JASRACがうるさいので、歌詞と訳詞は省略させていただきます。

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2010年12月(第123回)...ザ・エックス・エックス“ファンタジー”(“Fantasy”)より
アルバム『エックス・エックス』(『XX』)収録...2009年作
【コメント】
 サウス・ロンドン出身の4人組(現在はメンバーが1人離脱して3人組)のバンド、ザ・エックス・エックスのデビュー・アルバムに収録されてる曲。
 ひと昔前にシューゲイザーと呼ばれたサウンド、ドラマーの代わりにビーツ担当が居る一風変わったバンド編成、オリヴァーとロミーによる男女ツイン・ヴォーカルが特徴的な彼ら、デビュー後に一躍注目を集め、ここ日本でも高評価を受けて、5月の来日公演も7月の『FUJI ROCK FESTIVAL '10』でのステージも大好評だった。
 今回取り上げた曲“Fantasy”は彼らのデビュー・アルバム以外に、映画『告白』のオリジナル・サウンドトラックにも収録されてる。この映画『告白』では、「少年A」こと渡辺修哉の回想シーンの、シャボン玉が舞うなか修哉の母親が家を出て行く別れの場面などで効果的に使われてた。しか〜〜〜し、映画をみるまで何十回となく彼らのアルバムを聴き、この曲もしっかり耳に馴染んでたというのに、映画をみてる最中には誰の曲だか全く思い出せず、映画が終わってからクレジットを確認してようやくザ・エックス・エックスの曲だと分かる体たらく。この映画では他にレディオヘッドや やくしまるえつこの曲が使われてたけど、彼らの曲はすぐに誰か分かったのにぃ〜! ザ・エックス・エックスの曲が分からなかったのは、私にとっては痛恨の極みでした。


2010年11月(第122回)...パラモア“プレイング・ゴッド”(“Playing God”)より
アルバム『ブラン・ニュー・アイズ』(『Brand New Eyes』)収録...2009年作
【コメント】
 紅一点のヴォーカリスト、ヘイリー・ウィリアムズ嬢率いる4人組パンク・バンド、パラモアの3rdアルバム『ブラン・ニュー・アイズ』に収録されている曲。
 『ブラン・ニュー・アイズ』というアルバムは、音楽的方向性や人間関係をめぐるメンバー間の衝突を反映してか、アルバムのアタマの2曲はヘヴィーかつラウドで、ヘイリーのヴォーカル・スタイルも金切り声のシャウト。このアルバムを初めて流した時、2曲目まで聴いて「この先どうなっちゃうんだろ?」と心配になったところで始まったのが、3曲目に収録されてるこの曲。それまでの2曲と違い、ポップな楽曲で、砂漠のなかにオアシスを見つけた旅人のような心境になった(苦笑)。この初回の印象が大きかったためか、私のなかでは「パラモア=この曲」です。2010年2月に彼女の来日公演があり、観に行くことも真剣に検討しましたが、ライヴのセットリストをチェックしてこの曲を演ってないのを確認した時点で、観に行くのを止めました(爆笑〜!!!)。それほど大好きな曲で、私にとっては2009年のベスト・チューンです。


2010年10月(第121回)...アッシュ“アフロディーテ”(“Aphrodite”)より
アルバム『ニュークリアー・サウンズ』(『Nu-Clear Sounds』)収録...1998年作
【コメント】
 北アイルランド出身で、デビューした時(1994年のミニ・アルバム『トレイラー』)にはメンバー全員10代の3人組だった早熟バンド、アッシュが女性ギタリスト、シャーロット・ハザリーを加入させ1998年にリリースした2ndアルバム『ニュークリアー・サウンズ』収録のバラード。
 全英No. 1に輝いたデビュー作『1997』、そしてこのアルバムの次作で彼らにとって最大のヒット作になる3rd『フリー・オール・エンジェルズ』の間に挟まれ、影が薄いアルバムで、このアルバムから今でもライヴで演ってるのはもともと映画『普通じゃない』に提供してた“A Life Less Ordinary”くらいなもの。だけど、私はこの曲が大好きで、今でもアッシュのライヴを観る度に(最近は単独公演はとんと御無沙汰で、『フジ・ロック』でしか観なくなっちゃったけど...苦笑)、この曲を演ってくれないかなぁ...と期待してしまいます(苦笑)。
 「アフロディーテ」といえばギリシャ神話における愛と美の女神のことだけど...ロック・ファンにとっては、1971年に開催され、ピンク・フロイドが出演したことで知られる伝説的な野外音楽フェスティヴァルのことなんでしょうね?(苦笑)


