ヒロくんのLIVE REPORT '06 PART 6 天野月子

 2001年6月にシングル“箱庭”で天野月子(以下、つっこ)がデビューしてから、丸5年。その5th Anniversaryを記念したライヴ・イヴェント『春爛漫! 無敵のゴネンジャー』を観に、5月20日に東京キネマ倶楽部に行って来た。東京キネマ倶楽部はJR鴬谷駅近くにある雑居ビルの6階に入口がある。ステージとフロアが5階で、「2階席」が6階という構造。私は5階のフロアに降り、ステージ向かって右のスピーカーの真ン前で開演を待つ。ふと、フロアの天井を見上げると、風船100個くらいが網のなかに入って吊り下げられている。つっこが5月31日に同時発表するCDシングル5枚のなかに“風船”という曲があるのを思い出し、「“風船”を演奏する時にあの風船が天井から降ってくるんだな」と予想(笑)。
 開演予定時間の6時ほぼちょうどに場内の灯りが落ち、いつもの つっこのライヴのように“菩提樹”のインスト・ヴァージョンが流れる。ファンが曲に合わせて手拍子してると、つっこの喋りが始まる。「『春爛漫! 無敵のゴネンジャー』へようこそ。2001年6月1日に“箱庭”(「ハ〜コニ〜ワ」という妙なアクセント付き...笑)でデビューしてから早くも5年が経とうとしています。ここまでやってこれたのは、ひとえにみなさんの愛のお・か・げ。(中略) 天野月子とプレイボーイズ、只今入場です」。真っ暗なステージ上で石原慎一郎(以下、シャラ)や武並“J. J.”俊明らがスタンバる。が、スポットライトが当たったのはステージ上ではなく、ステージ向かって左側にある階段の踊り場状になったところだった。そこに、白いドレス(5枚同時シングルのうちの“ウタカタ”のジャケ写の衣装)に身を包んだ つっこがギターを構え、立っていた。ファンが歓声を上げるなか、つっこがギターを弾きながら歌い始めたのは、5年前にリリースしたデビュー・シングル“箱庭”。この曲は つっこのエレキ・ギターの弾き語りで進む。ステージ上に待機してるプレイボーイズが曲の途中から音を重ねて来るかと思ったけど、最後まで つっこの弾き語りで通してしまった。プレイボーイズが音を重ねようとすると、つっこの演奏とJ. J.がヘッドホンで聴いてるクリック音とマニピュレーターの藤田謙一(以下、謙ちゃん)のテンポを合わせるのが非常に困難。演奏を重ねたくても出来ない!...という問題に後から気付いた(苦笑)。“箱庭”が終わると、「踊り場」からステージに降り立った つっこ、会場つめかけたファンに御礼を言い、「せっかく来てくれたんだから、熱く、楽しく、激しく、最後まで盛り上がってよ!」などとM.C.。ここで演奏されたのは、メジャー・デビュー・シングルの“菩提樹”。“菩提樹”の次は“ Treasure”。
2nd『MEG LION』のツアーで初めて つっこのライヴを観たため、この曲をライヴで聴くのは私は初めて。さらにアルバム『Sharon Stones』の曲順どおり“B. G. (Black Guitar + Berry Garden)”が続く。この曲のイントロのS.E.(♪stop! fallin' love〜)が流れた時、あまりの嬉しさに涙が出そうになった私(苦笑)。この曲のサビの部分、つっこはフロアに向けてマイクを差し出すと観客は合唱で♪black guitar + berry garden〜bad guy + baby girl〜と応じた。盛り上がった“B. G.”に続き、アルバムどおりの曲順で“HONEY?”へ。曲の後は、早くもメンバー紹介。ギターのシャラ、ベースの山田章典...と紹介が進み、それぞれにスポットライトがあたる。ドラムのJ. J.は今日は「イケメン・ヘア・スタイル」だそうです。コーラスのRieは「どんどん衣装が過激というかエロくなっていく」と、つっこに言われてた。私の位置からは確認出来なかったけど、下半身がスケスケだそうな(苦笑)。ファンから「謙ちゃんはぁ?」と訊かれた つっこ、「今日はライトが当たらないところに居ます」などと答えていたけど、照明さんが気を利かせ、2階席のステージ向かって右端のほうに居た謙ちゃんにスポットライトをあてた(笑)。
