新作『ヒーザン・ケミストリー』に伴なうオアシスの2002ジャパン・ツアーを9月29日の日曜日に観て来た。新作『ヒーザン・ケミストリー』の出来に納得していない私は、あまりライヴの内容に期待せずに会場である代々木競技場第一体育館へ足を運んだ。
ステージに向かって右側のスタンド2階席でライヴの開演を待っていると、開演予定時間の6時を10分ほど廻った頃、突如ステージのライトが点滅し(どうやら、客電消しの合図だったようだ)会場内の灯りが消える。この瞬間ファンは席を立ち、歓声を上げた。そこへ何かのナレーションのような男性の声のS.E.が響き渡り、前作『スタンディング・オン・ショルダー・オブ・ジャイアンツ』のアタマを飾る“Fuckin'
In The
Bushes”が会場に流れる。この曲に乗って、ステージにギャラガー兄弟を始めとするオアシスのメンバーが登場。メンバーが持ち位置に就いて演奏始まった曲は、意外なことに、名盤『モーニング・グローリー』からの“Hello”。てっきり“Fuckin'
In The Bushes”からの流れで“Go Let It Out”か、新作からの“The Hindu
Times”だと思ってたので、意表を突かれた(苦笑)。ファンも“Hello”が演奏されて大喜び。ステージ上ではリアムがいつもように手を後ろに組み直立不動でマイクに向かう「応援団スタイル」で歌ってる。手にはこれまたいつものように「三日月型のタンバリンの枠」(と、便宜上書かせてもらいます)を持ち、テキトーに振って鳴らしてる。2曲目はやっぱり(苦笑)新作からの“The
Hindu
Times”。メガネ(サングラス?)掛けたリアムは青系統の長袖シャツ姿で、首にタオルを掛けてる(カッコ悪いから、ヤメテクレ〜!!!)。そのリアムの左隣で、ノエル兄貴がギターを弾いてる。ステージの両脇にはスクリーンが設置されており、ステージ上のメンバーの姿が映し出されてる。これを観れば、ステージから遠い席のファンもリアムたちの表情が見て取れる。ただ、スクリーンばかり観てると、フィルム・コンサートと何ら変わりはなくなるが...。このスクリーンに映るノエル兄貴の姿は、髪が短くなったせいか、はたまたオヤジどもが着るような丸首肌着を思わせる白いシャツ姿のせいか、ミョーにオッサン臭い...。
3曲目はゲムが書いた曲“Hung In A Bad
Place”。ステージ中央にどっかり陣取るリアムの右側に、ゲムとアンディ・ベルが2人固まって居たけど、どっちがゲムで、どちらがアンディなのかなかなか判別出来ない。スクリーンにもなかなか映らないし(苦笑)。ステージ両脇のスクリーンとは別に、アラン・ホワイトのドラムセットの背後のステージ中央奥にもスクリーンが用意されており、ここにはギャラガー兄弟の顔や顔のパーツがモンタージュ写真作成を思わせる感じで(笑)映し出されてた。“Hung
In A Bad Place”が終わると、ノエル兄貴から「thank
you〜!」って御礼があった。実はリアムもそこそこMC入れてるんだけど、会場の音響のせいかツブれて聞こえて何を言ってるのか判別不能。その点、兄貴のMCはよく声がとおってた。続く曲は、“Go
Let It
Out”。この曲はキーボード類が表に出た曲なので、ようやくサポート・キーボード・プレイヤーの存在を思い出す。「や、確か、元クーラ・シャイカーのジェイが今、オアシスに居るんだよな...」 んで、ステージ上を捜すと、確かに居ました。ステージ向かって右端、ノエル兄貴の持ち場の後ろのほうにキーボードが。私の席からは死角に入っててよく見えないところに。おぼろげながらそれっぽい長髪のシルエットが見え、「あれ、やっぱ元クーラのジェイ?」と思わせられる。ライヴのほうはここで近作から離れ、1stからの“Columbia”、そして“Morning
Glory”とオールド・ナンバーが続き、ファンが沸く。特に“Morning
Glory”での盛り上がりは凄く、多くのファンが♪にだりるたいむつうぇいかっぷうぇいかっぷ〜と合唱してた。大いに盛り上がった“Morning
