天野月子(以下、つっこ)の2003年秋のツアー、その名も『Tour of The DRAGON』を11月1日に 名古屋クラブ･クアトロで観て来た。
　入場時にもらったチラシのなかに、例によってつっこ直筆の『おしながき』(のコピー...笑)が入ってる。これを見れば、ライヴ前に演奏曲目と曲順が分かる...と思いきや、今回は「※順不同ですの」ときた(笑)。演奏曲目は事前に分かったものの、曲順はフタを開けてみないと分からない。この『おしながき』見たら、私がつっこにハマるキッカケになった曲“B. G.”が欠けてる...。ちょっと落胆しながら名古屋クラブ･クアトロでの私の定位置、ステージ向かって左端の3〜4列目に陣取り、フロアに流れてるクラシック･ミュージックを聴きながら開演を待つ。客の入りは、7〜8割くらい。 ステージは白い幕で隠され、どんなセットが準備されてるのかは全然分からない。たまに人の動きが透けてみえる程度だ。
　開演予定の6時30分をさほど廻らないうちに、BGMがディジタル化された“菩提樹”のインストに変わる。歓声上げたファンが曲に合わせて手拍子し始めると、例によってこのインストに載せて つっこの『影マイク』の喋りが流れる。「秋になりましたね。秋というと、昔、松ぼっくりを拾って、これは種のか?、それとも実なのか?、考えた頃を思い出します。私にとって大切な青春の1ページです」などと想い出話を喋ると、「ギター 石原慎一郎、ベース 山田章典、ドラムス 武並“J.J.”俊明、コーラス Rieでお送りします」などとメンバー紹介。つっこの『影マイク』の喋りが終わり、BGMの“菩提樹”のインストがフェイド･アウトすると、J.J.の叩くドラムで曲が始まる。オープニング曲は“クレマチス”。 曲が始まるとステージを隠してた白色の幕が開かれ、ステージの全貌が明らかになる。ステージ向かって右側には帽子被ったギターの石原慎一郎さん(以下、シャラ)、左側にはトレッドヘアにしてるベースの山田さん、ステージ奥にはJ.J.のドラムキット。そして、ステージ中央に赤い着物を着た つっこが居た。まるで織姫様のよう。赤い衣装の下はシーンズなんだけどね(笑)。ステージ向かって左端に居たせいで、コーラスのRieちゃんの居場所は完全に死角に入ってしまい、姿が見えない...。“クレマチス”が終わると、「名古屋ァァァ〜!!!」と叫んだ つっこ。ここで演奏されたのは、“鮫”。つっこ随一のファストなこの曲でJ.J.がメロコア･バンド並に速いビートを叩き出す。“鮫”が終わると、つっこのMC。「名古屋に来るのは1年振りですけど、そんなに久し振りって気はしないんだけど...緊張してます」などと、例によってたどたどしく喋る。「名古屋に来る度に、名古屋のスタッフが天むすを用意してくれてるんですけど...」などと話した後、「久し振りにこの曲演りたいと思います」と曲紹介したのが、“青紫”。「オオッ!!!」とファンがどよめく。この曲が終わると、'70年代ディスコふうのイントロを持つ“Love Dealer”。この曲の♪love dealer〜のサビの部分で、つっこが両手を斜うえに掲げた後、胸の前で両手でハートの形を作るフリ付きで歌ったので、ファンも つっこの振り付けをマネしてた。次の曲は“時計台の鐘”。前に観た つっこのライヴもそうだったけど、ストリングス･セクションや特殊効果音部分のテープを流して(シークェンサーの自動演奏?)おり、J.J.はヘッドフォンしてアテレコしながらドラム叩いてる。初めて観た時はこのアテレコがミョーに気になってたけど、こちらもアテレコに慣れたせいか、今回はアテレコに伴う違和感や嫌らしさは全然感じなかった。“時計台の鐘”の後は、アコースティックコーナーへ。
