Base Ball
Bear(以下、ベボベ)から、ギターの湯浅将平脱退! そんな衝撃的なニュースが飛び込んで来たのは、3月2日のことだった。同じ高校の同級生または先輩/後輩の関係で、学園祭のステージで演奏するためにバンドが結成されてから15年もの間、苦楽を共ににして来た4人からこの期に及んで離脱者を出すとは...。しかも、友好的な脱退劇やケンカ別れでも無く、本人と連絡が全く取れないまま脱退の意志だけが一方的に伝えられて来た...という脱退に至る経緯については、ファンはともかく、残された3人も全くの晴天の霹靂だったハズ。一時、『YAHOO!
Japan』の「話題」のランキングの1位にもなったくらいの「激震」の余韻も醒めやらぬうちに、日程を中止することも延期することも無く、当初からの予定どおり全国ツアー『LIVE
BY THE
C2』をスタートさせたベボベ。ツアー日程が出た頃は、「また富山に来ないし、今回のツアーもパス」するつもりだった私だけど、将平抜きのベボベがどうなってるかを確認しに、ちょうど出張の日程と重なった幸運もあって、3月19日に福岡・DRUM
Logosで観て来た。私が彼らのライヴを観るのは、2011年の『10th
Anniversary SAYONARA NOSTALSIA
TOUR』(以下、10周年ツアー)の時に私の地元・富山のCLUB
MAIROで観て以来だから、約5年ぶりだ。
私が福岡でライヴを観るのは今回が5回目で、DRUM Logosと同系列の「Drum
Be-1」では2回ライヴ観てるけど、Logosのほうでは今回が初めて。フロアにはほぼギッシリと客が入ってる。開演前の場内のB.G.M.として、ず〜〜〜っと同じ曲がエンドレスで流れてる。声の感じからロバート・パーマー、サウンド・プロダクションから'80年代だと思ったけど、帰宅後に調べたら、ザ・パワー・ステーションの“Murderess”だった(苦笑)。
開演予定時間の17:30を過ぎると、場内に彼らのライヴのオープニングに必ず流れるXTCの“Making
Plans For
Nigel”(邦題“がんばれナイジェル”)が流れ始め、観客の拍手と歓声を浴びながらベボベの面々と、脱退した将平の代わりに今回のツアーに参加してるサポート・ギタリストのフルカワユタカ氏がステージに登場。ドラムに就いた堀之内がカウントを取り、演奏始まった曲は新作『C2』のアタマを飾る“「それって、for
誰?」 part.
1”。ステージ中央にヴォーカル/ギターの小出、その右に、体を揺らしながらベースを弾く関根嬢。関根嬢はスカート姿だけどスパッツ履いてる(苦笑)。小出の左側に、今回のツアーのサポートのフルカワさんが居るけど、そのサングラス姿は『顔面凶器』と呼ばれるコワモテ俳優の小沢仁志を彷彿とさせ、ちょっと怖い...(苦笑)。曲が終わると、そのまま新作からの“不思議な夜”へ。このまま新作からの曲が続くと思わせておいて、ここで懐かしの“神々LOOKS
YOU”を披露した。
ここで、M.C.タイム。小出が「今回はBase Ball Bear
ツアーのほうにお越しいただき誠にありがとうございました」と第一声。「3月のアタマに発表させていただいたとおり、湯浅の脱退の件でみなさんに心配をおかけし、申し訳ありませんでした」などと謝罪。小出曰く、基本的にはバンドとして発表出来ることはみんな発表してるので、分かっていることは全部(オフィシャル・ホームページに)公開してるとのこと。ファンが納得出来ないことやよく分からないという部分があったとしても、ベボベの現・メンバー自身がそんな感じであると、現在の心境を率直に吐露。「これからも応援よろしくお願いします」と小出がM.C.を結ぶと、観客から(おそらく、激励も込められていたであろう)大きな拍手が送られる。さらに小出が、将平の代役で急遽ツアーに参加してるフルカワさんを紹介すると、これまた観客からは大きな拍手が送られた。すでにツアーも後半戦に入って、フルカワさんとだいぶ馴染んできたようで、高松でのライヴの後、東京にクルマで戻る途中二日酔いにでグロッキー状態のフルカワさんがずっと独り言を言ってたエピソードを紹介し、「あれは多分、関根が注いだ日本酒のせいだ」と小出が関根嬢を指弾しようとしたけど、話が長くなりそうだ...との理由で、次のMCタイムへ持ち越しされることに...(苦笑)。小出が「最後まで楽しんでいってください」と観客に声掛けしてから、演奏始まったのは、“文化祭の夜”。この曲が終わると、関根嬢がリード・ヴォーカルを担当する“美しいのさ”。みんなが関根嬢の歌に聴き入った後は、堀之内のドラムリフから始まった“short
hair”。10周年ツアーでは「新曲」として披露されてたこの曲は、私が一番好きなベボベ・ナンバーだけど、今回のツアーはあくまでも新作『C2』に伴うツアー。新作からの曲が中心になるだろうから、セットから落ちてることも覚悟してたけど、しっかり演奏されてて、感激〜〜〜!!! 次の曲の“曖してる”では指弾きでベースを弾く関根嬢の見せ場があり、大いに盛り上がると、MCタイムへ。先ほど小出から「帰りのクルマのなかでずっと念仏唱えてた」などと曝露されたフルカワさんが「言っておきたいことがある」と話を切り出し、「助手席に座ってたんだけど、運転してたマネージャーさんにずっと声かけてたのに、ずっと無視されてた(念仏唱えてたわけじゃない!)」と力説(苦笑)。小出が「関根の日本酒の注ぎ方がエゲツなかった」と指弾すると、関根嬢が「お店のひとが予約のサーヴィスだと言って、一升瓶持って来たんですよ」と状況説明。日本酒用のお猪口が足りず、フルカワさんのみビール用のグラスで日本酒を呑んだため、ひとり酔いが早く廻ったとのこと(苦笑)。また、小出が空港の『ドトール』で注文して、椅子に座ったら、先に店に来てたフルカワさんと目が合って、「ずっと見てたよ」と言われたとのこと。フルカワさん曰く、小出が何か面白いことするんじゃないかなぁ〜との期待のもとに、小出の行動を見張ってたらしい(苦笑)。ストーキングされた!...と憤る小出に対し、可愛い後輩のことを優しい目で見てどこが悪い!...といった態度のフルカワさん。どうもこの2人、噛み合わない(笑)。
