ヒロくんのLIVE REPORT '17 PART 6 Kalafina

 Keiko、Wakana、Hikaruの3人によるヴォーカル・ユニット、Kalafinaの全国ツアー『9 + ONE』を、5月14日日曜日の母の日に富山・オーバードホールで観て来た。彼女たちが富山県内一の大会場であるオーバードホールで歌うのは、約1年半ぶり・2回目だ。今回のライヴ、入場する際にファンクラブの案内やグッズなどのチラシ類と共に、指輪型のLEDライトが配られていた。名前は『9 + ONE Light』と呼ぶようだ(苦笑)。このライトを灯もすタイミングはライヴ中に指示されるとのこと。私の席は2階で、ステージ向かって右側。
 ライヴ開演前のステージには薄い幕が下りていて、その幕をスクリーン代わりにして『9 + ONE』のロゴが映されてる。開演予定時間の6時になるとフロアの灯が落ち、流れるイントロに合わせて3人の歌姫の♪ラララ〜ラララ〜...という歌声が乗る。スクリーン代わりの幕にはKalafinaがこれまで発表してきた楽曲のタイトルがズラ〜〜〜っと白字で映し出されてる。シングル曲だった“Magia”や“君の銀の庭”など特殊なロゴを使ってる曲の場合はそのロゴが白色で映されてる。その白字の楽曲名がスクリーンの上を流れ始め、やがてスクリーンの中央に集まり始めた。全ての文字が重り「白い塊」となったところで、曲が始まる。1曲目は、シングル“One Light”のカップリング曲の“五月雨が過ぎた頃に”。観客が立ち上がり、曲に合わせて手拍子を始める。3人の歌姫が歌い始めてもステージの薄い幕は下りたままで、その向こうの様子はその薄い幕を透してしか窺い知ることは出来ないが、これまでに私が観た彼女たちのステージに比べれば比較的シンプル。演奏陣が乗った台が左右に1つずつあるだけ。向かって左側の台にはベースとドラム、右側の台にはキーボードとギターとヴァイオリンが居る。スクリーンに曲名の文字とロゴが動き廻ってた時と同じように3人の歌姫が♪ラララ〜ラララ〜...と歌って曲が終わると、ようやく幕が上がった。ステージの様子が露わになる。ステージ中央に居るKeikoは黒、その左隣のWakanaは白、そして、右隣のHikaruは青(それぞれのテーマカラーだそうだ)を基調にしたドレス姿。2曲目は、シングル“君の銀の庭”のカップリング曲“misterioso”。私はこの曲は1年半前のオーバードホールに続いてこの曲を聴くのは2回目だけど、まだ“君の銀の庭”をライヴで聴いたこと無い(苦笑)。“misterioso”の演奏中、ステージ奥のスクリーンには、今度はKalafinaがこれまでリリースしたCDのジャケットがシングル、アルバム問わず展覧会ふうに壁に全部飾られてる映像が映される。その映像はやがて「引き」から「アップ」となり、ジャケットが1枚ずつスライドふうに流され、彼女たちの9年の歴史が簡単に振り返られてた。彼女たちのシングル全部持ってるようなヘヴィーなファン向けの選曲が続いたところで、ようやく“Lacrimosa”が出て、正直ホッとした(苦笑)。
 “Lacrimosa”を歌い終わると、観客から熱い拍手が送られ、ここでM.C.タイム。立ち上がってた観客も、一旦着席(苦笑)。「みなさんこんばんは、Kalafinaです」とWakanaが最初に喋り、「『9 + ONE』ツアーへようこそお越し下さいました。今晩は、私たちの音楽をたっぷりと、存分に、楽しんでいってください。最後までよろしくお願いします」と、富山の皆さんに挨拶。次にKeikoが「今日、この日をみんなで、そして(バンドを含めた)チームで楽しみにしていました」などと挨拶し、最後はHikaruの晩。「オーバードホール、帰って参りました」とモジモジしながら話すと(苦笑)、地元のファンから大きな拍手が送られる。挨拶の後、「4F席〜!」、「3F席〜!」と声を掛け、その席に居る観客に手を振らせる。私も「2F席〜!」の順番が廻って来た時にちゃんと手を振ったよ(笑)。