ヒロくんのLIVE REPORT '17 PART 9 新山詩織

 ライブツアー『ファインダーの向こう』が終了した後、イヴェント等の出演はあったものの、単独公演が約半年途絶えてた新山詩織が、「新山詩織PREMIUM弾き語りライブ『しおりだけ〜ひとり唄〜』」と銘打って弾き語りライヴを行うというので、9月2日にEX THEATHER ROPPONGIに行って来た。観客は...ライヴの度に平均年齢が大きく上がってるような気がしてるのは私でしょうか?(苦笑)
 開演前のステージには、正八角形の台が設置されており、その周りには、ボール状に近い大きな電球が敷き詰められている。台には、ギターとキーボードが置かれてる。これまで「アコースティック・ライブ」と銘打たれたライヴや、『GIRL'S PIC』という、詩織以外は弾き語りのギタ女ばかりのイヴェントなど、これまでも弾き語りライヴを演る機会はあったハズだけど、何故かバック・ミュージシャンが数名居て、詩織ひとりでは無かった。「ひとり唄」と銘打ちながらも、今回もキーボード奏者が出てくるのでは?...と疑いながら、開演を待った。
 開演予定時間の5時を5分くらい廻ると、客電が消え、ステージに灯りが点く。ステージ床に置かれてる電球群にも青い灯りが点くと、場内にメルヘンチックな音楽が流れる。ステージ向かって左側から登場した詩織、八角形の台の上に乗り、アコースティック・ギター(以下、アコギ)を構えると、「新山詩織PREMIUM弾き語りライブ『しおりだけ〜ひとり唄〜』」と詩織の声が流れる。服装は、白のノースリーヴに、白のスカートだ。オープニング曲は、デビュー作から“たんぽぽ”。弾き語りライヴだから、観客は誰も席を立たない(苦笑)。“たんぽぽ”が終わると、客席から多くの拍手が送られる。ギターのボディでコンコンとカウントを取りながら、激しくギターを弾く詩織。曲調がガラリと変わったので、それまで黙って観てた観客も、曲に合わせて手拍子を始める。最初は“気まぐれ”かと思ってたら、“ありがとう”のカップリング曲の“シャボン玉みたいに”だった(苦笑)。曲が終わると、「ありがとうございます。どうもこんばんは、新山詩織です」と挨拶し、M.C.タイムへ。「今日は『しおりだけ〜ひとり唄〜』へようこそ!」と詩織が言うと客席から多くの拍手を集めると、「ただいまライトの関係で、目の前が真っ暗なんですよ」と笑いを誘うと「だけど、みなさんの気持ちはとても感じています」とフォロー(笑)。「こうやってひとりで弾き語りワンマンライブというのが、今日が初めてで、すごいドキドキしてたんですけど、やっぱりいつもとは違う空気感のなか歌う、とても心地よさを感じています」などと言う詩織。ていうことは、あのキーボードは??? 「あまり構えずに、部屋のなかで友達が『ポロポロ』って弾きながら歌ってくれてるような、そんな感覚で是非、ゆっくり観てもらえたらな...と思ってますので、是非楽しんでいってください」などと観客にお願いすると、「(台風接近により)今日は天候のほうがちょっと心配だったんですけど...。晴れてましたか?」と観客に訊いて、晴れてることを確認した詩織。「自称『晴れ女』」などと言って、場内の笑いを誘ってた。「みなさんと会えるというのも決して当たり前のことじゃないので、今日、このつながりを大切に。これからも続いていきますように...という気持ちを込めて、次の曲を歌いたいと思います」などと言ってから、“糸”を曲紹介。この中島みゆきのカヴァー・ソングを歌い終えた詩織が、「“恋の中”」と曲名だけ言って演り始めた曲は、主人公(福山雅治)のすでに故人となっている元恋人、宍戸春乃・役で詩織自身も出演してたフジテレビの「月9」ドラマ『ラヴソング』の劇中歌“恋の中”。福山雅治・作曲のこの曲を、イメージを壊さないアレンジで弾き語りを終えた詩織。
 スタッフがエレキギターと椅子を持ち込む。「みなさん、楽しんでいただけてますか?」と観客に訊くと、観客は拍手で返す。詩織が椅子に座って構えたエレキ(セミアコ)について、「去年の『ファインダーの向こう』のレコーディングの制作期間中に、実は、貯まった貯金を全部はたいて買ってしまいました」などと、ワインレッド色のギブソンES-335を紹介。「中学生の時に軽音楽部に初めて入って、楽器屋に行った時にまず一目惚れしたんが、この『335』だったんですよ」と、ずっと欲しかった憧れの楽器だったとのこと。詩織曰く「新しい仲間」の『335』を使って、まず“午後3時”を「前回のツアーぶりに」演奏。前回のツアーではボサノヴァっぽいオトナのアレンジで演奏され、しかも、詩織はギターを弾かずに歌だけに専念...という、異例な形で披露されてた“午後3時”だけど、『335』を弾きながら歌う詩織を観て、この曲はやっぱりこうじゃなきゃ...と思った(笑)。ステージ床に並べられてる電球は曲によって色が変えられ、赤くなるとまるで炎立つような感じになる(苦笑)。曲を演り終えると“午後3時”について語る詩織。友達の間でも評判が良いというこの曲は、曲が書き上げた日曜の日に、タイトルに悩んでふと時計を見たら午後3時だったから、「これだ!」と思って“午後3時”と名付けたそうだ(苦笑)。「簡単には自分のなかで消したくないなとか途切れさせたくないなという気持ちが、日々のなか、たくさんあるじゃないかと思うんですけど、そんな気持ちを、大切にしたい気持ちを込めました。次の曲も自分に言い聞かせるように作った曲です。では、次の曲、聴いてください。“分かってるよ”」などと曲紹介し、『335』で“分かってるよ”を弾き語った詩織。曲が終わると、詩織は「ありがと」と観客に御礼を言った。

