6年ぶりの新作『ヒア』を引っ提げ、久しぶりのジャパン・ツアーを行うティーンエイジ・ファンクラブ(TFC)のライヴを観に、3月5日に大阪の梅田CLUB
QUATTROへ行って来た。私が彼らのライヴを観るのはこれが4回目だけど、前回観たのはベストアルバム『ヒット大全集』リリース後の2003年の来日以来だから、実に14年ぶり! その間に彼らはすっかり寡作になってしまってたった3枚しかアルバム出してないからジャパン・ツアーの開催頻度も落ちてしまい、私も結婚して子供が出来てすっかりライヴに行く頻度が落ちてしまった(苦笑)。そのため、なかなか彼らのツアー日程と私の予定の空きが合わなくて彼らのライヴを観に行くことが叶わなかったんだけど、今回のジャパン・ツアーでは土日に東京と大阪でライヴがあるという願ってもないチャンスが訪れたため、新作『ヒア』の出来がなかなかよかったこともあり、かなり無理をして大阪公演に駆けつけた。また、今回の会場の梅田CLUB
QUATTROは、惜しまれながら閉店した心斎橋CLUB
QUATTROの後継だけど、私がこのハコでライヴを観るのは、今回が初めて。初めての会場のため、念のため開場時間前に現地に到着。現地ではグッズの先行販売をやっており、私もスプレーTシャツを1着買ったけど、14年前のライヴ・リポートを読み返してみると、ライヴ後にグッズを購入しようとした結果売り切れてしまい、スプレーTシャツを買い逃して悔しがってた私。そんなことがあったことなんてすっかり忘れてしまってたけど、結果的には14年前の無念を晴らした形になった(苦笑)。
今回のライヴはチケットがSOLD
OUTになっており、フロアにはぎっしりと観客が入っている。梅田CLUB
QUATTROはフロアが三段構造になってるけど、(ステージに一番近い)一番下のフロアの中央(ノーマンの前)の一番後ろに陣取る。売り切れ寸前にチケットを購入したため私の整理番号は626番で、順番から言うと最後のほうに会場入りしたんだけど、思いのほか前のほうまで移動出来た。多くの観客が30代以降だけど、彼らの音楽を後追いで発見した大学生くらいのファンの姿もそれなりに見受けられた。
開演予定時間の18時になるとすぐにステージ向かって左の袖からTFCの5人...ジェラルド・ラヴ(ベース、ヴォーカル)、ノーマン・ブレイク(ギター、ヴォーカル)、レイモンド・マッギンレイ(ギター、ヴォーカル)、そして、ドラマーのフランシス・マクドナルド...の昔からの4人と、前作『シャドウズ』以降正式メンバーとして加入したキーボード兼ギターのデイヴ・マクゴワンが観客の拍手を浴びながら登場し、それぞれの持ち場に就く。オープニング曲は、アルバム『ソングズ・フロム・ノーザン・ブリテン』から、ノーマンがリード・ヴォーカルの“Start
Again”。TFCの特徴ともいえる3人のフロントマン(でソングライター)は、ステージ向かって右からジェリー、ノーマン、そしてレイモンドの順に並ぶ。キーボードに就いてる新メンバーのデイヴはキャップを被ってる。この曲が終わると「thank
you,
Osaka」と観客に御礼を言ったノーマン。続くはジェリーがリード・ヴォーカルの“Radio”(結果から言うと、アルバム『サーティーン』からの曲はこの1曲のみ)、そして、ノーマンが「新作『ヒア』からの曲だ」と紹介して、レイモンドがリード・ヴォーカルの“Hold
On”...と、フロントの3人が1曲ずつヴォーカルをとる。オープニングでキーボードに就いてたデイヴは“Radio”ではギターを弾き、“Hold
On”ではキーボードに戻ったり、大忙し(苦笑)。彼がギターを弾く時は、ノーマンとレイモンドとのトリプル・ギター編成ってこと。フロントの3人で言うと、すっかりメガネが板に付いたノーマンは貫禄が付いて白髪が増え、森本レオ化し(苦笑)、レイモンドは額の面積がかなり広くなるなど2人とも老けたけど、ジェリーだけが昔のイメージのままの外観(苦笑)。
