ヒロくんのLIVE REPORT '08 PART 6 RADIOHEAD

 ネットを利用した新たな販売方法が話題を呼んだ新作『イン・レインボウズ』に伴うレディオヘッドのワールドツアーを10月4日に さいたまスーパーアリーナで観て来た。会場内には、ダイブ、モッシュ、縦ノリ禁止を訴えるポスターが無数に貼り出されてたが、今のレディオヘッドのライヴでは、そんな行為を行うファンは居ないと思うよ(苦笑)。
 私の持ってたチケットは、アリーナのBブロック。開演予定時間5時の直前に会場入りしたため、Bブロックの前のほうはすでにひとで一杯。5時きっかりに、オープニング・アクトのModeselektorがステージに登場。こーゆー音楽をどう呼ぶのか、正確な語彙を私は持ち合わせていないが、「音響系」というか、ケミカル・ブラザーズみたいな2人組のユニット。2人が出す音に合わせて、ステージ奥の横一列に3枚並んだスクリーンにイメージ動画が流れていた。Bブロックの前のほうに進めるだけ進んでみたが、(アヴリルのライヴと違い客の平均身長が高く)観客の頭が邪魔してスクリーンの映像しかみえず、Modeselektorの2人の姿は殆ど確認出来なかった。「この位置ではレディオヘッドの出番になっても5人の姿はみえない」と、この場所に見切りをつけ、フロアの後ろまで下がり、さらにフロアのステージ向かって左側のほうが人口密度が低かったことからそちらに移動したところ、ステージのModeselektorの2人の様子が確認できた。山頂直下よりも、ちょっと距離を置いたほうが山頂がよく見えるのと同じ理屈(苦笑)。Modeselektorのパフォーマンスは約30分で終わり。セット・チェンジの間、場内には延々とレゲエがかかってた。
 6時を10分弱廻ったところ、客電が落ち、ステージ上にレディオヘッドのメンバーが登場。一番最初に姿をみせたのはジョニーだろうか。メンバーの登場に観客が沸く。紺色のシャツに赤いズボン姿のトムも登場。メンバーがスタンバったところで、場内に響き渡る打ち込みふうのリズム...『イン・レインボウズ』のアタマを飾る“15 Step”のリズムだ。 メンバーが観客に手拍子をとるよう煽ると、多くのファンがリズムに合わせ♪タタタタタ、タン、タン、タン〜...と手拍子した。私の位置からは、ステージ中央のトムと、その左側に居るジョニー、ドラムセットに就いてるスキンヘッドがトレードマークのフィルは分かったが、どっちがコリンでどっちがエドかはハッキリとみえない。おそらく、フィルの右隣がベースのコリンなのだろう。ステージ奥にはライヴ演奏中のメンバーの姿を移す横長の画面があるからステージから離れた位置に居る観客にもステージ上の様子はある程度分かる。画面は5分割され、5人のメンバーひとりひとりの演奏の様子が映し出されていた。曲が終わると、トムが「コ〜ンバ〜ンワ〜」と間延びした日本語で挨拶(苦笑)。ステージ上には、タイコが2組セットされた。お馴染み(笑)の“There There”。ドラムのフィルと、タイコを叩く2人(おそらく、ジョニーとエド...遠くてハッキリ確認は出来なかった)の3人で叩き出すリズムの重厚さは、ライヴでのこの曲の魅力だ。私も思わず「エア・タイコ」してしまった(苦笑)。曲が終わり、タイコ2組が片付けられると(笑)、場内に「日本の会社は〜」という日本語のニュースのサウンド・コラージュに続いて響き渡るファンに耳馴染みのイントロ。“The National Anthem”だ。ステージ奥の画面は真っ赤になり、曲のもつ危機感を煽ってる。次の曲は“Lucky”。ギターを構えたトムが歌い始めると観客から悲鳴に近い歓声が上がった。『OKコンピューター』からの曲は人気の高さを再確認(苦笑)。曲が終わると、トムがM.C.を入れたが、喋りの内容は曲紹介だったかも? ここで披露されたのは、新作からの静かな曲“All I Need”。この曲の鉄琴パートを演奏してたのはジョニー。続いて、もう1曲新作からの静かなナンバー“Nude”をプレイ。次に演奏された耳慣れたシンセのイントロは“Where I End And You Begin”。この曲も人気のようで、ファンから歓声が上がる。曲が終わると、トムが「ドモ、アリガト」と日本語で挨拶。『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』からもう1曲“The Gloaming”を演ると、またまた『イン・レインボウズ』の世界に戻り、海のなかをフワフワ漂うような“Weird Fishes / Arpeggi”。この日のステ−ジにはメンバーの姿や動画を移す画面の他に、天井から筒状の電飾が無数にぶら下げられ、曲のイメ−ジに合わせ、赤だったり青だったり黄色だったり、文字どおり「虹色七変化」に変わる。この曲では深海を思わせる青...というふうに、曲のイメージに合った演出に多大な貢献をしてた。
 ステージに持ち込まれたピアノに就いたトムが弾き始めた曲は、『イン・レインボウズ』のラストを締める“Videotape”。荘厳な感じのこの曲が終わると、ピアノは片付けらた。「ドウモ、アリガトウゴザイマス」と日本語で観客に御礼を言ったトム、今度はギターを構え、弾き出した曲は、映画『ロミオ+ジュリエット』に提供した“Talk Show Host”。この曲もファンから歓声を集めてた。曲が終わると、トムとジョニーの2人だけがステージに残り、他のメンバーは一旦ステージから姿を消した。ステージに残ったトムとジョニーがアコーステック・ギターを構え、トム曰く(トム&ジェリーではなく)「Thom & Johnny」の2人によるアコースティック・セッションで、“Faust Arp”を披露。ところが、トムに(おそらく歌詞を忘れる)ミスがあり、最初から演奏し直すハメに。失態に照れ笑いを浮かべるトムに、観客から歓声が上がった(笑)。今度はミスることなく“Faust Arp”をきちんと披露。