 『335』を使った弾き語りは2曲でお終いで、スタッフが『335』と椅子を片付けに来る。「ありがとうございます」、「今日はセットもこんなに素敵にしていただいて...」とこの日のステージのお膳立てをしてくれたスタッフに感謝する詩織、「綺麗ですよね。どうですか、この感じ?」と観客に問うと、観客は拍手で応える。「さっき、エレキ・ギター(ギブソンES-335)で弾き語りをする初の試みをしてみたんですけど、続いてもう1つちょっと挑戦をしてみようかなと思ってるんですけど」などと、キーボードのほうに視線を送る。もう観客にバレバレ(苦笑)。「もう、判ってますよね」と詩織が念押しすると、観客から拍手が送られる。ピアノに就き、「ちょっと1曲だけ、初めてのピアノ弾き語りをしてみようかなと思います」と言う詩織に、またも場内から拍手が送られる。「小学校の頃、5〜6年くらいクラシック・ピアノを習っていたんですけど、いざ、今回のために練習していてて、当たり前だけどギターと鍵盤は『別物』だな...と」と詩織が苦笑いまじりに話すと、場内からもつられて笑いが...(苦笑)。「優しい気持ちで聴いていただけたらな」と謙遜しながら、ここで“Hello”のピアノ弾き語りを始めた詩織。いつもこの曲では、観客に♪la〜lala〜lalala〜...と合唱させるんだけど、この日はなかなか観客に合唱をフらないものだから、よっぽどピアノの弾き語りだけでいっぱいいっぱいなんだなぁ〜...と思ってたら、やっぱり詩織から「欲を言ってもいいですか? 是非一緒に歌ってもらえますか?」と、合唱のお願いがあった(苦笑)。最初は詩織の歌に合わせて♪la〜lala〜lalala〜...と観客が合唱してたけど、そのうち「是非みなさんだけで...」とフられ、詩織のピアノ伴奏で観客だけで合唱した(苦笑)。初めての挑戦、ピアノの弾き語りタイムが終わると、「ありがとうございます」と観客に御礼を言った詩織、八角形の台を降りてスタスタとステージの袖に引っ込んでってしまった...。まだ7曲しか演ってないし、さすがにまだ終わらないよなぁ〜?...と思ってると、ステージの天井からスクリーンが降りてきて、「いつも伝えられない思い。今あなたに届けたい」などという詩織の語りとともに黒地に「名前のない手紙」の白文字が映される。“名前のない手紙”のインストゥルメンタルが流れるなか、オフィシャルサイトで募集してたファンからの「名前のない手紙」が次々と映される。手紙の宛先は、両親だったり、ペットだったり、仲間だったり十人十色。最後に詩織自身の「名前のない手紙」が映される。「Dear you 親愛あるあなたへ」...自らの朗読付きでスクリーンに流れた「名前のない手紙」は、「大好きな人にこそ、ありのままの自分でいたい。そして心のままに伝えたい」という一文で終わり、ここでようやくステージに詩織が戻って来た。白い服装から一転、黒(または紺)のワンピースに着替えてる。「名前のない手紙」のインターミッションは、「お色直し」の時間の意味もあったようだ(苦笑)。アコギ弾き語りで“名前のない手紙”を演奏すると、「名前のない手紙」の募集に応えてくれたひとに御礼を言う詩織、「全部、全部、素敵で...」と誉める。アコギを交換した詩織、「ここで、カヴァー曲を演りたいと思います」と言う。演奏するのは2曲で、ハルカトミユキの“マゼンタ”とフラワーカンパニーズの“深夜高速”で、これらのアーティストたちとはイヴェントでも御一緒させてもらったこともあるし、プライヴェートでも会ったりしてるとのこと。この2曲は高校の時に初めて聴いてとても衝撃を受け、「胸がグツグツ煮え立つような感じ」がして大好きとのこと。ハルカトミユキについてはこの日、日比谷野外大音楽堂でライヴがあることを話題にし、「同じ日だ〜」と思ったという詩織。さては、カブらなかっら野音に観に行く気だっだだろう?(笑)

