2015年12月(第183回)...ハートバザール“色彩”より
アルバム『さいはて』収録...2001年作
【コメント】
『天然ポエム少女』(そう彼女のことを呼んでたのは、私だけ?....苦笑)石井皐月を看板シンガーに立てた男女混成の4人組、ハートバザール(以下、ハバザ)が唯一メジャーでリリースしたアルバム『さいはて』に収録されてる曲。
独特の歌詞世界を構築する石井皐月嬢だけど、なかには変態的に歪んだ欲望を扱ったものもあり、当時の音楽シーンでも異彩を放ってました。異彩過ぎてバンドじたい長持ちせず、その後、本名の石井五月に戻って組んだバンド(ハッカ)も「五月」名義でのソロ活動も長続きしませんでした。♪サヨナラ、キミを聴いていたかった〜。
私がハバザのことを知ったのは、2001年12月に地元のFM曲が開催したショウケイス・ライヴに出演すると聞いてから。ハバザのCD聴いて、必死に予習したなぁ〜。その際、特にこの曲が気に入ったんだけど、件のショウケイス・ライヴでは当然のようにこの曲は演らなかった。せっかくハバザのことを知ったばかりなのに、その後半年くらいで解散が決まったものだから、ハバザの解散ライヴをわざわざ観に行った。この曲をナマで聴けるものと信じて。そしたら、アルバムの曲はほぼ演ったというのに、この曲だけは演ってくれなかった...(泣)。インディー時代の曲やCDのカップリング曲も演ったのに...。
♪ゴメンよ、コレを聴きたかった〜。
2015年11月(第182回)...ライド“チェルシー・ガール”(“Chelsea
Girl”)
アルバム『スマイル』(『Smile』)収録...1990年作
【コメント】
マイ・ブラッディ・ヴァレンタインと並ぶシューゲイザー・バンドの代表格のライドが1990年(日本盤は'91年)にリリースしたコンピレーション盤『スマイル』のアタマに収録されてる曲。
もともとこの『スマイル』というコンピレーション盤は、デビュー・アルバム『ノーホエア』リリース前にリリースしてたデビューE.P.(通称・『赤ライド』)と次の“Play
E.P.”(通称・『黄ライド』)を1枚にまとめただけであり、前半が『赤ライド』、後半が『黄ライド』の曲で占められている。
実は、私はデビュー作『ノーホエア』より、このコンピレーション盤が好きだったりします。特に、1曲目のこの曲が持つ爽快な疾走感にヤられました。1996年にバンドは解散してましが、2014年に再結成したライド、2015年の『フジ・ロック』でもこの曲を演ってくれましたが、心の中で大きく「やったあ〜!!!」と叫んだものでした。
2015年10月(第181回)...RUSH“タイム・スタンド・スティル”(“Time
Stand Still”)
アルバム『ホールド・ユア・ファイアー』(『Hold Your
Fire』)収録...1987年作
【コメント】
RUSHが1987年にリリースした12枚目のスタジオ・アルバム『ホールド・ユア・ファイアー』に収録されてる曲。
この『ホールド・ユア・ファイアー』、私が1986年にRUSHのファンになってから初めてリリースされたアルバムとなるため、すなわち、「私が初めて発売日に購入したRUSHのアルバム」ということになります。今はもう閉店してしまった『フクロヤ総曲輪店』で、親から借りたお金でレコードを購入したことが昨日のことのように鮮明に憶えてます(苦笑)。この曲は、このアルバムからの先行シングルのようなかたちで、発売前からラジオで紹介されてました。私もこの曲はNHK-FMの『クロスオーバーイレブン』で、発売前に聴いて、しかも、カセットに録音できたので何度も繰り返し聴いてた(苦笑)。ラジオだけでなく、TVでも『ベストヒットUSA』でクリップが流れたり...と、一般的な洋楽ファンの間ではイマイチ知名度が低かったRUSHが一気に日本で大衆化するチャンスだったと思うんだけど、結局、そうはならず、未だに好事家のみが対象のバンドのままとなっております(苦笑)。この曲、ティル・チューズデイのエイミー・マンがゲスト・ヴォーカルで参加したのも大きな話題でしたね。♪time〜stand
still〜...。
2015年9月(第180回)...少年ナイフ“E.