今回のツアー名『9 + ONE』の意味するところについて、今年Kalafinaが9周年を迎えること、1年間このツアーを通してファンと新たな「+ ONE」を作っていこうという思いが込められていることがKeikoの口から語られると、「少し懐かしい曲からスタートしたいと思います。まずは1stアルバム『Seventh Heaven』の中からお届けします。“明日の景色”」と曲紹介。あまりにもライヴで久しく歌われていないので、すっかり曲とタイトルが私の中では一致しなくなってた(苦笑)“明日の景色”に続いて披露されたのは、Kalafinaのライヴでは絶対外れない曲だと思ってたのに1年半前のライヴではセットから落ちてた“光の旋律”。この曲の中盤の間奏のリコーダーふうのフレーズを、今回は是永さんがギターで弾いたので、いつもよりロックな印象。次の曲は、“未来”。みんな立ち上がって曲に合わせて手拍子した“未来”が終わると、またもM.C.タイム。ここまで地元のファンに「ただいま」の挨拶をまだしていないHikaruに対し、Keikoが「ただいま」を言うようけしかける。「(富山の観客の)みなさんも『おかえり』って言いたいよね?」(笑) Hikaruが照れながら「ただいま帰りました」と言うと、場内から「お帰り〜!」の声とともに場内には割れんばかりの拍手がこだました。Keikoがここまで歌った3曲の曲名を紹介すると(どうせなら、最初の3曲の後でも曲名を紹介して欲しかった!)、今度はHikaruが今回の富山公演の事前プロモーションで2ヶ月前に富山に来た時に『日展』を観に行った話をする。「『日展』いいですよ〜。もう、終わってるけど...」(苦笑) あと、楽屋に地場百貨店の『大和』の紙袋が置いてあって、「あ〜! 富山感あります〜!」と思わず抱きしめた話を披露し、「富山を満喫しています」とご満悦な様子のHikaruが次の曲を紹介。「Kalafinaのデビュー曲をお届けしたいと思います。当時、Hikaruはまだレコーディングには携わってなくて、ライヴになって初めて3人で歌えるようになった曲です。今の私たちだからこそ、歌える、この曲をお送りします。“oblivious ”」 この彼女たちのデビュー曲の高音パートはWakanaが担当してることは周知の事実だけど、レコーディングでは歌っていないHikaruも、Wakanaに負けないくらいの高音出しててビックリ! NHKの『歴史秘話ヒストリア』のオープニングとして使用され、一気に彼女たちの支持層が広がったという“storia”、そして、“五月の魔法”...と曲が披露されていく。今まで私が観た彼女たちのライヴとは異なり、この日はライヴ開始直後から観客総立ち!ということは無く、一部のファンだけが立ったり、立つかどうかどうしようかなぁ?...と迷う箇所が多かった。これは、これまでの彼女たちのツアーは本数が少なく、観客に占める遠方から遠征してくるようなヘヴィーなファン率が高かったけど、全部で13公演もある今回のツアー『9 + ONE』では遠征組が少ないせいと私は解釈してたが、次の“Consolation”からはみんな立ち上がった(苦笑)。さらに“to the beginning ”に移ると、場内全体が大きく盛り上がった。
 ここでM.C.タイム。Keikoがここまで歌った5曲の曲名を紹介。その中で“storia”について、Hikaruがこの曲をリリースした時について、富山を離れ上京してから初めて出した曲が“storia”で、(それまでも何枚もCD出してたのに、“storia”出したら)「聴いたよ〜!」という反応がそれまでに無いくらい友人・知人・親戚から寄せられて、自分が「Kalafina」になれた...という思いが大きかったと述懐してた。「2009年のあの時にしか出来なかった歌い方や表現があるんだけど、富山で“storia”を歌う時だけはあの頃の気持ちで歌えると思えるのが、“storia”」などとHikaru(苦笑)。今やハーモニーはKalafinaを語るうえで欠かせ無い要素だけど、「ハモリが無い曲」に挑戦したという(最新の両A面シングルのカップリング曲の)“春を待つ”を紹介。