蛯原友里が出演する資生堂『ANESSA』のCMに使われた“A Perfect Sky”の大ヒットのお蔭で、2nd『Heaven's Kitchin』リリース時以来に「旬なアーティスト」になっ(てしまっ)たBONNIE PINK(以下、BONNIE)。2枚組ベスト･アルバム『Every Single Day』のリリースに伴うツアー『Under The Perfect Sky』を9月18日に新潟･LOTSで観て来た。
　新潟･LOTSはFM新潟の社屋のなかにあるライヴハウス。「旬なアーティスト」なだけあって、スタンディングのフロアには観客がぎっしり入ってる。開演予定時間の6時半を過ぎしばらくすると客電が落ち、ステージにバック･バンドの面々が登場。いきなりトロピカーナでド派手なイントロの演奏が始まる。オープニング曲はBONNIEもソープ嬢役で出演した映画『嫌われ松子の一生』のテーマソング“LOVE IS BUBBLE”。ステージに登場したBONNIEは、ピンク〜紫系のワンピースで、長い髪を束ねてる。BONNIEの右隣にギター、左隣にベース、真後ろにはパーカッションの女性、その右側にはキーボード、左側にはドラム...という配置で、BONNIEを含め6人での演奏。“LOVE IS BUBBLE”を歌い終わると、「こんばんは〜」と観客に挨拶したBONNIE、次の曲は“Communication”。ベスト･アルバムに伴うツアーだから、演奏されるは全てこのアルバムに収録されてる曲、あわよくば、BONNIEのシングル曲を全曲プレイを期待してライヴに臨んでた私だったが、ベスト盤に入っていない曲も演ることがこの時点で分かった(苦笑)。曲が終わると満員のフロアをみて、「ギチギチ」(にお客さんが入ってるね)などと感想を漏らした後、今日がツアー『Under The Perfect Sky』の最終日(ただし、追加公演/再追加公演が出たけど...苦笑)だということを紹介。ラストだから盛り上がっていくぞ〜〜〜!!!...となったところで披露されたのは、ファンから長年「隠れた名曲」と呼ばれ、ベスト盤にも収録の“泡になった”。私もファンクラブ･イヴェントでしかナマでは聴いたことがない。BONNIEがイントロで♪泡になった〜とワン･フレーズ歌っただけで「オオ〜ッ!」とどよめくファンたち。『Even So』からの“1･2･3”、『Just a Girl』からの“Thinking Of You”を演ると、改めて今日がこのツアーの最終日だと言い、メンバー紹介を始めるBONNIE。バック･バンドは、ギターがアイゴン(會田茂一)、ベースが高桑 圭さん、ドラムがアンソニー、キーボードが奥野真哉さん、パーカッション&バック･ヴォーカルがアフロ頭のパーカッショニストのNanaN.ちゃん。前回の『Golden Tears』のツアーと同じメンバーで、バック･バンドのメンツがコロコロ変わるBONNIEにしては珍しい。BONNIEから紹介を受けると、メンバーひとりひとことずつ喋ったんたけど、アイゴンだけはいつものあの調子で(苦笑)トークを延々と続けた。「最近、涼しくなってきたから、新潟は(北国だから)寒いと思って長袖ばかり持って来たら、暑くて、暑くて...。フェーン現象なんだって。フェーン現象って、何ですか?」といった感じで(苦笑)。この日の新潟は、確かに、暑かった。あまりに暑いので、アイゴンは信濃川の河川敷へ涼みに行ったそうだ。そこで犬を連れて散歩をしてる老女を目撃したというアイゴン、「暑さのあまりバアサンは『ハァハァ』と息があがってて、バアサンが犬を散歩させてるというよりも、犬がバアサンを散歩させてるみたいだった」などと老女をバカにするような発言をした後、「今日は『敬老の日』でしたね、こんなこと言ってゴメンナサイ」とぺこりと謝り、アイゴンの独演場は終了。