 「『Sharon Stones』の曲を4曲続いたけど、もう1曲行きます。“青紫”」と つっこが曲紹介。「もしかしたら、歴代シングル曲をほぼ発売順に演奏してくんじゃあ...」という私の予想は“青紫”の登場で、消えた(苦笑)。“青紫”の後、懐かしの“ライオン”を演ると、デビュー5周年を記念し5月31日に5枚同時に出すシングルより“混沌〜Chaos〜”。“鮫”から「速さ」を抜いたような曲(?)だ。この5枚のシングルを全部買って応募券を送るともれなくギター・ピック・セットが当たるんだけど、この『応募者全員プレゼント』は「全員当選じゃなきゃイヤだ!」という つっこの強い要望によって実現したそうだ。
 “混沌”の後、いちど全員がステージから消える。ステージに戻って来た つっこ、「懐かしの『アコースティック・コーナー』だよ〜」と言い、特別ゲストとして『音倉レコード』のレーベル・メイトのQoonieをステージに招き入れた。Qoonieのキーボードとシャラのギターと つっこの3人でのアコースティック・コーナー1曲目は“時計台の鐘”。アコースティック・コーナーといえども、謙ちゃんが流すS. E.に合わせての演奏(苦笑)。曲が終わると、「5年前の今頃いったい何してたかと考えてたんですけど、ゴールデン・ウィークはPV録りしてました。5月7日、8日、9日は山中湖でレコーディング合宿してました。スタジオからは晴れれば富士山が銭湯(の絵)みたいにでっかく見えるんだけど、雨で(見えませんで)した」などと5年前の想い出を語る つっこ、レコーディング2日目から参加したプレイボーイズ、到着したその日のうちに自販機のビールが売り切れになり、スタジオの請求書をチラっとみたら「ビール32本」などと書かれていて「プレイボーイズ、呑んだんだなぁ〜」と呆れた話、“ステロイド”のサビの部分の「追っかけ」の英詞は、スタジオにたまたま居た外人サンに頼んで作ってもらった話などをした(笑)。公式サイトのBBSでのリサーチの結果、アルバム『A MOON CHILD IN THE SKY』(つっこは『ムンチャ』と略すそーです...笑)のなかで結構人気のある曲と分かった“博士と孔雀”を演奏すると、5枚同時シングルのジャケット撮影の話を始めた つっこ。5枚とも撮影は尾道で行ったこと、尾道でロケハンしてたスタッフが腹の調子が悪くなりトイレを借りに入った喫茶店(『梟の館』という店)のトイレが“ウタカタ”のジャケ写の撮影現場であること、“烏”のジャケットの衣装を着て尾道の街をウロウロしてたら、地元のヤンキーに「まるで、カラスじゃねえかよ〜!」とゆわれ「当たりィ〜!」と思った話など、ジャケ写にまつわるエピソードを語った。長いM.C.の後、つっこが「“月”」と曲紹介。“月”の後は“刺青”。この曲でシャラさんは『御役御免』でQoonieと つっこだけがステージに残った。Qoonieも今年でデビュー5周年であり、去年の大晦日の夜に居酒屋で飲んだ時(つっこはグレープ・フルーツ・ジュースばっかり飲んでたそう...苦笑)、「5周年だし一緒に何かやりたいね〜」との つっこの提案にQoonieが半ば社交辞令的に「そうだね」と返事をくれてたことを5枚同時シングル曲の作曲中に思い出し、強引にユニットを組んだとのこと。ユニット名は2人の頭文字を採り「Q. T.」(キューティー...苦笑)。作曲・Qoonie、作詞・天野月子の曲“砂”をQoonieのリード・ヴォーカルで披露し、ようやくアコースティック・コーナーが終了。
