ヒロくんのLIVE REPORT '10 PART 4 凛として時雨

 凛として時雨(以下、時雨)の全国を廻るライヴ・ツアー『凛として時雨TOUR 2010 I was music』を、2月20日に富山・CLUB MAIROで観て来た。私が時雨のライヴを観るのは、去年の全国ツアー『last A moment』の金沢でのライヴ以来2回目。私がCLUB MAIROでライヴを観るのは、5年ぶり! 久しぶりとなるMAIROのフロアは、後方に若干の空きスペースがみられるものの、かなりの観客で埋まってる。ステージに向って右側の前から3列目くらいに陣取り、開演を待つ。20代前半が中心の客層で、私のすぐ横に居たグループの男性が「33歳のオレが、たぶん今日の観客の最年長だろうな」などと仲間たちと話してたけれど、齢40の私が居る以上、この男性がこの日の観客の最年長ということは、ない(苦笑)。
 ライヴが始まったのは、開演予定時間の7時を10分ほど廻った頃。フロアの灯りが落ち、ノイズのようなB.G.M.が場内に流れると、ステージ向って右側の袖からドラムのピエール中野、ベース&ヴォーカルの345、ギター&ヴォーカルのT.K.の順にステージに登場。3人とも今回のツアーTシャツ(黒色)を着てる。ピエールと345は半袖だけど、T.K.はロングスリーヴだ。T.K.と345が楽器を構え、スタンバったところで演奏始まったオープニング・ナンバーは、いきなり“鮮やかな殺人”! 彼らのデビュー・アルバム『#4』 のアタマを飾るこのオイシイ曲が惜し気もなくいきなり披露されたものだから、ライヴが始まったばかりというのに、観客のヴォルテイジはいやがうえにも上がる。 ステージ向って左側に345、右側にT.K.が居て、ステージ奥のドラムセットでピエール中野がパワフルかつ手数の多いドラミングをみせる。2曲目は“Sadistic Summer”。時雨のレパートリィのなかでも345のヴォーカルがフィーチュアされてる部類に入るこの曲は、ライヴにおけるハイライト的な位置付けにあると個人的には考えており、そういう曲が“鮮やかな殺人”に続いて惜し気もなく披露されるものだから、ますますファンが盛り上がる。3曲目は、最新作『just A moment』からの“ハカイヨノユメ”。この曲にもファンは大いに盛り上がったけど、中盤の静かになるパートをちょっと端折ったのが残念(苦笑)。“ハカイヨノユメ”の後は、これまたファンには大人気の“DISCO FLIGHT”。曲名どおりディスコ調の異色曲で、これまでの3曲ではタテノリ主体だった観客も、この時ばかりは体が横に動く(苦笑)。
前回観た金沢でのライヴではこの曲の演奏時には会場の天井から吊るされたミラーボールが回転し、ディスコっぽくなる演出があったけど、今回もミラーボールがある会場なのにもからわらず、ミラーボールが回転することは残念ながら無かった(苦笑)。
 時雨のライヴは、ピエール中野のM.C.タイムを除き、殆どM.C.らしいM.C.もないままに楽曲が淡々と披露されてくのが常。やっとT.K.が口を開いたと思うと、「ありがと」という簡単であるけれども思いが感じられるたったひとことの御礼だったり、「こんにちは」といった簡単な挨拶だったり。「ようやく帰って来ました」などとT.K.は挨拶してたけど、過去に時雨が富山でライヴを演ったことがあるんだろうか?(私は知らない)。ギターのチューニングを黙々と直した後、T.K.から「新曲、演ります」などと紹介があり、新曲がプレイされた。曲が終わると、静かに新曲を聴いてたファンに、T.K.がかけた御礼の言葉はひとこと「どうも」(苦笑)。 ここでローディーがステージにアコースティック・ギター(以下、アコギ)とイスが運び込み、マイクスタンドの高さを変える。T.K.がイスに座り、アコギを構えて披露された曲は、『just A moment』からの“Tremolo+A”。この曲が終わると、「ありがと」とファンに御礼を言ったT.K.。この1曲のみでアコギとイスは片付けられ、マイクスタンドも元の高さに戻された。T.K.が再びエレキ・ギターを構えたところで披露されたのは“moment A rhythm”。曲に合わせたムードづくりのためか、ステージ奥のほうからドライアイスの冷気(?)が漂い始める。幻想的な雰囲気が醸し出されるなか、時雨の持つ『静』の部分がフィーチュアされたこの曲を大人しく聴き入ってた観客たち。曲が終わると、また「ありがと」とT.K.は御礼を言った。
