ヒロくんのLIVE REPORT '98 PART 20 CLOUDBERRY JAM

 クラウドベリー・ジャム(以下、CBJ)解散!!!...今年の夏に突然飛び込んできたこのニュースに、驚きよりも「ああ、やっぱりな...」と感じた私。今年の2月に赤坂BLITZで行われた彼女たちのライヴについて私がかなりキビシいことを言っていたのを皆さんは憶えているかもしれないが、結局、彼女たちは自分たちが抱えている問題点を解決することなく『解散』という選択肢を選んだようだ。この2月に行われたCBJのライヴの問題点とは、ミュージシャンとしての成長を重視するあまり、演奏する喜びを犠牲にしていたように見えたことだが、やっぱり演ってる本人たちが一番それを解ってたようで、ヴォーカルで紅一点のジェニー・メディンが『大学で勉強を続けたい』との理由でバンドを脱退。残りのメンバーも『ジェニー抜きではバンドを続けられない』と解散の道を選んだようだ。ということで、クラウドベリー・ジャムというバンドの歴史は幕を閉じ、棺に釘が打ち込まれた筈だったが...『応援してくれた日本のファンに最後のお礼がしたい!』とのメンバーの意向により、解散から半年が経った12月、『Japan Tour '98 -The Final-』と銘打ち、CBJの最後のジャパン・ツアーが行われることになった。CBJの最後の姿を観に、私は12月13日、渋谷クラブ・クアトロに駆けつけた。
 男女比率 4:6 か 3:7 の満員の観客で会場が埋った開演時間の7時を若干過ぎた頃、ステージにパラパラとヴォーカルのジェニー以外のメンバーが現われた。が、ドラムのペール・バイストロムなど昔に比べるとミョーに小ざっぱりした髪形だったりしたので、私は彼らがCBJのメンバーだとは気付かず、「前座のバンドが出てきた」と思ってしまったほどである(笑)。観客の歓声を浴びながら遅れてステージ上に姿を見せたジェニーも髪が肩にかかるほど伸びていて、バンドが解散してから約半年という歳月の『重み』を感じてしまった。オープニング・ナンバーは“One Munite Of Foolishness”。演奏メンバーはCBJの5人の他にターン・テーブルとパーカッションを担当するサポート・メンバーが1名。北欧から来た彼女たちには日本の12月の寒さなど意に介さないのかみんな半袖姿。ジェニーはTシャツにパンツという普段着そのまんまともいえる姿でステージ上に居た(笑)。そんなジェニー、曲を始める前に必ずと言っていいほど何の曲を演るのかの曲紹介をしていて、時折、ツアー・スタッフの誕生日を祝うメッセージやファンとのやり取りを織り混ぜながら、テンポよくライヴを進めていった。5曲目に披露された“Yeah!”の前には観客とジェニーの間で「yeah~!」とお約束の掛け合いもしっかりあった。11曲目に早くも『必殺技』の“Elevator”をプレイしてしまったのは凄く勿体無かったような気がしたが、これはウラを返せば『これで最後だから出し惜しみすることなくプレイしている』ってことだろう。キーボードのヘンリク・サンドゥクヴィストがディジタル・カメラを持ち出し観客を写すなどファンとの触れ合いもあってライヴは大いに盛り上がり、あまりの暑さにジェニーが髪を結わえてポニーテイルにしたほど。15曲目に“Going Further”を披露した後、CBJで一番のファスト・ナンバー“This & That”をプレイ。観客が大いに盛り上がったところでCBJの5人は一旦ステージを去ったが、すぐに観客のアンコール要求にステージに呼び戻された。アンコールの1曲目は、ジェニーが「大昔の曲を違ったアレンジで演るわ」と言って始まった“Direction Still Unknown”。ジェニーのいうとおり大人びた雰囲気にアレンジされており、それと気付かなかった観客も居たのでは? 次はデビュー・アルバムの1曲目に収録されている“Walking In My Sleep”。過去に私が観た3回のライヴでは一度もこの曲を演ってなかったので、この曲が聴けただけでも足を運んだ甲斐があったというものである。ここではベースのペール・ヴァルシンガーがイントロで演奏ミスし、演奏中断して観客に深々と頭を下げるハプニングもあった。この後“The Song That Keep Us Sane”をプレイし、5人はまたステージを去ったが、ファイナル・ツアーなのに1度のアンコールで観客が許す訳がなく、観客の熱望によって2度目のアンコールでは“Peace And Quiet”と“Do What I Wanna Do”、3度目のアンコールでは“Come Back And Stay”をプレイするハメになったCBJ。これでもファンは満足せず、アンコール要求を止めないものだから、ステージに4度目の『再登場』となった5人はステージに横一列に並びファンに挨拶していった。ギターのヨルゲン・ワーンストロムがファンへのお礼を繰り返し言って、ステージ前方のファンと握手していったのがとても印象的だった。CBJの5人がお礼をしてステージを去るとすぐにフロアの清掃作業が始まった(笑)。が、多くのファンが名残惜しそうにフロアに残っていたのは言うまでもない(笑)。
 解散を決めて『ミュージシャンとしての成長』を謀る必要が無くなったため、『演奏する喜び』がCBJに戻った楽しいライヴで、Xジャパンの解散コンサートなどに見られたファイナル・ツアーにつきものの『湿っぽさ』とは全く無縁。今回のファイナル・ツアーの告知フライヤーに『クラウドベリー・ジャムと思い出づくり』なるコピー(←2ndアルバム『雰囲気づくり』のタイトルに引っかけたギャグ?)が載ってたが、このコピーがズバリ当てはまるほどアッケラカンとした乾いた空気に会場は包まれていた。この竹を割ったようなアッケラカンさとクールネスこそがCBJそのもの...もっと言ってしまえばジェニー・メディンそのもの...だとを思うと実にCBJらしい最期だったといえるのではないだろうか?

【SET LIST】...'98.12.13 渋谷クラブ・クアトロ
1. One Munite Of Foolishness
2. Keep On Wishing
3. Nothing To Declare
4. Roll The Dice
5. Yeah!
6. Another Moment Follows
7. Ivy
8. Everything You Are
9. Waiting For Another Day
10. Time To Move On
11. Elevator
12. Day After Day
13. Monday's Back In Town
14. I Think You Should Know
15. Going Further
16. This & That

(encore 1)
1. Direction Still Unknown
2. Walking In My Sleep
3. The Song That Keep Us Sane

(encore 2)
1. Peace And Quiet
2. Do What I Wanna Do

(encore 3)
1. Come Back And Stay

CLOUDBELLY JAM live @ Akasaka Blitz '98.2.28

CLOUDBELLY JAM live @ Matsumoto Mythos '97.4.15

CLOUDBELLY JAM live @ Shibuya Club Quattro '96.7.31

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