ノーマン・メインの“I Don't Want Control Of
You”の後、ノーマンが「アリガト!」と日本語で観客に御礼を言うと、新作から“Thin
Air”。この曲、ジェリー・メインだけど、バック・コーラスに入るノーマンの声がデカいので、どっちがメインなのか分からない(苦笑)。次の曲はレイモンド・メインで私が好きな曲の“Verisimilitude”。ここまで、ノーマン→ジェリー→レイモンド...のローテーションが2周したことになるけど、7曲目はアルバム『マンメイド』からノーマン・メインの“It's
All In My
Mind”で、ローテーションどおり(苦笑)。この曲が終わると、「友よ、こんばんは!」といった感じでファンに声掛けしたノーマン。次もローテどおりジェリーがリード・ヴォーカルの”Don't
Look
Back”で、ファンから歓声が上がる。ローテどおり今度はレイモンドがアルバム『ハウディ!』からの“My
Uptight
Life”を歌うと、ここで、ようやくローテが崩れる事態に! 次の曲は新作からジェリーがメインの“The
First
Sight”がぁ〜〜〜! 新作からの曲を演ったからか、曲が終わると「ニュー・アルバムの『ヒア」(Here)はあちら(there)で売ってるよ」などと物販コーナーのほうを指差しながらダジャレ(苦笑)を言ったノーマンが弾き始めたギター・リフは『ハウディ!』からの“Dumb
Dumb
Dumb”で、ノーマンがリード・ヴォーカルの曲。ジェリーとノーマンの順序を入れ替えただけで、まだ『三頭政治』は続くみたい(苦笑)。自分がメインの曲は勿論、ジェリーやレイモンドがメインの曲でもバック・コーラスをし、M.C.もやる頑張り過ぎのノーマン、ライヴの中盤には準備してあった水が足りなくなり、スタッフにお代わりを要求してた(笑)。一方、残りの4人は殆ど話らしい話もしないし、ノーマンのように水のガブ飲みもしない(苦笑)。
「次はレイモンドの番」と思ってたら、ホントにレイモンドがメインの“About
You”。ここまでアルバム『グランプリ』の曲が披露されるのは3曲目だけど、どの曲も観客の反応が凄く良い。次は、ジェリーに順番が戻って(苦笑)『ハウディ!』からの“I
Need
Direction”。この曲では観客がみんな♪パーパ〜パパパーパ〜...てな感じの大合唱になるに違いない!と思ってたけど、彼らの『黄金時代』を若干外した感があるのか、期待してたほどの大合唱にはならなかった(苦笑)。ノーマンが「ありがとう、新作からの曲をもう1曲演るよ」ってな感じで話してから歌ったのが“The
Darkest Part Of The
Night”。この曲を弾き終えるとギターを下ろし、ハンディな鉄琴を手にしたノーマン(苦笑)。レイモンドがリード・ヴォーカルの“Your
Love Is The Place Where I Come
From”で、サビの部分で♪ピーン〜ポーン〜パーン〜トーン〜...と鉄琴を弾く弾くだけ。次の曲の(ジェリーじゃなくノーマン・メインの)“Ain't
That
Enough”ではデイヴがハンディ鉄琴じゃないきちんとした鉄琴を弾い鳴らしてたので、“Your
Love〜”でもデイヴに鉄琴を弾かせりゃよかったのに...とも思ったけど、ノーマンに鉄琴を弾かせるところにエンターテインメント的に大いに意味があったんでしょう(笑)。ここで、ライヴ開始からほぼ守られてたローテは崩れ、次もノーマン・メインで、新作からの“I'm
In
Love”がスタジオ・ヴァージョンよりギター・オリエンテッドなアレンジで披露される。あまりの変貌ぶりに、演奏始まってからしばらく、この曲だとは気付かなかったくらい(苦笑)。曲が終わると、ジェリー・メインの“Sparky's