 “moment A rhythm”の後は、雰囲気をガラリと変えて、アグレッシヴな“想像のSecurity”をプレイ。しばらく静かめの曲が続き汗が冷えてたファンも、久しぶりにアクティヴになる。次に、デビュー・アルバム『#4』収録の“テレキャスターの真実”が披露されると、ファンのリアクションがますます活気づいた。次の“ラストダンスレボリューション”と“a 7 days wonder”は、
去年のツアーの金沢公演では演らなかった曲。特に、“a 7 days wonder”の登場には個人的には興奮した。なにしろ、『just A moment』の曲で披露されなかったのはこの曲とインストの“a over die”の2曲のみだったんだから! 345のベースがフィーチュアされた“a 7 days wonder”が終わると、またT.K.が観客に御礼を言う。「ありがと」。次の“Seacret cm”では、静かに始まり徐々に盛り上げていく曲の構成に合わせてか、ドライアイスの冷気(?)が再登場。この曲が終わると、T.K.と345は楽器を下ろして、一旦ステージを去った。
 ステージにはピエール中野ひとりが残ってる。勿論、ピエールのトークタイムだ(笑)。観客に「とや!...とや!...」と声をかけるピエール。富山の観客と「とや!」「まー!」「とや!」「まー!」...といった具合にエール交換をしたかったのに、富山の観客がそれと気付いてくれなかったため、空振りに終わったピエール。「オイッ! 富山〜!!! 『とや!』と言ったら、『まー!』だろッ!」などと、オマエら、しっかりしてくれよ〜〜〜といった感じのピエール、「オレが『say バ〜イブス!』って言ったら、『バ〜イブス!』って返してくれるか?」というふうに、ピエールの音頭取りで、「バイブス」、「玉筋」、「ウルトラソウル」、「ランランルー!」のエール交換を行うことになった。そのエール交換の本番を行う前に突然「彫刻の話をしていいか?」などと、彫刻の話を始めたピエール。ピエールの話によると、九州は大分市のメイン・ストリートには『レオタードの女』という題の、文字どおりレオタード姿の女性の彫刻が堂々と展示されているらしい(ピエール曰く、この作品は作者である芸術家と奥さんであるモデルの羞恥プレイだ。奥さんが「こんな格好恥ずかしい...」と恥ずかしがるなか、グハハハハ〜、そんな恥ずかしがるオマエの姿を彫刻にしてやる〜〜〜という感じで創られたんだ...苦笑)。そういうことで(苦笑)彫刻に興味を持ち始めたピエールが、このライヴのため泊まった富山のホテルから食事のため富山駅方面に出掛けようとした道中、『年若き女』と題された、10代後半くらいの女性の全裸の彫刻が屋外に堂々と飾られているのを発見! 『年若き女』が展示されてる場所(松川べり)から、今回時雨が泊まった富山のホテルは『富山マンテンホテル』と推測するが(苦笑)、この『年若き女』という彫刻にみとれ、写真を撮ったりしてるうちに雨が降り出し、本来の外出の目的である食事をすることもなく慌ててホテルにトンボ帰りしたとのこと(苦笑)。ホテルに戻ったピエールがしたことといえば、「『年若き女』という彫刻が堂々と飾られてるくらいだから、他にも似たような彫刻があるだろう」と考え、「富山 彫刻」というキーワードでググってみること(苦笑)。そしたら、『ワイシャツの女』という彫刻が検索で引っ掛かってきたそうだ。「『ワイシャツの女』って題だから、『ワイシャツを着てる女』の彫刻かと思ったら、全裸の女が肩にワイシャツを引っ掛けてるだけで、まるっきり裸じゃないか!」などとピエール。