新作『スタンディング・オン・ザ・ショルダー・オブ・ジャイアンツ』に伴うワールド・ツアーを、2年前の『武道館3
days』以来の日本でのライヴから始めることにしたオアシス。この2年の間に、ギターのボーンヘッドとベースのギグジーがバンドを脱退。2人の後釜に、元・ヘヴィ・ステレオのゲム(ギター)と、元・ライド〜ハリケーン#1のアンディ・ベル(ベース)を加えた新生オアシスの姿を見に、3月5日、私は横浜アリーナへと足を運んだ。
この日のライヴは『スカパー』で生放送されてたようで、その関係上開演時間の6時ピッタリに会場の灯りが落ち、場内に新作のアタマを飾るインストゥルメンタル“Fuckin'
In The
Bushes”が流れた。「この曲に乗ってオアシスの5人が颯爽と登場し、楽器を構えた」...と書ければよかったのだろうが、実際、オアシスの5人がと登場したのは曲が流れ終わってから。パラパラとひとりずつステージに出てくるといった具合で『劇的さ』のカケラもない...(苦笑)。
こうして演奏始まったオープニング曲は最新シングルの“Go Let It
Out”。リアムはいつものとおり、腕を後ろで組み、直立不動で立って歌う『応援団』スタイル(笑)で、歌わないときはタンバリンを振っていた。ステージの中央に立つリアムの左側にノエル兄貴、右側には新加入の2人...アンディ・ベルとゲムが居た。ライドで一時代を築き上げ、ハリケーン#1でもリーダーとして活躍してきたのに、どうして自分のバンドを解散させてまでオアシス入るの?...と批判の声にさらされてるアンディは黄色のTシャツ姿。かつてライドの大ファンだったから私は、それまでギタリストだったのにオアシスに入るためにベースに転向してるアンディには批判的だ。2曲目も新作からの“Who
Feels Love
?”。アルバムを聴く限りではヴォーカルがパワー不足な気がしたこの曲も、ライヴではリアムのヴォーカルがパワー全開! オアシスのライヴといえば観客がみんな歌いまくり...というイメージがあるがここまでの新曲2曲では歌っている者は少なく、盛り上がりも欠けていた。それを打破したのがリアムの一言。“Who
Feels Love ?”が終わると「thanks
! “Supersonic”」と曲紹介。オアシス衝撃のデビュー曲の登場に観客が沸いた。“Supersonic”が終わると今度はノエル兄貴が「Thanks
!」と観客に声をかけ、これまたデビュー期の曲“Shakermaker”。ただ、デビュー当時の2曲がプレイされても、観客の合唱の度合は新曲2曲とあまり変わりがなかったような気がする...。曲が終わると「cheers
~
!」とリアムが観客に声をかけ、ノエル兄貴も観客に何か話した後、アンコールの定盤曲だったハズの“
Acquiesce”が早くも登場。リアムとノエル兄貴が交互にリード・ヴォーカルをとる『絵になる曲』“
Acquiesce”が終わると、リアムはステージから引っ込み、ノエル兄貴が曲紹介した。「“Sunday
Morning
Call”!」 ノエル兄貴がリード・ヴォーカルをとる新曲だ。次もノエル兄貴がリード・ヴォーカルをとる新曲“Where
Did It All Gone Wrong ?”。先ほどの“
Acquiesce”はリード・ヴォーカル交代の儀式だったようだ(笑)。個人的意見を言うと、ニュー・アルバムのなかではこのノエル兄貴が歌う2曲の出来が特にイイ。この2曲がなかったらどうなってたことか...。ギターを弾きながら熱唱するノエル兄貴に、ファンから次々「アニキ〜!」と声援がとんだ。
それまでリード・ヴォーカルを兄貴に任せていたリアムがステージに戻って来てプレイされたのはニュー・アルバムからの“Gas
Panic
!”。ちょっとユルい曲なので観客がダレ始めたところでいよいよエンジン全開〜!!! 「“Roll
With
It”!!!」とのリアムの曲紹介に観客が沸いたところでプレイされた“Roll
With It”。「you're happy」とのMCの後に披露された“Stand By
Me”...とヒット曲の連射にファンは大喜び。ただしそれでもファンの合唱の度合からいうと、'98年の武道館公演と比べると落ちるような気がした。武道館が『湯飲み茶碗』なら、横浜アリーナは『スープ皿』という建物の構造の違いのせい(もしかしたら、武道館の時はスタンド席、今回はアリーナ席...という私の観る位置の違いせい???)で観客の歌の響きかたが異なるのか? そんな中でも次の“Wanderwall”の時は観客の合唱がハッキリと聴き取れた。それだけ大合唱だったワケだ。
T・レックスの“Get It On”ふうのイントロで始まる“Cigerattes &
Alcohol”では、曲の終わりでレッド・ツェッペリンの“Whole Lotta
Love”(邦題は“胸いっぱいの愛を”)のイントロをプレイするお遊びを披露し『T・レックスからツェッペリンに変身!』(笑)。 ステージからいつの間にか、リアムの姿が消え(笑)、サポート・キーボーディストのマイク・ロウの奏でるピアノのイントロが場内に響き渡る。ノエル兄貴がリード・ヴォーカルをとる曲“Don't
Look Back In
Anger”だ。この曲では殆どの客がノエル兄貴の歌に合わせ大合唱。この時のノエル兄貴と観客の大合唱こそがこの日のライヴのクライマックスだったと断言できる! 曲が終わると「thanks
!」と、ノエル兄貴は観客に御礼を言い、ステージにリアムが戻って来て始まった曲は“Live
Forever”。名曲中の名曲とされる“Live
Forever”で観客が大いに盛り上がったところで、リアムたちはステージを去った。
観客のアンコール要求に応じ、再びステージに戻って来たオアシス。「“Rock
'N' Roll Star”~ !」とリアムが誇らしげに曲紹介して、“Rock 'N' Roll
Star”が始まった。曲の終わりでアラン・ホワイトが激しくドラムを数分間連打し、それが終わるとノエル兄貴以外のメンバーはステージを去り、最後までステージに残っていたノエル兄貴も「see
you next
time~!」と言ってステージを後にし、この日のライヴは終わった。
全部で15曲という演奏曲数について「少ない!」と不満を漏らす向きもあったが、(客観的に見て)演奏された曲はまさに『ベスト・オブ・オアシス』で、これだけオイシいとこばかり演奏したら「もう後に演る曲はない」って感じ。『おいしい食事の後にはマズいモノは喰いたくない』でしょ?(笑) だからここでライヴを終わらせたのは正解だと思う。
それにしても、CDを聴く分においては『彼の声こそオアシス』とされてるリアムをライヴの場では単なる道化役?にしてしまうほど、ノエル兄貴の存在感はデカかった。ノエル兄貴の偉大さに、私にとって思い入れのあった筈のアンディ・ベルも『単なるベーシスト』にしか見えなかった(笑)。ライヴでは『ノエル・ギャラガーこそオアシス』である。
【SET LIST】...'00.3.5
横浜アリーナ
intro (Fuckin' In The Bushes)
1. Go Let It Out
2. Who Feels Love ?
3. Supersonic
4. Shakermaker
5. Acquiesce
6. Sunday Morning Call
7. Where Did It All Gone Wrong ?
8. Gas Panic !
9. Roll With It
10. Stand By Me
11. Wanderwall
12. Cigerattes & Alcohol
13. Don't Look Back In Anger
14. Live Forever
(encore)
1. Rock 'N' Roll Star