梶浦先生にハモりが無いからね...とこの曲を持ち込まれた時にはかなり戸惑いが大きかったらしい(苦笑)。そのハモリが無い“春を待つ”を披露した後に、シングル“Lacrimosa”のカップリング曲の“Gloria”を熱唱すると、Kalafinaの3人は一旦ステージを去った。勿論、衣装替えのため(苦笑)。時間稼ぎのため、バンドが2曲ほどインストを演奏して時間を稼ぐ(苦笑)。ステージが突如暗転して、次に全貌が明らかになった時には、ステージ上には今にも踊り出しそうな形を3体の巨大オブジェが君臨し、その3体から湧き出したかのようにKalafinaの3人が登場。アンコールの時の説明によるとこのオブジェは過去のKalafinaの衣装を立体コラージュしたもので、彼女たちの衣装も『Seventh heaven』のジャケットの衣装と“光の旋律”のジャケットの衣装を足し2で割ったような感じ(苦笑)。曲は最新リリースの両A面シングルから“メルヒェン”だ。スカートの丈はHikaruが一番短いがスパッツ履いてる。次にスカートの丈が短いのはKeikoで、ナマ足。Wakanaは脚を殆ど出さない...というのはいつものこと(苦笑)。曲が終わると、開演時のようにステージを隠す薄い幕が降りる。曲は“Magia”で、降りて来た幕をスクリーンにして“Magia”のイメージ動画が映された。その一方、幕の向こう側ではしっかり生演奏が行われ、3人もナマで歌ってる(苦笑)。幕の向こう側で歌ってる3人を観ればイイのか、スクリーンに映される凝った動画を観てればイイのか迷う。ま、この動画見てると、“Magia”の歌唱パートが勝手に想像してるのと違ったこと(例えば、Keikoが歌ってると思ってた低音パートがHikaruが歌ってたり)が確認出来た。ず〜っと幕の向こう側で歌ってることに気が引けたのか、曲の終わりのほうでKeikoだけが幕のこちら側に出てきて歌ってた。3人が“Magia”を歌い終わるとすぐに邪魔な幕は引き上げられた。次の曲は、“Kyrie”。“Magia”でも立ち上がる観客はまばらだった(動画に唖然として、みんな立ち損ねた?...苦笑)けど、この曲で立ち上がった。3人に合わせて手振りするファンも多い。その後も“heavenly blue”、“One Light”...と、Kalafinaの9年の歴史からすると比較的最近の曲が披露された。大いに盛り上がった観客に「ありがとう!」と御礼を言う。先ほどの『御色直し』の時にバンドが演奏してたインスト曲について、『クビキリサイクル』のサウンドトラックからバンド向けにアレンジしたものであることを紹介し、さらにメンバー紹介へ。ベースの高橋“Jr.”智治さん、ドラムの佐藤強一さん、キーボードの櫻田泰啓さん、ギターの是永巧一さん、ヴァイオリンの森本安弘さんの順に紹介され、最後にいつもはステージ袖に隠れてるマニピュレーターの大平佳男さんがステージに招かれ紹介された。3人が上手く観客を乗せ、場内から「ヨシオ〜!」とヨシオ・コールが起こるほど大平さんは人気者(苦笑)。最後に“into the world”を披露し、歌い終わると、「富山のみなさん、ありがとうございました〜♪」と観客に御礼を言い、3人の歌姫は一旦ステージを去った。
 ファンのアンコールの手拍子が場内にこだまする。ステージには再び薄い幕が降りて隠されている。5分くらい経ってからだろうか、場内にイントロが流れ出し、その薄い幕をスクリーンにして『9 + ONE Light』を点灯するよう指示する画像が流れる。観客がその指示に従い『9 + ONE Light』を点け、立ち上がる。薄い幕は上がり、ステージには黒のドレスに衣装替えした3人とバンドの姿が! アンコール1曲目は、“音楽”。黒のドレスに着替えても、やっぱり脚の露出度はKeiko>Hikaru>Wakana...の順なのであった(苦笑)。熱心なファンが『9 + ONE Light』を点けた手で、曲に合わせた手振りをリード。私もそれに従った(苦笑)。