S. P.”
アルバム『Brand New Knife』収録...1996年作
【コメント】
『世界で一番有名な日本のバンド』と呼ばれた少年ナイフが1996年に放ったアルバム『Brand
New Knife』に収録されてる曲。
ミッシェル・ポルナレフの“シェリーに口づけ”を思わせる軽快なイントロが凄く印象的なポップ・チューンで、彼女たちのキャリアのうち、MCAビクター時代を『中期』とした場合、その中期を代表する曲だと思います。♪Extrasensory
perception She has special powers〜のリフレイン、♪Does she have
E.S.P.〜Yes, she has
E.S.P.〜のリフレインなどが耳に残り、ヒジョーに親しみ易く、少年ナイフらしさがよく出てる。
今でもライヴの定番なので、彼女たちのライヴに行けばこの曲の生演奏を聴くことが出来るかもしれないけど、1996年時点のメンバーは、今や直子さんひとりしか残っていない。美智枝さんと敦子さんも居る3人でのこの曲のライヴは(たぶん)もう聴けない...。1996年に渋谷のCLUB
QUATTROに別のアーティストのライヴ観に行った時、1Fに当時あった『WAVE』で少年ナイフのインストア・ミニ・ライヴがあり、当然この曲も演ったハズだけど、なにしろ別のアーティストのライヴ観に渋谷に来てたワケだからこのインストア・ミニ・ライヴは観なかった。あの時、都合付けて観ときゃあよかった...と、今更ながら、思います(苦笑)。
2015年8月(第179回)...アリス・イン・チェインズ“Would?”(“ウッド?”)
アルバム『ダート』(『Dirt』)収録...1992年作
【コメント】
シアトルのオルタナティヴ・ヘヴィー・ロック・バンド、アリス・イン・チェインズが1992年にリリースした2ndアルバム『ダート』に収録されてる曲。
オルタナティヴ・ヘヴィー・ロックは、1991年末のニルヴァーナの大ブレイクをもって一気に音楽シーンに浸透したワケですが、ニルヴァーナよりもひと足早く、1stアルバム『フェイスリフト』にて商業的成功を収めてたのが、彼ら。今や故人となってしまったレイン・ステイリーの呪術的でアヤし気な独特のヴォーカルが何とも特徴的でした。
私がこのアルバム『ダート』を聴いたのは1992年の末で、1993年の夏にかけてよく聴いてました。気温40℃以上の灼熱世界を音で表現したらこんなふうになるんじゃないかと思うほど暑苦しいサウンドにすっかり魅せられた(笑)。1993年の夏には、北アルプスの後立山連峰を縦走し、栂海新道も歩きましたが、後ろに転んだら『ダート』のアルバムジャケットそっくりになってしまいそうなぬかるんだ箇所がたくさんあったことが想い出に残ってます。
レインはこの世を去った後も、後任のヴォーカリストにウィリアム・デュヴァールを迎えてバンドは今も存続してますが、看板ヴォーカリストを失った以上「『昔の彼ら』とはやっぱり違う」とどうしても思ってしまうのです。
2015年7月(第178回)...ジェニファー・ロペス“If
You Had My Love”
アルバム『On The 6』収録...1986年作
【コメント】
『J.
Lo』ことジェニファー・ロペスが1999年にリリースしたデビュー・アルバム『On
The 6』のアタマに収録されているヒット曲。
今はすっかりポップス・フィールドの音楽には疎くなり、ロック畑一辺倒という感じになってしまった私の音楽の趣味ですが、昔はポップス・フィールドの音楽もそれなりに聴いてました。というのは、ロック専門番組ではない一般的な洋楽を扱う(地元・富山の)『KNBポップス'99』というラジオ番組を毎週聴いてたから。この番組によって『rockin'
on』や『CROSSBEAT』といった音楽雑誌では知ることが無いであろうポップス・フィールドのアーティストの楽曲に触れてたから。この曲も、そーゆー形で知った曲のひとつで、セクシー女優としてある程度名を売ってからの歌手デビューとなったJ.
