ヒロくんのLIVE REPORT '00 PART 5 BERNARD BUTLER

 『FUJI ROCK FESTIVAL '99』(以下、フジ・ロック)の3日目に、出演をドタキャンしたホールの代役として急遽登場したバーナード・バトラー(以下、バーニー)。この日私はオーシャン・カラー・シーンの演奏を観てから帰ったので、その後に出演したバーニーの演奏は観ていない。正直に言おう。私はバーニーを甘く見て、『わざわざ観るまでもないアーティスト』として扱っていたのだ。だけど、その後リリースした2ndソロ・アルバム『フレンズ・アンド・ラヴァーズ』を聴いてあまりの出来の良さにバーニーを大いに見直した。バーニーの演奏を観ずに帰ったのは失敗だった...と後悔した私は、フジ・ロックの時に見捨てたお詫びがてらに、2月26日、バーニーの来日公演のある赤坂BLITZに足を運んだ。
 開演予定時刻の7時の10分前ほどに会場に足を踏み入れると、会場はほぼ満員に客が入ってた。ただ、ギッシリ詰まった感じではなく結構隙間があったりしたので、遅く入場したわりには前のほうまで行けた。ステージには『UFO風船』(っていうの? 銀色の平べったい形をした丸い風船)をメインにした飾りが施されていて、このセットを見て、私の廻りに居た男などは「学校の文化祭のようなセット」と言っていた(笑)。
 7時10分頃、場内が暗転し、ライヴ開始を次げるSEが流れてしばらくすると、バーニーたちがステージに現われた。暗がりのなか、バーニーは観客に「コンニチハ!」と日本語で挨拶し、深々とおじぎしてからギターを手にした。オープニング・ナンバーは“Friends & Lovers”。新作のタイトル曲だ。演奏が始まりステージ上がようやく明るくなる。黒か紺色の半袖シャツ姿で白い腕をムキ出しにしていたバーニーはサングラスをかけていた。バーニーのヴォーカルは独特の声でもって力まかせで突破するスタイル(失礼)。1stアルバムではあまりバーニーの声の特異性には気付かなかったが、新作ではアンディ・ウォレスのミキシングのせいか特異なヴォーカルを前面に打ち出した音造りになっていて、一度聴いたらバーニーの声がなかなか耳から離れない。よくバーニーとニール・ヤングとを比較するひとが居るが、声のインバクトで押し切る点で、この2人はよく似ている。その独特な声でアルバムどおりに“Friends & Lovers”を歌い終わるとバーニー、観客の声援に「ドモアリガト! Hello, Tokyo ~!」と御礼を言った。この後は新作からの先行シングル曲“You Must Go On”。ライヴが始まって間もないのにもうこの曲とは少し勿体ない気もしたが、お蔭で観客の反応はいい。曲が終わるとバーニーは「アリガト!」と日本語で御礼を言い(この後も殆ど曲を演奏する度に言っていた)、そして、バンドの日本人ドラマーのマコトを東京の観客に紹介した。ステージ上にはバーニーとマコトの他に、ベーシストとキーボード・プレイヤーが居て、この2人がバック・コーラスも担当。
 別の曲をギターでチョローッと弾いてみせ、観客の反応を楽しむ...というお茶目な仕草をバーニーが見せた後に“A Change Of Heart”が披露されると、アルバムではバーニーのヴォーカルのアクが一番強く聴こえる“I'd Do It Again If I Could”。曲が終わるとバーニーはペットボトル入りのミネラル・ウォーターを口にした。そしてペットボトルに栓をすると、ステージ最前列に陣取る女のコたちのうちの一人に「廻りのコたちにも分けるんだよ」という感じで優しく声を掛けながら、そのペットボトルをソッと手渡した。バーニーというと『お坊ちゃん』という印象が強いが、まさにイメージどおりの行為(笑)。この後、観客にギターピックを投げ入れると「special song for Tokyo」と言って曲をプレイし始めた。この special song は2枚のアルバムに収録されていない曲だった。この後、“No Easy Way Out ”を演奏すると、バーニーが「happy song」と紹介したのが“Let's Go Away”。曲が終わるとウラ声を使って「“What Happened To Me”!!!」と曲紹介してお茶目なところを見せたバーニー、“What Happened To Me”を演奏し終わると次のように言った。「次の曲ではサングラスを取って演奏するよ」 その言葉どおりに遂にサングラスを取ったバーニー、観客に向かって「give me a pick !!!」と声を掛けた。ギターピックを持ち歩いてる客なんて居るのか?...と思っていたらステージ最前列にいた客がピックを持っていたようでそれをバーニーに手渡していた。ステージ前4〜5列目くらいに居た男性客もギターピック持っていたのか「Bernie !, Bernie !」と必死に声を掛けていたが、残念ながら、ムダだった(笑)。こうしてサングラスを取って、観客からもらったギターピックで演奏始めた曲は“Autograph”。“Autograph”の次にプレイされたのは、デビュー・アルバム収録の人気曲“Not Alone”。この曲の登場に観客は大いに沸いた。この曲はストリングスを大幅に導入した曲なので、4人編成ではプレイ出来ないんじゃ...と心配していたがちゃんとプレイされてうれしかった。マコトがヘッドフォンしてドラムを叩いてたことからすると、ストリングス・パートは一部テープ使用だったようだ。代表曲の1つである“Not Alone”できれいに締めて、バーニーたちは一旦ステージを後にした。
 ファンのアンコール要求にバーニーひとり戻って来て、ギター1本で1曲弾き語りをした後、キーボード・プレイヤーを加えて、ギターとキーボードだけで“Woman I Know”を披露。この時、バーニーはこのキーボード・プレイヤーを紹介したが、ここでようやくこのキーボード・プレイヤーが男性だと判った。大木凡人のようなルックスでウラ声駆使した高い声でバック・コーラス付けてたので、女性のようにも見えていたんだもん...。この後、ドラムとベースも加えて披露されたのが、バーニーのソロ・デビュー曲“Stay”。この曲の演奏が終わるとバーニーは日本語で「サヨナラ!」と別れの挨拶を言い、観客に最敬礼してからステージを去った。しかし、それでもファンは再度のアンコールを求めて手拍子を続け、この熱意に応えて再びステージに現われたバーニーたち、もう1曲プレイしていった。先程、ペットボトルの水をファンに行儀良く手渡ししていたバーニーも、ライヴの終わりの頃には水をファンにかけていくなどワイルドになっていた(笑)。

【SET LIST】...'00.2.26 赤坂BLITZ
1. Friends & Lovers
2. You Must Go On
3. Cocoon
4. You Just Know
5. A Change Of Heart
6. I'd Do It Again If I Could
7. ?
8. No Easy Way Out
9. Let's Go Away
10. What Happened To Me
11. Autograph
12. Not Alone

(encore 1)
1. ?
2. Woman I Know
3. Stay

(encore 2)
1. ?

INDEX