ヒロくんのLIVE REPORT '03 PART 12 古明地洋哉

 古明地洋哉のワンマン・ライヴ、その名もlive“mind game”は、この日の前日にリリースされたばかりのニュー・マキシ・シングルの“mind game”のレコ発ライヴ。この日のライヴを最後に、フル・バンドでのライヴはしばらく見納めで、これからは古明地+シンセ+ヴァイオリン...の3人でのライヴ活動していくという古明地。その、しばらくは見納めになるというフル・バンドでの演奏を目当てに6月19日、下北沢Club Queに私は足を運んだ。
 地下2階にあるClub Queのフロアはまずまずの客の入り。ミョーに歳とった女のひとも居たけど(苦笑)、観客の中心は20代前半。女のコの姿が目立った。私の立ち位置は、中心より少しステージ向って左寄り。古明地とヴァイオリン奏者の岡村美央さんの間くらいの最前列だ。開演予定時間の7時30分を15分くらい押したところで、ステージに古明地御一行が登場。バック・バンドはいつもの4人。ギターの弥吉淳二さん、ベースの岩井英吉さん、ドラムの関口源八さん、そして、ヴァイオリンの岡村美央さん。だけど、ライヴのオープニング曲は古明地による弾き語り(“クロエ”...新曲)で、バンドの4人はスタンバったまま演奏には一切参加しない。この“クロエ”は♪it's all right〜というリフレインが印象的な曲。次の曲も新曲の“Desolation Angel”。この曲からバンドの4人も演奏に加わる。ギターの弥吉淳二さんはいつもどおり椅子に座りながらの演奏。スクリームしてるひとの顔が描かれたTシャツ着てたヴァイオリンの岡村美央さんは、髪が随分と伸びてて、髪先をクルリとカールさせてる。
1年前の七尾旅人とのジョイント・ツアーの時はショートヘアだったけど、あの時からずっと髪を伸ばしてるみたいだ。これまた新曲の“Dusk”を演ったところで、MC入れる古明地。「新曲ばかり演ってスミマセン」などと言っていた(笑)。古明地の目の前でライヴを観るのは、2年前の福岡でのライヴ以来だけど、あの時は古明地は椅子に座りながら演奏してた。立って演奏するようになってからは初めて目の前で観たわけだけど、演奏中やMC中の古明地の表情の変化を微細に窺うことが出来た。新曲“Dusk”の後、ようやく既発曲の“SWEET RAIN”が披露されたものの、ここで古明地から「“太陽のまばたき”っていう新曲です」との曲紹介があった。また新曲だ(苦笑)。この“太陽のまばたき”が終わると、ベースとドラムの2人は一度ステージから去った。
 とまあ、のっけから新曲ラッシュで始まった古明地のライヴだけど、ばんばん新曲が書けている順風満帆な創作状況を反映してか、古明地の口も滑らか。「この間、佐野元春さんとお会いする機会があって。僕にとって佐野元春さんとお会いするのって、それこそジョン・レノンやボブ・ディランに会うのと等しいくらいのことで、スタジオで1時間くらいお話したんだけど、僕の好きな(佐野さんの)アルバムの話をしたら『あのアルバムをレコーディングしてたときにはこんなことがあってね』っていろいろ佐野さんが教えてくれて、『はぁ、そうなんですか』って聞いてたんですけど...」などと、佐野元春と話が出来たことがよっぽどうれしかったのがハシャギまくる古明地。古明地の喋りが止まるのを待ってた弥吉さんから「じゃあ、(演奏)行きますか?」って演奏を促され(笑)、古明地と弥吉さんと岡村さんの3人で“daydream”をようやく演奏。この“daydream”の演奏が終わると弥吉さんもステージを去り、ステージには古明地と岡村さんの2人のみが残った。「みんなからは“mind game”で『古明地クン、ひと皮剥けたね』って言われるけど、僕にとっては“daydream”の(ライヴではバンド編成上入れられなかった)セカンド・ヴォーカルの♪come on〜come on〜のほうが重要な意味を持つ」ってな内容のことを話した後、デビュー前に家に閉じ籠ってひたすら曲を書いてた頃の大事な友達の話を延々と話す古明地。あまりにも古明地の話が長いので、ローディーのひとに椅子を持ち込んでもらい、その椅子に座る岡村さん。だけど、古明地はこの動きに全く気付かずに延々と話を続ける。話がひと段落してようやく岡村さんが椅子に座ってることに気付いた古明地。「あ、話、長かった?」 これに岡村さん、「ウン、ちょっと...(苦笑)」。