Glory”が終わると、一度ステージ上が暗転。ステージ上が再び照らし出されたところで始まった曲が、ピアノ類をフィーチュアした“Stop
Crying Your Heart
Out”。ステージ見て「メンバーが1人足りない!?」と思ったら、ゲムがギターを手放して、ステージ向かって右側のキーボードに就いていた。前にここに居た元クーラ・シェイカーのジェイらしき人物は、ステージ向かって左側にもう1つ用意されていたキーボードに移動。この“Stop
Crying Your Heart
Out”が終わると、ゲムは元の位置に戻りギターを構え、ジェイらしき人物も元の位置のステージ向かって右側のキーボードへ移動し、曲はノエル兄貴がヴォーカルをとる“Little
By
Little”へ。だけど、兄貴、声量が乏しい。マイクの調子が悪かったのか??? サビの部分だけは♪りるばいりるぅ〜と声量充分だったケド。
ノエル兄貴が歌ってた間ステージを離れてたリアムが、再びステージに現れ、1stからの“Cigerattes
& Alcohol”と“Live
Forever”を披露。ここらあたりになると、何度もステージ両端のスクリーンにキーボード・プレイヤーの顔がハッキリ映し出されるようになる。あー、この人物は、やっぱり元クーラ・シェイカーのジェイっすね(笑)。クーラの末期の長髪はそのまんま、さらにヒゲまで伸ばしてジョン・レノンっぽくなってました(笑...ちなみに、ツアー・パンフレットにクレジットがちゃんと載ってるので、間違いなくジェイっす)。1stからの人気曲が続きファンが盛り上がったところで、新作ラストに収録されてるダンサブルな“Better
Man”。CDではこの曲が終わった後、突如30分近くの無音状態に入るが、まさかこの曲でライヴが終わるとは思わなかった(苦笑)。オアシスのメンバーがステージを去ると、即座にファンがアンコール要求の手拍子を始めた。
ライヴ開始から1時間足らずしか演奏してないから、このまま素直にライヴが終わるとも思えない。案の定、ステージにはスタッフがアコースティック・ギターと椅子を持ち込んでいる。ノエル兄貴によるアコースティック・セットの始まりだ。ステージにひとり現れたノエル兄貴、椅子に着くなり「thank
you」とファンに御礼を言う。ギターを構えて弾き出した曲は粉うことなき“Wonderwall”。兄貴の歌に合わせて一緒に歌ってるファンも多い。この曲はリアムのヴォーカルで聴きたい気もしたがファンは大喜びで、兄貴がワン・コーラス歌い終わっただけというのに、ファンは大きな拍手を兄貴に送る。曲を歌い終わっても同様だ。この大きな拍手にノエル兄貴は「thank
you」とまたファンに御礼を言った。もっと曲を演ってくれるかと思ったけど、“Wonderwall”だけでノエル兄貴のアコースティック・セットはお終い。ステージに残りのメンバーも戻って来て、新作よりリアム自慢のナンバー“Born
On A Different
Cloud”。ステージ奥のスクリーンには何故か、オッサンのキャラクターが列をなして行進するCGアニメ画像や、ミサイル発射のCGアニメ画像が流されてた。この自慢のナンバーを歌い切って気分がいいのか悪ノリしたリアム、ファンに(おそらく)「三日月型のタンバリンの枠」を投げ入れ、「last
song!」と宣言。ファンが当然のように「エ"エ"〜ッ!!!」ってブーたれると、勝ち誇るかのようにガッツポーズするリアム(笑)。ここで演奏始まったのが“Acquiesce”。ノエルとリアムがヴォーカルを分け合うこの曲が終わると、オアシスの面々はステージを去った。
まだまだ聴き足りないファンがアンコール要求の拍手を始めると、会場内に響くリズムボックスの音。リアム以外のメンバーがステージに戻って来て楽器を構え、リズムに合わせて音を乗ってくと、それは“Force
Of
