悲しき白金魚〜タニヤ・ドネリー
今年の2月に、ようやく出た、『待ちに待ってた』アルバム。それがタニヤ・ドネリーの2ndアルバム『Beautysleep』。なにしろ、前のアルバム『ラヴソング・フォー・アンダードッグス』から4年半もの間、全く音沙汰が無かったんだから。
私がタニヤ・ドネリーっていうシンガーを意識したのは、'93年のジュリアナ・ハットフィールドとのジョイント・ライヴで来日公演を行なったベリー時代のこと。この時の来日取材のインタヴューで「陰毛入りのファンレターもらった」などとアッケラカンと話す陽気なネェちゃんがとても印象に残った(笑)。言うまでもなく、この「陽気なネェちゃん」こそがタニヤ・ドネリー(笑)。この来日取材のインタヴューでタニヤのことがしっかりアタマのなかにインプットされた私はその後にリリースされたベリーの2ndアルバム『キング』を即購入。あまりにポップでポジティヴでドリーミィな内容に圧倒された私(笑)、すっかりタニヤのファンになってしまいました。こんなポップで前向きな曲を書けるタニヤって素晴らしい!...って思ってたけど、その後すぐにベリーを解散させちゃうわ、ソロになってアルバム出しても長らく『行方不明』になるわ、常にやきもきさせられてました(苦笑)。なお、タニヤが長らく『行方不明』になってた理由は、1stソロ・アルバム『ラヴソングス・フォー・アンダードッグス』にも参加してるベーシスト、ディーン・フィッシャーとの間に女の赤ちゃん・Gracieちゃんが生まれたためのようです。タニヤも今や母親。
今回せっかく(4年半振りだから敢えてこの表現を使わせてもらいますが)カムバックを果たしたんだから、このままシーンに居続けてください!(笑)
ここでタニヤの略歴を。1966年7月16日生まれのタニヤは、16歳の時に異母姉に当たるクリスティン・ハーシュらとスローイング・ミュージズ(以下、ミュージズ)を結成。1986年のミュージズのデビュー・アルバム『Throwing
Muses』から1991年の『リアル・ラモーナ』に至るまでの作品に参加。だけど、ミュージズは異母姉・クリスティンが仕切るバンドで、タニヤはあくまでもほんのわずかの楽曲を提供するだけの存在に過ぎなかった。ピクシーズのベーシスト、キム・ディールが始めた課外プロジェクト、ブリーダーズにメンバーとして参加した後、ミュージズを飛び出して、自らのバンド、ベリーを結成。デビュー・アルバム『スター』はそこそこのヒットを記録。ベリーが軌道に乗ったかと思ったら、アルバム2枚でアッケなく解散し、ソロ活動へ...。
ここで、タニヤの作品を紹介します。ただし、クリスティン・ハーシュの時と同じく、私はミュージズ時代の作品については語れるだけの知識を持ち合わせてませんので、割愛させていただきます(ぺこり)。
THE
BREEDERS--Pod
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(国内盤 : Pヴァイン
PCD-22020)※2002年5月25日再発予定
1. Glorious 2. Doe 3. Happiness Is A Warm Gun 4. Oh!
5. Hellbound 6. When I Was A Painter
7. Fortunately Gone 8. Iris 9. Opened 10. Only In 3's
11. Lime House 12. Metal Man
タニヤがまだミュージズに在籍中の1990年に参加したブリーダーズの1stアルバム。ブリーダーズとは、当時ピクシーズのベーシストだったキム・ディールのサイド・プロジェクトで、タニヤはギタリスト/バック・ヴォーカリストとして参加。「キム・ディールのバンド」という事情ゆえ、サウンド的にはピクシーズっぽいインディー・パンク・ギター・ロック。タニヤが作曲に関わってるのは“Only
In 3's”1曲のみ。“Happiness Is A Warm
Gun”はビートルズのカヴァー。
なお、次作『ラスト・スプラッシュ』のほうが世間的にはヒットしたけど、これにはタニヤは関わっておりません。
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BELLY--Star
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(import : Sire/Reprise 9
45187-2、国内盤廃盤)
1. Someone To Die For 2. Angel 3. Dusted
4. Every Word 5. Gepetto 6. Witch 7. Snow Dog
8. Low Red Moon 9. Feed The Tree
10. Full Moon, Empty Heart 11. White Belly
12. Untogether 13. Star 14. Sad Dress 15. Stay
1991年のアルバム『リアル・ラモーナ』を最後にミュージズを脱退したタニヤが、トーマス&クリス・ゴーマン兄弟と新しく組んだバンド、ベリーが1993年にリリースしたデビュー作。先行シングル曲だった“Gepetto”など4曲は、ピクシーズを手掛けたことで知られるギル・ノートンのプロデュース(のちにフー・ファイターズやフィーダーも手掛ける)。のちに開花するタニヤのポップな世界を知ってから聴くと、アルバム全般を覆うダークでノイジーな色合いにビックリ!(苦笑)。“Angel”や“Dusted”などはモロにピクシーズ直系な音(笑)。“Gepetto”では後の彼女の世界に通じるポップな世界も見せてるけど、5分を超える大作“Low
Red
Moon”など、今からすれば意外な感じがする楽曲が多い。“Untogether”
や“Star”、“Stay”など、アルバムの最後のほうに、最新ソロ・アルバムに通じるようなアコースティックな感触の楽曲もある。一応、世間的にはこのアルバムが『ベリーの代表作』ってことになってます。
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BELLY--King
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(import : Sire/Reprise 9
45833-2、国内盤廃盤)
1. Puberty 2. Steal My Fate 3. Red 4. Silverfish
5. Super-Connected 6. The Bees 7. King
8. Now They'll Sleep 9. Untitled And Unsung
10. L'il Ennio 11. Judas My Heart
1995年にリリースされたベリーの2ndアルバムにしてラスト・アルバム。'94年のジュリアナ・ハットフフィールドとの来日公演の時にも参加してたベーシスト、ゲイル・グリーンウッド(後にL7に参加)が正式にメンバーになっている。ブリーダーズ時代から引きずってたガレージっぽいラウドさは無くなり、ポップでポジティヴな音が一気に開花。タニヤの独特なハイトーン・ヴォイスが、そのポップでポジティヴな世界をよりドリーミィに演出してる。シングル・カットされた“Super-Connected”をはじめ、タイトル曲の“King”、“Puberty”や“Steal
My Fate”、“Now They'll
Sleep”などがその代表例。ラヴ・バラードの“Silverfish”は『超』の付くくらいの名曲! “Untitled
And
Unsung”はちょっとダークだけど、かえってよいアクセントになってる感じがしたりして(笑)。この作品こそ、ここで紹介したタニヤのアルバムのなかで最高傑作と断言します!
