『BORN IN THE U.S.A.』ではなく... 〜新作『There's Always Another Girl』によせて〜
'90年代前半の『オルタナ・エクスプロージョン』の時にカレッジ・チャートをにぎわせ、「オルタナ・クィーン」とか「オルタナの純真」などと呼ばれたジュリアナ・ハットフィールド。彼女が7月にニュー・アルバム『There's Always Another Girl』をリリースした。このアルバムのリリースを私が知ったのは、9月下旬のこと。(そろそろ彼女が新作を出しててもいい時期だと思ってたこともあって)たまたま『Amazon』で「Juliana Hatfield」で検索したら引っ掛かって来て、新譜が出てることを知った次第。『Amazon』ではダウンロード販売しか扱って無かったため、彼女のオフィシャル・サイトを訪問したところ、フィジカル(CDフォーマット)でも販売してたため、購入(現在ではアナログのみ販売)。このためワザワザ『PayPal』のアカウントを作り、注文して取り寄せた(その後『HMV』でもCDを扱ってることを知ったが...苦笑。ただし、現在では「入手困難」扱いになってる)。
There's Always Another Girl |
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(import : Ye Olde Record
YOR-008) |
オープニング曲が、前作『Peace
And Love』のようなアコースティック・ナンバー“Change The
World”だったので、「またアコースティック・アルバム?」と思ったけど、2曲目の“Taxicab”はバンド演奏であり、エレキ・ギターもドラムも入ってるフツウのロック。続くは“Don't
Wanna
Dance”...と曲を聴き続けてるうちに気付いたのが、全体的にロー・ファイ...(汗)。サウンドもダークで『ベッド』〜『トータル・システム・フェイルアー』〜『Made
In China』の流れを踏襲したような作風。前々作『How To Walk
Away』が往年のみずみずしさあふれるジュリアナ節(それこそ彼女が「オルタナ・クィーン」とか「オルタナの純真」と呼ばれてた全盛期)が堪能出来る快作で、しっかりとしたサウンド・プロダクションで、ゲストをたくさん招いた豪華な内容だったため、違いが余計に際立ってる。前作『Peace
And
Love』はライナーノーツに「このアルバムは私にとっての『ネブラスカ』」などとコメントしたことも解るとおり、彼女自身が全ての楽器を演奏した宅録アルバム。だから『Peace
And
Love』を聴いた時には、「ブルース・スプリングスティーンが『ネブラスカ』の後に『BORN
IN THE
U.S.A.』をリリースしたように、彼女の次のアルバムは彼女の音楽的キャリアにおける躍進作になる」と大いに期待したものだった。しか〜し、フタを開けてみればこのローファイぶり。正直なところ少しならず落胆したけど、聴き込んでいくと、ビーディ・アイの“The
Morning Son”を思わせるような“Someone Else's
Problem”や、あまりのロー・ファイぶりにかえって耳に残る“Sex And
Drugs”などもあって、決して悪いアルバムでは無いと今では思ってる(苦笑)。
このアルバムはジュリアナ・ハットフィールドのファンのみに薦められるモノであり、一般の音楽ファンには薦められないと思い、『オススメ・ディスク』では紹介しないし、『ヒロくんズ・チャート』でも1位を逃した。勿論年間ベストアルバム10に入るような出来ではないから、このホームページでこのアルバムについて言及できるコーナーはココしかなかった(苦笑)。他のアーティストだったら、私が語らずとも他の誰かが熱く語るところ、日本盤がリリースされなくなって久しい彼女の新作について語るひとは日本では少ないと考えられるため、「オレが語らずして、誰が語る!?」と考えて、このような記事を載せたよ(苦笑)。
この記事を書くにあたってネットでこのアルバムについて検索したところ、「本作はJuliana hatfield本人がPledge Musicを通してファンからアルバム制作の資金集めを募りレコーディングしたもの」との記事が目に付いた...(汗)。今後も彼女が新しい作品をレコーディングする環境に居られることを祈ってます。え? 祈ってるだけじゃなくて...(以下、略)。
(2011.12.27)