晩秋の奥秩父の甲武信ヶ岳に行って来た。去年(2003年)の勤労感謝の日の3連休に甲武信から金峰山まで縦走したばかりなのにまた此所を訪れたのは、弟子を鍛えるのにお手軽な山だからである(笑)。今回歩いたのは、毛木平から千曲川源流を経て甲武信ヶ岳に登り、十文字峠を通って元の毛木平に戻る一周コース。お手軽な1泊2日コースである。健脚者なら日帰りで一周してしまうところを1泊2日の日程で行くわけだからラクなのはアタリマエだが...(苦笑)。
11月13日(土)、クルマで富山を5時半に出発。松本I.C.から高速に乗り、小淵沢I.C.で降りる。山梨県が減価償却を諦め無料解放になったという八ヶ岳公園道路を通り、9時半過ぎに長野県南佐久郡川上村に到着。高原野菜畑のなかを進んでいき、毛木平駐車場に到着。ここらへんの山がにぎわうのは(大概)文化の日までと知ってるので予想していたとおりだが、毛木平駐車場は半分くらいは空きスペース。難無くクルマを駐めれたが、これがもうひと月早ければ、クルマで一杯なんだろうけど...(苦笑)。駐車場ではこれから登山を開始すべく準備をしてる中年カップルが居た。川上村に入る前に国道141号線のセブンイレブンで買って来た弁当で腹ごしらえを済ませてから、10:08に出発。林道状の道を歩き出して10分足らずで十文字峠コースの分岐に出た。去年はここから十文字峠のほうに入ったけど今年はこのまま西沢沿いのコースを行く。クルマが通れそうな幅の広い道を歩いていると右手に祠が現れた。ガイドブックにある大山祇神社だろう。ここを過ぎると道は登山道然としてくる。が、あくまで「千曲川源流遊歩道」なので、傾斜は相変わらずユルい。小沢があるところで休憩した後、なおも緩い傾斜の道を往く。今朝の富山は天気が悪く雨降りだったけど、こちらは快晴で、空は真っ青だ。歩くひとも少ない。毛木平の駐車場を出る時の見かけた夫婦連れの登山者を抜いたり抜かれたりを繰り返してたけど、たまに下山の登山者とすれ違うだけで、静かな山歩き。11:57にナメ滝を過ぎて、20分弱往ったところで休憩。ここで昼食。
毛木平から延々と西沢の左岸に付けられた単調な道も、やがて道は川を右岸へ左岸へと何度も渡り返すようになる。それでも、川沿いの単調な歩きには変わりない。行けども行けども西沢の水量は豊富で、「ホントに千曲川最初の一滴のか細い流れになるのか?」と思ったくらい。が、歩き続けているうちに、さすがに沢の流れはか細いモノへと変わっていった。毛木平から歩くこと3時間足らず、遂に千曲川信濃川水源地標に、13:18到着。
前にも何度か来て知ってるけど、相変わらず千曲川信濃川水源地標は鬱蒼とした林のなかに立っている。昼が短い今の時期だと既に辺りは薄暗くなっており、陽が当たらないので寒い。標の周りには、ハイカーの休憩用のベンチと、水源地に降りる階段がある。日本一長い川である信濃川の最初の一滴を見たい!...と思ったのか、弟子が階段を降りていく。か細い流れを10メートルほど遡ると、流れは伏流になる。「日本一長い信濃川が初めて地表を流れる部分」を見て弟子は満足したようだ。私は水筒にこの水源地の水を汲む。この日の宿泊地の甲武信小屋では、水1
litter が\50だからなぁ〜(笑...「ケチ!」って言うなぁ〜〜〜!!!)。
13:34に千曲川信濃川水源地標を出発。今までの川沿いの単調な歩きとはうって変わって、ジグザグの急登りだ。それも長く続かず、20分ばかりの登りでアッケなく奥秩父の主脈縦走路に出た。ここからコースを東にとり、しばらく歩いていると、目指す甲武信ヶ岳の頂上が見えて来た。たけど、どんどんガスが上がって来てるようで、私たちが先に甲武信の頂上に着くか、それともガスが上がるのが先か?といった一種の競争のような様相を呈して来た(苦笑)。樹林帯を抜け、ガレの急坂を登り切ったところが甲武信ヶ岳の頂上。14:14着。あいにく、競走には負けたようで(苦笑)、富士山方面は勿論のこと、国師ヶ岳方面もガスに包まれ見えず。五郎山方面の岩峰方面と北隣の三宝山のみがなんとか見えた。
日本百名山の甲武信ヶ岳の頂上ということもあり、多くの登山者が居たが、みんな展望が無いのと、寒いのと(笑)で早々に引き上げていく。私たちも、頂上を辞してこの日の宿泊地・甲武信小屋に向かった。14:44、甲武信小屋着。
甲武信小屋前は意外ににぎやか。どうしてそんなににぎやかなのかはすぐには分からなかったけど、どうやら11月の第2日曜日は奥秩父で亡くなった登山者たちの合同慰霊祭の日と決まってるらしく、そのため登山者が多く集まってるようだ。どこかの大学の部員教育が行き届いた山岳部の可愛いネェチャンが「こんにちは♪」と愛想よく挨拶してくれた〜♪ その大学の山岳部のムサいニイチャンも「こんにちは」と挨拶してくれけどな...(苦笑)。この日は甲武信小屋前でテント泊。部員教育が行き届いた山岳部はさっさと寝てくれたけど、どっかのオジサンオバサン・パーティーが9時まで騒いでてなかなか寝れなかったゾ!
