ヒロくんのLIVE REPORT '03 PART 18 A PERFECT CIRCLE

 TOOLのヴォーカリスト、メイナード・ジェイムズ・キーナンのもう1つのプロジェクト、ア・パーフェクト・サークル(以下、APC)のライヴを10月16日に大阪で観て来た。『FUJI ROCK FESTIVAL 2000』以来の日本公演で、単独としては初めての公演だ。
 会場の心斎橋CLUB QUATTROに着いたのは午後6時15分頃。もう開場が始まってたんだけど、階段のほうにもの凄い入場待ちの列が出来ている。前売りチケットが完売になってたこともあるけど、手荷物検査やボディー・チェックをやってるため入場に時間がかかってるようで、列はなかなか前へ進まない。ふつうのコンサートだと、手荷物検査ではカメラ、テープレコーダー類のチェックだけなのに、ロック・ファンのアクセサリの定番のチェーン類も「お預かり」になってた。アメリカ国内では、反社会的なパフォーマーとして目の仇にされてる(?)メイナードだけど、日本では「ひとり山海塾」(笑)の変態パフォーマーとしてお笑いの対象にしてお終いくらいの存在(ホントか?...苦笑)に過ぎず、そこまで念入りに観客のチェックをしなくても...。結局、私が会場に入った頃には7時を廻ってた。入場まで約1時間...。心斎橋CLUB QUATTROでの私の定位置のステージ前向かって右端に陣取り、開演を待つ。会場内はメイナードがノドを痛めてるため禁煙になってて、ダイヴやモッシュをやった客は即、会場から追放する旨が係員から何度も繰り返されてた。
 満員のフロアの客電が落ちたのは、7時20分頃。場内に新作『サーティーンス・ステップ』収録の“Lullaby”がS.E.的に流れる。暗がりのなか、スキンヘッドのギタリスト、ビリー・ハワーデルらがステージに現れ持ち場に就き、演奏始まった曲は“Pet”。照明が点き、ステージ上を照らす。ステージ上には巨大な円形スクリーンのある囲いが用意されていて、その円形スクリーンのなかで蠢くドレッドヘアのシルエットは...「ヘヴィー・ロック界の奇人」メイナード・ジェイムズ・キーナンそのひとだ!!! この“Pet”の演奏中、メイナードはスクリーンの向こうで蠢きながら熱唱し、シルエットだけを観客に見せつける。この“Pet”が終わると、円形スクリーンのある囲いは取り払われ、メイナードがファンに姿をさらけ出した。ここで、1st『ア・パーフェクト・サークル』のオープニングを飾る“The Hollow”へ。ステージ中央奥に設置されてる台(これが囲いで覆われてたワケ)に乗りクネクネしながら歌うメイナードは黒色の上着とズボン姿。ノドを痛めてるとされるメイナードだけど、歌声におかしいところや聴き苦しいところは無かったように思う。このメイナードの左側にドラムのジョッシュ・フリーズが居たハズなんだけど、私のほうからは完全に死角に入って最後まで姿は見えず...。1stアルバムからもう1曲“Magdalena”を演ると、ここでメイナードがMC入れ、メンバー紹介する。「元マリリン・マンソンのトゥイギー・ラミレス」ことジョーディー・ホワイトを「Twiggy」と紹介した後、ジョッシュ、ビリーの順に紹介し、最後に元・スマッシング・パンプキンズのジェイムズ・イハを紹介。このバンド、2人も新メンバーを加えたのに、観たことあるひとばっかり(苦笑)。メイクの無いトゥイギーは「体格の良いジェイムズ・イハ」といった感じ(苦笑)。