 ここからは古明地とヴィオリンの岡村さんの2人での演奏。“僕が死ぬまで”、そして“花が咲いたら”ソックリな(笑)新曲“Waltz”、古明地自身も「まだ新曲演るか!?」とまで言った(苦笑)新曲ラッシュの果てに演奏された新曲の“嘆きの天使”、発売されたばかりのEP収録の“夜の蝶”と曲が続いた。ここで、バック・バンドの3人がステージに戻って来て、フル・バンド編成での演奏に戻る。ミニ・アルバム『daydream』でニュー・レコーディングされた初期の曲“こころ”、発売されたばかりのマキシ・シングル・タイトル・トラック“mind game”、2nd『hallelujah』からの“fairy tale”...と曲が続く。ドラマーの関口さんの「ワン、トゥー、スリー、ワン、トゥー、スリー」のカウントで演奏始まった“ghost”。この日のライヴ観て、古明地の曲には3拍子の曲が多いのに今さらながら気付いた(苦笑)。“ghost”に続いては、いつもどおりの流れで古明地のライヴの締めの定番“欲望”。この“欲望”を演奏し終わると、バック・バンドの4人はステージを去り、古明地ひとりがステージに残った。「ホントはここでライヴは終わりなんだけど、2日前に凄くイイ曲が出来ちゃって、せっかくだからみんなに聴いてもらおうってことで、その新曲を演ります。“君をみつけたよ”って曲です」などと言って、ギター弾き語りで新曲の“君をみつけたよ”を演った古明地、この曲を演奏し終えると、「どうです? イイ曲でしょう?」などと満面に笑みを浮かべながら観客に訊いた。ここまで無防備な古明地の笑顔(笑)を見たのは少なくとも私にとっては初めてだったので、とても印象的だった。「イイ曲でしょう?」との問い掛けに会場に詰めかけたファンはみな好意的な反応をみせていたので、古明地は実に満足そうな表情でステージを後にしていった(笑)。
 新曲だらけのライヴって、観客が楽曲を知らないのと、観客のニーズにあった楽曲を提供してくれないことから、観客が盛り上がりに欠けたり不満を感じたりすることが多いけど、今回の古明地のライヴは新曲だらけでもミョーに満足感があった。古明地が演奏した新曲はみんな既発曲に通じた世界観を持っているものばかりだったので、「どこかで聴いたことがある」ような気がしたためだろうか?(苦笑)
 ライヴ終演後、会場外の階段にはこの日のセットリストが貼り出してあった。まるで学校の試験成績みたいに(苦笑)。

【SET LIST】...'03.6.19 下北沢Club Que
1. クロエ(新曲)
2. Desolation Angel(新曲)
3. Dusk(新曲)
4. SWEET RAIN
5. 太陽のまばたき(新曲)
6. daydream
7. 僕が死ぬまで
8. Waltz(新曲)
9. 嘆きの天使(新曲)
10. 夜の蝶
11.こころ
12. mind game
13. fairy tale
14. ghost
15. 欲望
16. 君をみつけたよ(新曲)

HIROYA KOMEIJI live with MAIKA SHIRATORI '02.12.28

HIROYA KOMEIJI live with TAVITO NANAO '02.6.1

HIROYA KOMEIJI live with KICELL '01.9.23

INDEX