ヒロくんのLIVE REPORT '10 PART 7 PAVEMENT

 1999年の活動停止以来、約10年ぶりに再集結し、ワールド・ツアーを行ってるペイヴメント。待望の来日公演のうち、ZEPP OSAKAでの大阪公演を4月10日に観て来た。 ペイヴメントのライヴを11年前に同じく大阪で観たけど、その時の会場は心斎橋CLUB QUATTROだった。現役時代よりも会場規模が大きくなってる(苦笑)。それを裏付けるかのように、ZEPPにつめかけたファンは今回初めてペイヴメントのライヴを観るような20代の新しいファンが中心で、11年前にも観に来てたような観客の姿は殆ど無かった。
 18時ちょうどに場内が暗転。B.G.M.に乗って、ペイヴメントの5人がステージ上に登場し、それぞれの持ち場に就く。昔と同じく、ヒゲもじゃでアヤしい風貌のスティーヴ・ウエストがドラムの椅子の上に立って、観客を煽る。待ちに待ったオープニング・ナンバーは1stからの“In The Mouth A Desert”。 ステージ向って左から赤い半袖シャツ着たギター兼リード・ヴォーカルのスティーヴン・マルクマス、 ステージ中央に白いTシャツ姿のベースのマーク・イボルド、ステージ向って右側に野球帽を被ったギター兼ヴォーカルのスコット・カンバーグが居て、中央奥のスティーヴのドラムキットの左側にボブ・ナスタノヴィッチのコンパクトなドラムキットが置かれてる。長袖シャツを腕まくりしてるボブは、ドラムやパーカッションを叩き、曲によってはキーボード類やマウスハープなどを操りながら奇声を上げるのが仕事(苦笑)。マーク以外の4人の前にはマイクスタンドが設置されてる。演奏が終わると、「アリガト!」と観客に御礼を言うボブ。スティーヴンが次の曲のイントロをギターで弾き始めると、ファンから歓声が上がる。名曲“Shady Lane”だ! この涼し気に乾いた曲でファンが盛り上がると、
'97年'99年のライヴでも演ってた“Father To A Sister Of Thought”。地味な曲だけど、スティーヴンにとっては「演らなきゃいけない曲」なんだろう、きっと(苦笑)。曲が終わると、ボブが改めて観客に御礼を英語で言う。次に披露された曲は、1stからの“Perfume-V”。1stの曲が披露されると、観客のウケもいい。続いて披露されたギターとドラムのイントロは、2nd『クルーキッド・レイン、クルーキッド・レイン』のアタマを飾る“Silence Kit”で、これまたファンから歓声が上がる。2ndで彼らの音楽に初めて触れた私にとってはうれしい選曲。この曲聴いてたら、1994年春のことを思い出したよ(笑)。曲を演った後、スコットが「happy hour」と言うと、続けてボブが「happy afternoon」と言う(苦笑)。その後、英語でボブたちに絡み始めた外国人客たちを、スティーヴンが「日本語で話せよ!」ってな感じで茶化してた。
 3rd『ワーウィー・ゾーウィー』からの“Grounded”と“Rattled By The Rush”(この曲では、スティーヴがドラムの椅子の上に立って、観客を煽ってた)が続けてプレイされた後、スティーヴンがミネラル・ウォーターのペットボトルの中身を、シャンパンをふりかけるようにブチ撒けた。ここで演奏されたのは、これまた3rd収録で、スコットがリード・ヴォーカルをとる“Kennel District”。スティーヴンが水をブチ撒けたため、ステージの中央付近が滑り易くなってる。そのためか、この曲が終わると、「slippery」などと言ってスコットは一旦ステージを去った。入れ替わりで(?)阪神タイガースの法被を着たローディーたちが、濡れたところを拭きにステージ上に登場。スティーヴンが「みんな見ろよ、タイガースの法被着てるぜ」ってな感じで観客たちの注意をひき、「ジョージマ〜〜〜!」と叫ぶ。さすが元メジャー・リーガー、城島健司の名はスティーヴンにも知れ渡ってる模様。スコット抜きの状態でスティーヴンたちが演奏始めた曲は、“Zurich Is Stained”。曲の途中に、スコットが缶ビール(サッポロ黒ラベル)を手にステージに戻り、自分の飲みかけの缶ビールをボブに手渡した。“Zurich〜”の後、ボブは自分の指の長さほどの小さいシェイカーを、ステージ前2列目くらいに居た観客がもってた同じくらいのサイズのシェイカーと交換。新たに自分のものとなったシェイカーをマイクの前で振ってみせたボブ。次に演奏され始めたイントロを聴いてファンから歓声が上がる。“Range Life”だ。サビの部分で一緒に歌ってるファンも居る。曲が終わると、スティーヴンが「アリガト」と日本語で御礼を言った。次の“Loretta's Scars”では、曲の終わりのほうでスティーヴがイスの上に立ち上がってシンバル類を叩いてみせた。“Starling Of The Slipsteam”を演った後、スコットがまた「happy hour」と言う。ここでプレイされたのはスコットがヴォーカルをとる“Two States”。観客が曲に合わせて手拍子をするなか、スティーヴンもリズムに合わせてカニのように右に行ったり左に行ったり横歩き(笑)。
