5枚目のアルバム『テラー・トワイライト』に伴うペイヴメントの5回目のジャパン・ツアーを8月22日、心斎橋クラブ・クアトロで観て来た。赤坂BLITZでの東京公演とは違って、スーパーカーもプリ・スクールも、THAUもいないペイヴメントだけの単独公演。会場が狭いので前売りはSOLD
OUTで、当日券もなしの大賑わいの客の入り。
開演予定時間の7時、ほぼ定刻どおりになんの前触れもなくいきなりステージに現われたペイヴメント。出てくるなり、マイクロフォンを通し『スパイラル・ステアーズ』ことスコット(たぶん)が「アリガト!」と観客に挨拶。オープニングはオリジナル・アルバムには入っていない曲で、私には何の曲か分からなかったのだけど、スティーヴ・マルクマスはサビの部分で♪so
much star twisted~ とか何とか歌ってた。次は“Cream Of
Gold”で、ここから新作の『テラー・トワイライト』からの曲を中心に演奏。ステージ向かって左にスティーヴ・マルクマス、右に『スパイラル・ステアーズ』が居て、その間でベースのマークが演奏。ヒゲもじゃでアヤシい風貌だったドラマー、スティーヴ・ウエストがヒゲを落としてサッパリした(うえに少し無精ヒゲを生やしてた)のと対照的に、ベースのマークは無精ヒゲを生やしていてオッサン臭くなっていた。以前観たときは『踊りも担当』だったマーク、今回はあまり踊りを見せなかった(笑)。スティーヴ・ウエストの左側に居る2ndドラマーのボブはいつもどおり、ハーモニカやカウベルなど『鳴り物』を鳴らしながら『奇声』のバック・コーラスをつけていた。パンチの欲しい曲ではスティーヴ・ウエストとの『ダブル・ドラム』をビッチリ決める。そんなボブを見て「ひとりで騒いでいたあのオッサン、最高やったな」とナニワのキッズも言っていた(笑)。ボブのドラムはいったいどんなセットだったのか...私の立ち位置からは完全に死角で見えなかったが...またフロアタムとシンバル類だけのシンプルなセットだったんだろう、どうせ(笑)。あと、ボブはキーボードと効果音のスウィッチ始動(例;
“Spit On A Stranger”のイントロ)も担当。
“Stereo”と“Shady
Lane”...前作『ブライトゥン・ザ・コーナーズ』からの2曲がプレイされた時、観客が一番盛り上がったね、やっぱり。ただ、『ブライトゥン〜』リリース時の2年前に観た名古屋でのライヴでは観客はどの曲(...といっても、殆ど『ブライトゥン〜』からの曲だったけど)でも盛り上がっていたのと違って、今回のライヴでは特定の人気ナンバーがプレイされた時のみ観客が盛り上がっていた。それすなわち、前作『ブライトゥン〜』と新作『テラー・トワイライト』の作風の違い...『ブライトゥン〜』がノリ重視なら、『テラー・トワイライト』は雰囲気重視...に因るものと思うけど、個人的には新作にイマイチしっくり来ないものを感じていたものだから、前回と今回の観客ノリの違いに「なるほどな」と思った次第。“Shady
Lane”に続いて、アルバム『ワーウィー・ゾーウィー』から“Father To A
Sister Of
Thought”を演奏すると、『スパイラル・ステアーズ』だけがステージを去り、ナルの入ったフロントマン、スティーヴ・マルクマスがルーズにギターを弾き歌い始めたのは“We
Dance”。マークとスティーヴ・ウエストも演奏に加わり“We
Dance”を完奏すると、ボブの芝居がかったプレゼンテイションの後、ステージに戻ってきた『スパイラル・ステアーズ』が“Kennel
District”でリード・ヴォーカルをとった。結局、この日のライヴで『スパイラル・ステアーズ』がリード・ヴォーカルをとったのはこの1曲のみ。“Platform
Blues”の演奏後、『スパイラル・ステアーズ』は外国人客と陽気にやりとりしたりしていた。英語だったので、私には内容は分からんが...。
ペイヴメントといえば『ロー・ファイ』なバンド...CDどおりの演奏を再現しない(する気もない)『壊れたバンド』扱いされていて、実際、2年前に観た彼らのライヴでは『いったい何の曲を演奏しているのか解らん!!!』場面が多かったが、今回のライヴではそういう場面は皆無。CDでの演奏をほぼ忠実に再現していた。ペイヴメントはもはや『ロー・ファイ』なバンドじゃなく、フツウのバンドになった??? ただ、2年前のライヴと違って今回は『スパイラル・ステアーズ』が1曲しかヴォーカルをとらなかった。2年前のライヴでは『スパイラル・ステアーズ』のヴォーカルをとった曲が特に酷かったことを想えば、今回のライヴがまともになった要因はそこにあるのかも...???
“Major Leagues”を演奏すると、スティーヴ・マルクマスが「thanks for
coming」と観客に御礼を言い、さらに日本語で「アリガト!」と言った。先ほどからスティーヴは日本語で「アリガト!」を連発していたが。ギャルに「もっと日本語しゃべってェ〜!!!」とおねだりされ、夜の8時頃にもかかわらず「オハヨウ....ゴザイマス」と日本語しゃべってた(笑)。ここでプレイされたのは、まさか!の“Trigger
Cut”!!! デビュー作からのこの曲を披露して一度ステージを去ったペイヴメント、ナニワのファンの熱心なコールに応えたアンコールでは、ボブ以外の4人だけがまずステージに戻って来て(笑)“Grounded”をプレイ。さらに一足遅れてステージに姿を現わしたボブを加え、「彼女は美味しそうに自分の指を食べた」というブチ壊れた歌詞を持つ初期の名曲“Summer
Babe”などを披露して、音楽雑誌『ロッキング・オン』の宮嵜さんが以前から書いているとおり、文字どおり『1999年の夏休みを台なし』にしてくれた(笑)。全体で90分足らずでライヴは終わった。ステージからの去り際、またも『スパイラル・ステアーズ』(たぶん)がマイクを通して「アリガト!」と挨拶していった。
新作『テラー・トワイライト』からは(“Speak, See,
Remember”と“Carrot
Rope”を除く)殆ど全曲プレイした以外は、3rdアルバム『ワーウィー・ゾーウィー』の曲が多かったかな。私個人は、2nd『クルーキッド・レイン』がペイヴメントの最高傑作だと思っているのに、このアルバムからは1曲もプレイされず、悲しィ〜い!!!
【SET LIST】...'99.8.22
心斎橋クラブ・クアトロ
1. ?
2. Cream Of Gold
3. The Hexx
4. You Are A Light
5. Stereo
6. Folk Jam
7. Ann Don't Cry
8. ?
9. Spit On A Stranger
10. Billie
11. Shady Lane
12. Father To A Sister Of Thought
13. We Dance
14. Kennel District
15. Platform Blues
16. Major Leagues
17. Trigger Cut
(encore)
1. Grounded
2. Summer Babe
3. ?