 つっこが言うには、5枚同時シングルのプロモーション・ヴィデオの撮影はまだ終わっていないよう。ファンからの「早く観たぁい〜!」との声に「私だって早く撮影終わりたいよ〜!」と返した(苦笑)。プロモ撮影は毎日翌朝未明まで続く厳しいスケジュールで臨んでいてるため、つっこの体調を気遣ったスタッフが薬局で「一番効くドリンクを下さい!」と頼んだら、『龍』なるドリンクを薦められて つっこのために買って来てくれたそうだ。つっこがこの『龍』を飲んだ途端、異様にハイ・テンションになり、些細なことでもケラケラ笑う『笑い上戸』となったのこと(苦笑)。このように、プロモ撮影裏話を披露した つっこ、「マユミさん、ナオさ〜ん」とステージにゲストを招き入れる。ステージに登場したのは薹の立った(失礼!)女性ダンサー2名で、(おそらく)“梟”のプロモの衣装を着てた。ダンサーと一緒に踊りながらオケをバックに“梟”を歌った つっこ。ミョーな踊りのせいか(?)Winkの“淋しい熱帯魚”を思い出してしまった(苦笑)。“梟”を歌い終わった つっことダンサーがステージを去ると、いつの間にかドラムキットに就いてたJ. J.がドラム・ソロを披露。J. J.のドラム・ソロの後は、山田章典ベース・ソロ。さらにシャラを加えた3人でジャム・セッションへ。どうやら3人の演奏で つっこの着替えタイムを確保してたようで、つっこは“烏”のジャケ写の衣装に着替えてステージに登場! 「後半戦行くぞ!」と観客を煽って始まったのは、“人形”。アルバム『MEG LION』どおりの流れで“日曜日”、シングル“人形”のカップリング曲の“人魚”、そして“Butter Fingers”...と、一気に畳みかける。つっこが「“烏”!」と曲紹介。“烏”の衣装に着替えたからにはこの曲を演らないワケにはいかないようで、5枚同時シングルのうちの1曲で、“鮫”のようでもあり“恋”のようでもある(苦笑)“烏”が、ここで披露された。“烏”の次は、デビュー・シングル“箱庭”のカップリング曲“ステロイド”。外人さんに考えてもらったという「おっかけフレーズ」をRieがしっかり歌う。次の曲は、“スナイパー”。サビの部分では多くのファンが手を掲げて手拍子。曲の途中、つっこは「踊り場」に駆け上がり、フロアに向けてパァーーーっと白いテープを投げ込む。フロアを埋める観客のうえに白い花が咲いたようになった。曲が終わると、「もう1曲行けるよね?」と観客に確認し、パンキッシュな“トムパンクス”。殆どの曲でクリック音を聴きながらドラムを叩くJ. J.もこの曲ならヘッドフォンを外せるため、伸び伸びとドラムを叩いてるようにみえた(笑)。“トムパンクス”が終わると、最近買ったという新しいフェンダーのギターを披露。「キャンディ」名付けられたこのギター、もう1本のおニューのギター(こちらの名前は「キャサリン」)と共に、しばらくこの2本をメインに使っていくそうだ。ファンから「キャンディ・キャンディ!」と声がかかる。これを聞いて「『キャンディ・キャンディ』? 違うんだなぁ」と応える つっこ。チバユウスケ(ex. thee michelle gun elephant)が発音する「キャ」の音が気に入ってしまい、「キャ」のつく名前を付けたくなったそうだ。この日のライヴ、いったいどの曲で締めるか、セット・リストを何度も書き直たりして つっこは相当に悩んだようで、たどり着いた結論は、「新旧バラード合戦」(笑)。まずは、「新」のほう。場内に流れるファンの耳馴染みなS. E.は“蝶”。優雅で幻想的な“蝶”と対する「旧」のほうは、“カメリア”。この“カメリア”が終わると、つっことプレイボーイズは一旦ステージを去った。