 彼らのライヴを観るのは11年ぶりだけど、ジックスで今も活動中のスティーヴンと、ソニック・ユースのメンバーとして活躍してるマークからはそれほど老けた印象は受けず、ボブも昔のまんま奇声を発してるし、スティーヴは昔からヒゲもじゃで怪しかったし...で、11年という時間を一番感じさせたのは、スコット。彼が帽子を被ってるのはハゲ隠しだとはうすうす勘付いてたけど、“Fight This Generation”の前半の静かなパートのところで、スコットがステージ奥のほうに下がり、一瞬だけ帽子を脱いで汗を拭いた。帽子を脱いだスコットの頭...残念ながら、かなり薄くなってる...(苦笑)。転調し、ヘヴィーになった“Fight〜”(転調するところで、曲が終わったと思い、拍手をした観客も居た...苦笑)の後、殆どマークのベース・ソロに近い感じで始まったイントロは“Stereo”。この曲も、サビでは観客の合唱が起こった。ボブが音頭をとって観客とボブで「yeah〜〜〜! yeah〜! yeah〜!」と掛け合いをやった後に演奏されたのは、“Summer Babe”! 初期ペイヴメントの代表曲であるこの曲でも観客が合唱となったためか、曲が終わると、ボブが「アリガト!」と御礼を言った。そのボブはふだんはパーカッション類を演奏しながらマイクスタンドのマイクに向って奇声を発してるんだけど、次の“Unfair”ではマイクをスタンドから外して手に持って、ヴォーカリストとして大活躍(実際には、スティーヴンとヴォーカル・パートをシェア)。次に披露されたのは、♪woo〜woo〜woo〜woo〜woo〜woo〜のお祭り騒ぎみたいなコーラスがインパクトある曲“Cut Your Hair”。この曲が始まった時、場内が一番盛り上がった気がする。曲の後、ボブは「ドウモアリガト!」、スコットも「アリガト!」と御礼を言い、ペイヴメントの5人はステージを去った。M.C.らしいM.C.も少なく、テンポよくポンポン曲を演ってったため、70分くらいで本編は終了。
 ファンのクラップに応え、ステージに戻って来たペイヴメントのメンバーは皆、甲子園球場のタイガースファンが7回ウラに飛ばす風船を膨らませた状態で手にしてる。誰かの合図で一斉に風船を飛ばし、観客の歓声を誘う。みんな風船を飛ばし終わった後もボブひとりだけ手元に残ってた風船を膨らませ、飛ばせた。アンコール1曲目はスコットがヴォーカルの“Date W/ IKEA”。前述のように外見では(苦笑)メンバー中一番老化が進んでるようにみえるスコットだけど、高音パートでも昔のように声が出ないようで、♪call my name〜の部分などかなりフェイクしてた(苦笑)。 この後、スティーヴンのヴォーカルで、ベスト盤にも入ってる“Debris Slide”、CDと比べ、いっそう壊れた演奏で再現された“Stop Breathin”、そして“Here”をプレイ。この曲の終わりになると、ボブは観客に向って御礼を言い、真っ先にステージを去る。スティーヴはドラムから離れ、スコット、マークも楽器を下ろし、口々に観客に御礼を言ってからステージを去ったが、スティーヴンだけギターを弾いてる(“The Hexx”のようなリフ)。そしてステージ袖に引っ込んでもギターを弾いたまま。観客がスティーヴンがステージ袖で弾いてるギターのリズムに合わせながら手拍子をしてると、スティーヴンがステージに戻って来た。戻って来たのはスティーヴンだけではなく、他のメンバーも。それぞれが所定の位置に就くと1曲何かのカヴァーみたいな曲をやっつけ仕事で演ると、初期の曲“Box Elder”、1stからの“Trigger Cut”を披露。次に、ボブがサンプラー(?)を操って流れたS.E.は“Spit On A Stranger”のイントロ。ここまで5th『テラー・トワイライト』からの曲は1曲も無く、もしかしたら1曲も演らないんじゃあ...と危惧してたけど、ギリギリになって登場。この曲では、スコットが膨らました風船から空気が抜ける音をマイクに拾わせてた。風船までもを楽器として利用(苦笑)。“Spit〜”の次に演った曲は“Gold Soundz”で、観客から大歓声が上がる。曲が終わると、自然発生的に2nd収録のインスト“5-4=Unity”が始まる。この不思議な感じのインスト、私は大好きなんだけど、ナマで聴けるとは思わなかった!!! 最後は、ボブがマイクを手に持って♪I'm tried〜を連呼する“Conduit For Sale!” 。スティーヴンは手のひらの上にギターを逆さ(ネックを下、ボディーを上)にして乗っけてフザケてみせる。曲が終わると、メンバー口々にファンに御礼を言い、ステージを去った。
 11年ぶりに観たペイヴメントは、スコットが老けた...などの外見上の変化はあったものの、緊張感のないユルい演奏は11年前と殆ど同じ(苦笑)。10年の間にメンバーが丸くなったせいかどうかは分からないけど、以前あったどこか突き放したような部分が少なくなった。ペイヴメントのライヴを観てここまで楽しかったのは、今回が初めて。このまま永続的に活動を続けてくれとは言わないけど、また集まってライヴを演って欲しいッス。

【SET LIST】...'10.4.10 ZEPP OSAKA
1. In The Mouth A Desert
2. Shady Lane
3. Father To A Sister Of Thought
4. Perfume-V
5. Silence Kit
6. Grounded
7. Rattled By The Rush
8. Kennel District
9. Zurich Is Stained
10. Range Life
11. Loretta's Scars
12. Starling Of The Slipsteam
13. Two States
14. Fight This Generation
15. Stereo
16. Summer Babe
17. Unfair
18. Cut Your Hair

(encore 1)
1. Date W/ IKEA
2. Debris Slide
3. Stop Breathin
4. Here

(encore 2)
1. Box Elder
2. Trigger Cut
3. Spit On A Stranger
4. Gold Soundz
5. 5-4=Unity
6. Conduit For Sale!

PAVEMENT live @ Shinsaibashi Club Quattro '99.8.22

PAVEMENT live @ Nagoya Club Quattro '97.7.6

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