Superflyの3rd『Mind
Travel』に伴う全国ツアー『Mind
Traveler』を、7月21日に私の地元・富山のオーバードホールで観て来た。ちなみに、今回がSuperflyにとっては初となる富山公演になるけど、私自身は去年の『FUJI
ROCK FESTIVAL』でSuperflyのライヴを観てる。入口でチケットのモギリを済ませ入場すると、グッズやCDが売られてるスペースの一角には白い布が張られ、マジック・ペンも用意されていて、この日この会場を訪れた観客が東日本大震災の被災者たちに励ましのメッセージを書き込めるようになってた。
今回の私の席は3F。観客は20代ばかりかと思いきや、Superflyの'60〜70年代のレトロ・ロック趣味のせいか、50代や60代と思しきオジサンの姿もチラホラみられ、私が浮きまくることは無かった。開演前のステージには、小学校の体育館にあるような円形のトランポリンを立たせた感じのスクリーンにSuperflyのロゴが映され、開演予定時間の7時を廻るとそのロゴの色がピンクに変わる。しばらくすると客電が落ち、円形スクリーンには、赤いスーツケースを持ったSuperflyこと越智志帆が荒野を歩くという『Mind
Travel』のジャケットの世界観に沿った映像が映し出される。その映像のなかで“Sunshine
Sunshine”のサビの部分を歌い始める志帆。歌い終わったところで突然、(フレームとつないでスクリーンを張ってた紐が外れで)スクリーンが飛んで無くなり、バンドの演奏が始まる。オープニング・ナンバーは新作のアタマを飾る“Rollin'
Days”。スクリーンが無くなり円形のフレームだけとなった『トランポリン』の背後から志帆が登場。観客はすぐさま総立ちとなって手拍子を始める。志帆は膝くらいまでのジーンズに紫のブラウス着て、さらにヒラヒラをまとってた。バック・バンドは、ステージ中央の志帆の左右にそれぞれギタリスト、後ろの列に(ステージ向かって左から)女性バック・コーラス、キーボード、ドラム、ベースが居る6人編成。次の曲は、シングル“Eyes
On Me”のカップリング曲の“Rescue
Me”。小気味よいシンプルなロック・ナンバーの連発に、場内は一気にヒート・アップ。この曲を終えると、「Thank
you!」と観客に御礼を言う志帆。ここでデビュー・アルバムの1曲目を飾る“Hi-Five”が早くも登場。ライヴ開始の3曲で富山のファンの心をしっかりつかんだ。この曲を歌い終えてから、またも「Thank
you〜!」と御礼を言った志帆、ここでM.C.タイムへ。「こんばんは〜、富山!」と言ってから少し間を空けてから「はじめまして、富山!」と挨拶した志帆、富山で初めて演奏しに来たというのに、2,200人ものひとが観に来てくれてホントに嬉しい...などと語る。そして、新作『Mind
Travel』について、いろいろなタイプの曲を作ったこと、そして、いろいろな風景をみながら作った作品であることなどを話してから、「みなさんを海の中に招待します」などの次の曲の紹介をした志帆。“Deep-sea
Fish
Orchestra”だ。それまでステージ奥のスクリーンにはシングル“Beep!!”のジャケットにあるような缶バッジの柄が映されてたけど、ここで海の中を思わせる気泡柄に変わる。せっかく御招待いただいたけど、観客は「海の世界」にヒいてたようで(苦笑)、残念ながら、この日演奏された曲のうち一番反応が鈍く、静かだった。しかし、次の曲のイントロが演奏し始めると、観客の反応は一転し、熱を帯びた。だって、“Wildflower”だもん(笑)。この曲で“Deep-sea〜”での失点を一気に挽回(笑)。“Wildflower”を歌い終わると、今度は日本語で「ありがとう!」と観客に御礼を言った。ここで、またM.C.タイム。