続いて“blaze”になだれ込み、曲に合わせて観客が腕を振り上げるなど、場内大いに盛り上がると、「アンコール、ありがとう! みんな最高にキレイ!」とWakanaが御礼を言う。ここで『9 + ONE Light』についてWakanaが説明。この指輪型ライトは、今回のツアー初日の千葉公演からず〜〜〜っと観客に受け継がれてきたもので、この日の富山公演が終わった後にはライトは観客から回収され、次の公演の東京国際フォーラムの観客に受け継がれるそうな。Hikaruから富山弁を交えたグッズ紹介へ。自由帳とペンのセット(自由帳は、富山県の企業『ショウワノート』製だろうか?...苦笑)と、パンフレット用に撮影した写真から選りすぐりのショットを選んだというクリアファイルセット(2枚組)を紹介。クリアファイルについて、「学校や職場では使いづらいかもしれないけど、学校や職場で使うことによって、『このクリアファイル、何?』、『これは、Kalafiaというユニットの〜...』といった会話が生まれるかもしれないし...」などとHikaruの説明に説明に場内から笑いが...(苦笑)。オール富山弁でグッズ紹介をしようとしたのに思うように富山弁が出ず意気消沈のHikaruに対し、優しい地元の男性ファンから「なーん、気にしられんな!」(何も気にしなくていいよ)と富山弁で慰めの声が(苦笑)。最後に、富山出身のHikaruの『はじまりの曲』(Kalafina初参加曲)の“sprinter ”が披露された。演奏が終わると「富山のみんな、ありがと〜〜〜!」とWakanaが御礼を言い、「次は、12月の9日、戻って来ます!」と冬のアコースティック・ライヴで富山に戻って来ると、宣言し、場内の拍手を誘う。ここでもう一度バンド・メンバーの紹介をし、3人とメンバー全員が横一列に並んで肩を組んで観客に御辞儀した。バンド・メンバーが去っても、3人はそのままステージに残り、ステージの右端に移動しては観客に御辞儀、ステージの左端に移動しては観客に御辞儀...という感じで、観客に御礼を繰り返す。ステージ中央でナマ声で「みなさん、ありがとうございました」と御辞儀した3人。ここから場内に客出しの音楽として“未来”が流れ始め、観客が曲に合わせて手拍子を始めると「こんなに早く(オーバードホールに)戻って来れるとは思っていなくて、喋ると涙が出そうになるんですけど、ここに戻って来れてホントに幸せです。みなさんのお蔭で今日はこんなにいい景色が観れました。あ〜、終わりたくないわ」と、富山弁でHikaruが観客に思いを伝える。Hikaruだけでなく、Wakanaまでもらい泣き苦笑)。観客に手を振りながら、3人はステージを去った。
 9年間の活動の総決算的な選曲のうえ、Hikaruの故郷の富山ならではの感動が得られたスペシャルな一夜。勿論、3人のヴォーカル・ハーモニーはいつもどおり美しかった。

【SET LIST】...'17.5.14 富山・オーバードホール
1. 五月雨が過ぎた頃に
2. misterioso
3. Lacrimosa
4. 明日の景色
5. 光の旋律
6. 未来
7. oblivious
8. storia
9. 五月の魔法
10. Consolation
11. to the beginning
12. 春を待つ
13. Gloria
~intermission~
14. メルヒェン
15. Magia
16. Kyrie
17. heavenly blue
18. One Light
19. into the world

(encore)
1. 音楽
2. blaze
3. sprinter

Kalafina live @ Toyama Aubade Hall '15.11.28

Kalafina live @ Takaoka Municipal Festival Hall '13.7.27

Kalafina live @ Toyama Kenmin Kaikan '11.4.2

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