7月12日は『712(ナイフ)の日』ってことで、少年ナイフが2001年から毎年7月12日頃に東京/大阪でゲストも交え開催してる『712
day
party』、今年は東京が7月8日、大阪が7月9日の開催となった。今回は渋谷クラブ・クアトロでの東京公演のほうを観て来た。
今年の『712 day
party』のゲストは、ザ・ポウジーズ。1998年のアルバム『サクセス』を最後に事実上解散状態にあったため「観ることはないだろう」と諦めてたハズのザ・ポウジーズのライヴが観れるんだからこんなにうれしいことはない。私が『712
day
party』に来るのは3年ぶり。そして、渋谷クラブ・クアトロに来るのも3年前の『712
day party』以来だから3年ぶりだ(笑)。開場時間を過ぎて会場に着いたが、既に入場待ちの列は無く、スムーズに会場入り。ステージ向かって右側の2列目に場所を確保。開演前の場内のB.
G.
M.は最近リリースされたベスト盤の『ゴールデン☆ベスト』。もうライヴでは聴けない美智枝さんがヴォーカルの曲(“サイクリングは楽し”や“Fruits
& Vegetables”)を1998年に美智枝さん在籍時のライヴを観たこのハコで聴くと何だか不思議な感じだ。やがて開演予定時間の6時になると、ステージに少年ナイフの3人...直子さん、あっちゃん、この度正式メンバーになったドラマーのえっちゃんが登場。直子さんが「12年ぶりの来日」などと、この後ステージに登場するゲストのザ・ポウジーズの紹介をする。あっちゃんが「6年ぶりじゃないの?」と言ったところ、「6年前はアコースティック・デュオとしての来日で、ザ・ポウジーズとしての来日は12年ぶり」などと解説。12年前の来日といえば、アルバム『フロスティング・オン・ザ・ビーター』をリリースした後で、ここ日本で彼らの人気が一番盛り上がってた頃だ。直子さんが「『えぶりぃ・かいんど・おぶ・らいと』というアルバムを出して...『全ての、種類の、電灯』ちゅう感じかな」などと頭上にあるステージの照明を見上げながら、なおもザ・ポウジーズの紹介をし、残りの2人に彼らについてのコメントを求めた。あっちゃんは「素敵なヴォーカル・ハーモニーが楽しみです」などと無難なコメントをしたのに対し、えっちゃんは「大きくてビックリしました」などとコメント。「大きい」とはケン・ストリングフェロウの身長のことか?...と思ったけど、えっちゃんのコメントの真意が解るのにそう時間はかからなかった(苦笑)。少年ナイフの3人の紹介を受け、ステージに現われたザ・ポウジーズの4人。私の目の前のマイク・スタンドに就いたジョン・オウアー、解散前のアチ写からは想像も出来ないくらいに体が膨張(苦笑)。どんなに軽く見積もっても体重100
kg
以上(苦笑)。膨張したジョンの姿に圧倒されているうちに演奏が始まる。1曲目はアルバム『アメイジング・ディスグレイス』からの“Throwaway”。ステージ向かって右側にジョン、左側にケンが位置し、ギターを構えてヴォーカルをとる。ケンの左脇にはキーボードもセットされている。ザ・ポウジーズは昔からベーシストとドラマーの入れ替りが激しく、実質「ザ・ポウジーズ=ジョン&ケン」であり、ベーシストやドラマーが誰かということはさほど気にされていないが、今のところベーシストがマット・ハリス、ドラマーがダリアス・ミンワラである(苦笑)。2曲目もアルバム『アメイジング〜』からの“Please
Return
It”。ザ・ポウジーズというと、昔から好青年のイメージがあったけど、曲のクライマックスにはケンはシャウトするわ、ジョンはギターを天井に向けて掲げたりするわで、意外なほどワイルド。3曲目は、彼らの代表曲の1つの“Dream
All
Day”。この曲のイントロを聴いて思わず歓声を上げるファンも居て、この曲の人気の高さが窺えた。私もサビの部分で♪I
