白鳥マイカと古明地洋哉のジョイント・ライヴを年の瀬押し迫る12月28日に渋谷・CLUB
ASIAで観て来た。会場のCLUB ASIA
といえば、音楽雑誌『BUZZ』主催のクラブ・イヴェントの会場といったイメージが付きまとうが(ホントか?)、会場の中には意外なほど狭かった。会場につめかけてた客層はというと、案外女性の姿が多い。年輩の女性の姿もみえる。ギョーカイ人なのか、それとも「古明地ファンには、氷川きよしの追っかけみたいなオバサンが居る」という話を聞いたことがあるので、もしかしたらこれがそうなのか?(笑)
開演時間の7時を10分くらい廻った頃、ステージ上でセッティングしていたローディーの兄ちゃんが懐中電灯で「OK」の合図を送る。ステージ向かって会場の左側にある階段に古明地御一行が待機してるのが見える。会場に流れるBGMが代わり、やがて古明地御一行が階段降りて来てステージに登場。バンド・メンバーはいつもの4人(ギターの弥吉淳二さん、ベースの岩井英吉さん、ドラムの関口源八さん、ヴァイオリンの岡村美央さん)
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古明地本人。各自が楽器持ってスタンバったところで古明地ひとりがギター演奏して歌い始めたのが、“SWEET
RAIN”。古明地ひとりによる弾き語り演奏で、他のメンバーは演奏せずに待機。ヴァイオリンの岡村サンなんか、ヴァイオリン持ったまんまつっ立ってるだけ(あ、岡村サン、髪型セミロングになってました。これくらい長いほうが似合うなあ、彼女...笑)。CDで聴ける“SWEET
RAIN”では岡村サンのヴァイオリンが活躍しまくってるだけに、演奏に加わらずに待機してるだけなのは実に勿体無い!!! この“SWEET
RAIN”、私の大好きな曲なだけに、CDで聴けるとおりのヴァージョンをみすみす逃してるような気がして、「岡村さん、そこでヴァイオリン入れてやってよ!」と、実にもどかしく感じた(苦笑)。あと、古明地自身の声の調子が悪かったのか、それともマイクの調子が悪かったのか、ミョーに歌声が上ずってたのも気になった(苦笑)。そんな状態だったからか、“SWEET
RAIN”歌い終わっても観客からの拍手はゼロだった...(汗)。
古明地による弾き語りは“SWEET
RAIN”1曲のみで、次の“tonight”からはバンドも演奏に加わる。“tonight”からは、曲を終える度に弱々しいながらも観客からちゃんと拍手が送られるようになった。“毛皮のマリー”が終わると、短いMCを入れた古明地。「何回か演奏していて、聴いたことあるかもしれないけど、“MIND
GAME”って曲演ります」などと紹介し、新曲の“MIND
GAME”を演奏してくれた。この“MIND
GAME”が終わるとまたもMC入れた古明地。「みなさん、どんなクリスマスを過ごしましたか?」 このセリフにまず、バンド/スタッフのみなさんが真っ先に吹き出し、その笑いが観客に波及していき、やがて会場全体が笑いの渦に包まれた(笑)。トークが受けて気を良くしたのか、古明地のMCはまだ続く。「毎年クリスマスになると気分がワクワクするんですよ。スタッフには『子供じゃないんだから』ってバカにされてるんですけど。日本じゃクリスマスはケーキ食べる日って感じで、信仰ってものに対していい加減だってよく言われるけど、中東のほうじゃ、『オレたちが信じてる神とは別の神を信じてるヤツ、そんなヤツはオレたちの国から出てけ!』って言う理由で戦争やってるわけじゃないですか? そんな信仰だったら要らないって思うし、そんな戦争起こす信仰よりもよっぽど日本のクリスマスみたいバカやってたほうがイイと思う」といった意味の話をしてくれた。ここで披露されたのが“the