 カヴァー曲コーナーが終わると、アコギがまた交換され、“四丁目の交差点”へ。この曲が終わるとアコギのチューニングを直した詩織、♪もうどうしようもない〜...と歌い始める。“絶対”だ! いつもより太い音色のギター・アレンジで演奏されたこの曲が終わると、「ライヴも終盤になってきました」と詩織が無情な宣告。しかし、ロック的なノリが乏しいためか、観客からいつもの「エ"エ"〜〜〜ッ!」という声が上がることは、無い(苦笑)。「20歳のバースデイライヴぶりかもしれません。今も大切な曲です」などと喋ってから、“だからさ”。詩織をこの世界に誘う扉となった“だからさ”の次は、“ゆれるユレル”(キーボードはこの曲のためにあると思ったんだよなぁ〜...苦笑)。観客が曲に合わせて手拍子し、盛り上がる。曲が終わると、観客に御礼を言って詩織はステージを去った。
 観客が手拍子しながら「し・お・り〜し・お・り〜」と熱心に「しおり」コールしてると、ステージ中央上からまたスクリーンが下りて来た。スクリーンには9月6日リリース予定で、Coccoが曲を書いたことが話題の新曲“さよなら私の恋心”のプロモヴィデオが映される。たくさんの女性モデルを使った贅沢な作りのヴィデオで、御丁寧なことにヴィデオのエンドロールまでしっかり映されたから不思議に感じてると、ステージに戻って来た詩織が「スペシャル・ゲストを紹介します!」と言うので(作曲者のCoccoか?...と期待してると)ヴィデオの監督の岩井俊二だった(苦笑)。詩織にステージの台に招かれた岩井監督は、詩織から「曲のどんなところが良かったですか?」とか「ワンテイク撮りしようと最初から考えてたんですか?」などと質問攻めに遭う(苦笑)。それぞれ「Coccoらしい曲」とか「その場の成り行き」などと答えた監督。スタッフにより持ち込まれてた二脚の椅子に詩織と監督がそれぞれ座り、またそれぞれギターを構え(監督は、ガット・ギター)、2人による演奏で、新曲“さよなら私の恋心”を披露。詩織は「(自分以外にステージに)人が居るって安心できますね」などと言ってたけど監督は決してそうではないようで「演奏に夢中になり、呼吸するの忘れてた。死にそうになった」と話し、場内の笑いをとってた。監督は観客からの拍手に送られ、退席。さらに詩織が「岩井監督にもう一度拍手を!」と言うので、もう一度場内から惜しみない拍手が送られた。ここで、新曲“さよなら私の恋心”のカップリング曲で、勢いのある曲“らくがきちょう”が披露されると、観客が拍手で応える。ノリのい“いらくがきちょう”が終わると、詩織がM.C. 「音楽に成長させてもらってる感じがして、“だからさ”も“ゆれるユレル”も私の曲なんだけど、私の曲じゃないような気がします。曲を歌ってても、みんなために歌うんだけど、昔の私のために歌ってるような気がします」などと現在の心境を語る詩織。もう昔の気持ちで歌えない曲は歌わない...ってことなんだろうか? 「先ほど話したように、大切なひとには嘘はつきたくないので、これからもみなさんにホントの自分の気持ちを伝えていきたいと思います」などと語ってから、最後に“きらきら”を演奏。バックに本当の星空みたいに電飾が輝く。曲が終わると、観客に何度も御礼を言う詩織。