「ニカさん」こと二階堂和美の新作『にじみ』のリリースに伴う全国ツアー『にじみの旅』の、私の地元・富山での公演を11月27日に観て来た。会場のフォルツァ総曲輪の4Fライブホールは全席100席に満たないこぢんまりとした空間。開演予定時間の19時を8分過ぎた頃、ようやく客電が落ち、ニカさんと今回のツアーでニカさんのバックを務める「にじみバンド」の面々がステージ上に登場。男性陣の3人はステージ向かって右側から、ニカさんとピアノの黒瀬みどりさんの女性陣2人はステージの向かって左から登場。バスガイドみたいなピンク系のワンピース着たニカさんが「こんはんは〜♪」と観客に声をかけながらステージ中央に進む。ふと、ピアノの黒瀬さんに見遣ると、抱っこ紐で赤ちゃんを抱えたままピアノに就いてる〜〜〜! これにはホント、度肝を抜かれた! 演奏を始める前に早速バンドのメンバーを、バンマスの山村誠一さん(perc.)、曽我大穂さん(flute、etc.)、ガンジーさん(wood
base)、そして黒瀬みどりさん(pf.)の順にステージ向かって右側から紹介。オープニング曲は、新作『にじみ』からの“めざめの唄”。この曲は前回観た善巧寺での『お寺座ライブ』でも演ってた。ニカさんの左側にはギターが置かれてたけど、それに触れること無く、バンドの演奏のみをバックに朗々と歌い上げたニカさん。この曲が終わると、傍らのギターを構え、「行ってみよ〜!」と叫んでから、自分で「ハイ・テンション過ぎですね」などと苦笑してから「“あなたと歩くの”!」と曲紹介したニカさん。この“あなたと歩くの”も善巧寺での『お寺座ライブ』でも演ってた曲。ニカさんらしいアブない怪演が炸裂したこの曲、エンディングでは観客に手拍子させながら♪ララララララララ〜ラララララ〜...と合唱させ、ニカさんが満足する声量に達するまで延々と歌わせ続けた。黒瀬さんが抱っこしてる赤ちゃんはイヤーマフ(耳栓)して少しくらいの音響に耐えれるようにしてたけど、流石にニカさんのハイ・テンションな怪演にはもたなかったようで、ここでスタッフが現れ、黒瀬さんの子供を引き取ってった(苦笑)。ギターを下ろしたニカさんがスナックのママのような声色で、昨夜黒瀬さんと一緒に呑んだことなどイロイロ話し始める。曽我さんのブルース・ハープと黒瀬さんのピアノ、ガンジーのウッド・ベースがモロに場末のバーの雰囲気を醸し出す。仲の良い、夜しか開いていないカフェの話をし始め、その店に捧げる曲として書いたという“ネコとアタシの門出のブルース”を歌った。歌い終わると、つい昨日か一昨日にニュースになった、交際相手が居ない30代・40代の男性・女性が増えているという話題を持ち出してから“女はつらいよ”を披露した。
ニカさんは地元の広島についての歌を作ったことは無かったけど、『広島原爆の日』についてのイヴェントに出演する機会があったことから、そのような曲を作った...といった話をし始める。ニカさんのトークは今年7月に急逝したレイ・ハラカミさんについての話、彼が尽力してた福島でのイヴェントの話、そして『3・11』の話へとつながってゆき、「過去は今につながっている。今は未来に必ずつながっていく」とまとめてから“蝉にたくして”を熱唱。曲が終わると“岬”、そして雰囲気を変えてチャイナ・テイストのある“萌芽恋歌”へ。曲が終わると、「“ほうがこいうた”でした」と曲紹介したニカさん、「私もバンドの演奏聴きたいな〜」と言いながらステージを去る。残されたにじみバンドの4人は、どこまで事前準備され、どこまで即興なのか分からないけど、お互い手探りのような感じで演奏。5分くらいにじみバンドが演奏したところで、南国っぽいサイケなワンピースに着替えたニカさんが登場し、バンド・メンバーを紹介しながらそれぞれのソロを演らせる。まずは曽我さんがブルースハープを吹きまくり、次にピアノの黒瀬さんがクレージーキャッツの“スーダラ節”を軸にしたソロを披露。続いてバンマスの山村さんがスティールパン(スティールドラム)のソロを披露し、最後にガンジーがベース・ソロで締めた。