志帆はツアー中は殆どホテルに籠ったきりで、ふだんは滅多に出歩かないそうだけど、今回は初めての富山ということもあって、富山の街のなかを出歩いてみたとのこと。前夜には『舞子』という居酒屋で呑んだそうで、その居酒屋の兄チャンが威勢のイイひとだったため「富山のひとって元気なんだ」と思い、この居酒屋の兄チャンのお蔭で、ちゃんと盛り上がってくれるだろうか...というこの日の富山初公演への不安がいくらかは払拭されてたらしい(苦笑)。実際に、この日のライヴで観客が盛り上がってくれてるので「富山のひとが元気でよかった」などと志帆は語ってた。新作ではいろんなタイプの曲を歌ってて、こういう熱い思いを歌い上げるタイプの曲に初めてトライした...などと紹介してから志帆が歌い始めたのは、“Only
You”。この'50年代オールディーズっぽい曲の雰囲気づくりのためか、ステージの天井からシルクハット型(のような)シャンデリアが降りて来た。しっとりと歌い上げた“Only
You”に続くは、これもバラード風の“Eyes On
Me”。シングルとしてもリリースされてるこの曲を志帆が歌い終わると、シルクハット型のシャンデリアは御役御免となり、天井まで引き上げられてった。
ここで、2人のギタリストとキーボーディストを除いたメンバーは一旦ステージを去り、スタッフがステージ上にイスを半円状に並べる(ステージを去ったひとの分も含め、7脚)。志帆のイスだけは腕置きまであって立派(苦笑)。その間、志帆は「(客席の)5F〜!」と5F席の観客を煽り、「(客席の)4F〜!」と4F席の観客を煽る...というふうに上から順番に観客に声を上げさせ、最後に「1F〜!」と1F席の観客まで声を出させる。そしたら、ホールの壁面にあるバルコニー席の観客が、「私たちはまだ声を上げてないぞ〜〜〜! 私たちにも声かけて〜〜〜!」というふうに主張し始めた。彼らの要望を受け、バルコニー席の観客にもに声を上げさせ、煽りに煽ってから、アコースティック・コーナーに入ることを宣言。志帆自身もそれはよく分かってたようで、「ここまで煽りに煽っといて、アコースティック・コーナーに行くか?」などと自分で言ってた(苦笑)。アコースティック・コーナーの1曲目では、3人のバンド・メンバーと志帆のみで新作からの涼しげなナンバー“Morris”を披露。歌い終わった後、この曲について、「お父さんには『ありがとう』って恥ずかしくってなかなか言えないじゃないですが。その時にはこの曲をプレゼントしてあげてください」などと説明。ステージから下がってたメンバーも戻って来てイスに就き、志帆自身もギターを構えて「懐かしい曲」などと紹介してから演奏始めた曲は、2ndからの“やさしい気持ちで”。曲を演り終えると、「この曲はアコースティック分を増やして演ってみたいと前から思ってて、そのためアコースティック・ギター(以下、アコギ)を増やしました。ギターじゃないメンバーにもムリ言ってギターを弾いてもらいました」などと志帆。確かに、キーボーディストもベーシストもアコギを弾いてた(苦笑)。ギターを下ろした志帆。ここで、バンド・メンバーの紹介。長髪のギタリストの「Micky」こと昼海幹音さん(元・東京事変)、コーラスの大日向治子さん、ドラマーのアーミン・武士・リンツビヒラ、ベーシストの種子田健さん、キーボーディストのSUNNY...の順に紹介し、最後にもう1人のギタリストの番となったところで、「確か、富山出身でしたよね?」とギタリストに問う。その時点で、「あ、もしかして、八橋義幸さん〜」と悟った私(爆笑〜!!!)。ギタリストが富山出身と分かった途端、富山のファンから惜しみなく大きな拍手が送られ(志帆曰く、「私への拍手よりも大きい(苦笑)」)、八橋さんも「帰って来たがやぜ!」と富山弁で挨拶。私が八橋さんのことを知ったのは、BONNIE
PINKの2001年の『Just a