2010年9月(第120回)...古明地洋哉“SWEET RAIN”より
アルバム『「灰と花」』収録...2001年作
【コメント】
 孤高のシンガー/ソングライター(苦笑)古明地洋哉のデビュー・アルバム『「灰と花」』に収録されてる曲。
 このアルバムがリリースされたのは2001年。音楽雑誌『SNOOZER』で取り上げられていたことから彼に興味を持ち、このアルバムを買って聴いたのがその年の初夏。このアルバムを聴き込んでいくうちに、暗いながらも古明地独自の歌世界にどんどんのめりこんでった私。ちょうど会社の出張で2週間九州に滞在する機会があり、そのついでに彼の福岡でのライヴを観に行った時が私のなかでの「古明地ブーム」の絶頂だったかもしれない(苦笑)。その頃はアメリカの同時多発テロ(俗にいう「9.11」)が起こったばかりで世間が「アルカイダ憎し、ビンラディン憎し」の一色に染まっていたため、「
気のふれた世界で正気を保つこと それこそが狂気だ”と誰かがうそぶく」という歌詞がミョーにリアルに思えたものでした。


2010年8月(第119回)...ステレオフォニックス“ローカル・ボーイ・イン・ザ・フォトグラフ”(“Local Boy In The Photograph”)より
アルバム『ワード・ゲッツ・アラウンド』(『Word Gets Around』)収録...1997年作
【コメント】
 英国ウェールズ出身のロック・バンド、ステレオフォニックスが1997年にリリースしたデビュー・アルバム『ワード・ゲッツ・アラウンド』に収録されてる曲(ちなみに、このコーナーの名前は、このステレオフォニックスのアルバムから採ってます)。
 自分のところに電車の時刻を訊きに来た少年がその電車に飛び込んで自殺したことを翌日の新聞で知る...という衝撃的な内容の歌詞だけど、これは実際にヴォーカル/ギターのケリー・ジョーンズが実際に体験した実話を基にしたものだそう。実は、私もこれと同じような体験をしたことがある。まだ松本で大学生をやってた1994年の8月、北アルプス後立山連峰を縦走中だった私は、あるピークで登頂記念の写真を撮るため居合わせた登山パーティーのメンバーにカメラのシャッターを押してもらった。下山して自分のアパートに戻り、郵便受けにたまりまくってた新聞を一つ一つ確認してた私の目はひとつの山岳遭難記事...しかも死亡事故...に止まった。遭難場所、遭難日時から、遭難したのはあの時シャッターを押してもらったパーティー以外には考えられず、この遭難死の記事をみてかなりのショックを受けた記憶がある。
 ステレオフォニックスは、現在の成功の礎となった
第2回目『フジ・ロック』こと『FUJI ROCK FESTIVAL '98 in TOKYO』に出演し、その時にもこの曲を演った。この曲を聴く度に第2回目『フジ・ロック』のことと、1994年夏の衝撃的遭難記事のことを思い出します。


2010年7月(第118回)...ミューズ“スターライト”(“Starlight”)より
アルバム『ブラック・ホールズ・アンド・レヴァレイションズ』(『Black Holes And Revelations』)収録...2006年作
【コメント】
 U.K.ロック・バンド、ミューズが2006年夏にリリースした4thアルバム『ブラック・ホールズ・アンド・リヴァレイションズ』に収録されてる曲で、彼らの楽曲のなかでも最もポップな楽曲のひとつ。
 デビュー当時はレディオヘッド・フォロワーなサウンドを聴かせてたミューズ。その露骨なレディオヘッドぶりに私はデビュー盤だけで彼らを見限ってたが、その後の2nd『オリジン・オブ・シンメトリー』と3rd『アブソリューション』で大成長。特に、3rd『アブソリューション』は世界中でヒットし、高評価も受け、現在のロック・シーンにおける最重要バンドのひとつになった。その評判を聞き付け、「あの酷かったミューズが最近評判のようなので、久しぶりに聴いてみよう」てな感じでこの4thで3作品ぶりに彼らのアルバムを聴いた私、あまりの『化け』ぶりにビックリ! アルバム通したトゥー・マッチぶりにもノックアウトされましたが、この曲の突き抜けたポップさにも感服させられました。