ニカさんが着替えてからの後半戦は“とつとつアイラヴユー”からスタート。この曲が終わると、ニカさんが観客に手拍子させる。曽我さんが篠笛を吹き、祭りムードとなったところで山村さんがチンドン太鼓を持ち出して演奏に加わり、“いつのまにやら現在でした”へ。場内すっかりお祭り騒ぎになったところで、ニカさんが「富山のひとにお国自慢をしたい」などと言い出し、そのまま彼女の地元の“大竹音頭”になだれ込む。“大竹音頭”から元の“いつのまにやら現在でした”に戻ってお祭り騒ぎが終わると、「最後の曲になりました」などと言うニカさん。「エ"エ"〜〜〜ッ!」という観客の反応に「あ〜ら、どっかの番組みたい」と笑うニカさん(『笑っていいとも!』のことらしい)、ここで本編最後の曲としてトロピカルな“お別れの時”を披露。曲のエンディングでは観客に♪ララララ〜ラ〜ララ〜...と歌わせたニカさん、曲が終わってからのステージからの去り際にまたもメンバー紹介すると、逆に曽我さんから「二階堂和美!」と紹介されてしまったニカさん、照れくさそうにしてステージ向かって左側の袖に引っ込んでった。
ファンがアンコールのクラップを続けてると、まずバンド・メンバーが登場し、続いてニカさんが今度は普段着のようなワンピースに着替えて登場。まずは千
昌夫の“北国の春”をワン・コーラス歌う。「『朝日新聞』読んだひと〜」と観客に訊くも『讀賣新聞』が強い富山県では『朝日』の読者は少ないようで、手は殆ど挙らない。仕方なく『朝日新聞』に載ってた田原敏彦が松田聖子とグリコの『ポッキー』のCMの共演の話をし、聖子の事務所にカミソリ入りの手紙が届いたことからこのCM共演は一回限りで潰えた...などと話して観客を笑わせる。ここまで前フリすれば十分で、『にじみ』のボーナス盤収録の田原俊彦のカヴァーの“ハッとして!Good”がここで披露された。♪パラッパ〜パラ〜...の合唱で盛り上がったところで終わろうとするも、観客が帰してくれないので、先ほど歌った“女はつらいよ”をもう一度熱唱。ステージか客席に降りて観客の間を歩き回りながら、しかも、美空ひばりのモノマネを織り込みながら披露。これにはニカさんも「フザケ過ぎた」と反省(苦笑)。最後に、「歌は饒舌。だけど、そんな歌が好きです」などと語ってから“歌はいらない”を披露し、2時間近くに亘った熱演はようやく終了。
演奏されたのは全曲『にじみ』からの曲で、ニカさんがギターを演奏したのは1曲だけ。『にじみ』とにじみバンドのライヴという印象が強く、昔の曲が聴きたかったファンには不満が残ったかも。ニカさんは相変わらずフッ跳んだハイパーネーチャンでした。
【SET LIST】...'11.11.27
富山・フォルツァ総曲輪
1. めざめの唄
2. あなたと歩くの
3. ネコとアタシの門出のブルース
4. 女はつらいよ
5. 蝉にたくして
6. 岬
7. 萌芽恋歌
〜にじみバンドによる演奏〜
8. とつとつアイラヴユー
9. いつのまにやら現在でした〜大竹音頭〜いつのまにやら現在でした
10. お別れの時
(encore)
1. ハッとして!Good (田原俊彦のカヴァー)
2. 女はつらいよ
3. 歌はいらない