BENI『Bitter & Sweet Release Tour FINAL』DVDを観て

 かつて、安良城 紅という名前(本名だけど)でアイドル歌手としてデビューしてた沖縄出身の女性シンガーが、現在の「BENI」に改名後初めてリリースしたアルバム『Bitter & Sweet』のリリースに伴う全国ツアーのファイナルとして東京・赤坂BLITZで行ったコンサートの模様を収録したDVDとCDの2枚組『Bitter & Sweet Release Tour FINAL』を購入した。

BENI--Bitter & Sweet Release Tour FINAL

(国内盤 : NAYUTAWAVE RECORDS/ユニバーサル UPCH-20189)
<DISC 1 DVD>
1. Better & Sweet Intro 2. STAY 3. stardust
4. Anything Goes!! 5. 恋焦がれて 6. KIRA☆KIRA☆
7. Kiss Kiss Kiss 8. 信じさせて 9. 抱きしめて feat. 童子-T
10. ずっと二人で (Piano Version)
11. SAKURAZAKA-桜坂- (Piano Version) 12. nice & slow
13. GO ON 14. Beautiful World 15. もう二度と…
16. サイン 17. ずっと二人で DJ HASEBE REMIX
<DISC 2 CD>
1. stardust 2. Anything Goes!! 3. 恋焦がれて
4. KIRA☆KIRA☆ 5. Kiss Kiss Kiss
6. 抱きしめて feat. 童子-T
7. ずっと二人で (Piano Version)
8. SAKURAZAKA-桜坂- (Piano Version) 9. nice & slow
10. GO ON 11. もう二度と… 12. サイン

 そもそも、私がBENIの存在を知ったのは、MiChi.のライヴ目当てで潜入したイヴェント『Kiraria Presents FES CUTE Campus Style』に、BENIもライヴ・アクトとして出演してたから。したがって、BENIのことを知ったのは『Bitter & Sweet』がリリースされてからであり、安良城 紅時代の楽曲はリアルタイムには聴いてないし、安良城 紅時代彼女がにどんなライヴ・パフォーマンスをやってたかも知らない。この日のイヴェントではBENIは女性ダンサー4人とマニピュレーター1人のみを従えており、生バンドによる演奏ではなかった(MiChi.もギターとマニピュレーターだけだったが...)。マニピュレーター(今回のライヴ・アルバムでは、女性D.J.のDJ JUNKO)1人でどれだけ生音を出せるのか知らないが、地方都市の店鋪内でカラオケをバックに歌ってるドサ廻りの演歌歌手と演ってる実態はなんら変わりなかった(苦笑)。この日はあくまでもファッションが主題のイヴェントであり、ライヴ・アクトのパフォーマンスは余興的位置付けに過ぎなかった。だから、BENIのバックにバンドが居ないのみて、「これはこーゆーイヴェント向けの簡略パターンで、フツウのライヴだとちゃんとバンド編成でライヴ感あふれる肉感的な(?)パフォーマンスをみせてるんだ」と思ってた。今回発売された2枚組ライヴ・アルバムを購入した理由は、BENIがフツウのライヴ(自分だけの単独ライヴ)でいったいどーゆーパフォーマンンスを演ってるのかをこの目で確認したかったからだ。
 このライヴDVDで確認した結果を言うと、フツウのライヴでもBENIは
あの時のまんまだった...。
 広い会場の赤坂BLITZでも、BENIのバックには
あの日と同じく、女性ダンサー4人とD.J.しか居ない。BENIによるリード・ヴォーカル・パート以外はCD『Bitter & Sweet』のバック・トラックとまったく同じ(と思えるような)音源をバックにBENIが歌ってるだけであり、ライヴCDのほうを聴いてると、観客の歓声やクラップが入っていない箇所では、スタジオ盤を聴いてるんじゃないかと錯覚しそうだ(苦笑)。
 私のような『ロック村』での生活が長いと、ライヴならではの躍動感や、(リード・ヴォーカリストの歌だけが目立つのではなく)歌とバック・バンドの演奏と観客とが一体となったライヴならではのマジックというものを盲目的に信仰してしまうが(爆笑〜!!!)、「そういう汗臭い/泥臭いものは最初からお断りよッ!」とBENIとそのファンたちから言われてしまいそうなくらい、彼女たちは「クールであること」、「オシャレであること」に徹してたのである。(また言ってしまうけど)『ロック村』の生活が長いと、ジャネット・ジャクソンやビヨンセといったBENIが(指向してる音楽から考えて)影響を受けたであろう本場アメリカの第一人者たちがライヴでどーゆーパフォーマンスを演ってるのかさえ分からなくなるもので、もしかしたら、アメリカのR&B界ではこのようなバック・ダンサーは居てもバック・バンドは居ないのが当たり前なのかもしれない。とにかく、BENIのライヴ経験は(またまた言ってしまうけど)『ロック村』での生活が長い40過ぎのオジサンにはちょっとしたカルチュア・ショックだったのである。
 『Bitter & Sweet』のCDを聴いてるのと比較して、実際BENIのライヴに足を運んで聴くメリットは(このライヴ・アルバムで確認した限りでは)、(1)生のBENIの歌が聴ける。(2)生のBENIが観られる。しかも何回もお色直しをしてオシャレなBENIが確認出来で、生トークも聴ける。(3)4人のダンサーのパフォーマンスが観られる。(4)“ずっと二人で”のピアノ・ヴァージョンや(この時点での)新曲“サイン”が聴ける。(5)童子-Tがゲストで登場するサプライズがある。(6)福山雅治の“桜坂”のカヴァーが聴ける。(7)運がよければBENIがフロアに投げ入れたハンドタオルが手に入った...くらいで、(しつこく言ってしまうけど)『ロック村』の皆が信仰し、期待するようなマジックは起こりそうも無い。ま、『住む世界』が違うから仕方がないよねぇ...。
 私がこれからもBENIのコンサートに行くことがあるかって? 私の地元・富山や金沢あたりに来てるなら考えるけど、わざわざ神戸まで行ったりすることは、たぶん、無い(苦笑)。

(2010.3.19)

INDEX