ヒロくんのLIVE REPORT '10 PART 14 一青 窈

 一青 窈の全国ツアー『Tour 2010 おかわりありませんか』を私の地元・富山県射水市の高周波文化ホールで観て来た。彼女の富山でのコンサートは前々回はオーバードホール前回は富山県民会館での公演だった。回を重ねるごとに会場が小さくなってる...(苦笑)。
 開演予定時間の18:30を5分あまり過ぎた頃、場内の灯りが消え、ステージ向かって左側のある『A』の文字の型をしたゲートから女性ピアニストが姿を見せて、舞台に一礼してからピアノに就く。ステージ向かって右側からはパーカッショニストとギタリストが現れ、それぞれの持ち場に就くと、『A』のゲートからエンジ色のワンピースに銀色のハイヒール姿の一青 窈が登場。オープニング曲は、前作『Key』より“つないで手”。ステージ上を左右に動き回り、時折手振りを交えながら熱唱した一青 窈。今回のコンサートのバンドはピアノ、ギター、パーカッションのみだ。続いて“影踏み”、“栞”を披露すると、「改めましてこんばんは、一青 窈です」と観客に挨拶してM.C.タイムへ。まず、今回のアコースティック・ツアーのツアー名『おかわりありませんか』の名前の由来について説明。今回のツアーには、ニュー・アルバム『花蓮街』に伴うツアーを終えた後のアンコール・ツアーという位置づけもあり、「みんなお変わりないですか?」という意味の他に「お代わりが要りませんか?」という意味も込められていること。今日の昼に富山に着いたという一青 窈、地元の美味しいラーメン屋さんについて訊いたところ薦められたラーメン屋『スパロー』に食べに行ったとのこと。そこで、名前が気になった「カレー中華」を食してみたら、実態はカレーラーメンだったそうだ。『スパロー』という不思議な店舗名が気になり、店のオバチャンに由来を尋ねたけど、命名した先代が亡くなってて由来は不明とのこと。場末(こういう言い方はしなかったが)の飲屋街の雰囲気が気に入った模様(笑)。次に、島田紳助・司会のTV番組『行列のできる法律相談所』で、カンボジアの貧しい村に学校を建てる運動をした時に作った曲“はじめて”について触れ、それまで花の実物を見たことが無かったカンボジアの村の子供たちが、初めて実物の花をみた時のあまりの感動と喜びに、一緒に居た自分も嬉しくなった...と歌に込めた意味を説明し、この曲を熱唱。
 彼女のコンサートでの定番曲でダークな“翡翠”を演った後、自分が子供の時に預けられていた叔父さんがスナックに行くのが好きだったことから、私もスナック的なものに憧れがある...と語り、「こういうモノを作りました」とスタッフに運ばせたのが『スナック 窈』の電飾看板(笑)。グラスを乗せたお盆を持った赤いドレスを来たネーチャンが『A』のゲートに登場。「ウチ(の店)のナンバーワンです」と紹介し、ステージ上に招き入れた一青 窈。ネーチャンがバンド・メンバーひとりひとりに茶色い液体が注がれたグラスを手渡す。イイねぇ、気が利くねぇ...と言いながら、一口飲んで、「これ、ウーロン茶じゃない!」と一青 窈は文句を言ったけど、あくまで仕事中だからアルコールは厳禁。中身がウーロン茶だったのも、当然といえば当然(笑)。『居酒屋』なので、いろいろとお喋りしながら進めたいわ...などと語ると、子供の頃、台湾で過ごしてた時、日本の歌謡曲をよく聴いてて、姉とピンクレディの振り真似をよくやってた...などと話した一青 窈。ここで日本の歌謡曲のカヴァーを歌うことになった。最初のカヴァー曲を歌う前に、吉本ばななの本に載っていた読者とのQ.&A.「Q. 家族も友達も恋人も居るのに、寂しくてたまりません。どうしたらいいですか?」への吉本ばななによる回答から感じ取ったのと同じくらいの強さを感じる曲...というふうに曲紹介し、歌い始めたのは ちあきなおみの“喝采”。