ヒロくんのLIVE REPORT '06 PART 2 THE WHITE STRIPES

 『激ブス』こと(笑)ザ・ホワイト・ストライプス(以下、ストライプス)の新作『ゲット・ビハンド・ミー・サタン』に伴う2006年ジャパン・ツアーは、本来ならば1月中旬に行われる筈だった。しかし、ヴォーカルのジャック・ホワイトがノドを痛めたため、急遽延期&3月に振替となった。私も本来なら大阪で観る筈だったが、この延期&振替を受け、チケットの払い戻しと名古屋公演のチケットの再入手を余儀なくされた(苦笑)。ということで、ストライプスのライヴを観に、3月8日に名古屋駅近くのZEPP NAGOYAへ行って来た。
 近年オープンしたばかりのZEPP NAGOYAで私がライヴを観るのは、初めて。そもそも、ライヴ観に名古屋に来るのも、
前回のストライプスの来日公演('03年)以来。その時の会場はクラブ・クアトロで、今回の会場はクアトロの6倍はある広さ。この数年の間にいかにストライプスの人気が上昇し、ロック・シーンにおける位置付けが大きくなったかが、よく分かる。開演前のステージ上を観てまず思ったのが「ステージ上にいろんなモノを置いてるなぁ〜」(笑)。私がストライプスを初めて観たのは2002年の『フジ・ロック』だが、当時は「機材は2人で全部持って世界を演奏して廻ってます」と言われたら信じちゃいそうなくらい、必要最小限の機材をステージに持ち込んでたストライプス(もっとも、メグのドラム・セットを2人で持ち運べるワケがないが...苦笑)。ジャックのオルガンも、携帯時の利便性を考え、取っ手の付いた箱に早変わりするモノだった。前回の『エレファント』のツアーで観た名古屋でのライヴも、ドラムの位置をマークしたシートの上にメグのドラム・セットを置くなど、狭いハコで対バンが居ることを想定し、セット・チェンジをすぐに済ませれるようにとの配慮が窺えた(苦笑)。だけど、ビッグなバンドとなった今のストライプスなら自前のセットや機材を誰にも遠慮することなく置けるのである。(彼らのホームページをみたひとなら御存知なとおり)彼らの近年のトレード・マーク(?)になっている白い樹木のジャングルのセットがステージの両側に並べられている。ステージ向かって左側に置かれているメグのドラム・セットの横にはティンパニが並べられ、ドラム・セットとの間にはタンバリンやマラカスといった小道具類が置かれてる。ステージ向かって右側にはジャックの弾くキーボード類が2, 3台設置されており、ステージ向かって左側のメグの真ン前だった私の位置からは死角になって見えないところにも、まだまだ楽器が置いてあったことがアンコールの時になって分かることになる。
 開演時間の7時を15分ほど過ぎた頃、フロアの照明が消え、会場内に新作『ゲット・ビハインド・ミー・サタン』の日本盤ボーナス・トラックの“Who's A Big Baby?”が流れる。ステージに、アルバムのアートワーク同様シルクハットを被って黒い上着を着たジャック・ホワイト(ただし、口ヒゲは無かった...苦笑)と、アルバムのアートワークのミョーなパーマをやめストレートに戻した(笑)メグ・ホワイトが登場。ポラロイド・カメラを手にしたジャックは、観客に向けて次々をシャッターを切り、出来上がった写真をばんばん観客に放り込んでいた。ドラム・セットに座ったメグに向かってシャッターを切り、出来上がった写真を観客に放り込んだ後、ポラロイド・カメラを置き、ギターを構えたジャック。メグと2人で♪ジャ〜〜〜ン!...とやったところでステージ後方の黒い幕が落ち、白い樹木のジャングルと中央に白いリンゴが描かれてるバック・ドロップが出現! 観客が歓声を上げたところで、ジャックが弾き始めたギター・リフは、新作のアタマを飾る“Blue Orchid”。このイントロ聴いて盛り上がった観客が手拍子を始め、場内はいきなりヒート・アップ。次の曲は“Dead Leaves And The Dirty Ground”。ジャックの弾くギター・リフでファンは何の曲かが分かり、歓声を上げた。この曲が終わると、メグはドラム・セットを離れ、隣のティパニのところへ移動。メグがヴォーカルをとる新作からの曲“Passive Manipulation”だ。メグは白いブラウスに赤の長ズボン。ドラム・セットに就いてる時には気付かなかったけど、こうやって観客に向かって真正面になると、メグがノー・ブラなのが透けてみえる(苦笑)。ジャックのキーボードの伴奏で、メグがティンパニ叩きながら歌った“Passive Manipulation”。2台のティンパニの間にトライアングルが吊り下がってたが、この曲演奏中に1回鳴らしたのが、この日のライヴでトライアングル鳴らした最初で最後の1回となった(苦笑)。この曲の後、メグはドラム・セットに戻り、ジャックが何やらチョロ〜ッと歌った。“When I Hear My Name”の次、ジャックがキーボードを弾く。演奏始まったのは、“Jolene”。カヴァー曲だけど、すっかりストライプスの代表曲となっていて多くのファンが♪Jolene〜Jolene〜Jolene〜Jolene〜...と一緒に歌う。2ndヴァースからジャックはキーボードからギターに変更。ファンに大ウケの“Jolene”が終わると、ジャックはここでシルクハットと黒の上着を脱ぎ、赤の上下姿に。姉である(?)メグを観客に紹介し、次に演奏する曲についてM.C.。「“My Doorbell”」。ジャックの曲紹介でファンが歓声上げると、新作からの軽快なこの曲が披露された。メグは鈴を持ちながらドラムを叩き、ジャックは上下に並べられた2台のキーボードを同時に器用に弾いてる。まるで「でたらめ」や「アット・ランダム」に鍵盤に指に置いてるとしか思えない無造作ぶりだが、しっかり曲になっている。このひとにはいったいどれだけ才能があるんだぁ〜? この後、1stからの“Astro”。“Astro”からは別の感じの曲をチョロっと演り、新作からの“Instinct Blues”、人気曲で観客から♪1, 2, 3, 4,〜の合唱を誘った“Hotel Yorba”と曲が続いた。
