ヒロくんのLIVE REPORT '99 PART 15 BEN FOLDS FIVE

 通算3作目となる新作『ラインホルト・メスナーの肖像』のリリースに伴うベン・フォールズ・ファイヴ(以下、BF5)の3度目のジャパン・ツアーを、9月11日土曜日に、旧・東京都庁跡地に建つ東京国際フォーラムのホールAで観て来た。
 午後5時ほぼ定刻どおりにBF5の3人が登場。オープニング曲は、来日記念盤の“Don't Change Your Plans”。アルバム・ヴァージョンを再現するため、この曲の間奏ではホーン奏者が1名、ステージ真ン中に登場し、担当パート(すなわち間奏部分)のみを演奏してステージを去った。新作『ラインホルト・メスナーの肖像』では凝った音造りがされているので、曲によってはバック・ミュージシャンが登場するんだな...と、この時は思った。続いて披露されたのは、初期コンピレーション・アルバム『ネイキッド・ベイビー・フォトス』より“Emaline”。ピアノ兼リード・ヴォーカルのベン・フォールズはどことなくヨレヨレの感じがするスーツ姿。ドラムのダレン・ジェシーは白色のシャツを着て、ベースのロバート・スレッジはブルーのラメ入りTシャツ姿。服装に3人のキャラクターの違いがよく出てた(笑)。場内のファンからはベン・フォールズに「ベンちゃ〜ん!」との声援が次々ととんでいた。『愛すべきキャラクター』の持ち主・ベン・フォールズならでは..か?
 ステージ上には鍵盤で向き合うようにピアノが2台置かれていて、3曲目でいきなり披露された最新ヒット・シングルの“Army”では、演奏途中に向きを変えたベン・フォールズ、もう片方のピアノを弾いてみせ、2台のピアノをうまく活用。
 新作でのストリング多用の凝った音造りを再現するため、新作の曲をプレイする時はロバートはベースを手放してシンセを演奏することが多かった。1曲目でホーン奏者が登場した時、バック・ミュージシャンが多数現れることを予測したが、結果から言うと、3人以外のミュージシャンを加えての演奏はその1曲のみ。残りは3人だけで演奏し切った。
 “Magic”をプレイした後、ピアノを離れてステージ中央のマイク・スタンドのところへ来たベン・フォールズ、マイクの高さをいろいろと調節してみるもなかなかうまくいかないものだから、ステージにローディーが出て来てマイク・スタンドの高さを調整。そのローディーはその後、何故かもう1人ステージに現われた別のローディーとレスリングしていった! ローディーたちが姿を消したら、ベン・フォールズ、今度はマイクをわざとアンプにぶつけ、雑音を出させたりして、お戯れ。この後、ベン・フォールズが鍵盤ハーモニカを取り出したところでプレイされたのが“Steven's Last Night In Town”。この曲では、ベン・フォールズはステージ中央で歌と鍵盤ハーモニカを担当、間奏になるとピアノに戻り、間奏が終わるとまた歌と鍵盤ハーモニカを担当...と忙しい。“Steven's Last Night In Town”の演奏が終わリ、元どおりピアノについたベン・フォールズ、「次の曲はニュー・アルバムより“Your Redneck Past”だ」と曲紹介し、演奏を開始。
 ベン・フォールズは曲と曲の間に...時には演奏中にも...ファンを沸かせる趣向やギャグをやることが多く、例えばピアノの中を開け、ステージに女性のローディーを呼んでピアノ線をわざわざ1本交換したり、“Philosophy”のエンディングでは、両足を2台のピアノの鍵盤上に乗せグワングワン〜やったり、ベン・フォールズはファンにウケるようなことをやりまくり。この後、“Fair”、新作から“Narcolepsy”と“Regrets”、そして 2ndアルバム『ワットエヴァー・アンド・エヴァー・アーメン』のアタマを飾る“One Angry Dwarf And 200 Solemn Faces”をプレイし、デビュー・アルバムから“Underground”を演奏すると3人は一度ステージを去った。が、まだ演っていない『代表曲』が 残っているのでファンはアンコールの要求の手拍子で3人をステージに呼び戻した。
 ロバートの歌う“Happy Birthday”に、ステージに戻ってきたばかりのベン・フォールズが「今日で僕は18歳だ」などとトボけたところで(笑)始まったアンコールでは、まず“Jackson Cannery”をプレイ。そしてやっぱりラストは『お約束』ともいえる“Song For The Dumped”の日本語ヴァージョンの“金返せ”。だが、いきなり場内大合唱になったわけでは無く、みんな一緒に歌うのになんかためらいがち。3コーラス目でベン・フォールズが観客を煽ったため、『ようやく』といった感じでの場内観客大合唱の後、3人はジャム・セッションみたいな激しい演奏に突入! 最後にはロバートが再前列の観客を数名ステージに上げ、みんなでダレンのドラムとベン・フォールズのピアノの鍵盤をメチャクチャに叩きまくって...と言いたいところだが、メチャクチャに叩きまくったのはBF5の3人だけで、ステージに上がった観客は楽器を傷めないように気を配りながら叩いていたが(笑)...ライヴを締めた。ステージに上げられた観客のうち1人はロバートのベースを手渡されていたが、ちゃんとベース弾けただろうか?(笑)。これだけのことをやってしまったら楽器の調整が大変なので、当然ここでライヴは終わり(笑)。
 以上のように、ファンを喜ばすための趣向が多かったライヴだった。いろいろな趣向やギャグが多かったライヴといえば、今年の5月に観たシュガー・レイを思い出す。『カリフォルニアのおバカ・バンド』であるシュガー・レイが演奏そっちのけでいろいろギャグを用意し、ファンを喜ばすのに血道をあげるのを見て「やはり、コイツらバカだなあ」と笑って居られた。が、今回、BF5の3人が...といっても殆どベン・フォールズひとりだが...ギャグを過剰にカマすのを見て、チョット苦しい感じがした。バカがバカやるのを見るのは笑って居られるが、ホントは真面目なひとがウケ狙いのために一所懸命バカをやるのは見ていて結構ツラい...。勿論、ユーモアのセンスもBF5の魅力のひとつだというのは判っているが、ちょっとやり過ぎだったのでは...? ベン・フォールズのピアノとダレンのドラムの演奏は凄まじいほど上手で(シンセ兼務のため、ロバートのベースはあまり見せどころが無かったが...)、この上手い演奏だけでも観客は充分沸いたハズなのだから、もっと音楽に『モノ』を言わせたほうが良かったと思う。

【SET LIST】...'99.9.11 東京国際フォーラム・ホールA
1. Don't Change Your Plans
2. Emaline
3. Army
4. Alice Childress
5. Magic
6. Steven's Last Night In Town
7. Your Redneck Past
8. Mess
9. Hospital Song
10. Philosophy
11. Fair
12. Narcolepsy
13. Regrets
14. One Angry Dwarf And 200 Solemn Faces
15. Underground

(encore)
1. Jackson Cannery
2. 金返せ

BEN FOLDS FIVE live @ Osaka IMP Hall '97.5.11

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