去年苗場スキー場で行われた『FUJI
ROCK FESTIVAL
'99』(以下、『フジ・ロック』)について個人的な感想を言わせてもらえば、2日目のホワイト・ステージでのフィーダーの演奏はハイライトの1つだった。岐阜県出身のベーシスト、タカ・ヒロセの凱旋帰国を祝いにノボリを持って駆けつけたタカの昔の仲間達。その昔の仲間の歓迎に最初は照れながらも、ライヴの中盤以降ちゃんと応えたタカ。このやりとりを見ていてちょっとジィィィ〜ン...とくるものがあって、とても印象深かったのだ。この『タカ・ヒロセ』と言う名前、私の名前にソックリなので他人事のようには思えなかったこともあるケド...(笑)。その感動的な『フジ・ロック』でのパフォーマンスから約半年、フィーダーが再び日本の地を踏んだ!!! 今回は初の単独ジャパン・ツアー。タカは岐阜県出身だから、岐阜から一番近い名古屋公演を観れば、何か思いがけないアクシデントでもあるかも...と思いながら、ライヴの1週間前に買った前売りチケットの整理番号は82番...。「ありゃりゃ〜。あまりチケットが売れてないよ...」ということで、淋しい客の入りになっているかと思って会場の名古屋クラブ・クアトロに足を踏み入れたら、最初のうちこそ空きスペースが目立ったが、ライヴ開始の頃には格好つくだけの客が集まってきた。ハタチ前後の客が多かったが、30代〜50代の客もしっかり10名くらい居た。タカの家族親戚その他関係者かな???
開演予定時間の7時を10分も廻らない頃、ステージにフィーダーの3人が登場。『フジ・ロック』の時と同じく、サポート・ギタリストを1人加えた編成。オープニング曲は“So
Well”。ヴォーカル兼ギターのグラント・ニコラスは黄色いレンズのメガネをかけてて、グレー系統の(ウインド・ブレイカーか何か)上着を着ていた。他の3人が半袖姿なだけにグラントの厚着が目立ってた。曲が終わると「Thank
you!」と御礼を言うグラント。2曲目は“You're My
Evergreen”。タカは半袖のガラシャツに縞模様のズボン姿で、ベースを弾きながらバック・コーラスもつける。“You're
My Evergreen”の後、グラントは「次の曲は新曲の“Tomorrow
Shine”だ」と英語で曲紹介した。“Tomorrow
Shine”が終わると、グラントはギター交換のついでに上着を脱いで、Tシャツ姿に。
サポート・ギタリスト君がイントロのギター・リフを弾くとすぐに、どの曲を演るのか解った観客から歓声が上がった“Day
In Day
Out”を演奏し終わると、グラントは英語でこのように言った。「後ろのほうで、無反応にツッ立ってるみんなにこの曲を捧げるよ。“Hole
In My
Head”!」 このグラントのセリフに観客から英語でリアクションがあった。残念ながら私には内容が聴き取れなかったが、この観客からの声にグラントは苦笑いしてた。“Hole
In My Head”が終わると、グラントはタカのほうを向き、「He's very
nervous !」と言う。これに対してタカは「Mammy's
here...」とボソッと言った...。どうやらタカの母親が会場に居るようだ。ガチガチに緊張しているタカの肩を、グラントはモミモミと揉んであげていた(笑)。ここでプレイされた“Yesterday
Went Too Soon”は、グラントが『フジ・ロック』の時に「very beautiful
song」と自信満々に紹介した曲だ。“Dry”、“Insomnia”、そして“Cement”と曲が続いた後にプレイされた“Tinsel
Town”は静かな曲。タカはベース・パートが休みの時はタンバリンを担当。元気な“I
Need A
Buzz”を披露した後、グラントがMC。「次の曲は1枚目のアルバムから“My
Perfect Day”! 」 “My Perfect
Day”はCD収録ヴァージョンよりもテンポ・アップされ随分とヘヴィーに演奏。タカのアクションもこの時が一番激しかったんじゃないかな。アルバム『ポリシーン』収録曲の中でも個人的には大好きな曲だけに、より強化されたヴァージョンを聴くことが出来てうれしかった。この後、“Waiting
For
Changes”をプレイすると、フィーダーの皆さんは一度ステージを去った。
観客がアンコール要求の手拍子を続けている間、ステージ中央には椅子とアコースティック・ギターが用意された。そしてステージにグラントだけが現われ、椅子に腰掛けギターを構えて弾き語りしたのが“Paperfaces”。曲が終わると、椅子とアコギが撤去されると同時にタカと、ドラムのジョン・リーが戻って来た。ジョンはタカのマイク・スタンドを使って、所属レコード会社のポニーキャニオンとZIP-FMなどに御礼を言ってから(笑)ドラム・セットに就いた。ジョンが喋ったお蔭でここまで喋ってないのはいよいよタカだけになった(笑)。グラントは観客からの「日本語喋ってみて〜!」との声に応えて、「こーひー、コーチャ」と喋って、会場の笑いを誘った。観客からの「speak
more
!」の声に応え「クサイ(臭い)!」と日本語喋ったサーヴィス精神あふれるグラント(笑)。ここでプレイされたのは“Can't
Dance To
Disco”。次は来日記念盤『アナザー・イエスタデイ...』収録の“Honeyfuzz”を演奏。ちょっとパンクでグランジィな“Honeyfuzz”の後は、フィーダーの曲のなかで一番の名曲(と思ってる)“High”だった。この美しい“High”の演奏を聴きながら、いつの間にかグラントが黄色いレンズのメガネを取ってるのに気付いた! アンコール1曲目の“Paperfaces”までメガネをしてたのに...いったい、いつの間に??? “High”が終わると、ようやくタカがこの日初めて喋った! 「ありがとう!!!」グラントはマイク・スタンドに差してあったギターピックを観客に投げ入れ、ジョンはドラク・スティックを観客に投げ入れ、そしてタカは缶ビールを2本投げ入れて(笑)ステージを去り、この日のライヴは終わった。
タカが「Mammy's
here...」と緊張しまくって、全く観客と会話しなかったため、密かに期待していた『思いがけないアクシデント』は無かったが、フィーダーの演奏自体は満足いくモノだった。“My
Perfect
Day”がCDよりもヘヴィーに演奏されたのも興味深かったし、『フジ・ロック』みたいな野外での演奏では聴き取れないような、主にサポート・ギタリスト君が弾いていたギター・フレーズの繊細さの妙...ギター・フレーズの繊細さもフィーダーの魅力だと思うが...を堪能出来たのも、狭いハコでのライヴならでは...でした。
【SET LIST】...'00.1.16
名古屋クラブ・クアトロ
1. So Well
2. You're My Evergreen
3. Tomorrow Shine
4. Day In Day Out
5. Hole In My Head
6. Yesterday Went Too Soon
7. Dry
8. Insomnia
9. Cement
10. Tinsel Town
11. I Need A Buzz
12. My Perfect Day
13. Waiting For Changes
(encore)
1. Paperfaces
2. Can't Dance To Disco
3. Honeyfuzz
4. High