裸の女性をモティーフにした彫刻が街中に堂々と飾られてることがよっぽど嬉しかったらしく、「エロいゼ、富山」と喜んでた(笑)。ピエールの彫刻にまつわるトークはこれでお終い。ここでようやく「バイブス」、「玉筋」、「ウルトラソウル」、「ランランルー!」のエール交換があり、ピエールのドラム・ソロへ。「オレがこういうふうに叩いたら(と、実際に両手を広げて左右のシンバルを同時に叩いてみせる)、『ランランルー!』で返してくれ」などと予めピエールから指示があり、ピエールの怒濤のドラム・ソロが始まる。ピエールの熱演に、先ほどの指示を観客が忘れそうな頃にピエールが両手を広げて左右のシンバルを同時に叩いてみせる。が、観客は「ランランルー!」を忘れることなく返した。ピエールによると、こうやって観客とエール交換やドラム・ソロで掛け合いをするのは最高に気持ちイイらしく、「覚醒剤もMDMAも要らない。この快感を知っていれば、押尾 学も捕まることはなかった」そうだ(苦笑)。
 ピエールのトーク&ドラム・ソロ・タイムが終わると、ステージにT.K.と345が戻って来た。ここからは“ JPOP Xfile”、“nakano kill you”、“Telecastic fake show”と矢継ぎ早にキラー・チューンを繰り出して来るものだから、ピエールのトーク・タイムで一旦は下がった観客のヴォルテイジも一気にアップ。“Telecastic fake show”の次は、“感覚UFO”。結果からいうと、これがこの日のライヴ最後の曲だったが、そんなことは知らないファンはこの曲でも大いに盛り上がった。この観客の反応に乗せられたのか、これまで一貫してクールな反応に終始してたT.K.が、曲の途中で掲げた両手を前後に振り、「もっとこっちに来い」とばかりに観客を煽る。さらには目の前のモニターに上って観客を煽る。ライヴ終演間際のT.K.の煽りにビックリ!
 ライヴのほうは、“感覚UFO”が終わると、時雨の3人はステージを後にし、すぐさまフロアに居る観客たちのアンコールを要求する手拍子が始まった。時雨がライヴではアンコールを演らない方針なのは知ってたので、アンコールは演らないものと思ってたけど、他の観客が熱心にアンコール要求の手拍子をやってるし、なかなか客電が点かず、客出しの音楽も鳴らないし、「これはひょっとして...」と思い始めたところ、ようやく客電が点き、客出しの音楽も流れ、公演終了を告げるアナウンスも流れた(苦笑)。
 演奏曲目は前回の『last A moment』ツアーと数曲入れ替えがあったのみで、演奏内容も大差がなかったが、345の物販紹介が無くなり(苦笑)、トークは完全にピエールに委せるたうえ、ピエールのドラム・ソロ・タイムまで設けるなど、ライヴにおけるピエールの存在感がますます大きくなってた。クールなT.K.が最後にみせた煽りが凄く印象的だった。
 ステージ向って右前方3列目くらいに居たため、ライヴ終了後には難聴ぎみになってしまい、元どおりに回復するのに1日半くらいかかった(苦笑)。

【SET LIST】...'10.2.20 富山・CLUB MAIRO
1. 鮮やかな殺人
2. Sadistic Summer
3. ハカイヨノユメ
4. DISCO FLIGHT
5. I was music (新曲)
6. Tremolo+A
7. moment A rhythm
8. 想像のSecurity
9. テレキャスターの真実
10. ラストダンスレボリューション
11.a 7 days wonder
12. Seacret cm
〜Pierre Nakano's drum solo〜
13. JPOP Xfile
14. nakano kill you
15. Telecastic fake show
16. 感覚UFO

LING TOSITE SIGURE live @ Kanazawa Eight Hall '09.5.24

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