Loのことを、『KNBポップス'99』のD.J.やってた渡辺一宏氏が「日本で言えば、藤原紀香さんのような女優」などと説明してたのが記憶に残ってます。藤原紀香かぁ...(苦笑)。
2015年6月(第177回)...ピーター・ガブリエル“レッド・レイン”(“Red
Rain”)より
アルバム『So〜ピーター・ガブリエルV』(『So』)収録...1986年作
【コメント】
ピーター・ガブリエルの5枚目のソロ・アルバムにして、ワールドワイドでの大成功を収めた『So〜ピーター・ガブリエルV』のアタマを飾る曲。
ピーター・ガブリエルの5枚目『So』といえば、この曲よりも、凝った作りのプロモーション・ヴィデオが大いにウケて大ヒットを記録した“Sledgehammer”や、ケイト・ブッシュとのデュエットが話題となった“Don't
Give Up”、ドラムでスチュワート・コープランドが参加した“Big
Time”といった曲のほうが注目を集めてますが、私はこのアルバムのなかなら、この曲が一番好きです。
1988年、大学進学のため松本でひとり暮らしを始めた私が、通販で輸入盤を買うということを覚え、一番最初に取り寄せたCD4枚のうちの1枚がこのアルバムでした(残りは、ピンク・フロイドの『鬱』、RUSHの『世界を翔けるロック』と『ムービング・ピクチャーズ』(だったかな?...苦笑)。今でもこの曲を聴くと、あの頃を思い出します(苦笑)。
2015年5月(第176回)...BECK“ルーザー”(“Loser”)
アルバム『メロウ・ゴールド』(『Mellow Gold』)収録...1994年作
【コメント】
BECKのメジャー・デビュー盤『メロウ・ゴールド』に収録されてる曲で、彼の出世作&代表曲。
1994年はカート・コバーンの自殺、オアシスのデビュー...と、ロック史に残る出来事があった年ですが、このBECKのデビューも挙げておかなければいけないでしょう。「俺は負け犬だ。殺ってしまったらどうだ」というインパクトの大きい歌詞、サンプリングを駆使したサウンド・メイキング、若いルックスと裏腹の低いしわ枯れ声...どれもインパクト大でした(苦笑)。当時、誰もがBECKのことをオモロいことを演ってるけど、一発屋...というふうに捉えてて、まさか20年後に権威ある『グラミー賞』の『アルバム・オブ・ジ・イヤー』を獲得するまでになるとは、誰も予想して無かったことでしょう(苦笑)。
2015年4月(第175回)...新山詩織“Looking
into the sky”より
アルバム『しおり』収録...2014年作
【コメント】
アコースティック・ギターを弾きながら唄う女子たち「ギタ女」のブームを牽引する女性シンガー/ソングライターのひとり、新山詩織のデビュー・アルバム『しおり』のアタマを飾る曲。
このアルバムがリリースされるのとほぼ同時に高校を卒業したばかりだという彼女は、当然ながらレコーディング中は現役の高校3年生だったワケで、学校生活における喜びも悲しみも葛藤もすべリアルにサウンドに織り込まれてます。私が彼女の音楽にドハマリしてしまったのは、彼女のサウンドに込められた「リアルさ」かもしれません。
2015年3月(第174回)...ビルト・トゥ・スピル“センター・オブ・ジ・ユニヴァース”(“Center
Of The Universe”)より
アルバム『キープ・イット・ライク・ア・シークレット』(『Keep It Like A
Secret』)収録...1999年作
【コメント】
オルタナ界の鬼才、ダグ・マーシュが率いるオルタナティヴ・バンド/プロジェクト、ビルト・トゥ・スピルのメジャー移籍後2枚目(通算4枚目)となるアルバム『キープ・イット・ライク・ア・シークレット』に収録されてる曲。