can dream all
day〜と一緒に歌ってました(笑)。アルバムで聴けるヴァージョンよりテンポ・アップされた演奏で披露された“Dream
All Day”が終わると、ジョンがM.C.し、次の曲を紹介。「“I Guess You're
Right”」 再結成復活アルバムの『エヴリィ・カインド・オブ・ライト』からの“I
Guess You're
Right”の後、またジョンが曲紹介。「“Convasations”」 再結成アルバムからのこの曲のアタマでは、ケンが効果音的なキーボードをチョロっと弾いた。次の曲は、ケンがキーボードを弾きながらメイン・ヴォーカルをとった“Precious
Moments”。アルバム『アメイジング〜』収録のこの曲をケンがエモーショナルに歌いあげると、2人ともアコースティック・ギター(セミアコ?)を構えて新作からの“That
Don't
Fly”を披露。次の曲では、打ち込みのリズムに合わせてジョンがメイン・ヴォーカルを取った。続くは、ケンがメイン・ヴォーカルで、疾走感のある“Ontario”、そして、名作『フロスティング・オン・ザ・ビーター』から“Flavor
Of The
Month”。この曲が終わると、ジョンは彼らをこの場に呼んでくれた少年ナイフとSMASH、会場に来てくれた観客へ御礼を言い、次の曲を紹介。「“Solar
Sister”」 一般に彼らの代表曲とされる“Solar
Sister”の登場に、ファンから歓声が上がる。ギター・ポップ/パワー・ポップの名曲“Solar
Sister”がナマ演奏で披露され、多くのファンは盛り上がり、満足し、そして彼らの演奏はここで終わり...と思ったことだろう。だけど、曲が終わってもジョンたちはステージに留まり、次の曲を演奏し始めた。最初の数フレーズを聴いただけでアルバム『フロスティング〜』からの“Burn
&
Shine”だとすぐに判った。この曲のアルバム・ヴァージョンでは、終盤に凄まじいギター・ノイズの洪水が押し寄せるような感じで曲が終わるが、ライヴでも延々とギター・ノイズをまき散らした彼ら。ジョンはアクション過剰にギターをかき鳴らすものだから、ギターのヘッド部分がマイクスタンドと接触。ホルダーから抜けたマイクが、コードがスタンドに引っ掛かったまま宙ぶらりんになった。これをみたローディーがステージの裾から飛び出して来て、マイクを元の状態にセット。しかし、ジョンは「ったく、余計なことしやがって...」という感じで、せっかくローディーのひとが直してくれたマイクを元の宙ぶらりん状態に戻した(笑)。これには一部の客も大ウケ(笑)。さらにジョンは、マイクスタンドをそのまま左側に横転させた(笑)。ギターを天井に向けて垂直に掲げ、観客によく見えるようにしたジョンは、ギター・ノイズをまき散らしながら、1本1本、間をとって弦をブチっと切り始めた。ギターという楽器は弦が2本くらいでもちゃんと鳴るんですねー(苦笑)。長い長い“Burn
&
Shine”のギター・ノイズ・タイムが終わり、最後の1本の弦を切ったジョン、ギターを床に放り出し、観客に挨拶。他のメンバーも観客に礼を言ってステージを去った。
『フロスティング〜』と『アメイジング〜』の2枚の曲を中心に組まれたセットで、『アメイジング〜』は駄作...というこれまでの私の評価を覆すくらい『アメイジング〜』からの曲が光ってた。なにはともあれ、ナマのザ・ポウジーズを体験できただけでも貴重。
【SET LIST】...'06.7.8
渋谷クラブ・クアトロ
1. Throwaway
2. Please Return It
3. Dream All Day
4. I Guess You're Right
5. Convasations
6. Precious Moments
7. That Don't Fly
8. ?
