凶暴な心を持った女(?)が、再び...。

 私はメタル者ではないけど、メタル専門誌といわれる音楽雑誌『BURRN!』を毎号買っている。ま、メタル・ミュージシャンたちのインタヴューって結構笑える発言が多かったりして、インタヴュー読んでるだけでも退屈しないんだけど、たまに、他の音楽雑誌では入手出来ない情報が載ってたりするから、見逃せないんだな、これがまた(笑)。
 『rockin' on』や『CROSSBEAT』見ても載ってなかった新譜情報が、『BURRN!』の『RELEASE INFO』のページに載っていたのは'02年4月号のこと。あのオール・アバウト・イヴの再結成ライヴ盤の第2弾と第3弾がリリースされてるそうじゃないかっ!!!
 オール・アバウト・イヴ(以下、AAE)は2000年に再結成し、今も随時活動中。AAEについては、
前にいちどこの欄で取り上げたことがありました。この記事では急にリリースされたベスト盤の疑問に満ちた謎の選曲に首をひねりつつも、AAEに久しぶりにスポットライトがあたったことを喜んでましたけど、この記事をUPした時点で彼女たちは再結成してたことになります(笑)。っつうか、『疑問に満ちた謎の選曲のベスト盤』も、今こうして復活ライヴ盤に収録された曲目と見比べると解るように、再結成したAAEがライヴで演ってる曲を中心に収録してるのですね(笑)。納得〜ぅ!!!(笑)
 ちなみに
この記事をUPした後、記事を御覧になったかたから、「AAEの再結成ライヴ盤が出てるよ」って情報を頂きましたけど、失礼ながら、ず〜っと放ったらかしにしてました(苦笑)。それが、『BURRN!』の記事を見た途端、火が点いた(笑)。早速、再結成ライヴ盤3種類全部買ったにょ。
 ここで、AAEことオール・アバウト・イヴについて簡単に説明を。
(詳しい説明はこちら→) 『歌姫』ジュリアンヌ・リーガンを看板に据えたイギリスの4人組で、メンバーは、ジュリアンヌ(vo.)、ティム・ブリッチェノ(g.)、アンディ・クーズィン(b.)、そしてマーク・プライス(ds.)。もともと、シスターズ・オフ・マーシーやミッションといった『ポジパン/ゴシック』と呼ばれた音楽の人脈から派生したバンドで、ジュリアンヌはミッションのバック・ヴォーカルやってたし、AAEがデビューしたのもミッションの後押しがあったから。このようにポジパン/ゴシック・バンド...今ならマリリン・マンソンみたいな音楽思い出して下さい(笑)...として登場したAAE、最初はスージー&ザ・バンシーズ...今ならガービッジみたいな音楽思い出して下さい(笑)...あたりと比較されてましたが、次第に英国の伝統的なトラッド・フォークの色が強くなり、『ポジパン/ゴシックといったオルタナ』というよりも、『トラディショナル・フォークも含む広義のプログレ』というジャンルに入れられるようになりました。中期〜後期のAAEの音って、「エンヤがロックンロールしてる」とでも思って下さい(笑)。
 オルタナだったハズのAAEが「トラッド・フォーク扱い」されるようになったのは、勿論、ジュリアンヌのヴォーカル・スタイルに英国の伝統的な美しさがあったためで、このひと、最初からオルタナの衣まとって登場したのがそもそも間違いだった...と私は思ってます。清楚なお姉さんに『エコエコアザラク』の黒井ミサ役演らすみたいでさ(笑)。この再結成ライヴ3連発を聴くとその思いを強くします(笑)。
 傑作とされる『イヴの序曲』と『スカーレット・アンド・アザー・ストーリーズ』の2枚のアルバムをリリースした後、ギターのティムが脱退。バンドはオーストラリアのバンド、チャーチのマーティン・ウィルソン・パイパーをヘルパーとして迎えて、2枚のアルバムを発表しましたけど、メンバー・チェンジ後の2枚は評価を得られず、1993年に解散しました。
 そんなAAEを復活させたのは、ミッション(爆笑〜!!!)。「僕らのライヴのオープニング・アクトで久しぶりに歌ってみないか」と声を掛けたのが発端のようです。だけど、ドラマーのマークはデル・アミトーリの正式メンバーとなったため集まったのはジュリアンヌ、アンディ、マーティンの3人のみ。ドラマー不在ってことで、おのずからアコースティック・ライヴという形態になったようです。ティム・ブレッチェノに声が掛からずに、マーティン・ウィルソン・パイパーに声が掛かるところに、いろいろと因果を感じますけど...(苦笑)。こうしてアコースティック・ライヴで数回のギグを行なったところ、大好評で、遂にはCDまで出してしまったという。で、好評が好評を呼ぶうちにジュリアンヌたちはエレクトリック・ライヴを演りたくなり、とうとうマーク・プライスを見限って(笑)、ドラマーにデル・フッド、さらにキーボードのリック・カーターを迎えて2000年の末にロンドンの教会でエレクトリック・ライヴを敢行! もうここまで軌道に乗れば、AAE完全復活を高らかに宣言したくなるけど...まだ新曲とか、無いんだよね。いまだ「昔の名前で出ています」状態です、ハイ...(苦笑)。でも、ここまで来れば新曲演っても評判イイと思うよ。是非、まだ一度も踏んでいない日本の地を踏みにおいで!
 ジュリアンヌは今、普段はOLやってるらしいです(笑)。ミュージシャン専業じゃないから、新曲リリースやジャパン・ツアーなどは難しいとは思いますけど、そこをなんとかお願いしますぅ...。
 ちなみに「凶暴な心を持った女」とは、彼女たちの代表曲のひとつ“Wild Hearted Woman”の、昔出てた日本盤に付いてた対訳(爆笑〜!!!)。感覚的に「この訳は、違う!」って感じたんだけど(苦笑)。だって、ジュリアンヌのキャラクターに致わないもん。だけど、面白いので使わさせてもらいました(笑)。


ジュリアンヌ・リーガン、13年前の姿。今は...???

