいうところの)間違って使っているという「確信犯」の意味...6割ものひとがそういう意味で使ってんのなら、そっちのほうが正しいんじゃないの?(笑) 辞書的に言うなら、文化庁らが言うところの正しい意味(この場合、「信念に基づき正しいと信じてなされれる行為、犯罪」)は語源、6割ものひとが使ってる意味(この場合、「悪いことと分かった上での行為、犯罪」)は、そこから派生した新語義でいいじゃないですか!? 6割ものひとが使ってるものを「間違いだ!」と決めつける権限は、文化庁らの偉いセンセイがたにあるんでしょうかねぇ???
「新しい」←これを読んでみなさい...と言われたら、100人中99人は「あたらしい」と読むと思いますが、「新たな」を「あらたな」と読むことからも分かるとおり、元々「あらたしい」って読むのが正しかったんですよね。ところが江戸時代に洒落者が居て、「ら」と「た」をひっくり返して使ったのが世間に広まり、それが一般化しちゃったと。「『新しい』を『あたらしい』と読むのは間違いだ! みんなちゃんと『あらたしい』と読め!」と言おうものなら、「バカか、お前?」と言われることでしょう。
「重複」←これを読んでみなさい...と言われたら、どう読みます? 元々は「ちょうふく」が正しいんですが、最近はこれを「じゅうふく」と読むひとが多くなってきました。しょーじきに言うと、私は「重複」を「じゅうふく」と読むひとをみると、「あはは〜♪ バカ」と腹の中で嘲笑していたんですが(その気持ちは、顔にも口にも出さない...苦笑)、これだけ「じゅうふく」と読むひとが多くなってくると、「重複」は「じゅうふく」と読むのが正しい...となるのは避けようがない...と、もはや諦めてます(苦笑)。
このように言葉っていうものはちょっとしたキッカケで変わるし、新しい意味も増えていくモノ。頭脳明晰で頭の回転の早いひとのことを「切れる」とつい最近(10年前くらいまで)は言ってましたが、今やすぐにプッツンして暴れるひとのことを「キレる」ひとって言うんですからね(苦笑)。「言葉は生き物だ」といわれる由縁ですが、文化庁らの偉いセンセイがたは何が何でも言葉の意味/用法/文法の変化を阻止したいらしいです(苦笑)。そんなに言葉の意味/用法/文法の変化を阻止したいんなら300歳くらいまで長生きして、誤用法が広まらないようにずっと監視してて下さい(笑)。
言葉と同じように、地名も変わります。東京の秋葉原は、静岡県の秋葉(あきば)神社の分社があったところから名付けられた地名で、本来なら「あきばはら」と読むんですが、今や誰もが「あきはばら」と読みます(笑)。ウチの会社の課長は「あきばはら」と読んでるけど(笑)。昔からの住人のなかには「あきばはら」と読んでるひとも居るそうですが、彼らが鬼籍に入ったら、秋葉原を「あきばはら」と読むことは、昔物語になってしまうことでしょう。
間違いでも、大多数のひとが支持してしまうとそれが「正しく」なる...このことが分っていない文化庁らはホントに愚かですね。
このサイトに「ロック史上最強の確信犯・ポリス」って文章載せてるじゃないですか。ここでの「確信犯」の意味は、文化庁らが間違った意味とする「悪いことと分かった上での行為、犯罪」です(爆笑〜!!!)。「確信犯」という言葉をこういう使いかたするひとがこれだけ居るというのに「オマエらは間違ってる!」と決めつける文化庁らの態度にカチンときました(苦笑)。正直に言うと、この文章書いた動機はコレです(苦笑)。
('03.6.26)