　「懐かしい曲を演ります」などとBONNIEがM.C.してから演奏された曲は、“過去と現実”。「懐かしい曲」とはポニー･キャニオン時代の曲を指すと思ってたから、ワーナー移籍後のこの曲が披露され、肩透かしを喰らったような気になった。高桑 圭さんがベースをウッドベースに変え、BONNIEもギターを構えた“Cotton Candy”、BONNIEが観客に手拍子させ、音量が最高になったところでBONNIEが♪so〜wonderful〜と声を載せて始まった“So Wonderful”(この曲も、高桑 圭さんはウッドベース)が終わると、BONNIEとアイゴン以外のメンバーはステージを去り、BONNIEのギター弾き語り(アイゴンもサポート)でベスト盤にも入ってる“The Last Thing I Can Do”。BONNIEのギター弾き語りが終わると一旦引っ込んでたメンバーがステージに戻って来た。奥野さんのピアノ･ソロからなだれ込んだ“Sleeping Child”、そして“Last Kiss”を演ると、BONNIEより「『第一期BONNIE PINK』(ポニー･キャニオン時代)の曲を演ります」とのM.C.。最初は“Lie, Lie, Lie”だったけど、完奏せずに“かなわないこと”へ。『第一期BONNIE PINK』の曲はメドレー方式で披露されるようだ。“かなわないこと”の次は“金魚”。この“金魚”だけはイントロのみが欠けた状態でほぼフル演奏に近い状態でプレイされた。最近のBONNIEのツアーではなかなか聴けない曲ばかりなので、欲を言えば、3曲ともアタマから終わりまで完奏して欲しかった。
　BONNIEより、「soul」と「soldier」を足した造語だ...といった紹介があったベスト盤収録の新曲“Souldiers”の後、最近BONNIEがハマってるというマイケル･ジャクソンのカヴァー“Rock With You”が披露され、ステージ上にセットされたミラーボールが廻る(笑)。1年前はBONNIEは「石川さん」に凝ってたらしいけど、今はマイコーにハマってるらしい(苦笑)。“A Perfect Sky”のカップリング曲“Free”、次に“Private Laughter”を演ると、BONNIEがM.C.。「最後になってしまいました」　観客から「エ"エ"ッ〜〜〜!!!」とブーイングが出るなか、BONNIEはさらに言葉を続け、「ここに居るみんなで、完璧な空の下で...」などとM.C.。ここまで言えば次に“A Perfect Sky”が披露されるのがミエミエ(苦笑)。次の曲は案の定、“A Perfect Sky”。個人的には、BONNIEにはこの曲よりイイ曲がたくさんあるのにこの曲ばかり持て囃されるのが解せないが、大ヒット曲だけあって、観客の盛り上がりはぶりは凄かった。そのまま“Heaven's Kitchen”になだれ込み、大いに盛り上がったところで、BONNIEとバック･バンドは一旦ステージを去った。
　観客のアンコールを求める拍手にステージに呼び戻されたBONNIE、ただでさえ満員でギュウギュウ詰めのフロアのうえ、先ほどまでの凄い盛り上がりぶりに観客の体調が気になったようで、「みんな、大丈夫?　倒れたりしないでね」と声をかけた。そしたら観客から「ホントに倒れたひとが居るよーーーっ!」と、返事があったので「エッ!　ホントに倒れたひとが居るの?」と目を丸くするBONNIE、「倒れたひとには、お大事に...と言うしかないですね...」。先ほどから何回かこの日の新潟公演がツアー最終日と言ってたけど、人気爆発中のBONNIEだけあって追加公演･再追加公演が決まってる。この追加公演について、「(追加公演･再追加公演は)東京なので新潟からは遠いけど、是非来て下さい」などとBONNIEが言ったところ、観客から「行きたぁ〜い!」との声が次々上がる。この声に「(『行きたぁ〜い!』と応えた観客をライヴに)個人的に招待するわけにはいかないので...。またチケットが残ってるのかどうか、知りませんが...」などと応えたBONNIE。