Dream”へ。アルバム『グランプリ』からの曲はホントに人気が高く、ファンが腕を掲げて、一部合唱するなど大いに盛り上がった。この盛り上がりぶりを目にしたばかりのノーマン、「次の曲も“Sparkyユs”と同じくらいに盛り上がってくれよ!」などとファンにお願いしてから披露したのは、名盤との誉れ高いアルバム『バンドワゴネスク』から“The
Concept”! ノーマンが曲を始める前にあんなことを言わなくても、この曲ならみんな♪oh,
yeah〜oh,
yeah〜...と盛り上がってくれたハズ。最後にハードコアな“Stan”になだれ込むこともなく、優雅に“The
Concept”を演り終え、5人は一旦ステージを去った。
観客がアンコールの手拍子をしている間、ローディーさんがステージ上の3人のギターを調整してったけど、仕草がいちいち芝居がかってて、凄くお茶目だった(苦笑)。ローディーさんが引っ込むとほどなく、観客の拍手を集めながらステージに5人が登場。何故か、ノーマンがキーボードに就いてる。居場所を失ったデイヴはノーマンの定位置であるステージ中央でギターを構える(苦笑)。アンコール1曲目は、レイモンド・メインの“Can't
Feel My
Soul”。この曲が終わるとノーマンは本来の位置に戻り、デイヴはそのままギターを構えてノーマンの後ろに下がった(苦笑)。アンコール2曲目は、アルバム『バンドワゴネスク』からで、ジェリーがリード・ヴォーカルの“Star
Sign”。曲の演奏が始まると、ファンが「ウォ〜ッ!」っとどよめく。この曲で盛り上がると、ノーマンから「短い日本滞在だったけど、ありがとう。また近いうちに会おう!」ってな挨拶があり、「僕らの1stシングルだ」と曲紹介し、“Everything
Flows”へ。アンコールでもキッチリ『三頭政治』(苦笑)。“Everything
Flows”はTFCが、はたまた当時「オルタナ」と呼ばれた『新ジャンル』が市民権を得たエポック的な作品としてファンの間で神格化されてんのか、合唱率がそれまでのどの曲よりも高くてビックリ! この曲でもデイヴはギターを弾いてた(ので、結果的にはアンコールでは一度もキーボードに触らなかったことになる)。エンディングで壁のようなギターの轟音をかき鳴らした後、TFCの5人はステージを去った。まだまだ曲を聴きたい熱心なファンは再度のアンコールを求めるクラップを続けたけど、無情にも客電が灯いてしまった...。こうして、この日のライヴはお終い。
2002年にリリースしたベスト盤『ヒット大全集』以前の曲が圧倒的に多く、昔からのファンにとって実にフレンドリーな選曲。一方で新作からも5曲披露し、懐メロバンドではなく、現役のバンドであることを見せつけた貫禄のライヴ。やっぱり、彼らの曲は、いつまでも瑞々しくてイイね!
【SET LIST】...'17.3.5 梅田CLUB
QUATTRO
1. Start Again
2. Radio
3. Hold On
4. I Don't Want Control Of You
5. Thin Air
6. Verisimilitude
7. It's All In My Mind
8. Don't Look Back
9. My Uptight Life
10. The First Sight
11. Dumb Dumb Dumb
12. About You
13. I Need Direction
14. The Darkest Part Of The Night
15. Your Love Is The Place Where I Come From
16. Ain't That Enough
17. I'm In Love
18. Sparky's Dream
19. The Concept
(encore)
1. Can't Feel My Soul
2. Star Sign
3. Everything Flows
TEENAGE FANCLUB live @ On Air East '01.1.28