ヒロくんのLIVE REPORT '99 PART 2 ROCKET FROM THE CRYPT

 私にとって『悪夢』だった恵比寿ギルティでのライヴから丸2年。前作『スクリーム、ドラキュラ、スクリーム!』からの“On A Rope”や“Young Livers”の『アホウなヴィデオ・クリップ』(←らしい。私は見たことない)と、強力な新作『RFTC』でロック・ファンの間で一気に知名度を拡大させ、いつの間にか『ロケクリ』なる愛称もついたホーン隊2名を擁するパンク・バンド、ロケット・フロム・ザ・クリプトが3度目のジャパン・ツアーをおこなった。前回の恵比寿ギルティでのライヴはギターとベースを強調し過ぎで、彼らのウリのホーン隊の演奏は勿論、ヴォーカルさえ聴き取れないほどのサウンド・バランスの悪さに「この会場じゃバンドの実力が分からないし、バンドが可愛想!!!」と、もう一度きちんとした会場で観るまで彼らのライヴに対する評価を『お預け』にしてた私が今回足を運んだのは、1月15日成人の日の渋谷・ON AIR WESTでのライヴ。『恵比寿の地下室』から『渋谷のハコ』へとバンド名どおりの出世を果たしたロケクリ(←地下聖堂から飛び出したロケット...という意味)の今回のライヴ、日本のバンドが2組、前座についてた。前回観た恵比寿ギルティでロケクリの前座を務めたケムリはすっかり人気バンドになったが、今回の前座は、いきなり6拍子の長い曲で演奏を始めたプログレ風味の4人組・NAHTと、女4人のパンク・ポップ・バンド、ロリータ18号(笑)。ロリータ18号がこんなに笑えるバンドだとは知らなかった。ファンになってしまいました(笑)。彼女たちが演奏した曲で一番気に入ったのは、ヴォーカルのマサヨが「ラヴ・ソングを演ります!」と言って披露したスロー・テンポの曲。キム☆リンのベースが印象的なこの曲、一発で覚えちゃった(←曲名不詳...だったが、後日“ロマンチスト”と判明)。
 前座2組の演奏が終わり、セット・チェンジが行われ、ステージ後方にロケクリのロゴと対になった2匹の龍の刺繍が金色で施された赤いバック・ドロップ(後幕)が降ろされ、ロケクリの6人がステージに現われたのは8時50分頃だった。新作『RFTC』では女性コーラスの比重がけっこう大きいため、もしかしたら女性ヴォーカリストを連れてくるかも...と思ったが、実際にステージに現われたのはロケクリの6人だけ。ライヴのオープニングはアルバム『RFTC』より“I Know”。いきなりステージに駈け上がりステージ・ダイヴをする者が現われるなど、盛り上がる会場。ただし恵比寿の地下室でのライヴの時のように暴動か戦争か...というほどの大混乱にはならなかったが。ヴォーカル兼ギターの『スピード』ことジョン・ライスは最新の写真では頬がこけ、スリムになったように見受けられるが、実際の姿は2年前見たのとおんなじ『ビヤ樽』体型。写真撮影の際にはビッシリとメイク・アップしたに違いない(笑)。両腕にビッシリ刺青を入れているベースのペティX、バラのワンポイントの入った使い込まれたギターを弾くN.D.、自分の顔の2倍も3倍もあるデカいシンバルを叩きまくるドラムのアトム、ディカプリオを金属バットで2、3発叩いて崩したような顔のサックスのアポロ9、そしてトランペット担当のJC 2000はCDでは女性コーラスになっている部分のバック・コーラスも担当(←かなり違和感アリ)。これらロケクリの6人は、バック・ドロップと同じ2匹の龍の刺繍が施されてる黒の半袖シャツを着て、揃いの衣装でバッチリキメていた。ライヴ開始早々から上機嫌で曲の合間合間には早口な英語でベラベラ喋ってたスピード。あまりの早口英語に私にはヒアリング不能だが、スピードの喋る内容は殆ど、暴れまくるキッズへの説教だと音楽雑誌に載っていた(笑)。6曲目に“My Arrow's Aim”を演った後、スピードは女のコ2人をステージに上げた。スピードが「この娘たちに次の曲を歌ってもらおう!」と言うと「No, I can't!!!」とおもいっきしビビりまくってた女のコ2人。この姿を見て「ガハハハ〜!!!」と高笑いのスピード。結局、女のコ2人は次の“When In Rome”で踊りを披露することで許してもらっていた(笑)。この他に“Dollar”では観客に「yeah! yeah!」と連呼させ、“Dick On A Dog”では観客に手拍子させたり...と観客参加型のライヴをリードしたスピード。ライヴが一番盛り上がったのはやはりアルバム『スクリーム〜』から“Middle”と“Born In '69”がプレイされた時。文字どおり'69年生まれの私は血が騒いだ(笑)。最後に“On A Rope”が披露され、大いに盛り上がったところでロケクリの6人は一旦ステージを去った。が、あれほど盛り上がったばかりなのに会場にはアンコール要求のコールおよび手拍子はまばら...。どうしてだ??? こんな状況にもかかわらずステージに戻ってきたロケクリ。アンコールでは“Sturdy Wrists”、新作から“Break It Up”を演った後“Come See, Come Saw”をプレイ。この曲の終わりではベース・リフをず~っと反復演奏し続けて引っぱる引っぱる...。10分くらい引っぱったんじゃないか? お蔭でライヴの興奮がすっかり醒めてしまった...。“Come See, Come Saw”が『ようやく』といった感じで終わった後、ロケクリの6人は深々とおじぎをし、スピードはこの日初めて日本語を喋った。「アリガト!!!」
 こうしてスピードたちがステージを再び去った後も、やはり、会場には弱々しい手拍子しか響かない...。「ライヴじたいは盛り上がるけど、観客はホントは熱心なロケクリのファンじゃない」ということを露呈させてしまった以上、ここでライヴが終わるのは当然。スピードたちはもうステージに現われなかった。人気が発展途上中のバンドのライヴは熱心なファンよりも、どーゆーバンドか確かめに来た模様眺めの観客が多くなるためこうなるのは仕方ないとはいえ、どうも後味が悪い...。ロケクリがまだ一部モノ好きだけのためのバンドで、彼らへの愛情をカラダで表しに来たバカ者がやりたい放題暴れてた『恵比寿の地下室』を少し懐かしく思った(←といってももうアレは二度とイヤだ!!!)。あと、懸案のライヴの音質について言うと、ステージ向かって左側のスピーカーの真ン前で観てたため、音の良し悪しを云々する以前にあまりの大音響で耳がおかしくなりました(←バカ)。

【SET LIST】...'99.1.15 渋谷・ON AIR WEST
1. I Know
2. Panic Scam
3. Made For You
4. Suit City
5. Young Livers
6. My Arrow's Aim
7. When In Rome
8. ? (←“Come See, Come Saw”に似てるが違う曲。もしかして“Light Me”???)
9. ?
10. Let's Get Busy
11. Middle
12. Born In '69
13. ? (←“On A Rope”に似ているリフを持つ曲。もしかして“Don't Darlene”???)
14. ?
15. Dollar
16. Dick On A Dog
17. On A Rope

(encore)
1. Sturdy Wrists
2. Break It Up
3. Come See, Come Saw

ROCKET FROM THE CRYPT live @ Ebisu Guilty '97.1.18

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