2010年6月(第117回)...ファウンティンズ・オブ・ウェイン“ゴー・ヒッピー”(“Go, Hippie”)より
アルバム『ユートピア・パークウェイ』(『Utopia Parkway』)収録...1999年作
【コメント】
 U.S.ギター・ポップ・バンドのファウンティンズ・オブ・ウェイン(F. O. W.)が1999年にリリースした2ndアルバム『ユートピア・パークウェイ』に収録されてる曲で、彼らの持ち歌のなかでもギターがハード・ドライヴィンで、ライヴのアンコールによく演奏されてた。今年1月のアコースティック・ライヴ・ツアーではさすがに演らなかったケド...(苦笑)。
 このバンドのメンバー、アダム・シュレシンジャーはアイヴィーのメンバーとしても知られてますが、世間の音楽ファンの大多数と異なり(勿論、一番の大多数はF. O. W.もアイヴィーも知らない層になりますが...苦笑)、F. O. W.よりもアイヴィーのほうを先に聴いてた私は「大好きなアイヴィーのメンバーがやってるサイド・プロジェクト」として、この2ndリリース時にF. O. W.に興味を持ちました(苦笑)。この2ndが高い評価を得たのと、ちょうど『フジ・ロック』への出演のタイミングが重なり、1stリリース時に比べものにならないくらい彼らの人気が盛り上がってた頃で、私も『フジ・ロック』の『WHITE STAGE』で彼らのライヴを観ました。その時何故かジョディ・ポーターの機嫌が悪かったことや、彼が一時的に脱退し行われた単独来日公園でクリス・コリングウッドがステージに出てくるなり、「僕タチハ、SMAPデス!」と言ったことや、物販のCD購入特典のポスターにテキトーなカタカナで「クリス」と書いたりしたことを今でもよ〜〜〜く憶えてます(苦笑)。


2010年5月(第116回)...エイジア“ヒート・オブ・ザ・モーメント”(“Heat Of The Moment”)より
アルバム『詠時感〜時へのロマン〜』(『Asia』)収録...1982年作
【コメント】
 元キング・クリムゾンのジョン・ウェットン、元イエスのスティーヴ・ハウ、元エマーソン、レイク&パーマー(E.L.P.)のカール・パーマー、元バグルスのジェフリー・ダウンズというプログレシヴ・ロック界の名の売れた4人によって結成され、「スーパーグループ」と呼ばれたバンド、エイジアのデビュー・シングル。
 '70年代のプログレ・バンドがアナログの片面をまるまる使って表現したドラマを、4分の大衆ポップ・ソングの形で一般ピーポーに分かりやすく呈示したエイジアはたちまち人気バンドとなり、全米アルバム・チャート(『Billboard TOP 200』)でNo.1に輝くなど、彼らがかつて在籍してたどのバンドよりも商業的に大成功を収めた。ただ、プログレ村の皆さんに付き物の「人事異動」(苦笑)のため、この編成も長くは続かず、メンバーの加入/脱退を繰り返してくうちに人気はどんどん凋落してった。2006年のオリジナル・メンバーによる再結成の後、今も同じメンバーで頑張ってるけど、この4人が揃った編成としては、昔の全盛期('82〜'83年)より、今のほう('06〜)が圧倒的に長いくらい(苦笑)。
 彼らがデビューした1982年春は私が洋楽に目覚めた頃で、聴くものすべてが新鮮に聴こえてた。当時、日本の洋楽チャートでも上位にランク・インしてたこの曲も、忘れられない『想い出の曲』です。


2010年4月(第115回)...いきものがかり“コイスルオトメ”より
アルバム『桜咲く街物語』収録...2007年作
【コメント】
 男性ギタリスト2人と女性ヴォーカリストによる3人組、いきものがかりが2006年にリリースしたメジャーからの3rdシングルで、メジャー・デビュー・アルバム『桜咲く街物語』にも収録されてる曲。
 いきものがかりは女性ヴォーカリスト・吉岡聖恵をフロントに立てた音楽ユニットではあるけど、音楽的イニシアティヴを握ってるのは男性陣で、歌詞も含め、曲を男性陣が書いてる。だから、“コイスルオトメ”と題されたこの曲の歌詞を書いたのも、いきものがかりのリーダーである水野良樹だ(笑)。この曲を最初聴いた時、男である私にはもの凄く違和感があった。っつうのは、この曲で自分の想いを歌ってる女性像って、男の目線からみた「都合のいい女」じゃないかI?(爆笑〜!!!) 男の立場から「女のコからこういうふうに想われたい/慕われたい」といった願望が描かれてるようで、私にはちょっと気持ち悪い(苦笑)。女のコたち(特に、いきものがかりが絶大な人気を誇ってるという女子中生や女子高生)にこの曲の歌詞はどー思われてるのか、凄く興味があります(苦笑)。


