'96年に『1977』と題されたアルバムでデビューを果たしたアッシュ。『1977』というタイトルどおり、メンバー3人のうち2人が
'77年生まれでデビュー当時は19歳というガキ・バンドだったわけだが、その後、自分たちよりも年下の女のコをギタリストとして加入させ4人組になったアッシュ。『新生アッシュ』の日本での初の御披露目となった今回のジャパン・ツアー、そのうち名古屋クラブ・クアトロで行われたギクに私は足を運んだ。
会場のクラブ・クアトロに足を踏み入れた途端気付いたのが、観客の年齢の低さ。どう見てもハイティーンからハタチ前後が中心で、『25歳以上お断り』状態の客層。この観客の年齢の低さは、アッシュのライヴを『1977』のツアーで観た時に体験して懲りてたハズなんだけど...。若い客ばっかりで居心地が悪くて悪くて落ち着かなかった私は、まるで熊のように会場のあちこちをフラフラとうろついていた。そのうち化粧のノリの悪い肌をした(笑)お姉さんを発見!!! 「自分より年上のひとが居た!!!」と喜んだ私、今回のライヴの私の立ち位置をこのお姉さんの隣に決定! ガキンチョ・ファンばかりですっかりうろたえ取り乱していた私の気持ちは、これでようやく落ち着きを取り戻した。ちなみに、私はこの『砂漠のオアシス』ともいえるお姉さんに、声をかけたりはしませんでした(「ガキンチョばかりのなかにあなたが居て助かりました」なんてどうして言える?...笑)。
午後7時から前座の日本のトリオ編成のバンド・PEALOUTが登場。5、6曲、時間にして20分ほど演奏した後セット・チェンジが行われ、時計の針が8時を廻った頃、会場にもわもわぁ〜っとした響きのSEが流れた。新作『ニュークリアー・サウンズ』の“Projects”のイントロだ。このイントロに観客が歓声を上げるなか、アッシュの4人がステージに姿を現わし、そのまま演奏を開始した。曲は勿論“Projects”だ。アルバムよりテンポアップしてプレイされたこの曲に若いファンたちは大いに盛り上がり、すぐさまフローティング(『人上水泳』)する者が現われた。2曲目もアップテンポの曲“Season”で、観客の熱狂に『油が注がれた』。ステージ中央でギターをかき鳴らしながら歌うティム・ウィーラーの右側に立つ注目の女性ギタリストのシャーロット・ハザリーは横縞のタンクトップにジーンズ姿でアタマをパツキンに染めていた。まだハタチくらいの女のコでありながら、今も表情に幼さが残るアッシュの他の3人の男どもよりもキリッとした表情をしている。眼鏡をかけたドラマーのリック・マックマーレイは『30歳若返った加藤茶』といった感じ。ベースのマーク・ハミルトンは2年半前に観た時よりも背が伸びたようで(21、2歳まで背は伸びるっていうから)、ティムと比べて、文字どおり頭ひとつ抜けていた。そんなマーク、光の当たり具合で元・ブラック・グレープのベズに見えたことは勿論、爆笑問題の太田光(←『チビ』じゃないほう)に似てるようにも見えた(笑)。
CDでは作り込みすぎなのかライヴではいつ聴いてもなかなかそれと気付かない(苦笑)“Angel
Interceptor”の後、ティムが日本語で「コンチワ」とMCしてから披露したのは“A
Life Less
Ordinary”!!! 『トレインスポッティング』第2弾...とされる映画『普通じゃない』の主題歌のこの曲は、新作の日本盤にボーナス・トラックとして収録されているが、ハッキリ言ってアルバムのなかで一番輝いてる曲。そんな名曲を4曲目でもう演ってしまうとは...。勿体無い!!!
今回のライヴ、アッシュの4人の他にD.J.が居て、“Jesus
Says”などの新作からの曲ではターンテーブルを廻してスクラッチ音を出していた。頑張るD.J.君には悪いが、アッシュの音楽性からいうと『居なくてもいい存在』だった。観客の「oh
yeah~!」の合唱を呼んだ“Oh
Yeah”、シャーロットのバック・コーラスがイイ味出してた“Aphrodite”、アルバム『1977』の名曲“Girl
From
Mars”、アルバム・ヴァージョンと同じになるように観客が「ア゛ア゛~!!!」と絶叫した“Numbskull”...と曲は進んでいったが、どうも気になったのがティムの元気の無さ。ティムのヴォーカルの弱さはいつものことで急に改善されるワケは無いし、専任ギタリストが加入したんだからギター・ソロを殆どシャーロットに任せるのも分かる。それ以外の部分...例えば今回のライヴ、ティムがMC入れることは少なく、14曲目に披露された“Goldfinger”の時、「次に演る曲は“Goldfinger”だ」と喋ったのがこの日3回目のMC。不愛想というよりもどちらかといえば、ティムの『もの凄い疲れ』を感じてしまった。“Goldfinger”の後披露された“Innocent
Smile”はギター・ノイズ垂れ流しの曲。面白いのはこういう『騒音系』の曲よりも、メロディーがしっかりした曲のほうが観客の反応が大きくなること。ファンはアッシュの魅力を正確につかんでいる。この後“Petrol”をプレイし、4人は一度ステージを去った。
ファンのアンコール要求があり、幾分間隔をおいて、ステージに戻って来たアッシュ。戻ってくるなり“Lose
Control”を演奏。さらに間髪入れずに“Uncle Pat”と“Fortune
Teller”と矢継早に披露。ティムのMCを挟みプレイしたのはどこかで聴いたことのあるような曲で、それが『自称・兄弟の変態コンビ』ウィーンの“What
Deaner Was Talking
About”と気付いたのは家に帰ってから(笑)。この後、スタッフに缶ビールを持って来させたティム、その缶ビールを盛り上がる観客のひとりにソーッと手渡した。「日本のファンのために特別にこの曲を演るよ!」とティムがMCし、演奏した曲は私の知らない曲(笑)で、この後、D.J.君の紹介をしてからティムが言った。「今夜最後の曲“Kung
Fu”!」。D.J.君はカンフーの決闘場面のSEをスクラッチ音で必死に再現し、ファンの歓声を集めたが、あまりそういうふうには聞こえなかったな(笑)。
“Kung Fu”の後、「See you next
time!」とのティムの声を残し4人はステージを去り、1時間20分でライヴは終了。
観客のハシャギぶりに比べると、ティムの元気の無さ、疲れ具合が妙に気になった。
【SET LIST】...'99.2.14
名古屋クラブ・クアトロ
1. Projects
2. Season
3. Angel Interceptor
4. A Life Less Ordinary
5. Jesus Says
6. Oh Yeah
7. Death Trip 21
8. Aphrodite
9. Girl From Mars
10. Wildsurf
11. Numbskull
12. Jack Names The Planet
13. Low Ebb
14. Goldfinger
15. Innocent Smile
16. Petrol
(encore)
1. Lose Control
2. Uncle Pat
3. Fortune Teller
4. What Deaner Was Talking About (ウィーンのカヴァー)
5. ?
6. Kung Fu