場内に“さよなら私の恋心”の音源が流れるなか、八角形の台の端っこまで来て、あっちに行っては深々と御辞儀、こっちに行っては深々と御辞儀...という感じ。このまま台から飛び降りてステージの客席側の端まで来るんじゃないかと思ったけど、客席からみる以上に八角形の台は高いようで、飛び降りることは無かった(苦笑)。ここで、詩織から重大発表。武井 咲みたいに電撃結婚の報告か、4thアルバムのリリースの発表か...と思ってたら、来年2月に東名阪ツアーの決定だった(苦笑)。台からステージに降りて、ステージの端まで来てもう一度御辞儀してから、詩織は姿を消した。
 タイトルどおり、ほぼ「しおりだけ」の1人で、詩織の息遣いまで聴こえそうなくらい静かな環境で彼女の音楽世界に浸れた貴重な2時間。私が彼女の音楽にハマるキッカケになった曲で、詩織自身もかつて「メジャー・デビュー前から大切にしてる曲」と話してた“Looking to the sky”がセットから落ちたのは残念だけど、今、演りたい気持ちにならない曲を自分自身の気持ちを偽ってまで演奏したくない...ということなんだろうな、と解釈しました。「PREMIUM」を謳うだけあって、幕間の「名前のない手紙」コーナーや、カヴァー曲の連発、岩井俊二監督の登場など、特別な趣向があったけど、正直なところこれらの趣向は無くても良かったので(苦笑)、もっと「しおりだけ」の音楽に浸っていたかった。“Dear Friend”でのお約束のタオル振り廻し用に、グッズ売り場で新しいマフラータオルを買ったのに、出番が無かったのも残念!(爆笑〜!!!) 

【SET LIST】...'17.9.2 EX THEATHER ROPPONGI
1. たんぽぽ
2. シャボン玉みたいに
3. 糸
4. 恋の中
5. 午後3時
6. 分かってるよ
7. Hello
〜intermission〜
8. 名前のない手紙
9. マゼンタ (ハルカトミユキのカヴァー)
10. 深夜高速 (フラワーカンパニーズのカヴァー)
11. 四丁目の交差点
12. 絶対
13. だからさ
14. ゆれるユレル 

(encore)
1. さよなら私の恋心 (新曲; with 岩井俊二)
2. らくがきちょう (新曲)
3. きらきら

SHIORI NIIYAMA live @ Heaven's Rock Saitama Shintoshin '16.12.18

SHIORI NIIYAMA live @ GIRL'S PIC Vol.1 '16.6.23

SHIORI NIIYAMA live @ Shibuya Club Quattro '16.2.14

SHIORI NIIYAMA live @ Ex Theater Roppongi '15.12.19

SHIORI NIIYAMA live @ Ebisu Liquid Room '15.7.18

SHIORI NIIYAMA live @ Shinsaibashi Janus '15.3.21

SHIORI NIIYAMA live @ Daikanyama Unit '14.12.12

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