MCタイムの後は、新作からの“レインメーカー”。曲が終わると、小出が「ありがと」と観客に御礼を言う。次の曲も、新作からの“どうしよう”。さらに、“ホーリーロンリーマウンテン”、“カシカ”...と新作からの曲を続けざまに演奏したところで、3回目のMCタイムへ。結成から15年間、「同じことはやらない」というポリシーのもと、いろいろ模索しながらやってきたところに、まさか晴天の霹靂...などと将平脱退についての心境を率直に語る小出、「開き直るしかねぇなっていう感じなんですよ」。解散という選択肢もあったにはあったけど、ベボベというバンドでやっていないことがまだたくさんある。ここで終わりにするにはキリが悪い、後々後悔すると思った...といったことがバンド存続の理由とのこと。ファンが気になるベボベの今後について、今後は3人で演るかもしれないし、逆に25人くらいになるかもしれない...などとおどける小出に、場内は大爆笑〜!!! これまで生バンドにこだわって音楽を演ってきたため、ピコピコ(クリック音)に合わせて演奏するイメージが湧かない...などという小出、それをやるくらいなら大編成のバンドで、ストリングス、チェロ、ヴァイオリン2人、パーカッション、鍵盤が両サイドに2人、ミニスカポリスの格好をした黒人の女性コーラスが3人、ホリ(堀之内)の横にホリの妹さんにも居てもらって(すかさず堀之内から、「何でオレの妹が居るんだよ!」とのツッコミが入る...苦笑)...などと喋ってるうちにどんどん悪ノリし、「フルカワさんの他に、サポートのギターも8人」と構想を語ったところで、フルカワさんに「俺は居ないよ!」と思いっきり否定される(苦笑)。真剣な眼差しに戻った小出が、新メンバーを入れるというよりは3人でやれることを探っていきたい...と決意表明すると、横から「解散しなかったことが全てだったと思う」とフルカワさんがエールを送ると、場内から拍手が送られる。しかしながら、フルカワさんは「(このツアーが終わったらベボベとは)全て関係断つ!」と相変わらずつれなかったケド(苦笑)。ここで、今のベボベの状況に合わせてか、“changes”が披露され、続く“真夏の条件”では、イントロが演奏されるだけでファンから歓声が上がり、小出や関根嬢がモニターの上に登って観客を煽るなど、この日のライヴで一番盛り上がった。その勢いを削ぐことがないように“LOVE
MATHEMATICS”へ。曲中、観客が手拍子した“LOVE
MATHEMATICS”が終わると、新作からの“
HUMAN”。曲のエンディングで「Base Ball
Bearでした、アリガトウ!」と小出が観客に御礼を言って、4人はステージ上から姿を消した。
観客がアンコールの手拍子を始める。3分ほど経ってから、ステージに再び姿を現したベボベ。しかし、戻って来たのは3人だけで、フルカワさんの姿は無い。「アンコールどうもありがとうございます。これからも「意識高い系」で、「理想高い系」で頑張っていきたいと思ってます」などと小出が改めて決意を語ると、観客からも「頑張って〜!」と声がかかる。「フルカワさんにも拍手〜!」と小出がフると、姿がみえないフルカワさんに対して観客が拍手する。次に福岡に来る時はどういう形態のライヴになるのか分らないけど、僕らも楽しみです。また会いましょう!...などと言う小出に観客が拍手で応えると、「最後は3人で演奏させていただきます」と、小出。現在のベボベのメンバーである3人だけの編成で、新作のラストを締める“「それって、for
誰?」 part.
2”をプレイ。曲が終わり、観客が拍手すると、最後の曲として“The
End”が披露される。実に、意味深な選曲(苦笑)。この曲では♪終わりはそう、終わりじゃない〜...と歌われる。「ベボベから将平が脱退した!」と聞いて、「ベボベはもう終わりだ」という感を抱いたひとも居たかもしれないけど、このバンドはまだ終わらない、終わるわけにはいかないんだよ...といった意味も込められていたのかもしれない。この曲の演奏が終わると、「Base
Ball
Bearでした。またね!」と観客に声掛けしてから、3人はステージを去った。
湯浅将平脱退!!!というショッキングなニュースがあっただけに、バンドの行く末を凄く心配してたんだけど、バンドをこのまま続けて行くんだ!...という前向きで強い意志を彼らから感じた熱いライヴでした。この後、3人がどのようにベボベを続けて行くのか、しばらくは彼らから目が離せません!
【SET LIST】...'16.3.19 福岡・DRUM
Logos
1. 「それって、for 誰?」 part. 1
2. 不思議な夜
3. 神々LOOKS YOU
4. 文化祭の夜
5. 美しいのさ
6. short hair
7. 曖してる
8. レインメーカー
9. どうしよう
10. ホーリーロンリーマウンテン
11. カシカ
12. changes
13. 真夏の条件
14. LOVE MATHEMATICS
15. HUMAN
(encore)
1. 「それって、for 誰?」 part. 2
2. The End