9. Ontario
10. Flavor Of The Month
11. Solar Sister
12. Burn & Shine
ザ・ポウジーズの演奏が終わり、ステージ上でセット・チェンジが行われてる間の場内のBGMは、最近リリースされた少年ナイフのトリビュート盤『Fork
&
Spoon』。ドラマーのえっちゃんがドラムのセッティングしに来るのは、チャイナさん時代と同じ。セット・チェンジが済み、場内に少年ナイフのライヴ開始を告げるS.E.“マンゴージュース〜ジョージ・ハリスンに捧ぐ”が流れる。ステージに登場した少年ナイフの3人は茶色〜ベージュ系のお揃いの衣装を着てる。オープニング曲は“Konnichiwa”。いきなりステージ前方にファンが押し寄せ大盛り上がり。ナイフのライヴでは記憶にないほど苦しー状態に(苦笑)。“スパム警告”が終わると、直子さんからのM.C.。「女のコがバンド組んでロック演る曲」などと曲紹介の後、披露されたのは“Girl's
Rock”。“A Map Master”、“Flying Jelly
Attack”と曲が続き、直子さんから少年ナイフのトリビュート盤の話題が出て、イースタンユースが“コンクリート・アニマルズ”をカヴァーしてくれたことに触れ、「『歌詞カードに3番の歌詞が書かれてるのに、ライヴでもCDでも3番を演ってない。僕らは歌詞カードにあるとおり3番まで演りました』とゆわれた。確かめてみたら、確かに私は3番の歌詞を書いてるのに、今まで演奏したことがなかった。今日は3番までの完全ヴァージョンを演ります」などとM.C.した直子さん。3番までの完全ヴァージョンで“コンクリート・アニマルズ”をプレイしてくれた(笑)。同じく『ロック・アニマルズ』収録の“Brown
Mushrooms”を演ると、直子さんがキターのチューニングを始めた。このチューニング・タイムを利用して、早くもメンバー紹介があったんだけど、ここで衝撃的な内容が語られた。あっちゃんがアメリカ人と結婚! これは御目出度いニュースだけど、結婚を機に渡米し、あちらでの生活を初めてしまうので、今後少年ナイフが演るライヴに全て参加するというワケにはいかなくなるということだ。今後、少年ナイフのライヴは『712
day
party』などの一部のイヴェントを除き、直子さん+正式メンバーになったばかりのえっちゃん+サポート・ベーシストで活動をすることになるそうだ。美智枝さんが居なくなり、チャイナさんが逝き、あっちゃんまで居なくなるとなると、少年ナイフのライヴは随分と淋しくなるね...。「新婚で幸せなあっちゃんがヴォーカルを取る曲です」と直子さんから曲紹介があり“Mysterious
Drugstore”が演奏されたけど、ショックが大きかったせいか、曲は殆ど聴けてなかった...と、思う(苦笑)。“蜘蛛の家”、そして“Insect
Collector”と曲が続いたところで、直子さんのM.C.タイム。ニルヴァーナの故・カート・コバーンの生涯を描いた映画『Last
Days』にちなんだカート・コバーン・トリビュート・アルバムに参加した話題を始めた直子さん、参加を打診された時、どんな曲を書こうか悩んだみたいだけど、悩んだ結果出来たのが“Like
a
Salmon”という曲。何ゆえ鮭なのか?...というと、「シアトルの川にも鮭が居るやろ」と言う直子さんに、観客の反応は「納得ぅぅぅ〜!」という感触からは程遠いものがあり(苦笑)「あれ? ネットで調べたんやけどなぁ〜」とぼやく直子さん(苦笑)。鮭が生まれた川から大海に出て、大きくなってから生まれた川に産卵しに戻って来てる。産卵するとすぐに死んでしまうけど、産まれた稚魚がまた海に出て...というサイクルを続けてる鮭と、死んでもロック界に多くの影響を残して多くのフォロワーを生み続けるカートの姿とを重ねる思いが込められてる“Like
a
Salmon”を初めて人前でライヴ演奏。この後、あっちゃんがリード・ヴォーカルの“クロスワードパズル”、そして、代表曲のひとつである“E.S.P.”をプレイしてくれた。ここで直子さんがまたもやM.C.を入れて“Rock
Society”を曲紹介。“Rock
Society”の後は、久しぶりに聴いたような気がする“Cookie
