ヒロくんのLIVE REPORT '99 PART 21 THE CHARLATANS

 『イカサマ師集団』ザ・シャーラタンズのライヴを12月3日、クラブチッタ川崎で観て来た。'97年、'98年に続き、3年連続で彼らのライヴを観ることになる私。ニュー・アルバム『アス・アンド・アス・オンリー』リリースに伴う今回のジャパン・ツアーは、全公演、サポートとしてWINOが演奏することになっていた。『和製シャーラタンズ』と呼ばれるWINO、(デビュー盤を買ったもののまだ聴いていないけど)興味あるアーティストなので彼らの演奏も楽しみにしていた。開演予定時間の7時になるとすぐ、WINOの5人が登場。全部で6曲演奏していたが、変化を見せたとされる2ndからの曲が多かったのかどうか知らないけど、『TVでオアシスの曲が流れてる...と思ったら、WINOのデビュー盤のCMだった...』という体験を10ヶ月前に実際にしてる(笑)のに比べたら、今回ここで披露された曲は、シャーラタンズにもオアシスにも似ていないように感じた。ただ、ヴォーカルの吉村君のステージ上での動きには、かなり『ティム・バージェスが入って』いたが(笑)。
 WINOの演奏時間は30分ちょっと。セット・チェンジがステージ上で行われ、フロアのファンがシャーラタンズの登場を待っていると、8時10分過ぎ、場内に新作収録のインストゥルメンタル・ナンバー“Good Witch, Bad Witch 1”が流れ始める。これに歓声を上げるファン。ステージにシャーラタンズの5人が登場し、先のプロモ来日時と同じく髪に入れた金メッシュが目立つヴォーカルのティム・バージェスが早速、ファンに笑顔をふりまく。ここで、流れるキーボードのフレーズは“Forever”のイントロ。歌のキメの部分の♪forever ! ~ のところで、ティムの歌に合わせ多くのファンが腕を突き上げた。“Forever”が終わると、ティム、日本語で「コチワ」(←「こんにちは」のつもりらしい...笑)と挨拶すると、「next song is “The Blind Stagger”!」と曲紹介。新作から2曲続けたところで、ファンに人気の『テリング・ストーリーズ』から、タイトル曲と“North Country Boy”。特に“North Country Boy”は、ティムから曲紹介があると観客が歓声を上がるほどの人気曲だ。
 ティムは、今回のライヴでは髪の毛を肩にかかるほど伸ばしていて、焦茶系統の長袖シャツ姿というイマイチ垢抜けない服装のせいもあってか、川崎麻世とかあいざき進也といった1970年代のB級アイドルみたいだと思った(笑...ウウ...トシがバレる...)。その『'70年代のB級アイドル』ティムがマウスハープ(別名・ハーモニカともいう)の腕前も披露した“Impossible”が終わると、ケミブラとの共演で人気曲の“One To Another”をプレイ。ティムの曲紹介で始まった“Senses (Angel On My Shoulder)”からアルバムと同じ流れで“My Beautiful Friend”をプレイしたところで、演奏し出したイントロは、デビュー・アルバムからの“The Only One I Know”。オールド・ファンには懐かしかろう。
 それにしても、ティムは若い! とても30代半ばのオヤジには見えない。シャーラタンズの残りのメンバーが実際の年齢相応にオッサン臭くなっているのに(特に、マーティン・ブラントとジョン・ブルックス)、ティムだけは(流石にもう10代には見えないが)実年齢よりは10は若く見える。もうデビューから10年近いシャーラタンズだけに、会場には『マンチェスター・ムーヴメント』の頃からのファンなのだろう、どう見ても30代の女性ファンが少なからず居たが、彼女たちは、いつまで経っても年を取らないティムのことをどう思ってるんだろう? それがふと気になった...。と言うけど、私も彼女たちと同じ年代だけど(笑)。
 “Just When You're Thinkin' Things Over”の後は、去年の来日公演でもプレイされた新曲の“A House Is Not A Home”。アルバム『アス・アンド〜』収録ヴァージョンを聴いても、去年の来日公演で聴いた感じがしなかったが、ライヴだとマーク・コリンズのギター・リフがあの時と同じように強調されていたため、「去年観たライヴで演ってたワ、コレ」と記憶が蘇った。この曲が終わると、トニー・リチャーズが奏で始めたオルガン・フレーズは『必殺技』ともいえる“Weirdo”のイントロ。これには観客から悲鳴に近い歓声が沸き上がった。“Weirdo”の後に“How High”をプレイすると、シャーラタンズの5人は一度ステージを去った。
 この後、会場には観客のアンコール要求の手拍子が響き渡ったのだが 、どうもライヴ慣れし過ぎの首都圏の皆さん、熱心さが足りない...。過去2回のシャーラタンズのライヴを大阪で観て、彼の地の熱狂ぶりを知ってるだけに、アンコール要求時の盛り上がりの無さにもどかしさを感じた。それでもステージに戻ってきてくれたシャーラタンズ、アンコール1曲目は“Watching You”。これが終わると、マーティンが弾き始めたベース・リフは“Sproston Green”。彼らのライヴの最後を締める曲としてファンには毎度おなじみの“Sproston Green”だが、私はもう飽きたよ、このパターンに...。
今回のライヴ、わずか15曲しかプレイされなかったワケだが、そんなに短くは感じなかった。ライヴの後、曲数を数えてみて15曲しか演ってないことにようやく気付いたくらい。ただ、これだけキャリアのあるバンドだから全てのファンを満足させる選曲のライヴがムリなのを承知の上で言うと、選曲が新作に片寄り過ぎだったのでは? 会場のファンの間からは「やっぱ『テリング・ストーリーズ』の曲が一番だよな」という声があったけど、その他にも、3rdアルバム『アップ・トゥ・アワ・ヒップス』からの曲の消滅を悲しんだり、デビュー期のヒット“The Only One I Know”の復活に喜んだり、ファンによって今回のセットについての思いは様々だろう。私見を言えば、インストが無かったことが残念!「シャーラタンズといえば必ず1曲はインストだから」と、ベスト盤『メルティング・ポット』にも無理やり1曲インストを収録したほど、そこまでコダワっているインスト曲を、今回のライヴでは披露しなかった。マーティン、ジョン、マーク、そしてトニーの楽器隊4人の息の合ったプレイが堪能出来るインストこそシャーラタンズの真髄...と密かに思っているから、“Area 51”とか“Thank You”、聴きたかったなあ...。

【SET LIST】...'99.12.3 川崎・クラブチッタ
. Good Witch, Bad Witch 1
1. Forever
2. The Blind Stagger
3. Tellin' Stories
4. North Country Boy
5. Impossible
6. One To Another
7. Senses (Angel On My Shoulder)
8. My Beautiful Friend
9. The Only One I Know
10. Just When You're Thinkin' Things Over
11. A House Is Not A Home
12. Weirdo
13. How High

(encore)
1. Watching You
2. Sproston Green

THE CHARLATANS live @ Osaka IMP Hall '98.9.4

THE CHARLATANS live @ Umeda Heat Beat '97.9.7

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