日本での野外ロック・フェスティヴァルといえば、『FUJI
ROCK
FESTIVAL』が(いろんな意味で)有名だが、他にもいくつか野外ロック・フェスティヴァルが催されている。その1つが
MTV Japan 主催の『TOKYO COOL
CAMP』で、今年は9月6日の日曜日に有明レインボーステージで行われたこのイヴェント、出演バンドは日本から『青森在住』スーパーカー、『フジ・ロックで犠牲者多数出した』ミッシェル・ガン・エレファント、イギリスからは『今年3度目の来日』ジャグアー、そして『イカサマ師たち』こと、ザ・シャーラタンズ。と、このように『日英ロック決戦』的な色合いが濃かった『TOKYO
COOL
CAMP』のトリを務めるため、『新作レコーディング準備中』の合間をぬって来日したザ・シャーラタンズ、このイヴェント以外にも大阪で単独公演が2回組まれていたので、その単独公演を観に、9月4日、大阪・IMPホールに行ってきた。(「どうして『TOKYO
COOL
CAMP』のほうを観に行かなかったの?」なんて訊かないでくれ! 『フジ・ロック』という密度の濃いモノをゲップが出るほど堪能したばっかりなので、当分野外ロック・フェスティヴァルは勘弁してくれよォ〜!!!って感じなんだよ!)
開場時間の6時に少し遅れて、スティングのアルバム『マーキュリー・フォーリング』がBGMで流れていた会場に入る。ザ・シャーラタンズにスティングとはミョーな取り合わせだが、『スティングはロック史上最大のイカサマ師である』ことを考えるとこの選曲も納得いく(笑)。開演予定の7時になり、まず前座の日本のバンド、プリ・スクールが登場。彼らの演奏を観るのは'96年9月28日のアッシュのライヴの時以来。この2年間のうちにメジャー・デビューを果たし、大きく成長を遂げたハズのプリ・スクールの演奏なのに関西の観客は『観たないモンはどおでもええワ』とゆースタンスなのだろうか、気の毒なくらい反応が鈍かった...。プリ・スクールの5人は5〜6曲演奏して早々とステージを後にした。
この後、セット・チェンジが行われ、7時40分頃には演奏準備が整った。が、『イカサマ師たち』はなかなか姿を現わさない。「開演予定を平気で30分おすバンドだから仕方ないか」と思っていると、案の定、8時を廻った頃、ようやくザ・シャーラタンズ登場。
オープニング曲は“With No
Shoes”。ヴォーカルの『いつまで経っても18歳』ティム・バージェスは去年のライヴでは片手にマイクを持ち、もう片方の手をまるでズボンがズリ落ちるのを阻止するかのようにベルトにかけながら体をゆらす...というステージ・アクション???を見せていたが、今回ティムが披露したステージ・アクションは『エア・ギター』!!!(←つまり、ギターをジャンジャカ弾いてるマネをすること。小・中学生のガキがよくやっている...) 「31になったばかりのイイ大人が、そんなマネして恥ずかしくないのか!」と思いつつも、ティムがあまりにもウレシそうに『エア・ギター』をかき鳴らす(←でも音は出ない...笑)のでそんな批判をする気も失せてしまう。“With
No Shoes”の次は“North Country Boy”、続いて“Tellin'
Stories”...と、ここまで去年の来日公演とまったく同じ曲順だったので、「まさか、全曲去年とおんなじ演奏曲目だったりして...?」との疑念を持った頃、ようやく現在新作レコーディング準備中の彼ら、新曲らしき曲をプレイ。曲の終わりにはティムがマウス・ハープ(ハーモニカ)を披露した。この後、“Just
Lookin'”、“Here Comes A Soul Saver”、そして“One To
Another”...と今年リリースされたベスト・アルバム『メルティング・ポット』収録のナンバーを披露。まさに『ベスト・オブ・シャーラタンズ』の選曲に20代前半までの女性が中心の観客は大いに盛り上がり、体を横に揺らしてた(←シャーラタンズの曲は横ノリ中心なので)。ここでティムが「Area
fifty-one
!」と曲紹介。アルバム『テリング・ストーリーズ』収録のインストゥルメンタル・ナンバー“Area
51”だ。インスト・ナンバーだからティムは出番が無く、ステージ中央の位置をベースの『鉄仮面』ことマーティン・ブラントに譲り、ステージ向かって左端で『エア・ギター』をかき鳴らして見せていたが、やはりそればかりじゃツラくなったのだろう(笑)、ステージ向かって右端のキーボードの『いよいよ正式メンバーに本採用』トニー・ロジャーズの後ろに移動しタバコをふかしてた(爆笑!!!)。そのトニー、交通事故死したロブ・コリンズの『最後の仕事』ともいえるキーボード・フレーズを完璧に再現。聴けるとは思ってなかっただけに
“Area 51”が聴けてホントにヨカった...。“Area
51”の後、新曲らしき曲をプレイし、渡辺さんが喜びそうなジャケットの来日記念盤『アザー・ストーリーズ』から“Clean
Up Kid”を披露。この後“Just When You're Thinkin' Things
Over”、イントロで大歓声を呼んだ“Weirdo”、そして“How
High”...と人気ナンバーを連発し、『イカサマ師たち』は一度ステージを去った。
ファンの熱心なアンコール要求にステージに戻ってきた『イカサマ師たち』、まずは古くからのファンが涙を流しそうな懐かしの“Then”をプレイ。だけど、そういう古くからのファンはこれを聴いて納得できたのだろうか? というのは“Then”に限らずすべての曲においてティムはキーを高く設定して歌っていたからだ。ただでさえ『ヘタウマ』と呼ばれるティムのヴォーカル、キーを高く設定したせいで余計にヨロヨロになっていた。私は最初どうしても違和感が拭えず、ライヴを楽しむため、ティムのヴォーカルを聴かないようにしていたぐらいだから(爆笑!!!)。他のアーティストなら「ヘタクソ〜!!!」との怒号と伴に物が投げつけられそうなところ、何も投げ込まれないどころかみんな楽しそうにしているのは『いつまで経っても18歳』のティムのキャラクターとバックのしっかりとした演奏によるところが大きいのだろう。“Then”の後、“Can't
Get Out Of Bed”を挟んで披露された“Sproston
Green”ではティムは最前列にいる観客と握手しまくっていた。こうして『イカサマ師たち』のライヴは終わったのだが、ホントにティムにはいつも笑わせてもらえる。31になっても18のまま(15という声もある)...『トシを取らない』という年齢の取り方もあるんだな...とティムを見て思った(爆笑!!!)。
【SET LIST】...'98.9.4
大阪・IMPホール
1. With No Shoes
2. North Country Boy
3. Tellin' Stories
4. Toothache
5. A House Is Not A Home (新曲)
6. Just Lookin'
7. Here Comes A Soul Saver
8. One To Another
9. Area 51
10. The Blonde Waltz (新曲)
11. Clean Up Kid
12. Just When You're Thinkin' Things Over
13. Weirdo
14. How High
(encore)
1. Then
2. Can't Get Out Of Bed
3. Sproston Green