 場内に“菩提樹”のインスト・ヴァージョンが流れるなか、ファンがアンコール要求の手拍子を始める。まだ天井に風船が吊られているうちはライヴは終わらない(笑)。ファンの手拍子に応えステージに戻って来た つっことプレイボーイズ。「5枚同時シングルでは、5つの違う自分を出せた」そうで、非常に有意義な試みだったよう。ここで「ある時、ふと『丸い歌』を歌いたくなった」などと話した つっこ、「幸せとは、丸い形をしてると思ったりして...」などと語った。ここまで話せば誰でも解るとおり、5枚同時シングルのうちの1曲の“ 風船”がここで披露された。今までの つっこのシングル曲にないスロウでほのぼのとしたタイプの曲で、曲の中盤「お約束」のように天井から風船が100個くらい降ってきた(笑)。いつ天井の風船を吊ってる網が緩められるか、ステージそっちのけで天井ばかり観てた私(笑)。曲が終わると風船をポンポン跳ねてる客に対し、「みんな風船持って帰りな」と つっこ。ここで始まったのは、つっこのライヴ終了を告げる曲“巨大獣”。この曲を歌い終わると、観客に向けて深々と御辞儀をし、プレイボーイズがまだ演奏中にもかかわらずステージを去った。プレイボーイズの演奏が終わると、J. J.はステージ上に迷い込んでた風船とドラム・スティックを観客に渡し、ステージを去った。
 場内にはまた“菩提樹”のインスト・ヴァージョンが流れる。熱心なファンは再度のアンコールを求める手拍子を始めた。ファンの熱心な手拍子に応え、ステージに戻って来た つっこ。フロアに居る観客に、2階席に居る観客にも風船を廻すように言う。ステージ前の柵とステージの間にたくさん風船が落ちてるので、フロアの観客はこれを持ち帰ってほしいとの主旨だったが、この つっこの申し出にフロアの観客が風船をポンポン跳ねて遊び始めたため、「(風船で)ポンポンするんじゃない!」と一喝(苦笑)。風船遊びが落ち着いたところで、アコースティック・ギターを構えた つっこ、“梟”のカップリング曲となる“国道”を弾き語りで聴かせてくれた。曲が終わると、ファンに最後の挨拶をし、ギター・ピックを2枚フロアに投げ入れて つっこはステージを去った。
 デビュー5周年を祝うためか、3時間にも渡るヴォリュームたっぷりのライヴ。最近のライヴではあまりプレイしていない昔(『MEG LION』の頃まで)の曲をたくさん演ってくれた。もうちょっと『天龍』や『ムンチャ』(笑)の曲が多くてもよかったと思うけど、アタマの『Sharon Stones』からの曲連発には、熱くなった私(笑)。つっこが5年前と大きく変わったところ...昔は「ラジオ出演したら放送事故になる」とファンから揶揄されてたほど喋りがぎこちなかったのがウソのように、口が廻るようになったことだな(笑)。

【SET LIST】...'06.05.20 東京キネマ倶楽部
1. 箱庭
2. 菩提樹
3. Treasure
4. B. G. (Black Guitar + Berry Garden)
5. HONEY?
6. 青紫
7. ライオン
8. 混沌〜Chaos〜 (新曲)

〜アコースティック・コーナー〜
9. 時計台の鐘
10. 博士と孔雀
11. 月
12. 刺青
13. 砂 (Qoonieとのユニット「Q. T.」名義)

14. 梟 (新曲)
〜J. J.ドラム・ソロ〜山田章典ベース・ソロ〜シャラと3人でジャム・セッション
15. 人形
16. 日曜日
17. 人魚
18. Butter Fingers
19. 烏 (新曲)
20. ステロイド
21. スナイパー
22. トムパンクス
23. 蝶
24. カメリア

(encore 1)
1. 風船 (新曲)
2. 巨大獣

(encore 2)
1. 国道 (新曲)

TSUKIKO AMANO live @Shinagawa Stellar Ball '05.10.30

TSUKIKO AMANO live @Nagoya Club Quattro '03.11.1

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