Day”。ここ数年、全米ツアーを精力的にやってるせいか、英語ヴァージョンでプレイされた。続いて“ラバーバンド”、そして“バナナチップス”と元気な曲が続いたものだから、ファンは大いに盛り上がり、興奮したファンが「えっちゃん、かっこいい〜!」と、叫んだ(苦笑)。ここで「夏のライヴ情報」ということで、直子さんから『ROCK
IN JAPAN』と『SUMMER SONIC '06』に出演する話が紹介された。『SUMMER
SONIC
'06』ではメタリカと共演することになるので、「かっこいいですよね」などとメタリカの話が出て、テニス好きの直子さんらしく、メタリカのドラマー(ラーズ・ウルリッヒ)はプロ・テニス・プレイヤーの誰それとダチだ...という話題も飛び出した(苦笑)。メタリカの話題が出たところで直子さんが「“Explosion!”」と曲紹介。これまた随分久しぶりに聴いた気がする“Explosion!”に続いて、“ロケットにのって”が披露され、一気にたたみかける。最後は“Giant
Kitty”を演って、少年ナイフの3人は一度ステージを去った。
ファンの熱いアンコール要求の手拍子に応えてステージに戻って来た3人。直子さんは、ツアーグッズとして緑色のコートを模したスポーツ・タオルを紹介。FIFAワールドカップに便乗したようなグッズだけど、実際のところは、サッカーではなくテニスコートを模したデザイン。テニス好きな自分が欲しいグッズを作っただけとのこと(苦笑)。ただいまテニスのウィンブルドンが開催中の英国にちなんで、英国のバンドの曲を演るってことで披露されたのが、ローリング・ストーンズの“(I
Can't Get No)
Satisfaction”。まさか、ナイフがストーンズの曲を演るとは思わなかった(苦笑)。次に“Cobra
Versus Mangoose”をプレイし、ナイフの3人はステージを後にした。
ファンがまた熱心なアンコール要求の手拍子を始め、それに応えるためまたもやステージに現われた3人、“エレマー・エレベーター”をプレイし『712
day party』はお開き。
いつもどおり、ナイフらしい楽しいライヴだったけど、あっちゃんの件が少なからずショックだったため、なかなか吹っ切れないモノが残りました。
【SET LIST】...'06.7.8
渋谷クラブ・クアトロ
. (openning SE...“マンゴージュース〜ジョージ・ハリスンに捧ぐ”)
1. Konnichiwa
2. スパム警告
3. Girl's Rock
4. A Map Master
5. Flying Jelly Attack
6. コンクリート・アニマルズ
7. Brown Mushrooms
8. Mysterious Drugstore
9. 蜘蛛の家
10. Insect Collector
11. Like a Salmon
12. クロスワードパズル
13. E.S.P.
14. Rock Society
15. Cookie Day
16. ラバーバンド
17. バナナチップス
18. Explosion!
19. ロケットにのって
20. Giant Kitty
(encore 1)
1. (I Can't Get No) Satisfaction
(ローリング・ストーンズのカヴァー)
2. Cobra Versus Mangoose
(encore 2)
1. エレマー・エレベーター
SHONEN KNIFE live @ Shibuya Club Quattro '03.7.12
SHONEN KNIFE live with SLEATER-KINNEY '02.12.17
SHONEN KNIFE live @ Naeba Ski Resort (FUJI ROCK FES.) '02.7.27
SHONEN KNIFE live @ Shinsaibashi Club Quattro '02.7.12
SHONEN KNIFE live @ Nagoya Fujigaoka Music Farm '01.12.24
SHONEN KNIFE live @ Shinsaibashi Club Quattro '01.7.12