ヒロくんのLIVE REPORT '05 PART 10 天野月子

 天野月子(以下、つっこ)の4thアルバム『A MOON CHILD IN THE SKY』に伴う全国ツアー、その名も『アマロ13』(『アポロ13』に引っ掛けてる?)の公演初日を観に、10月30日に東京に行って来た。会場のステラボールは品川プリンスホテルの敷地内にあるエプソン品川アクアスタジアム(水族館)の一角を占めるライヴホール。ステージに向かって横長のホールで、1階がスタンディング、2階の座席は(恐らく)ギョーカイ人のみのスペースとなってた模様。私は、ステージ向かって一番右端の最前列に陣取って開演を待った。
 開演前のホールにはクラシック音楽が流れてた。開演予定の18:30を廻ると開演を勿体つけるように、ステージの幕が上がり下がりし、18:45くらいから“菩提樹”のインスト・ヴァージョンが流れた始めた。ファンが曲に合わせ手拍子してると、このインストに載せ、つっこの喋りが流れる。「昔からエレヴェーター・ガールのイントネイションに『萌』だったのですが、最近、コンビニで同じイントネイションでレジを打つおばちゃんと遭遇しました。『お客様、315円のお買い上げです』(と、そのおばちゃんのイントネイションをまねる)。マスターしました。(ここで、場内、爆笑〜!!!) ギター : 石原慎一郎、ベース : 山田章典、ドラム : 武並“J. J.”俊明、コーラス : Rie、天野月子とプレイボーイズ、間もなく入場です」。つっこの喋りが終わると、ステージ上が真っ暗なまま演奏が始まった。新作からの“花冠”だ。ワン・ヴァースつっこが歌ったところで灯りが点き、ようやくステージ上の全貌が明らかに。ステージには古代ギリシアのパルテノンのような神殿のセットが組まれており、階段状になったセットの1段目中央にJ. J.のドラムセット、そのJ. J.の左にギターの石原慎一郎さん(以下、シャラ)、J. J.の右にベースの山田章典さん、J. J.の背後の1段上につっこ。さらに1段上にRieと、キーボード・プレイヤー(打ち込みのスウィッチを入れる係?)が居た。つっこは新作のジャケット写真と同じく、『スターウォーズ』のようなマントを羽織ってる。フードを被ってるため表情は窺い知れないが、手ぶりを交えながら情感込めて歌うつっこ。“花冠”を歌い終わるとつっこはマントを脱ぎ捨て、一番下の段までセットを駈け降り、ローディーからギターを受け取る。曲は“JOKER JOE”。マントを脱ぎ捨てたつっこは黒を基調としたフリフリ付きのセクシーで、それでいてロック・クィーン然とした衣装に大変身。サビの♪Joker Joe〜!ってとこで多くのファンが腕を振り上げ、声を張り上げた“JOKER JOE”が終わると、ギターをローディーに預けたつっこ、「次の曲いくぜ〜!」とファンを煽る。J. J.がドタドタと忙しいドラミングをみせた“鮫”に続き、つっこのM.C.。「間違って、水族館行ったひと、手を挙げて」とファンに訊いてから、山田さんのほうをみて「アッキーは間違って(水族館のほうに)行ったんだよね」(笑)。そして、自分の着てるミニスカ&フリフリ衣装について触れ、「これは“恋”(のP.V.)の衣装なんだけど、『目が合わせられない』って言うひとのためにあらかじめ言っておく。下に短パン履いてっから。ブルマーじゃないからな。後で『つっこ、ブルマー履いてた』ってネットで書かれるのもイタいんで、ブルマーじゃなくて短パンだと最初から言っとく」と観客に対しクギを刺す(笑)。「ニュー・アルバム聴いてくれたひと。(観客が反応を示す)。ニュー・アルバムからの曲てんこもりだからな。(ここで観客の歓声) “1/2-a half-”」と曲紹介。