一旦ステージから退いてた3人もステ−ジに復帰し“Jigsaw Falling Into Place”を演奏。曲が終わると、無機質な打ち込みふうのリズムが場内に響き渡る。“Idioteque”だ。この曲も大人気のようでファンから大歓声が上がった。いつものようにトムは熱唱しながらケッタイな踊り(苦笑)を披露。“Idioteque”の後の一瞬の静寂は、日本語のニュース番組をネタにしたサウンド・コラージュで破られた。「生活保護を受ける一方、多額の借金を重ね〜」、「小川容疑者は〜」...大阪・難波の個室ヴィデオ店放火事件がネタのよ−です(苦笑)。このサウンド・コラージュから始まった曲は“Climbing Up The Walls”。この曲では例の筒状の電飾が光が下から上へ登って行く演出を行ってた。アコースティック・ギターを構えたトムが弾き出した曲は、“Exit Music (For A Film)”。最初はトムひとりの弾き語りだったのに、途中からジョニーがシンセで加わり、クライマックスでは残りの3人も演奏に加わりバンド演奏となる。どうしてこの曲が劇的に聴こえるのか、ライヴで観ると仕組みが分かり易い(笑)。続いては、『イン・レインボウズ』で一番ロックな“Bodysnatchers”。この曲が終わると、フィルが立ち上がりファンに手を上げてるし、他のメンバーも楽器を下ろしてる。そして当然のようにステージから去った。
 時計をみるとまだ7時20分過ぎで、1時間20分しか演奏していない。「もう終わり〜!?」...観客の誰もがそう思ったのか、アンコールを要求する手拍子が場内に響き渡る。やがて、ステージにレデイオヘッドのメンバー5人が戻って来た。アンコール1曲目は新作からの“House Of Cards”。曲が終わった後のファンからの拍手に対し、「ドウモアリガトウゴザイマス」と日本語での御礼で応えたトム。ここでステージには簡易ドラムセットが持ち込まれた。ドラムセットに就いたトムがドラムを叩きながら歌った曲は、『イン・レインボウズ』のBOXセットのみ収録のレアな曲(なんだそーです)“Bangers And Mash”。トムがドラムを叩く姿を初めて観た(苦笑)。 曲が終わると簡易ドラムセットは片付けられ、ギターを構えたトム。ここでプレイされた曲は“Paranoid Android”。演奏が始まるとこの日一番の歓声が観客から上がった。せっかくの名曲が披露されるというのに、「この曲でこの日のライヴは終わり」と考えた一部の客がライヴ終了後の規制退場を恐れてパラパラと帰り始め、凄く目障りだ。「この曲で今日のライヴは終わり」と私も思ってたが、予想に反し、まだまだライヴは続く。「『初めて聴く新曲』が披露された」と思ったら『アムニージアック』からの“Dollars And Cents”(苦笑)。この曲が終わると、トムが弾き始めたギターのイントロは“Street Spirit (Fade Out)”。このイントロが弾かれた時のファンのリアクションももの凄かった。『ザ・ベンズ』の最後を締める名曲を披露し、レディオヘッドの5人は再びステージを去った。
 “Street Spirit”を聴いて満足したのか、一部の観客が家路に就く一方、再度のアンコールを求めて多くのファンが手拍子していると、ステージにトムひとりが戻って来た。ステージに準備されていたピアノに就き、ソロ・アルバム『ジ・イレイサー』収録に収録されてる“Cymbal Rush”をピアノ弾き語りで披露。トムの歌が終わると、他のメンバーも戻って来て、“Reckoner”をプレイ。これで『イン・レインボウズ』収録曲10曲全てが演奏されたことになる。ステージ上にはキーボードが運び込まれ、トムが演奏し始めたのは、衝撃作『キッドA』のアタマを飾る“Everything In Its Right Place”。(いつものように)この曲の最後では自動演奏に切り替えた後、トムが真っ先にステージを去り、残りのメンバーも1人、また1人と姿を消し、ステージ上は無人なのに音だけが鳴っている...と演出が行われた。こうして、この日のライヴは8時20分過ぎに終了。17曲で本編が終わった時は、「最終の特急『はくたか』に接続する新幹線に間に合う」と思ってたのに、結局は急行『能登』パターンだもんなぁ〜(苦笑)。
 緻密で繊細な演奏もさることながら、光を用いた演出で『イン・レインボウズ』の音世界を完璧に再現。もっと昔の曲を聴きたかったという不満はどうしても拭えないけどね。

【SET LIST】...'08.10.4 さいたまスーパーアリーナ
1. 15 Step
2. There There
3. The National Anthem
4. Lucky
5. All I Need
6. Nude
7. Where I End And You Begin
8. The Gloaming
9. Weird Fishes / Arpeggi
10. Videotape
11. Talk Show Host
12. Faust Arp
13. Jigsaw Falling Into Place
14. Idioteque
15. Climbing Up The Walls
16. Exit Music (For A Film)
17. Bodysnatchers

(encore 1)
1. House Of Cards
2. Bangers And Mash
3. Paranoid Android
4. Dollars And Cents
5. Street Spirit (Fade Out)

(encore 2)
1. Cymbal Rush (トム・ヨークのソロ)
2. Reckoner
3. Everything In Its Right Place

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