Girl』のツアーの時。この時の金沢公演では、彼の地元の高岡に近いこともあり、家族の方が観に来られてたが、今回はどうだろうか? その後も八橋さんはBONNIEのツアーに何度か参加してるけど、BONNIEのバンドでは富山には来られなかった(今のところは)。こうして富山に凱旋することが出来て感慨深いモノがあったことだろう。今回は家族の方が来られてるかは知らないが...(苦笑)。それにしても、SuperflyもBONNIEも所属事務所は『タイスケ』。凄く分かりやすい人選だ(苦笑)。バンマスの八橋さんを最後に、6人を紹介し終わったところで、もう1曲アコースティック・セットで演ると志帆が言ってから披露したのは、オープニング・ムーヴィーでも歌ってた(苦笑)“Sunshine
Sunshine”。曲の中盤で演奏は八橋さんのアコギのみとなり、他のメンバーは移動を始める。志帆はマイクを観客に差し出し、サビの部分の♪sunshine〜sunshine〜...の部分を観客に歌わせた。何度も歌い直しをさせ、観客の声量が志帆の満足する域に達した頃には、八橋さんを除くバンド・メンバーは元の位置に就いており、ここからはエレクトリックな演奏に変わった(ただし、八橋さんのみアコギを弾き続けた)。アコースティック・コーナーの前から志帆に言われて着席してた観客も、ここでパラパラと立ち上がり始めた。エレクトリックな演奏でこの曲を演り終えると、志帆はステージ上から姿を消す。その間、バンドの6人でインスト曲を演り始める(この間にスタッフが不要となったイスを撤収する...苦笑)。どうやら、志帆の『お色直し』の時間稼ぎのよう。その見方は正しく、インスト曲から“Fly
To The
Moon”になだれ込み、ステージに戻って来た時の志帆はラメ入りのワンピース姿(苦笑)。バンドがインスト演ってる間に席に就いてた観客も、志帆の登場に再び総立ちとなる。曲のイメージに合わせて、ステージ奥のスクリーンに満月の画像が映し出されてる。この曲の間奏部にかかり、志帆が「八橋義幸!」とフると八橋さんがギター・ソロを始める。次に「Micky!」とフるとMickyがギター・ソロを始める...というふうに、メンバー各人の簡単なソロ・タイムが設けられてる。SUNNYがキーボード・ソロ、大日向さんは声を張り上げてソウル・シンガーばりの声域の広さを見せつけた後、種子田さんがチョッパーでベース・ソロを披露。最後にアーミンが簡単なドラム・ソロで魅せたところで、元の曲に戻った。この“Fly〜”に続いて、ファストなロック・ナンバー“Free
Planet”を演ると、“悪魔とロックンロール”へ。中盤にブルース調の曲を盛り込んでたこの曲を演ると、志帆が英語で観客に愛のメッセージを伝え、“Beep!!”へ。ライヴの終盤に向け、最後の畳み掛けに入ったってことだろう、“Beep!!”を演ると、機械的なリズム(S.E.)が場内に流れ始める。2ndのアタマを飾る“Alright!!”のイントロだ。すぐには曲には入らず、またもや「5F〜! 4F〜!...」と観客を煽り始め、バルコニー席の観客にも声を出させてからようやく曲に突入。観客が♪na〜nanananana〜...と大合唱になったこの曲が終わってから、アーミンが叩き始めたパーカッションの響きは...“タマシイレボリューション”! Superflyの曲のなかでも大人気のこの曲で場内大いに盛り上がったところで、志帆が「あと1曲になりました」と言うと、観客は「エ"エ"ッ〜〜〜!!!」とブーイング。いつの間にかキーボードのSUNNYを残してバンド・メンバーはステージを去ってる。ここで志帆が曲紹介。「人間、言葉にならない時ってあるじゃないですか。(中略) そこで、ため息だけで曲を作ってみました。ただ、『ため息をつくと幸せが逃げていく』というので、いろんな悪いことが逃げていくような大きな声で作りました。“Ah”」 SUNNYのキーボードの伴奏のみをバックに“Ah”を朗々と歌い上げると、志帆は観に来てくてた観客に御礼を言って、ステージを去った。