　5人が横一列に椅子(J.J.は簡易ドラムキット)に座り、ここで、ステージの真ン中の椅子に座った つっこがMC入れる。 「“恋”って曲を書いたんですけど、ウチのスタッフは『U. F. O. が飛んでく』って歌詞があったらU. F. O. がキィィィ〜ン!って飛んでく効果音入れるくらい凝ってるんですね(註：“Pleasure”の♪未確認飛行物体でも見えるの〜...の部分の効果音か?)。で、スタッフに『“恋”って曲を書いた』って言ったら、魚偏の“鯉”だと思ったらしく、『“鮫”の次は“鯉”かぁ〜、コイが口をパクパクさせる音を録りにいかなきゃいけないなぁ〜』と思ったようで...」などと話し、コイのように口をパクパクさせてみせる つっこ。「コイと言えば、昔(小学生時代)、こいのぼりのしっぽを掴もうとジャンプして腕を複雑骨折したことがある」などと想い出も話してた(笑)。この想い出話が終わると、観客はみんな拍手〜!!!　このように「恋の話題」(コイの話題?...笑)が出たところで、ファンのひとりが「姫は、恋してるの???」と茶々を入れる。この鋭い質問に思わず「へっ!!!」とハトが豆鉄砲でも喰らったような表情をした つっこ。「恋ですかぁ...。難しいですよねぇ...」と答えた後、「モノに恋することってありますよね。実は、昨日あるモノを戴きまして、とっても気に入ったのであそこに飾ってあります」などと、ステージ向かって左奥を指差す つっこ。これを見て笑うファンも居たけど、私の居場所からは完全に死角に入ってて、何が飾られていたのか私には最後まで分からなかった...(泣)。「ホントはステージ中央に飾ろうと思ったんだけど、そうするとこのステージの『主』のように見えるのでヤメました」などと つっこが喋ると、場内爆笑〜!!!　つっこの喋りで和やかな雰囲気のなか、ようやく始まったアコースティックコーナーの1曲目は“ライオン”。シャラも山田さんもアコースティック･ギターを弾いてる...と思ったら、山田さんのそれは5弦アコースティック･ベース(苦笑)。アコースティックコーナーになってようやく全貌が見えたRieさんは赤〜ピンクのラメがポイントになった黒い衣装着てた。“ライオン”が終わると、メンバーをJ.J.、シャラ、山田さん、Rieさんの順に改めて紹介した つっこ、ここで、「PVウラ話」と銘打って、新曲“蝶”のプロモーション･ヴィデオ撮影秘話を話す。PVの監督が放った「演技を薄くして!」って注文がウケて、つっこの仲間内では「薄くして」って言い廻しがブームになってた模様(笑)。PVウラ話が終わると、つっこが曲紹介。「“B. G.”(胸キュンタイプ)」　『おしながき』に曲名が無く、演ってくれないものと諦めてた“B. G.”が胸キュンタイプで演奏され、とてもうれしかった私、他のファンは殆ど黙って聴いてるに、私ひとりで♪berry garden〜とか♪baby girl〜と、Rieさんのコーラスに合わせて歌ってた(笑)。シャラがアコギでもしっかりギター･ソロ聴かせてこの曲が終わると、つっこがまたもMC。「いつかコンサートで『つっこ、ネコに似ててカワイイ〜☆!』と言われたことがあったんだけど、私自身はハトに似てると思ってまして。(場内爆笑〜!!!)　私自身というか、友達に言われたんですけど、顔の動きがハトに似てるって」などと言いながら、ハトのように首をカクッカクッと動かすそぶりをみせる つっこ(笑)。つっこがトークを聞かせる一方で、J.J.がマイクスタンドを固定出来ずに悪戦苦闘。スタッフの助けを借りてようやくマイクスタンドを固定。「J.J.がマイク使う曲って何だ?　“秘密サークルタイガー☆マシーン”でも演んのか?」と思った(笑)。ここで、つっこから「懐メロカバー」を演る旨が紹介された。「胸キュンつながりで、Y.M.O.の“君に胸キュン”」　つっこが♪き〜み〜に〜胸キュン...と歌うと、J.J.と山田さんが♪キュン!...とバック･コーラス入れる。J.J.が先ほど必死にマイクをセットしてたのは、このためか!(笑)
