File #4
JANIS
JOPLIN--Pearl
ジャニス・ジョプリン『パール』
(1971年、国内盤 : ソニー SRCS-9804)
1. Move Over 2. Cry Baby 3. A Woman Left Lonely
4. Half Moon 5. Buried Alive In The Blues 6. My Baby
7. Me And Bobby McGee 8. Mercedes Benz 9. Trust Me
10. Get It While You Can
[Bonus Traks] 11. Tell Mama (live) 12. Little Girl
Blue (live)
13. Try (Just A Little Bit Harder) (live) 14. Cry Baby
(live)
第4回目は、この企画で初めて女性シンガー登場〜!!! ジャニス・ジョプリンを取り上げます。
【ジャニス・ジョプリンと私】
亡くなって30年余りが経っても、いまだに『ロック史上最強女性ロック・ヴォーカリスト』と呼ばれることが多いジャニス。あまりにもそーゆー呼び声が高かったので、女性ロック・シンガーを語るさいには彼女の存在の無視は出来ないです(苦笑)。
以前、このサイトでローン・ジャスティス/マリア・マッキーの特集を組んだことがあるけど、このなかで私は、マリアのことを『ロック女性ヴォーカリストNo.1』に勝手に認定しとります(笑)。こう言い切ってしまったことは、今から考えれば凄いことですが(苦笑)、ヒロくん的には『今、生きてるロック女性ヴォーカリストのなかではNo.1』という意味でした(笑)。「もし、『ジャニス・ジョプリンこそNo.1だろ!?』って苦情や反論のメールでも来たらどうしよう...」って、ビビりながらUPしてた(笑)。それほど世間一般に流布する『ジャニス・ジョプリン最強説』を意識してたワケですけど、実際にジャニス・ジョプリンを聴いたことは殆ど無かったりします。知ってる曲は“Summertime”くらい。あと、彼女に関して持ち合わせてる知識は、もうこの世のひとではない('70年10月4日死亡)ということと、メガネかけた顔が紀宮さまに似ていることくらいですかねぇ...???(笑)。
あと、あまり関係無いけど、船戸与一の小説『猛き箱舟』に、セクト抗争で息子を無くした船長が登場しますけど、その船長の亡くなった息子が生前よく聴いていたハドソン河に浮かぶ死体になって発見された女性シンガーって、ジャニスのことだと勝手に思い込んでました(笑)。なんかイメージ的に致うもんで(笑)。勿論、ジャニスはハドソン河に浮かぶ死体になって発見されたワケではない(ハズ)ですケド(苦笑)。
以上、ヒロくんの『ジャニス・ジョプリン観』でした。
初めてジャニスを聴くにあたって、一番の有名曲“Summertime”が入ってる『チープ・スリル』を選ぼうと思ったんだけど、このアルバムは'68年のリリース。コーナーの主旨に反するので、ジャニスの遺作である'71年リリースの『パール』を選びました。って、彼女のオリジナル作品で'70年代の作品はコレしかないので、否応無しにこのアルバムになっちゃうんだけど...。
【んで、『パール』を実際に聴いてみると...】
うわぁ〜、これは凄い! 今現在のミュージック・シーンではアラニス・モリセットや椎名林檎のヴォーカルを『激情型』って褒めそやしてますけど、30年以上も前にアラニスや林檎以上の激情を見せつけるシンガーが居たことが分かりました(笑)。“Cry
Baby”なんか凄いですよ! ライヴ・ヴァージョンの“Tell
Mama”も。勿論、見せつける激情の文法論は違うけど。世間で『ロック史上最強女性ロック・ヴォーカリスト』扱いされていたのがよ〜く分かった。細かい表現力もあるし、短いフレーズに多くの歌詞を自然に詰め込み、スムーズにハイトーンも出せる。ボーナス・トラックのライヴ・ヴァージョン聴くと、ライヴでもスタジオと全然変わらぬパフォーマンス観せてたことがよく分かるし。っつうか、ライヴで演ってるモノをスタジオにそのまま持ち込んだという表現のほうが正しいかな? あと、激しいだけでなく、女性ならではの優しさもちゃんと表現出来てるし。ヴォーカリストとしてかなり魅力を感じます。
このアルバムのジャニスのヴォーカル聴いて思ったことは、アラニスやら林檎やらを『激情型』などと持ち上げるひとはジャニス聴いたことないんだろうな...(笑)。私が中坊/高坊だった頃('80年代半ば)には、ロックを聴く者の間では(聴いたことがある/ないにかかわらず)ジャニス・ジョプリンという凄いシンガーが居たということは、常識。彼女を『ロック史上最強女性ロック・ヴォーカリスト』とすることは暗黙の了解として合意されてたけど(ホントか?...笑)、今の時代でもこの暗黙の合意は通用してるのでしょうか? これだけの女性シンガーが居たということをみんな忘れてしまうのは勿体無い!...と強く感じました。え? マリア・マッキーと比べるとどうかって? 私はあくまでもマリアの味方ですケド(笑)。
サウンドのほうは意外にファンキーで、黒っぽいですね。今現在のロック・シーンでは、音楽のジャンルの壁を超えたミクスチャーとやらが、もてはやされてますけど、このアルバムで聴けるサウンドのほうが、よっぽどジャンルの壁を超えてます。ジャズィーであり、R&Bからの影響も顕著。自由奔放に音楽演ってる印象が強くて、ロックっていうよりもジャズの感覚に近いかも? 昔の音楽のほうがジャンルの線引きが顕著でなく、逆に言えば今の音楽が如何にジャンルが細分化され過ぎかを痛感しました。あと、今の音楽ほど、お金の臭いがしないよねぇ...(苦笑)。
ま、ジャニスにはあまり関係ないケド、この頃の録音技術的に共通してるせいか、これ聴いて『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ』('67年)を思い出したなぁ...(笑)。
(2002.6.21)