ヒロくんのLIVE REPORT '15 PART 1 CYNDI LAUPER

 シンディ・ローパーが1983年にリリースし、1984年に大ヒットを記録したデビュー・アルバム『シーズ・ソー・アンユージュアル』(旧題『N.Y.ダンステリア』)の30周年を記念したツアー『30周年アニヴァーサリー・セレブレーション・ジャパン・ツアー2015』を金沢・本多の森ホールで観て来た。会場内にはオジサンとオバサンばっかりで、40歳未満お断りのような独特な雰囲気(苦笑)。開演前の場内には、デビッド・ボウイの“Let's Dance”やカーズの“Drive”など'80年代のヒット曲が流れ、いやが上にも同窓会的な気分が高まる。S席をケチり、A席のチケットを取った私の席は、一番後方の列だ(苦笑)。ライヴが始まったのは、開演予定時間の6時を10分ほど過ぎた頃だろうか、ステージ上にバンド・メンバーが登場し、それぞれの持ち場に就く。突如流れるどこかで聴いたことのあるS.E.は、“She Bop”!? バンドが演奏し始め、曲は間違いなく“She Bop”だけど、ステージ上にはシンディの姿は無い。しかし、客席の中ほどの観客がザワついてるのを見遣ると、そこにはシンディが居て、観客たちの間をぬって歌いながらステージに移動してる。そこに居た観客たちにとっては、サプライズだったろう。シンディは黒い服に黒い帽子...と黒ずくめであり、ここが金沢ってことが影響したかもしれないけど『APA』の社長みたい...と思ってしまった。ステージに登ったシンディ、“She Bop”の間奏ではリコーダー(たて笛)を吹いて、アルバムのサウンドをしっかり再現(笑)。バンドはギター、ベース、ドラム、バック・ヴォーカル、キーボード奏者2人の6人編成。“She Bop”が終わると、シンディの横にはキーボードが置かれ、次の曲“I'll Kiss You”では時折キーボードを弾きながら、熱唱するシンディ。ステージ奥のスクリーンには抽象画のようなイメージが写し出されてた。曲が終わると、「『30周年アニヴァーサリー』って言ってるけど、実際には『31周年』よね。ゴメンナサ〜イ」などとM.C.したシンディ、ウクレレを構える。曲は“He's So Unusual ”。シンディがウクレレを弾きながら歌ったけど、歌いながらのためかシンディのウクレレ演奏はぎこちなく、リズムが一定でないため、観客が曲に合わせて手拍子しようとしてもズレていく。そんなアブなっかしい(苦笑)“He's So Unusual ”を歌い終えると、アルバムどおりの流れで“Yeah Yeah ”へ。次の曲は“Witness ”で、『30周年アニヴァーサリー・ツアー』でも無い限り演ることがないようなマイナー曲が披露される。ここまで演奏された曲は全て『シーズ・ソー・アンユージュアル』のアナログのB面の曲だったけど、次の曲もB面の曲だった。往年のシューティング・ゲーム『ムーンクレスタ』の『メテオ』を撃ち落とした時のようなシンセ・リフは、“All Through The Night”! 場内にはミラーボールの光が反射し、星空のような様相を呈し、シンディはスティックライトを振りながら歌い、幻想的な雰囲気。ここで一旦『ナツメロ大会』は中断し、シンディが(現時点での最新アルバムの)『ブリング・ヤ・トゥ・ザ・ブリンク〜究極ガール』からの曲を演ると紹介。バンドが一旦演奏を開始したのを止めて、「ゴメンナサイ」と謝ってから“Into The Nightlife ”へ。『ブリング・ヤ・トゥ・ザ・ブリンク〜究極ガール』を聴いた時は、21世紀の現代において'80年代的ダンス・チューンを演ってることに古臭い気がして批判的だったけど、ホンモノの'80年代クラシックスの後にこの曲を聴くと、サウンドが新しいことに気付いた。最近の曲の登場に戸惑う観客の気を知らずか、シンディはまた客席に降りて歌いながらファンと触れ合う。次の曲は“Sex Is In The Heel ”で、曲の紹介をする時に靴を指し示したり、アキレス腱を伸ばす体操のような仕草をみせた。