　エレクトリック･セットに戻っての1曲目は、つっこが「11月12日発売です!」などと叫んで、新曲の“蝶”。 この曲の中盤ではド派手に『桜吹雪』が舞った。妖艶な“蝶”が終わると一転、つっこがこの日初めてギターを手にして「行くぞーーー!」と叫ぶ。シングル･ヴァージョンのオルゴールのS.E.で始まった“人形”では、ファンに両手を振り上げるように煽った つっこ。“菩提樹”、そして“ミサイル”...とハードな曲が続いたところでギターを放す つっこ、「新曲の“恋”です」と慌ただしく曲紹介。この“恋”では、ピンクレディーの“U.F.O.”を思わせるようなフリ付きで歌う つっこ(笑)。J.J.のドラムセットは透明なアクリル板に囲まれてたんだけど、照明角度の関係か つっこの赤い衣装が映えるものだから、つっこが動けば動くほどJ.J.の姿が見えない(苦笑)。
　再びギターを手にした つっこが「みなさんも歌いますか?」とフロア最前列の客にマイクを向けて歌わせた“スナイパー”、ギターを降ろした つっこがファンに「まだまだ大丈夫ですか?」と訊いてから始まったファストな“トムパンクス”に続いて、またもMC。「どうしてこのツアーが『Tour of The DRAGON』なのか?　それはこの曲、“龍”。この曲はとても書くのに苦労した曲で、書けない理由を『龍の鳴き声を聴いたことがないからだ』と言い訳してたんですけど...」などと喋った後、ツアー･タイトルにちなんだ新曲“龍”を披露。そして、「最後の曲です」と つっこが言う。「エ"エ"〜〜〜ッ!!!」とファンがお約束の反応見せた後、いつもどおり“巨大獣”を披露。歌い終わると、いつの間にか帽子が脱げてるシャラたちがまだ演奏中なのに、観客に向けて深いおじぎをしてからステージを去った つっこ。最後まで演奏し終わってからシャラたちもステージを去った。
　ステージ上が無人になると、ライヴ開始時に流れたのと同じ“菩提樹”のインストが流れた。ファンが曲に合わせながらアンコールの手拍子してると、いつもの『影マイク』ではなく つっこ本人がステージに戻って来た。「アンコール演ってぇ〜!」とのファンの要望に、「(帰りは)新幹線なの...」という つっこ。6時半開演というハンパな開演時間の謎が解けたが(苦笑)、ファンがなおもアンコールを要求してると、つっことスタッフの協議の結果。アコースティック･ギター弾き語りで1曲演ることになった。「椅子に座ってアコギ構えた つっこに、ファンから「もしかして、怒ってる?」と声がかかる。「そんなこと、ないですよぉ」とクールにかわした つっこが演ったのは、ニューシングル“蝶”のカップリング曲“象”だった。つっこのアコギ弾き語りで、この日のライヴは終わった。
　新曲ばんばん演ってくれて、レコーディング中の新作への期待が高まるライヴでした。

【SET LIST】...'03.11.1 名古屋クラブ･クアトロ
1. クレマチス
2. 鮫
3. 青紫
4. Love Dealer
5. 時計台の鐘

〜アコースティックコーナー〜
6. ライオン
7. B. G.〜Black Guitar + Berry Garden〜(胸キュンタイプ)
8. 君に胸キュン (Y.M.O.のカヴァー)

9. 蝶(新曲)
10. 人形
11. 菩提樹
12. ミサイル
13. 恋(新曲)
14. スナイパー
15. トムパンクス
16. 龍(新曲)
17. 巨大獣

(encore)
1. 象(新曲)