lost
garden”。この日の古明地は口が滑らかで、「2枚目のアルバム『hallelujah』出るまで1年ちょっとかかってみんなを待たせてしまったけど、不思議なものでアルバムが完成してしまったら、曲がどんどん出来てきちゃって。で、スタッフにそれが見つかっちゃって、『どうせならレコーディングしよう!』って話になっちゃって、今レコーディングしています。春が来る前にアルバムが出せるかな」ってな感じで、3rdアルバムのリリースまぢかを宣言! あと、白鳥マイカとの共演について「彼女は、同じ事務所の同じオーディション受けて一緒に頑張ってた仲間で、初めてテープで彼女の歌声聴いた時、『こんなに美しい声聴いたのは初めてだ!』と思った。ここ最近お互いに忙しくて、ライヴ観る機会も無いんだけど、今回初めてバンドで演奏するっていうんで、とても楽しみにしてます」などといろいろ喋ってくれた。メチャクチャ更新が早いことで知られる(笑)古明地のオフィシャル・サイトの『ライブの記録』んところで、「MCがうまくなってきたとほめられる」と書かれてるのもよく分かる(爆笑〜!!!)。
ライヴのほうは、『讃美歌II』からの“Fuck you (God bless,
please)”、『hallelujah』からの“fairy
tale”、『灰と花』からの“ghost”、『讃美歌I』からの“欲望”と、各作品からまんべんなく曲を演奏。最初気になってた古明地の歌の上ずりも、曲が進むうちに解消されていた。最後に「ちょっと遅くなったけど、僕から1曲クリスマス・プレゼントです」などと言った古明地。古明地からのプレゼントとは、ヴァイオリストの岡村サンとの2人による演奏の“讃美歌”。この静かな曲を終えたところで、古明地のセットは終了。
ここで、セットチェンジ。本来なら結構時間がかかるハズだけど、あらかじめステージ上にドラム(パーカッション)セットが2組(要は、古明地とマイカ、1組ずつ)用意されてあったので、さほど時間を要さずセットチェンジが済み、白鳥マイカ御一行...白鳥マイカ本人と、ギター、ベース、パーカッションの総勢4人...がステージに登場。ステージに現れた『つぶやきシロー・カット』のギタリストを見て、「あれ? 矢井田瞳(以下、ヤイコ)のバック・バンドの西川
進さんじゃないの?」とすぐに思った。でも、白鳥マイカとヤイコじゃ音楽性全然違うし、他人のそら似か??? オープニング曲は彼女のデビュー曲の“Shelter”。古明地絶賛の美しい声で歌うマイカの後ろで、女性のパーカッショニストがバック・コーラス入れてる。ドレッドヘアしたベースのひとが弾いてるのはフツウのベースギターじゃなくって、キング・クリムゾンetc.のトニー・レヴィンが弾いてることで知られる「スティック」みたいな特殊な形したベースだ。今までのライヴはギター弾き語りばかりだったそうだけど、今回はバンド演奏が付いてるからマイカはギターを弾かずに歌だけに専念。歌が終わった後の観客からの拍手は、古明地に対するそれよりも大きく、この日の観客はマイカ目当てのひとが多いことが今さらながらに分った。2曲目に“ウスアカノハナ”を演ったところで、3曲目に披露されたのは、最新マキシ“あなたの腕を”収録のR.
E. M.
のカヴァー“DRIVE”。カヴァーっつうか殆ど『コピー』のアレンジで、原曲のイメージを壊さない演奏。このR.