Nature”になった(笑)。新作収録のノエル兄貴がリード・ヴォーカルの曲だ。曲が終わると、ファンには馴染みのピアノのフレーズをジェイが弾き始める。ノエル兄貴のリード・ヴォーカルで“Don't
Look Back In
Anger”。この曲もファンが合唱し、ノエル兄貴がワン・コーラス歌い終わる度にファンから大きな拍手が送られる。最後の♪but
don't look back in anger, don't look back in anger, I heard you
say...it's not
today...を唄い終わった時の拍手と歓声は凄まじく、「何で兄貴はこんなにもファンから声援受けるんだろう?」って考えてしまったくらい(笑)。ここでライヴが終わったほうが美しい...そう思わせるほど、ファンが盛り上がりは最高潮に達してたんだけど、現実問題としてリアムを蔑ろには出来ないワケで(笑)、「真打ち登場!」とばかりにステージに乗り込んで来た(笑)リアムのヴォーカルで“Some
Might Say”。ここでライヴは終わりかと思ってたら、「thank you very
much for coming, see you next time, this is last
song」などとノエル兄貴が言って演奏始まったのは...ザ・フーの名曲“My
Generation”だ。ステージ奥のスクリーンには英国旗と、赤・白・青の3色が目まぐるしく入れ替わるように映し出された。この曲の時、ゲムがこの日一番熱心にバック・コーラス入れてたのが印象に残ってる(笑)。偉大な英国の先輩、ザ・フー(だけど、日本では人気が無い)に敬意を示したところで、この日のライヴは終わり。リアムは他のメンバーがまだ演奏中だというのに、観客に「三日月型のタンバリンの枠」を投げ入れるフリをしてみせて(結局投げ入れず...笑)観客を沸せた後、ステージ裾に移動、口に含んだ液体を「霧吹き」(笑)するというTVカメラを意識したパフォーマンスを披露すると早々とステージ降りちゃた。残りのメンバーは観客に手を振り、ホワイティーはドラムスティックを観客に投げ入れていった。メンバーがステージを去ると、会場には「客出し」の音楽として“Champagne
Supernova”が流れた。多くのファンがそのまま余韻を楽しんでたが、帰りの電車の関係で脱兎の如く会場を抜け出した私。毎度のことながら、地方者はつらい。
やー、しょーじきなところブチまけちゃうと、新作のデキからあまり期待していなかったライヴだったんだけど、1stと2nd収録の名曲が多く演奏されたため、熱く盛り上がってしまいました。イイ曲たくさん持ってるアーティストは強い! んで、ライヴで聴くと、今まで好きになれなかった新作の曲も「なかなかイイ曲じゃん!」と思えて来るようになるから不思議なモノ(笑)。だけど、もっと1stと2ndの曲が聴きたかった(爆笑〜!!!)。
【SET LIST】...'02.9.29
代々木競技場第一体育館
intro (Fuckin' In The Bushes)
1. Hello
2. The Hindu Times
3. Hung In A Bad Place
4. Go Let It Out
5. Columbia
6. Morning Glory
7. Stop Crying Your Heart Out
8. Little By Little
9. Cigerattes & Alcohol
10. Live Forever
11. Better Man
(encore 1)
1. Wonderwall (ノエル・ギャラガーによるギター弾き語り)
2. Born On A Different Cloud
3. Acquiesce
(encore 2)
1. Force Of Nature
2. Don't Look Back In Anger
3. Some Might Say
4. My Generation (ザ・フーのカヴァー)
ending theme (Champagne Supernova)