歌い終わった後、観客に改めて「ちあきなおみさんの“喝采”でした」と曲紹介した一青 窈、続いて、尊敬する作詞家・阿久 悠の話になり、岩崎宏美の“思秋期”を演ることになった。『FNS歌謡祭』で岩崎宏美本人とこの曲を一緒に歌ったことはとってもうれしい出来事だった...などと語った後、“思秋期”を披露。次に、服部良一のトリビュートに参加したことを話題にし、会ってみたいと思ってるけど、亡くなってしまって会うことができないひとについての話になった。「今日も、谷 啓さんがお亡くなりになりましたけど...」...エエッ!? 谷 啓亡くなったの?  今聞いて初めて知った! バンド・メンバーひとりひとりに「会ってみたいけど、会えないひと」について訊いて廻った一青 窈、女性ピアニストからは“Moon River”の作曲者のヘンリー・マンシーニ、パーカッショニストからは自分の祖父、ギタリストからは急に言われても思いつかないとの答えがそれぞれ返って来た。ここで服部良一トリビュートで参加した“東京の屋根の下” (灰田勝彦のカヴァー)を披露。
 一青 窈は歌謡曲が大好きで、新作『花蓮街』は『進化窈曲』(『新歌謡曲』)というコンセプトで作ったアルバムとのこと。TV番組で共演した時、谷村新司に「谷村さん、『歌謡曲』 って何ですか?」と訊いたところ、「僕にも分かんない。だけど、歌謡曲ってソウルがザワザワしてこない?」と言われたとのこと。ここで、新作から『進化窈曲』を3曲披露。最初に披露した“凧揚げ”では女性ピアニストがアコーディオンを演奏し、ノスタルジック感を出してた(この女性ピアニストは、他の曲ではピアノを弾きながら、時折鍵盤ハーモニカを弾く(吹く)という器用なマネも披露)。女性ピアニストがピアノに戻り、ダークな“上の空”。ピアノの音色が楽曲のダークさをいっそう引き出してた。ポップでダイナミックな“Final Call”を演った。ここで、またもやM.C.。表参道で友達と流し素麺を食べてたら、ファンの32〜33歳くらいの女性に「一青 窈にソックリですね」と声を掛けられたそうだ。「本人ですけど」と答えたところ、「エ〜〜〜ッ ホント〜〜〜!? テレビで観るよりも、実物はこんなに小粒なんですね」というふうにその女性は本物の一青 窈と会えた興奮がなかなか醒めないようで、ず〜〜〜っと「小粒、小粒」を繰り返したそう。「小粒、小粒」を繰り返され、もやもやとしたものが残りその日の夜、なかなか寝付けなかったんだけど、「小粒」じゃなくて「小柄」って言いたかったんじゃないの? ...と気が付き、その時に感じた もやもやを曲にしたという“こつぶ”をここで歌う。曲が終わると、観客に手拍子させ、そのリズムに合わせながら“ホチKiss”を披露。曲の途中にはステージから降り、客席の間を歩きながら歌う。客席に降りた一青 窈にどの観客も大興奮。私の横にも一青 窈が来てくれたので、2 mくらいの近距離で彼女の姿をまじまじと眺めた(笑)。ステージ上に戻り、最後はバック・メンバーと一緒に♪あなたと私〜ホチKiss〜Kiss〜Kiss〜...とアカペラで締めた。次の曲“冬めく”を演り終え、ステージ真ン中に仁王立ち状態になった一青 窈が歌い始めたのは、“もらい泣き”。彼女がサビの部分を独唱した後にバンド・メンバーが音を重ねる。この歌の途中でも一青 窈はステージから客席に降りたが、今回はあちこち歩き廻らずすぐにステージに戻ると、バンド・メンバーを女性ピアニスト、パーカッショニスト、ギタリストの順に紹介。曲の最後の歌詞♪やさしいのは〜そう〜君です〜...の部分を♪やさしいのは〜ここに居らっしゃる皆さんです!...と歌詞を変えて歌い、観客の喝采を誘ってた。ここで、残念ながら『スナック窈』は閉店時間になった...ということで、一青 窈からあと2曲でコンサートが終了する旨が語られた。まずは、観客の皆さんとのお別れが近いということで、“さよなら、ありがと。”