観客がアンコール要求のクラップをし(、一部の観客がアンコール・コールをし)てると、やがて志帆とバンドの6人が全員ツアーグッズのTシャツ(志帆、SUNNY、Micky、種子田さんは黄色。八橋さん、大日向さん、アーミンは水色)に着替えて登場。「初めて来たのに2,200人も集まってくれて、そして、こんなに盛り上がってくれて、ホントに感謝しています。せっかくだから、新曲を演りたいと思います。ヘヴィーな曲だよ〜」などと語った志帆、新曲のタイトルについて「“愛をくらえ”」と、パンチを繰り出す手フリをしながら紹介。実際に演奏された“愛をくらえ”はbpmも少なく、サウンドよりも歌詞の世界観のほうが重そうな曲だ。曲を演った後、この曲が映画『スマグラー
おまえの未来を運べ』の主題歌として使われること、そして、そのことがこの日に情報解禁されたことを話した志帆、この曲のリリースについてはまだ未定で、志帆は「リリース出来たらいいな。ホームページをチェックしてて下さい」などとトボけてたけど、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのSuperflyの、しかも映画で使われるような曲がリリースすらされずにオクラ入りってことはあり得ない(苦笑)。ここで会場入口付近に用意された白い布について、「今回のツアーは東北地方を廻るまでの全会場にこの白い布を準備して、会場に集まってくれたみんなに励ましのメッセージを書いてもらって、東北地方を廻る時にはそれまでにたまった白い布を会場一面に貼り巡らせてビックリさせるんだ」などと説明した志帆、“やさしい気持ちで”を演った時以来久しぶりにギターを構える。最後の1曲として“愛をこめて花束を”を披露。曲が終わると志帆とバンド・メンバー6人全員横一列になって手をつなぎながら、惜しみない拍手を送り続ける観客に向かって深々とお辞儀した。ここで志帆が改めてメンバーをひとりひとり紹介すると、バンドの6人はステージ右の袖に引っ込む。地元出身の八橋さんが観客に向かって手を振ると、一段と大きな拍手が沸き起こった(苦笑)。ステージにひとり残った志帆はステージ向かって右側の端から左側の端まで歩きながら、ステージ前最前列のファンの手を触れていき、富山のファンに向かって「必ず富山に戻ってきます!」と宣言してから、別れを惜しむ観客の声援を浴びながらステージ左側の袖へと消えていった。こうして、志帆たちとの約130分の至福の時間は終わった。
「アルバムのリリース・ツアーではそのアルバムからの曲ばかりの選曲になる」という、Jポップ/Jロック・アーティストでは殆どアタリマエの法則により、過去のアルバムから曲を多く演ってくれることは最初から期待してなかったが(苦笑)、“恋する瞳は美しい”くらいは聴きたかった〜〜〜(泣)。『Mind
Travel』から唯一演奏されなかった曲が私が秘かに気に入ってた“Secret
Garden”というのもなぁ...(泣)。ただ、ライヴじたいは盛り上がってたので、志帆が約束してたとおり、また富山に来てくれることでしょう。
【SET LIST】...'11.7.21
富山・オーバードホール
1. Rollin' Days
2. Rescue Me
3. Hi-Five
4. Deep-sea Fish Orchestra
5. Wildflower
6. Only You
7. Eyes On Me
<アコースティック・セット>
8. Morris
9. やさしい気持ちで
10. Sunshine Sunshine
〜intermission〜
11. Fly To The Moon
12. Free Planet
13. 悪魔とロックンロール
14. Beep!!
15. Alright!!
16. タマシイレボリューション
17. Ah
(encore)
1. 愛をくらえ (新曲)
2. 愛をこめて花束を