 ジャックがファンに馴染みのギター・リフを弾き始める。4th『エレファト』収録のメグがリード・ヴォーカルをとる曲“In The Cold, Cold Night”だ。ドラム・セットを離れ、ステージ中央のジャック使用のマイク・スタンドに歩み寄るメグ、マイクの高さを自分向けに調節(笑)。ファンから暖かい手拍子のなか、1曲歌い切ったメグはドラム・セットに戻り、ローディーがマイクの高さをジャック仕様に合わせに来た(笑)。
 メグ・タイムが終わった後、“Sister, Do You Know My Name?”、“Death Letter”、“Do”...と、1stと2ndからの曲が続く。これらの楽曲に馴染みのないひとも多いせいか、フロアの反応は正直、イマイチ。ここでメグが三たびドラム・セットを離れたので「今度は何を歌うの?」と思ってしまったが、ステージの床に直に座り(?...私の位置からは死角に入ってるため、正確には分からなかった...)、ボンゴを構える。ジャックのアコースティック・ギターとメグのボンゴで演奏されたのが、“ As Agly As I Seem”。この曲が終わると、メグはドラム・セットに戻る。ここでジャックが弾き始めたギター・イントロを聴いて、観客が歓声を上げる。“I Just Don't Know What To Do With Myself”だ。ファンに人気の曲だから、ジャックも♪I just don't know what to do with myself〜の部分はわざと歌おうとはせず、ファンに歌わせた。ファンが♪I just don't know what to do with myself〜の部分だけ(苦笑)大合唱したところで、“The Hardest Button To Button”。この曲が終わると、ジャックもメグもステージ向かって左側の袖に消えていった。
 ファンがアンコールをよ要求する手拍子を続けてると、暗転してたステージに灯りがともり、ジャックとメグがステージに戻って来た。ジャックはステージ中央奥に設置されてあったマリンバ(木琴)を弾き始める。こんなところにマリンバがあったとは、私の位置からは気付かなかったよ! ジャックはそのままマリンバでいろんなフレーズを叩いてみせてたが、マリンバを使う曲は限られてる(苦笑)。当然のごとく披露されたのが、新作からの“The Nurse”。メグのバス・セットに仕掛けがあるようで、バス・ドラムを鳴らすごとに「ジャーン!」という効果音っぽいクラッシュ音が鳴った。“The Nurse”の後、“Ball And Biscuit”を挟んで披露されたのは、
2002年の『フジ・ロック』で彼らのライヴを観たファンには懐かしい“The Uinon Forever”。あの時と同じように、メグのドラムが相変わらずモタってる(苦笑)。トップ・アーティストの仲間入りをし、数多くのライヴをこなしているというのに、ここまで上達しないのも珍しい(苦笑)。曲が終わってマリンバを離れたジャックが手にしたのは、バンジョー。このひとはいったいいくつの楽器をこなせるんだろう?(苦笑) メグはタンバリン持って、カントリー・ソングっぽい“Little Ghost”へ。2人のヴォーカルで“Little Ghost”を歌い終わったところで、“Red Rain”。メグのドラム・セットのハイ・ハットの隣には、みたこともないような楽器が置かれていたんだけど、この曲のイントロ部で使われたんでようやく正体が分かった。ボタン式のベルだった。私の隣に居た客の口からも「あーーー、これかぁ〜」といった感じの納得のため息が漏れてた(苦笑)。最後の曲は、“Seven Nation Army”。多くの観客がこの曲のイントロに歓声を上げ、ステージ前方の客はモッシュ状態に。曲が終わると、ジャックとメグは横一列に並んで観客に御辞儀をし、ステージを去る際、メグは(おそらく)滑り止めのため柄に赤いフェルトが貼られたドラム・スティック1組をフロアに投げ入れてステージを去った。
 これまで観たストライプスのライヴとは大きく違い、ステージ上に多くの楽器を持ち込んでたライヴ。新作の音を再現しようと思えばこれだけの楽器の種類を持ち込み必要があるんだろうけど、いろんな楽器が登場するので、「次は何が登場するのか?」といった感じでワクワクし、これだけの楽器をちゃんと弾きこなすジャック・ホワイトの器用さに感心。もし、後にストライプスの歴史が振り返られることがあるなら、アルバム『ゲット・ビハインド・ミー・サタン』とそのツアーは大きな転換点と看做されるだろう。それだけバンドが音楽的にスケール・アップした。メグのバス・ドラムの皮の絵柄も今までの『ペロペロ・キャンディー柄』から卒業し、新作を象徴する『リンゴ柄』に変わってたし...(笑)。

【SET LIST】...'06.3.8 ZEPP NAGOYA
. intro (Who's A Big Baby?)
1. Blue Orchid
2. Dead Leaves And The Dirty Ground
3. Passive Manipulation〜?
4. When I Hear My Name
5. Jolene
6. My Doorbell
7. Astro〜?
8. Instinct Blues
9. Hotel Yorba
10. In The Cold, Cold Night
11. Sister, Do You Know My Name?
12. Death Letter
13. Do
14. As Agly As I Seem
15. I Just Don't Know What To Do With Myself
16. The Hardest Button To Button

(encore)
1. The Nurse
2. Ball And Biscuit
3. The Uinon Forever
4. Little Ghost
5. Red Rain
6. Seven Nation Army

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