“1/2-a half-”の後も予告どおり“砂糖水”、“Stone”...と、新作からの曲が続いた。“Stone”の演奏が終わると、早くもメンバー紹介。シャラ、アッキー、J.J.、Rieの順にプレイボーイズを紹介したつっこ。Rieは通しのリハーサルの際に万歩計をつけてたら、全部で12,000歩カウントされてたそうな。曲に合せ体を揺らしながらバック・コーラスつけてるから、それくらいの運動量になるんだろう。最後に、「あ、ケンちゃん、こんなところに!」と、わざとらしく驚いてみせ、オープニングの喋りでの紹介からは漏れていた(苦笑)新入り、マニピュレイターの藤田謙一さんをここでようやく紹介したつっこ。私が観た過去2回のつっこのライヴではCDのアレンジ再現のため「アテレコ」してたが、シンセの音がブ厚い新作のアレンジを再現するためにはシンセやS.E.のスウィッチを入れるメンバー(すなわち、マニピュレイター : 遠隔操作者)が必要なのだろう。
 「ここからは漢字一文字シリーズが続きます」と、つっこが喋ってから演奏されたのは、収録曲全部が漢字一文字のタイトルのアルバム『天龍』のラストに収められてた“ 枳”。“枳”が終わると、和風なS.E.が流れる。“蝶”のイントロだ。“蝶”では曲中盤から桜吹雪を思わせる桃色の紙吹雪が天井から次から次へと舞い落ちる。次の曲の“聲”では、天井から雪を思わせる白色の紙吹雪が舞った(笑)。この曲には♪抱かれ〜ながら〜眠り〜につき〜たい〜の部分のように地声とウラ声をいったりきたりする箇所が何ヶ所あり、CD聴いてるとライヴでちゃんと歌えるのか心配になるが、ライヴでもつっこはちゃんと歌いこなしてて、ひと安心。“聲”の終盤、つっこは階段状のセットを駆け上がり、曲が終わるとステージ向かって右側の袖に消えた。つっこがステージから消えてもプレーボーイズはステージに残り、次の曲の演奏を始める。『天龍』からの“天”だ。この曲はインストにつっこのポエトリー・リーディングが乗るだけ。オープニングの時同様にバック・ステージでつっこは喋ってるみたいで、声はすれども姿は見えず。ステージ上ではシャラがギターを掻きむしり、Rieさんが踊りながら♪woo〜woo〜とコーラス入れる。CD聴いてるだけでは分からなかったけど、こうしてライヴで聴くとこの曲が意外にヘヴィーなことに気付く。プレイボーイズが“天”の演奏が終えると、新作のアタマを飾るインストが流れ、そのままCDどおりの流れで“Devil Flamingo”へなだれ込む。バック・ステージでポエトリー・リーディングを終えた(笑)つっこがステージに戻って来た。先ほどまでのミニスカ衣装から、ズポンに着替えてたつっこ。“天”で「なみだはしんじゅ。しんじゅはうみに〜」などとポエトリー・リーディングしながら衣装の着替えをしてるつっこの様子を想像すると笑える。ローディーからギターを受け取り構えると、「後半行くからな! ノリ遅れるな!」と観客に檄を飛ばすつっこ。“Devil Flamingo”の次は、オルゴールのS.E.のイントロから“人形”へ。この曲でファンが盛り上がると、アルバム『MEG LION』の流れどおり“日曜日”へ。ポップな“日曜日”の後、つっこが「もう一丁いくぜ〜!!!」と叫ぶと、フロアにファンには耳馴染みのS.E.が流れる。デビュー・アルバムからの“Butter Fingers”で、シャラがCDどおり“Day Tripper”のイントロなどを織り込んだギター・プレイをみせた。“Butter Fingers”の後のM.C.で、パソコンテレビ 『GyaO』でやってる『天野草子』について「『あまのくさこ』じゃないよ」などと話題をフったつっこ。