E. M.
カヴァーが終わると、バンド・メンバー3人がステージを去る。アコースティック・ギターを構えたマイカ、ステージを見廻して「あれっ! みんなは!? いったいどこに行ってしまったの?」と、バンドの3人が消えたのを今さら気付いたかのように、わざとらしく驚いて見せた後、「オマエ、知っとるやろっつの!」って自己ツッコミ入れてた(笑)。このマイカの「ひとりボケ/つっこみ」に観客も笑う。ここで「数曲弾き語りで歌ってみたいと思います」と、マイカひとりによる弾き語りコーナーへ。「この曲、人前で演奏するのは初めてなんだ」みたいな紹介をして1曲演奏した後、“
Red
Clover”を演奏。この後もう1曲演奏すると、女性ファンから「マイカ〜〜〜!!!」と声援がとぶ。「ありがとう!!!」と満面の笑みで応えるマイカ。マイカは真顔よりも笑顔のほうがず〜〜〜っと素敵ッス(笑)。
マイカのアコースティック・ギター弾き語りタイムはまだまだ続き、最新マキシ“あなたの腕を”収録の“夜の鐘”を披露。マイカのMCによると、「ある人」に対する反省と感謝の歌のようで、♪あなたに出会えて良かった〜...の歌詞のリフレインが印象的。次の曲は、アルバム『花園』のアタマを飾る“TRIFLES”。この曲を演奏してる間に、バック・バンドの3人が次々とステージに戻って来てそれぞれの持ち場に就く。バンドがステージに復帰し、マイカがギターを降ろしてヴォーカル専念に戻ってから最初の曲は、レディオヘッドのカヴァーの“fake
plastic trees”。マキシ・シングルの“Red
Clover”収録されてるとおり、「アン、ドゥ、トゥワ、アン、ドゥ、トゥワ...」と舞踏に使えるくらい優雅にアレンジされたヴァージョンで、レディオヘッドによる原曲とかなり印象が違う。明るい曲調だし、マイカによる歌唱もトム・ヨークの歌みたいにミジメに響かないし(笑)。この日のライヴでこの曲を演奏してくれるんじゃないかと、秘かに期待してました(笑)。このレディオヘッドのカヴァー曲が終わったところで、マイカによるバック・バンドの紹介。ギタリストは、やっぱり西川
進その人でした(笑)。『つぶやきシロー・カット』したギタリストが何名も居たら、怖い(笑)。ベーシスト(っつうか、スティック奏者)はFireさん...モロにヤイコ人脈じゃないかよォ〜!(笑) 西川さんもFireさんも、去年の石川厚生年金会館でのヤイコのライヴで見てたので、「やぁ、久しぶりぃ〜」って、声をかけたくなった(笑)。もっともFireさんはヤイコの時にはサングラスかけてたし、フツウのベースギター演奏してた。Fireさんを紹介する時、マイカは「変わったベースを弾いてますね。彼がフツウのベース弾いてるところを私は見たことないです」などと言ってたが、ヤイコのライヴでFireさんがフツウのベース弾いてんの、私はこの目で見たゾ!(笑) 最後に女性パーカッショニスト(兼バック・コーラス)が紹介されたが、もしかしたら彼女もヤイコ人脈だったりして(笑)。マイカ曰く、「彼女の奏でるヴィブラフォンも凄いらしいですよ」とのこと。
メンバー紹介が終わったところで、“波うた”を演ると、マイカが観客に問う。「今ステージに居る私たちには、ある共通点があるんですよ。みなさん、その共通点が何だか分かりますか?」 そんなこと急に訊かれても観客は分かるわけがなく、マイカが答えを明かすのを待つ。「みんな、タバコを吸わないんですよ。珍しいよね、タバコを吸わないバンドって」などとハシャぐマイカ。ここで、最新マキシシングル“あなたの腕を”を演奏。そして最後に新曲の“終わらない地図”を演奏したところで、マイカ御一行はステージを去った。古明地にアンコールが無かったし、マイカだけにアンコールしたらバランス取れないと思ったのか、会場つめかけるマイカ・ファンはアンコール要求せず、アッサリと家路につき始めたので、ライヴはここで終わった。
2人ともトークが結構面白かったし、2人の持つ独自の音世界を垣間見る分には良かったかもしれないが、1組あたりの持ち時間が短く、ちょっともの足りない気もした。
【SET LIST】...'02.12.28 渋谷・CLUB
ASIA
《古明地洋哉》
1. SWEET RAIN
2. tonight
3. 毛皮のマリー
4. MIND GAME(新曲)
5. the lost garden
6. Fuck you (God bless, please)
7. fairy tale
8. ghost
9. 欲望
10. 讃美歌
《白鳥マイカ》
1. Shelter
2. ウスアカノハナ
3. DRIVE
4. ?
5. Red Clover
6. ?
7. 夜の鐘
8. TRIFLES
9. fake plastic trees
10. 波うた
11. あなたの腕を
12. 終わらない地図 (新曲)