翌11月14日(日)は朝4時30分に起床するつもりが、部員教育が行き届いた山岳部のみなさんが4時起床で食事の準備を始めバタバタしてたので、こちらも起きてしまった(苦笑)。朝食を済ませたけど、まだ5時だし、夜明けまで時間があるからもうひと眠りするかぁ〜と横になっていたらホントに寝てしまい(苦笑)、再度目が覚めて、テント撤収や荷物のパッキングやってるうちに7時になってしまった(苦笑)。前夜うるさかったオジサンオバサン・パーティーはようやく朝食中のようだ。7:06、甲武信小屋発。この日は、天気が良ければ甲武信ヶ岳の頂上に登り返すつもりだったけど、天気は曇りで、時折雪がチラついてたりしてたので、甲武信小屋から十文字峠のほうへの近道(巻き道)を往く。10分あまりの歩きで、甲武信ヶ岳―三宝山間の縦走路に出た。昔の柳小屋コース(今も歩けるの?)の分岐があるところだ。夜間あまり寒くなかったのに、樹木には雪(氷?)が着いていて、樹氷状態。その寒々とした道を往くと、山宝岩への分岐を経て7:44に三宝山の頂上に到着。一等三角点の山にして埼玉県の最高峰の三宝山の頂上は南側が開けており、甲武信ヶ岳や富士の裾野が見えた。頂上では夫婦とおぼしき熟年登山者が、地元のオッチャン登山者から地元の温泉についてのウンチクを聞かされていた(苦笑)。川上村の北隣の南相木村にイイ温泉があるんだってさ(笑)。
今回の山旅の最高地点である三宝山頂上を過ぎ、後は下りだけ...とはいかず、l細かい登りと下りを繰り返す。三宝山まで登山者を数名みただけで、登山者を見ることが殆ど無い山歩きだ。尻岩で休憩後、武信白岩山南の岩峰に登る。武信白岩山には巻き道があるのを知ってるので、間違って武信白岩山頂上への道に誘い込まれないように注意した(笑)。十文字小屋までの最後の大きな登りである大山頂上への急な登りを歩き、9:46に大山頂上に到着。朝は雪がチラつくような天気だったけど、すっかり青空の見える快晴になっている。大山頂上からは、川上村の高原野菜畑がよく見えた(笑)。今回の山旅の一番の難所・大山頂上からの鎖場のある急な下りを慎重に下り、樹林帯のなかの道を往くと、やがて十文字小屋の屋根が見えて来た。10:37、十文字峠着。峠で記念撮影をした後、毛木平への道に入る。しばらく緩い登りを往き、八丁坂ノ頭からはつづれ折りの道になる。今年日本にたくさん上陸した台風の影響か、幾らか道が荒れてる気が...。毛木平に下り切る前、千曲川源流挟霧橋の手前の沢を渡渉する部分があったんだけど、去年このルートを歩いてる私にはこんな渡渉をした覚えが無い。もしかして、橋が流された??? ということで、異様すぎるくらい立派な千曲川源流挟霧橋を渡るとすぐに前日の分岐に戻り、12:01に毛木平駐車場に到着した。
帰りは、先週寄った時に弟子が「とっても気に入った」という私の定番の温泉・富士見温泉の『ゆ〜とろん』で山の汗を流してから帰宅(笑)。
日本百名山だけど、シーズンを外したせいか、静かな山旅が出来ました。
【行動記録】2004年11月13日(土)〜11月14日(日) 1泊2日
11月13日(土)
毛木平駐車場1008─十文字峠コース分岐1017─大山祇神社1032―1104//1114―
―ナメ滝1157―1214//1229―1318千曲川信濃川水源地標1334―奥秩父主脈縦走路1353―
―1414甲武信ヶ岳1429―1444甲武信小屋
11月14日(日)
甲武信小屋706―甲武信小屋巻き道分岐718―744三宝山754―832尻岩842―
―武信白岩山分岐914―946大山頂上1006―1037十文字峠1047―八丁坂ノ頭1106―
―十文字峠コース分岐1154―1201毛木平駐車場
【1:25,000地形図】居倉、金峰山