再結成ライヴ3部作(※昔出してたスタジオ盤については、こちら→)

Fairy Light Nights-Live Acoustic

(国内盤 : マーキー/ベル・アンティーク MAR-00607)
1. What Kind Of Fool 2. In The Clouds 3. Forever
4. Share It With Me 5. Will I Start To Bleed 6. Miss World
7. Martha's Harbour 8. Shelter From The Rain
9. Are You Lonely 10. Appletree Man
 1993年の解散から、7年の歳月を経て蘇ったAAE。2000年の1月と2月に行なわれた再結成アコースティック・ライヴの模様を集めた復活盤。メンバーはジュリアンヌとアンディ、マーティン...の3人。1st『イヴの序曲』と3rd『タッチ・バイ・ジーザス』の曲がメインの選曲。
 『Unplugged』というタイトルでリリースされている(右ジャケ写 ; Brilliant BT-33076)も内容は一緒。...って知ってる私は...??? そうです、騙されて買っちゃった...(泣)。

Fairy Light Nights Two-Live Acoustic

(国内盤 : ヴォイスプリント・ジャパン/ベル・アンティーク VPJ-180)
1. Scarlet 2. The Mystery We Are
3. You Bring Your Love To Me 4. Freeze 5. Mine
6. More Than The Blues
7. Never Promise (Anyone Forever) 8. Yesterday Goodbye
9. Wild Hearted Woman 10. Every Angel
 第1弾が好評だったためにリリースされた復活第2弾!!! 2000年3月から2001年3月までに行なわれたアコースティック・ライヴの模様を編集した作品で、マニアからの間でも『駄作』呼ばわりされたうえ、レコード会社から契約も切られ、解散の原因につながった4th『ウルトラヴァイオレット』からの楽曲が多く、ジュリアンヌの意地が感じられる(笑)。実際、こうしてアコースティックな演奏でAAEクラシックと並べてみると、遜色なく感じられる。“You Bring Your Love To Me”はマーティンのソロの曲。オマエは歌わなくてよろし!(笑)

Live & Electric At The Union Chapel

(国内盤 : ヴォイスプリント・ジャパン/ベル・アンティーク VPJ-189)
1. Lady Moonlight 2. Freeze 3. Wishing The Hours Away
4. Martha's Harbour 5. Wild Hearted Woman
6. In The Clouds 7. Miss World 8. Are You Lonely
9. Interval 10. December 11. Forever
12. More Than The Blues 13. You Bring Your Love To Me
14. Shelter From The Rain 15. What Kind Of Fool
16. Outshine The Sun
 2000年の年末にロンドンのユニオン・チャペルで行なわれたエレクトリック・ライヴの模様を収めたライヴ盤。結局、マーク・プライスを待たずにデル・フッドをドラマーに迎え、ミッションのキーボード奏者のリック・カーターを加えた5人編成での演奏。このアルバムの聴きどころは、クリスマスらしいInterval”から名曲“December”への流れ。そして今までエレクトリックなライヴ・ヴァージョンで耳にすることが無かった『ウルトラヴァイオレット』の楽曲の演奏でしょう。「『ウルトラヴァイオレット』=駄作」との汚名をそそぐオンナの執念を感じたりして(苦笑)。ただ、アコースティック・ライヴを演り過ぎたためか、前の2作と音造りに明確な違いは感じられない。

他にも、こんなライヴ・アイテムがあったゾ!

13

(廃盤)
1. In The Clouds 2. Never Promise (Anyone Forever)
3. Scarlet 4. More Than The Blues 5. Road To Your Soul
 オリジナル・メンバーのギタリスト、ティム・ブレッチェノが脱退した直後にリリースされた(本国では)13枚目のシングルで、全編ライヴ音源。邦題は『グラスゴー・ライヴ』。たった5曲入りだけど、当時ここまでライヴ音源がなかった彼女たちのライヴの模様をうかがい知るために貴重な音源だった。なお、このCDは右上にあるようにジュリアンヌの姿が印刷されたピクチャーCDになっていた。コレクターズ・アイテム?(笑)

BBC Radio One Live In Concert

(import : Windsong International WINCD-044)
1. Every Angel 2. Candy Tree 3. Wild Hearted Woman
4. Gold And Silver 5. What Kind Of Fool
6. Tuesday's Child 7. Martha's Harbour 8. In The Clouds
9. Road To Your Soul 10. Only One Reason
11. Flowers In Our Hair 12. In The Meadow 13. Paradise
14. Our Summer
 AAE解散後の1993年にリリースされたライヴ盤で、2nd『スカーレット・アンド・アザー・ストーリーズ』のリリース直前の1989年夏のグラストンベリー・フェスティヴァルで録音された音源が使われている。アルバム・タイトルどおり、BBCのラジオ放送用に録音されたもので、手直し・修正は一切なし。そのため、ジュリアンヌのヴォーカルの不安定さも辛くなるくらいにキッチリ記録されている...(泣)。この欄でとりあげたライヴ盤のなかで最もジュリアンヌのヴォーカルがダメだけど、選曲は一番イイんだよなぁ...(苦笑)。なお、「Wild Hearted Woman」を「凶暴な心を持った女」と訳していたのはこのアルバムの日本盤の対訳です(笑)。

(2002.4.8/4.10)

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