2010年3月(第114回)...ブロック・パーティー“ソング・フォー・クレイ”(“Song For Clay (Disappear Here)”)より
アルバム『ア・ウィークエンド・イン・ザ・シティー』(『A Weekend In The City』)収録...2007年作
【コメント】
 英国の4人組ブロック・パーティーが2007年にリリースした2ndアルバム『ア・ウィークエンド・イン・ザ・シティー』のアタマに収録されてる曲。このアルバムを初めて聴いた時、この曲のイントロのあまりのドラマティックな展開に「このアルバムは、傑作だぁ〜〜〜!!!」と興奮状態になった私。そういう興奮が味わえるアルバムはそうそうあるもんじゃないです。世間的には1stの『サイレント・アラーム』のほうが評価が高いかもしれないけど、'80年代ニュー・ロマンティックにも通じる美学が感じられるこのアルバムのほうを私は推したいと思います。


2010年2月(第113回)...ケーク“フランク・シナトラ”(“Frank Sinatra”)より
アルバム『ファッション・ナゲット』(『Fashion Nugget』)収録...1996年作
【コメント】
 アメリカ・カリフォルニア州サクラメント拠点のバンド、ケークの2ndアルバムにして大出世作である『ファッション・ナケット』のアタマを飾る曲。
 ケークは、ギター兼リード・ヴォーカルのジョン・マックレアを中心とするバンドで、このアルバムの後にメンバーが大幅に入れ替わってるため、ジョン・マックレアによるワン・マン・バンドと考えても間違いは無いかもしれない。彼らがシーンに出て来た時にはBECKやペイヴメントや、G・ラヴなどロー・ファイが脚光を浴びてて、彼らもその文脈で語られることが多かった。が、ケークと前述のアーティストたちとの最大の違いは、「オッサン臭いかそうでないか」(笑)。私は彼らの1997年の初来日公演を観たことがあるけど、そのライヴ・リポート中で『歳を取ることの寂しさがにじみ出て、哀愁が漂うけどもそれでいてコミカルな音造り』こそが、ケークの音楽の魅力だと力説してる。あれから12年余りが経過し、ケークもメンバーを替えながらも活動を続け、私も齢を重ねて音の受け止め方が少しは変わったハズだけど、私にとってのケークの魅力とするものについては今もは変わっていないと思います。
 そーいえば、この“Frank Sinatra”という曲でもトランペットのフレーズがとても哀愁漂わせつつもユーモラスな響きも持ち、非常に効果的なんだけど、メンバーの入れ替わりが激しいなかトランペット奏者のヴィンセント・ディフォーレだけは(ジョン・マックレアとともに)ず〜〜〜っとバンドに留まり続けてる。先ほど「ジョン・マックレアによるワン・マン・バンドと考えても間違いは無いかもしれない」って書いたけど、もしかしたら、彼の吹くトランペットこそが『鍵』なのかもしれません。


2010年1月(第112回)...アイヴィー“ザ・ベスト・シング”(“The Best Thing”)より
アルバム『アパートメント・ライフ』(『Apartment Life』)収録...1997年作
【コメント】
 フランス人女性シンガー、ドミニク・デュランを看板に据えたオシャレなポップ・グループ、アイヴィーが1997年にリリースした2ndアルバム『アパートメント・ライフ』のアタマを飾る曲。
 ここ日本においては、「ファウンテインズ・オブ・ウェインのアダム・シュレシンジャーのサイド・プロジェクト」の扱いをされてるアイヴィーだけど、私のなかでは、ファウンテインズ・オブ・ウェインこそ「アイヴィーのアダム・シュレシンジャーのサイド・プロジェクト」(爆笑〜!!!)。それは、アイヴィーを先に知ったか、ファウンティンズ・オブ・ウェインのほうを先に知ったかの違いによるものだと思うんだけど、私は1998年初頭にはこのアルバムを手にし、その洗練された都会的なポップ・サウンドにすっかり魅了された。日本では当時(今も?)地味な扱いで、このアルバムもレコード会社移籍に伴う権利関係のせいか、ひっそりと日本盤がリリースされ、殆ど話題にならないままに終わってしまった。今も、多くの音楽ファンがこのアルバムのことを知らないままで居ることが、かえすがえすも残念でならないのです。

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