ピロピロ乾いたギターの音色とダグのかん高いヴォーカルがクセになる曲で、前作『パーフェクト・フロム・ナウ・オン』では難解過ぎてイマイチ入り込めなかった彼らの音楽にすっかりハマるキッカケになりました。2015年の今年は6年ぶりに新作も予定されており、彼らの動向からは今も目が離せません。
2015年2月(第173回)...バーディー“スキニー・ラヴ”(“Skinny
Love”)より
アルバム『Birdy』収録...2011年作
【コメント】
2011年に若干15歳でデビューした女性シンガー/ソングライター、バーディーことジャスミン・ヴァン・デン・ボガードのデビュー作『Birdy』(日本未発売)に収録されてる曲で、ボン・イヴェールの曲のカヴァー。
私にとって、バーディーの音楽に触れたという経験は、2010年代のミュージック・シーンを語るうえで最も大きな出来事のうちの一つ。初めてマリア・マッキーの歌声を聴いた時の衝撃に勝るとも劣らないインパクトに、すっかり打ちのめされてしまいました。彼女のデビュー・アルバムを聴いたのが、運悪く2012年のアタマだったこともあり、2011年でも2012年でも年間ベスト・アルバムTOP10に選ぶことも出来ませんでした。2012年のうちに日本盤が出れば2012年の年間ベスト・アルバムTOP10に選ぶつもりだったのに、肝心の日本盤は2012年どころが、2015年になった今でもリリースされておりません。2013年にリリースされた2nd『ファイヤー・ウィズイン』が本国から約半年遅れで2014年に日本でも出て、ようやく日本デビューを果たすような始末。ちなみに、デビュー作の代表曲は(この曲も含めて)2ndの日本盤ボーナストラックとして収録されてます。ああ...。
2015年1月(第172回)...ロストプロフェッツ“フォー・ヒーズ・ア・ジョリー・グッド・フェロン”(“For
He's A Jolly Good Felon”)より
アルバム『ザ・ベトレイド〜裏切られし者たち』(“The
Betrayed”)収録...2010年作
【コメント】
ウェールズのロック・バンド、ロストプロフェッツが2010年にリリースした4thアルバム『ザ・ビトレイド〜裏切られし者たち』に収録されてる曲。
ロストプロフェッツは、往年のアクセプトのような...というほど男臭くないけど、怒涛の男声コーラスがキモチいいロック・バンド。彼らのライヴに行くと、ファンがみんな大合唱して凄く印象深かったものです。しかし...。
2012年の年末、ヴォーカルのイアン・ワトキンスが13歳以下の児童に性的虐待を行ったことや乳児に対し性的暴行を企てたことなどの容疑で逮捕され、当初はその容疑を否認してたイアンも1年後には罪を認め、結果、禁錮29年(!)と6年間の保護観察処分の判決を喰らった。このニュースを報じるネットニュース(『ZAKZAK』)の見出しが『変態ロック歌手に禁錮29年』...。『変態ロック歌手』ですよ、『変態ロック歌手』! イアンが容疑を認めたのを機にバンドは解散。当初はイアンの無実を信じ彼の無罪放免の日が来るのを待ってたメンバーたちも、彼の罪状が明らかになるにつれ怒りに震え「奴とは二度と口をきくつもりはない」とコメントしたり、バンドの栄誉であるゴールド・ディスクを叩き割ったり...とバンドの歴史そのものがおぞましいものになってしまったようです...。私は彼らのCDを叩き割ったりはしないし、イアンひとりの所業のせいで彼らの音楽すべてが否定されるのも我慢できませんが...。
『裏切られし者たち』とは、残りのメンバーただったり、彼らの音楽聴いてたファンのことですかぁ〜? つくづく皮肉なタイトルだよ。