 この日はカメラが数台入っていてライヴの模様を撮影してたんだけど、カメラを意識しハリキリ過ぎなのか、最初からエンジン全開だったつっこ。後半に入ってからヴォーカルだけじゃなくギターも頑張ってたけど、ハリキリ過ぎのツケが廻ったのか、“イデア”では歌詞をド忘れする決定的なミスを犯してしまったつっこ。もし、ライヴDVDが出ても、“イデア”は削除か編集だな(苦笑)。この頃からつっこの声に艶が無くなり、「磯野カツオ」状態(苦笑)になってきた。TVアニメ『金色のガッシュベル!!』のエンディング・テーマの“イデア”が終わると、ここでようやくつっこはギターを下ろし、TVアニメつながりで(?)往年の人気TVアニメ『聖闘士星矢』の主題歌のカヴァー(らしい)を披露。ステージ上にはローディーがハロウィンのカボチャのお面やカゴを持ち込んだ。次の“萌”では、カボチャ形のカゴに入ってたキャンディーを観客に向けて投げ込むつっこ(笑)。ハロウィン・タイムが終わるとつっこは再びギターを構え、“スナイパー”を披露。サビの部分で曲に合せて手拍子するファンたちに向かってマイクを差し出し、自分の代わりに歌うよう仕向けるが、残念ながらステージとフロアに距離があるため、マイクはファンの歌声は拾えなかった。次は“トムパンクス”で、ファンが大いに盛り上がった後、つっこのM.C.。ここでは、プールの脱衣所でのある出来事のお蔭で、他人に対する思いやりの姿勢が変わったことを喋った。「残り少ないんだよねぇ」とのつっこのひと言にファンがブーイング。ここで披露したのが“翡翠”。ステージの天井に青い翡翠のようなライトが光る。最後の曲は、やっぱりいつもどおりの“巨大獣”で、やっぱりいつもと同じく、プレイボーイズの演奏が終わる前に観客におじぎしてつっこはステージを去った。
 プレイボーイズもステージを去ると、オープニングと同様“菩提樹”のインストが流れる。ファンが曲に合わせ手拍子してると、つっこひとりステージに戻って来て、「まだ1曲演り残したような気がしてさ」と語り、アコースティック・ギターの弾き語りをしたのが“博士と孔雀”。曲が終わると謎の集団、秘密サークル・タイガーマシーンの『タイガー・ナイト』(12月18日)にゲスト出演する話をし、つっこはステージを去った。ここでまた会場に“菩提樹”のインストが流れ、ファンが曲に合せ手拍子すると三たびステージにつっこ登場! 「きっとまた呼んでくれると思ってたんだ」と嬉しそうなつっこがまた、ギター弾き語りで歌ってくれたのが“カメリア”。CDでは仰々しいアレンジが施され、ファンの耳にはそれが当たり前になってるけど、こうしてギター一本で聴くと、つっこがギターで曲作りした時はこういうシンプルな曲だったんだろうな...と、原点が窺えられ興味深い。
 こうしてこの日のライヴは静かに終わったんだけど、カメラ廻してるせいか、つっこもプレイボーイズのハリキリ過ぎで音が大き過ぎ、大味に感じられたところもあった。

【SET LIST】...'05.10.30 品川プリンスホテル・ステラボール
1. 花冠
2. JOKER JOE
3. 鮫
4. 1/2-a half-
5. 砂糖水
6. Stone
7. 枳
8. 蝶
9. 聲
10. 天
11. A MOON CHILD IN THE SKY~Devil Flamingo
12. 人形
13. 日曜日
14. Butter Fingers
15. イデア
16. アニメ『聖闘士星矢』の主題歌らしい
17. 萌
18. スナイパー
19. トムパンクス
20. 翡翠
21. 巨大獣

(encore 1)
1. 博士と孔雀

(encore 2)
1. カメリア

TSUKIKO AMANO live @Nagoya Club Quattro '03.11.1

TSUKIKO AMANO live @Kanazawa AZ Hall '02.12.1

INDEX