 メンバー紹介に続き、メイナードが「new song」と紹介して演奏始まった“Weak And Powerless”の後は、1stからの“Orestes”。ここでメイナードはシャツを脱ぎ捨て、上半身裸になる。背骨の窪みに沿って彫られたサソリの刺青も露になった。ステージ前に居るとアンプからの直音が耳を刺すので、いつしか後ろのほうに移動してた私。CDで聴くよりもヘヴィーでラウド。1stから人気曲“Rose”、新作からの“Blue”を演奏すると、またもMCタイム。優しい語り口でいろいろ英語で喋ったメイナード、次の曲を「song about James Iha」と曲紹介(笑)。ここで披露されたのは“Thinking Of You”(笑)。メイナードはいつもイハのことを想ってんのか?(笑) 「song about James Iha」の後、新作のアタマを飾る“The Package”、さらに私の好きなノスタルジックな曲“3 Libras”が披露すると、メイナードは彼の立ち位置の台をイハに明け渡す。日本で人気のあるイハのために、彼のソロタイムが設けられてるようだ。だけど、スマパンの曲や彼のソロ曲を期待するイハ・ファンをよそに、イハが歌ったのは(おそらく)アメリカの童謡か民謡。ソロ・タイムの最後にイハは♪シャンペーンスーパーノヴァ〜シャンペーンスーパーノヴァ〜シャンペーンスーパーノヴァ〜って歌ってたけど、オアシスの“Champagne Supernova”のようには聴こえなかったな(苦笑)。イハが2〜3曲歌ったところで、台の上に戻ったメイナード、「“The Nurse Who Loved Me”」と曲紹介。♪say hello〜...の歌い出しで始まるこの曲はAPCにしては異色作の胸キュンもののラヴソング(???)。この曲が終わるとまたもやメイナード、「“The Outsider”」と、曲紹介。この“The Outsider”の後“Gravity”が披露されると、メイナードは例の語りかけるような口調で大阪のファンに御礼を言った。が、「Osaka」と言うべきところを間違って「Tokyo」と言ってしまい、私の隣に居たファンは「大阪や!」とツッコミ入れてた。ファンに対する優しい口調と違い、メイナードが鬼気迫るヴォーカル・パフォーマンスをみせた“Judith”が終わると、楽器を下ろしてファンからの歓声と拍手に手を挙げて応えるメンバーたち。メイナードは準備してあったペットボトルを次々とファンへと投げ入れる。そしてステージを去る際、自分のアタマをヒョイと持ち上げた(爆笑〜!!!)。2000年の『フジ・ロック』ン時同様、今回のあのドレッドヘアもヅラだったワケ(笑)。ヅラを取り去ってスキンヘッドになったメイナードは、まるで生首獲ったみたいにヅラをブラブラさせてながら(笑)ステージを去った。
 ファンのアンコール要求の手拍子に応えてステージに戻って来たのは、ビリーとトゥイギーとイハの3人のみ。ビリーがドラムに就き、トゥイギーがギターを構える。イハだけは本職のギター。この3人でスマパンの曲のイントロ弾いたりしてオフザケのジャム・セッションをものの5分ほどやったんだけど、ノドの調子が悪いとされてたメイナードが姿を現すことはなかった。ジャム・セッションが終わり、ビリーとトゥイギーとイハが姿を消したところで、この日のライヴはお終い。
 メイナードのノドの調子のせいか短かめのセットだけど、APC独自の音世界は堪能出来た。期待してたパズ・レンチャンティン(前任ベーシスト)の乱入は、やっぱり無し(苦笑)。

【SET LIST】...'03.10.16 心斎橋クラブ・クアトロ
. Lullaby
1. Pet
2. The Hollow
3. Magdalena
4. Weak And Powerless
5. Orestes
6. Rose
7. Blue
8. Thinking Of You
9. The Package
10. 3 Libras
11. The Nurse Who Loved Me
12. The Outsider
13. Gravity
14. Judith

(encore)
. jam session (Billy Howerdell, Jeordie White and James Iha)

A Perfect Circle live @ Naeba Ski Resort (FUJI ROCK FESTIVAL) '00.7.30

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