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TANYA
DONELLY--Lovesongs For Underdogs
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(import : 4AD
CAD-7008CD、国内盤廃盤)
1. Pretty Deep 2. The Bright Light 3. Landspeed Song
4. Mysteries Of The Unexplained 5. Lantern 6. Acrobat
7. Breathe Around You 8. Bum 9. Clipped
10. Goat Girl 11. Manna 12. Swoon
そこそこ成功を収めてたベリーを突如解散させ、ソロ活動に入ったタニヤが1997年にリリースした1stソロ・アルバム。サウンド的には明らかにベリーの延長線上にあり、何故ベリーを解散させたのかいまだに良く分からないけど(苦笑)、ヴィオラやヴァイオリンなどを導入したのが「ソロ・アルバムらしい」といえば「らしい」かな?(笑)“Pretty
Deep”や“The Bright
Light”、“Lantern”などで相変わらずポジティヴな空気をふりまくタニヤ。“Mysteries
Of The
Unexplained”は“Silverfish”ふうのラヴ・バラード。涼し気な“Goat
Girl”もイイね。ジュリアナ・ハットフィールドのバンドのベーシストとして知られるディーン・フィッシャーや、今やアメリカン・ハイファイの美形ヴォーカリストとして大人気(?)のステイシー・ジョーンズがドラムで参加。
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TANYA
DONELLY--Beautysleep
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(import : 4AD
CAD-2201CD、国内盤未発売)
1. Life Is But A Dream 2. The Storm
3. The Night You Saved My Life 4. Keeping You
5. Moonbeam Monkey 6. Wrap-Around Skirt
7. Another Moment 8. Darkside 9. So Much Song
10. The Wave 11. The Shadow
前作から4年半もの沈黙を破り、2002年にリリースした2ndソロ・アルバム。再出発の意味もあるのか、ミュージズ時代に所属した古巣『4AD』レーベルからのリリース。このアルバムは今までの流れとは違い、かなり内省的でシンプルな音造りがされていて、そういう意味において紛れもなく『ソロ・アルバム』(笑)。地味な印象を持ってしまうアルバムだけど、“The
Night You Saved My Life”や“Keeping
You”ではタニヤらしいポジティヴィティーやドリーミィなヴォーカルを聴かせてくれている。プロデュースは、ボストン・ギターポップ・シーンの顔役(?)ゲイリー・スミス。ベースにいつのまにか「タニヤ夫」(笑)のディーン・フィッシャーが参加。“The
Shadow”終了後、無音状態を経て始まる“隠しトラック”の放つ余韻が美しい...。
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タニヤの魅力を語ると、やっぱりちょっとロリが入ったドリーミィなハイトーン・ヴォイスかな。この声聴くだけで、なんかポジティヴに前向きに生きていかなきゃ!って思わされるから(笑)。このポジティヴなポップさがタニヤ・サウンドの魅力だと思ってますよ、私は!
<おまけ・その1>タニヤの面白い顔
タニヤはファン・サーヴィスのつもりなのか何なのかはよく分かりませんが、ライヴ中や取材などで面白い顔(?)をしてよく写真に写ってくれてました(笑)。
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ふだんのタニヤ
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おもしろ顔のタニヤ
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このタニヤの『おもしろ顔』については、音楽雑誌『rockin'
on』にかつて連載されてた和田ラヂヲの漫画のネタにされとりました(苦笑...'95年7月号掲載)。愛娘のGracieちゃんも、この顔でアヤしてるんでしょうか?(笑)
<おまけ・その2>どーでもイイ話...『そらみみ』情報(笑)
『ラヴソングス・フォー・アンダードッグス』の“Swoon”の1'
11"
から♪ヘンですよ〜ヘンですよ〜って聴こえる私の耳こそ「ヘンですよ?」(笑)
(2002.4.22/4.23)
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