を披露。そして、最後の曲は...勿論、あの曲しかあり得ない。一青 窈が語り始めた内容はだいたい次のようなものだった。「今日は9月11日は、9年前にアメリカで悲しい出来事が起こった日ですね。生まれてから戦争を身近に感じることが無かった私が、ニューヨークの友達と連絡が取れなくなったこともあって生まれて初めて戦争が身近に感じられました。それがいいことなのか、悪いことなのかは分かりません。私は、みなさんとみさなんの大切なひとが100年続きますようにと、願いをこめて曲を創りましたが、愛の連鎖よりも、憎しみの連鎖のほうが結びつくのが早いようです」 そして、改めて「みなさんとみさなんの大切なひとが100年続きますように、と」と語り、彼女の超・代表曲“ハナミズキ”をここで披露。曲が終わると、一青 窈は観客に向けて深々と御辞儀。ステージを去る時に、いつの間にか脱いでた銀色のハイヒールを、しっかり手に持ってから『A』字型のゲートをくぐってった。
 観客からアンコールを求めるクラップ(一部の観客からは「アンコール!」コール)が起こると、意外にアッケなく、一青 窈と女性ピアニストの2人が登場。一青 窈は水色のチャイナドレスに着替えてる。パーカッショニストとギタリストも、ツアーTシャツに着替えて登場し、まずはツアー・グッズの宣伝。一青 窈が好きで作らせた『めんたい海苔』をステージ前の観客に試食させ、「美味しいです」のコメントを引き出してからグッズの宣伝は終了。パーカッショニストとギタリストは一旦ステージ上から去る。「実家の庭に庭石が3つ並んでたんだけど、最近になってようやく庭石の良さが分かった。季節が変わっても変わらない物があることの良さが」などと喋ってから、ピアノのみをバックに、両親への感謝を込めた“アリガ十々”を歌った一青 窈。曲が終わると、パーカッショニストとギタリストがステージに戻って来て、改めてバンド・メンバーを紹介すると、「私は幼い頃から日記を付けてて、日記帳が何十冊もたまってるんだけど、こないだ久しぶりに小学生2年生くらいの時の日記をみたら、ヘタクソな字で『スイカさわれて、うれしかった』と書かれてた。ヘタな字なんだけど、うれしさがよく伝わって来た。みなさんも、どんな小さい幸せでもいいから、大切にして下さい」などと語り、“うんと幸せ”を披露。この曲が終わると三たびバンド・メンバーの紹介をし、全員観客に向って御辞儀。「今日はありがとうございました。また、お会いしましょう」などと観客に声を掛け、一青 窈たちはステージを去った。終演後、会場入口にはこの日のセットリストが貼り出してあった...(苦笑)。
 バック・バンドは3人のみのアコースティック・セットでのコンサートだったため、アレンジ的に演奏が最初から期待できない曲(“ユア メディスン”とか)があったのが残念だったけど、レアなカヴァー曲が聴けてよかった。あと、スナック的なトークも楽しかった。

【SET LIST】...'10.9.11 射水市・高周波文化ホール
1. つないで手
2. 影踏み
3. 栞
4. はじめて
5. 翡翠
6. 喝采 (ちあきなおみのカヴァー)
7. 思秋期 (岩崎宏美のカヴァー)
8. 東京の屋根の下 (灰田勝彦のカヴァー)
9. 凧揚げ
10. 上の空
11. Final Call
12. こつぶ
13. ホチKiss
14. 冬めく
15. もらい泣き
16. さよなら、ありがと。
17. ハナミズキ

(encore)
1. アリガ十々
2. うんと幸せ

YO HITOTO live @ Toyama Kenminkaikan '06.02.28

YO HITOTO live @ Toyama Aubade Hall '04.02.26

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