「旬なアーティスト」のBONNIEのライヴのチケットが今も残ってるハズはなく、この時のBONNIEのM.C.聞いて追加公演に行きたくなったとしても、ネット･オークションでも使わない限り、手遅れ。「追加公演に来て下さい」と言うことじたいが野暮だと思ったけど、アーティストは自分のライヴのチケット販売状況に無頓着なものなんだろうか?　さらにBONNIEのトークは続き、「『HEY! HEY! HEY!』に出演します!」などとTV出演情報。以前『HEY! HEY! HEY!』に出演した時、ダウンタウンの2人に「オマエ、ヒット曲ないやろ」などとイジられたらしく、「(“A Perfect Sky”のヒットで)これで『ようやく私も曲がヒットしました』と浜ちゃんと松ちゃんに言えます」などと語ったBONNIE。
　アンコールで歌いにステージに戻って来たハズなのに、すっかり曲を演ることを忘れたかのように長々と喋ってたBONNIE、ようやく曲を演ることを思い出したようで、キーボードに就く。ボニーのキーボード弾き語りで、懐かしの“Eve's Apple”を披露。キーボード弾き語りが終わると、ようやくステージには自分ひとりしか居ないことに気付いたかのように「バンドのみなぁ〜さん」とバック･バンドの5人を呼び戻す。ツアー･グッズのTシャツに着替えてステージに戻って来た5人。アイゴンは缶ビールを手にしての御帰還。ここでBONNIEから、『お約束』のツアー･グッズの宣伝があり、グッズのデザインもBONNIE自身が手掛けてる旨が語られた。(TV番組の『僕らの音楽』で)リリー･フランキーと対談した時、リリーに「BONNIEって、(プライヴェートでは)ハーブティーを飲みながらスコーンを食べてそう」と言われたそうだが、実際のBONNIEが音楽以外のプライヴェートで興味があってやってることは、デザインで『BONNIEブランド』のモノを出せるようになればイイな...といった感じで夢を語っていた。また、映画『嫌われ松子の一生』に出演し、ソープ嬢の役で女優としてデビューしたことについては、「話があったら(また映画に)出てみたい。ソープ嬢の役はもうイイけど」とのことでした。
　BONNIEの長いトークが終わり、ここで披露された曲は“Tonight, the Night”。この曲の演奏が終わると、アイゴンは缶ビールを一気飲み。空き缶をポイ捨てしたアイゴン、次の曲のイントロのギター･リフを弾き始める。“Do you crash?”だ。この曲で大いに盛り上がる。と、BONNIEを始め、メンバー全員横一列に並んで観客に向かって御辞儀してから、ステージを去った。
　ベスト･アルバムに伴うツアーのため、シングル曲全曲プレイを期待してたけど、1st『Blue Jam』は完全に無視だし、『第1期BONNIE』(ポニー･キャニオン時代)の曲が少なく、マイコーのカヴァー演るくらいならもっと自分の曲を演ってくれよ!と言いたくなったけど、なかなかライヴでは聴けない曲もあったので、それはそれで貴重な体験でした。

【SET LIST】...'06.9.18 新潟･LOTS
1. LOVE IS BUBBLE
2. Communication
3. 泡になった
4. 1･2･3
5. Thinking Of You
6. 過去と現実
7. Cotton Candy
8. So Wonderful
9. The Last Thing I Can Do
10. Sleeping Child
11. Last Kiss
12. Medley (Lie, Lie, Lie〜かなわないこと〜金魚)
13. Souldiers
14. Rock With You (マイケル･ジャクソンのカヴァー)
15. Free
16. Private Laughter
17. A Perfect Sky
18. Heaven's Kitchen

(encore)
1. Eve's Apple
2. Tonight, the Night
3. Do you crash?