 2人並んでるキーボード奏者のうち、向かって右側の奏者を指し示し、彼とデュエットするわよ〜...という感じで始まったのが、“Time After Time ”。場内から大歓声が上がる。曲のエンディングでは観客に♪time after time〜と繰り返し歌わせ、大いに盛り上がったこの曲が終わると、“Girls Just Want To Have Fun”! 場内の歓声は前の曲より大きい。曲は途中から、“Hey Now”になだれ込み、またもや客席に降りるシンディ。“Hey Now”はそのうち“Girls Just〜”に戻り、曲のエンディングでは♪girls just wanna have〜まで自分で歌い、最後の♪fun〜だけ観客に歌わせたシンディ。次の曲は、アルバムA面1曲目の“Money Changes Everything”。曲の間奏では、右のキーボード奏者がピアニカ(鍵盤ハーモニカ)吹いてアルバムのサウンドを再現。シンディはギター・ソロを踏ん張るギタリストの股間をトンネルのようにくぐり抜け、そのままステージの床を寝転がる(苦笑)。こうして、プリンスのカヴァー“When You Were Mine”の1曲除いてデビュー・アルバムの曲を全て演奏し、シンディとバック・バンドは一旦ステージを去った。
 ファンがアンコール要求の手拍子してると、再びシンディがステージに姿をみせた。1993年にリリースした4thアルバム『ハット・フル・オブ・スターズ』の由来について観客に語るシンディ。この際に、下積み時代の日本料理店勤務の話もしたのだろうか、ペギー・マーチの“忘れないわ(I'll never forget you)”をアカペラで歌ったり、坂本 九の“上を向いて歩こう”を歌ったシンディ(“上を向いて歩こう”では1番と2番の歌詞がシャッフルされてたため、戸惑う観客も居た)。長い身の上話(?)の後、ピアノの旋律に乗って“Hat Full Of Stars ”をしっとり歌うと、元気な“Shine ”へ。この曲でも客席に降りてファンと触れ合うシンディ。続く曲は2ndからの“Change Of Heart”。この曲ではシンディからキーボード奏者2人の紹介があった後、バック・バンドのジャム・セッションがあり盛り上がる。シンディからドラム、ベース、バック・ヴォーカルの面目が紹介され、バンドはこの曲をもって御役御免で、ステージを去った。シンディの傍らには、マウンテン・ダルシマーが置かれてる。これ観ただけで、“True Colors”だと分かる(苦笑)。シンディのたどたどしい(苦笑)ダルシマーによる“True Colors”の弾き語り。演奏がシンプルなだけにかえって場内にシンディの歌力が響き渡る。曲のエンディングの♪like rainbow〜を観客が合唱すると、シンディが「アリガトウゴザイマス。オヤスミナサイ〜」と言ってステージを去り、この日のライヴは終わった。
 60代になったシンディのヴォーカルはさほど衰えてなかった。オジサン・オバサンたちのための懐メロ大会でしたが、それのどこが悪い!?と開き直れるくらい楽しかったッス。

【SET LIST】...'15.1.12 金沢・本多の森ホール
1. She Bop
2. I'll Kiss You
3. He's So Unusual
4. Yeah Yeah
5. Witness
6. All Through The Night
7. Into The Nightlife
8. Sex Is In The Heel
9. Time After Time
10. Girls Just Want To Have Fun〜Hey Now
11. Money Changes Everything

(encore)
1. Hat Full Of Stars
2. Shine
3. Change Of Heart
4. True Colors

CYNDI LAUPER live @ NHK Osaka Hall '11.3.21

CYNDI LAUPER live @ Nagoya Club Quattro '96.12.15

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