妖しくも甘美な遊び・ASOBI SEKSU

 別項で私が選んだ2005年のベスト・アルバム10を発表したけど、そこでも書いように、私にとって2005年一番のアルバムはASOBI SEKSUの『Asobi Seksu』だった。このアルバムが2004年のリリースだったため泣く泣くランキングから外したけど、私が2005年のベスト・アルバム10に選んだどの作品よりも素晴らしい内容。2005年にリリースされてたら、間違いなく1位にしていただろう。

 

ASOBI SEKSU--Asobi Seksu

(import : Friendly Fire Recordings FFR-001)
1. I'm Happy But You Don't like Me 2. Sooner
3. Umi De No Jisatsu 4. Walk On The Moon
5. Let Them Wait 6. Taiyo 7. It's Too Late
8. End At The Beginning 9. Asobi Masho 10. Stay
11. Before We Fall

 ASOBI SEKSUは、日本人女性ヴォーカリスト/キーボード・プレイヤー・Yuki Chikudateを中心としたニューヨークを拠点とする4人組。Yuki嬢以外には日本人メンバーは居ないもよう。デビュー作『Asobi Seksu』は、2004年5月頃に『CMJ』チャートの上位に喰い込み一部で話題になってた(って、私がひとりで騒いでた?...苦笑)。
 日本語を解するひとなら誰しも、彼女たちの名乗るバンド名に惹かれるハズ。「ASOBI SEKSU」とはそのまんま「セックス遊び」である(ここまで書いてしまうと身もフタもないケド...苦笑)。たぶん、このバンド名はYuki嬢が確信犯的に付けたんだろう。確かに、このバンド名を問題視するのは日本語を知るひとだけで、大方のアメリカ人は「ASOBI SEKSU」にどういう意味か分からないだろうから。アメリカ人が日本語が分からないことをいいことに♪海で自殺しよう〜...(“Umi De No Jisatsu”より)などとアブナい歌詞を日本語で歌ってるワケである(苦笑)。


ASOBI SEKSUのみなさん

 アヤし過ぎるバンド名ばかりに注目してしまうけど(苦笑)、私が彼女たちの音楽を強く推すのは勿論バンド名がアヤしいからではなく、彼女たちが紡ぎ出すサウンドが面白いからである。大雑把に括ってしまうと、彼女たちの音楽は、マイ・ブラディ・ヴァレンタインからの影響(“Sooner”ってに顕著。曲のタイトルからして、そうだし...苦笑)やソニック・ユースからの影響が色濃いギター・ノイズまき散らし系サウンド。これにに10代の夢見るポエム少女が書きそうな日本語のアヤしい歌詞が乗る...という、いかにもUSインディーズ好事家にウケそうなモノ。オフィシャル・サイトをみれば分かるとおり、彼女たちは自分らのサウンドのことを「ドリーム・ポップ・ワールド」と称している。「Dream Pop」とはアメリカではコクトー・ツインズやベリー、LUSHといった4AD系のバンドが出すサウンドを指しているんだけど、これらのバンドとの共通するようなポップさもあり、ヴォーカルが女性ってこともあって、確かに彼女たちの音楽は「Dream Pop」の範疇に入るモノといえる。アルバムの1曲目の“I'm Happy But You Don't like Me”の間奏のMOOGみたいなアナログ・シンセっぽい音のフレーズはファニィ過ぎて大いに笑えた。
 ...というふうに、彼女たちのサウンドを紹介してきたけど、全曲Yukiが歌ってるわけではなく、もう1人のヴォーカリスト・James Hannaが歌ってる曲が数曲ある。こちらのほうには...悪くはないけど、正直なところあまり魅力を感じません(苦笑)。
 ちなみに、ASOBI SEKSUはもう2ndアルバムのレコーディングを終了。2006年春にもリリースする予定のようです。こちらにも期待大!

(2006.1.9)

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