ヒロくんのLIVE REPORT '12 PART 1 NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS

 ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズの初来日公演を観に、1月17日にTOKYO DOME CITY HALLに行って来た。私がノエル・ギャラガー兄貴の姿を観るのは、オアシス最後の日本公演となった2009年の『FUJI ROCK FESTIVAL』以来。あの公演が終わってから1ヶ月後にノエルからオアシス脱退声明が出されたのだった...。ノエル兄貴の脱退により、ノエル兄貴のソロと、残されたオアシスのメンバーのリアム・ギャラガー、ゲム・アーチャー、アンディ・ベル、クリス・シャーロックの4人が新たに始めたバンド、ビーディ・アイの2つにオアシスは分裂。このうち、ビーディ・アイのほうは去年の2月にさっさとデビュー盤を出し、8月には『SUMMER SONIC』に出演、9月には単独でジャパン・ツアーを敢行(私も名古屋へ観に行ったケド)...と動きこそ速かったものの、ライヴではオアシス時代の楽曲を完全に封印し、オアシスとは全く違う新しいバンドだということを主張してた。一方のノエル兄貴は以前より、ソロのライヴではオアシスの曲も演ると公言していた。このことについて、リアムは強く非難してたけど、ノエルは殆どのオアシスの曲を作詞・作曲しており、これらの曲はノエル兄貴にとっては自分の曲以外の何物でも無い。「自分が書いた曲を演ってどこが悪い?」と言われれば確かにそのとおりで、もう黙るしか無い(笑)。リアムたちがオアシス・ナンバーをライヴで演らない以上、オアシス・ナンバーを「ナマで聴きたい!」とか「一緒に合唱したい!」と思ったら、ノエル兄貴のライヴを観に行くしか他は無い。そう思ったファンは少なくなかったようで、初のジャパン・ツアー2 daysのチケットは即SOLD OUT(と思ったら、当日券が出てたようだケド...)。アリーナで4ケタという整理番号にもかかわらず、ステージ中央の前から5〜6列目の場所に陣取った私。会場のTOKYO DOME CITY HALL(旧・JCBホール)は地下に掘られたホールで、バルコニー席に見下ろされるアリーナに居ると、擂り鉢の底に居るような気分にさせられる(苦笑)。
 ライヴが始まったのは、開演予定時間の7時を10分ほど廻った頃。それまで新旧取り混ぜたBGMが流れてた会場のフロアの灯りが消え、ステージ向かって右側の袖からカッターシャツ姿のノエル兄貴のほか、ハイ・フライング・バーズの面々が登場。ステージ中央ではなく、若干向かって左側に立ち位置を定めたノエルがギターを構えて演奏を始めたオープニング曲は、オアシスの“(It's Good) To Be Free”。私の廻りのファンはすぐにそれと気付き歓声を上げてたけど、CD聴いてリアムが歌うヴァージョンにすっかり耳が慣れてしまってるので、ノエルが歌うのを聴いてもすぐにはそれとは気付かなかった(苦笑)。興奮し過ぎのファンがグッズのタオルを大きく広げて頭上に翳し、背後の観客の視界を遮ったため、怒ったファンが彼にタオルが邪魔だとクレームを付けた。そんなフロアの諍いは関係無しにライヴは進む。2曲目は ♪ドドドドドドドド〜とマシンガンのようなリフが印象的な“Mucky Fingers”で、これまたオアシスの曲。当然、ファンは盛り上がる。3曲目になってようやくハイ・フライング・バーズの曲を演奏。アルバムのアタマを飾る“Everybody's On The Run”だ。オアシスのライヴの特徴として、会場の合唱率の高さが挙げられてたけど、ノエルがソロになってもそれは引き継がれてるようで、この曲の合唱率は(少なくともステージ前につめかけるようなファンの間では)高かった。ノエルの右隣にはベーシスト(彼はバック・コーラスも頑張る)、左隣にはギタリスト、後ろにドラマーとキーボード・プレイヤーが居る(ノエルも含め)5人編成。アルバムを聴いた印象ではもっと大人数での演奏を想像したけど、演奏要員の数はオアシスと変わらないどころか、リード・ヴォーカリストが居ない分、少ない(笑)。アルバムどおりの流れで、次の曲は“Dream On”。ただし、曲の終わりからそのままなだれ込むような感じではない。何故なら、ノエル兄貴が曲を終える度に殆ど毎回ギターを交換するから、必ず流れが止まる(苦笑)。ノエル兄貴が頻繁にギターを替えることに気付いたファンからは「ヨッ! いっぱい(ギターを)持ってるね!」と揶揄するような声もかかった。曲が終わりギターを替えてから、「Hello〜! Tokyo〜!」と初めて観客に声を掛けたノエル、“If I Had A Gun...” を演奏。続くは日本盤ボーナス・トラックの“The Good Rebel”。この軽快な曲が終わると、ノエル兄貴が「“The Death Of You And Me”」と曲紹介。ソロ・デビュー曲となるこの曲の後、ノエルから英語で「新曲を演る」と言い、その「brand new song」を披露。曲を演り終えると、拍手を送り続ける観客に「thank you very much!」と御礼を言ったノエル。
 ギタリストとベーシストがステージを去り、ノエルがアコースティック・ギター(以下、アコギ)を構える。ここからはアコースティック・コーナーのようだ。最初に披露された曲は“Wonderwall”! ノエル兄貴が自ら弾くアコギとドラマーが振るシェイカー、キーボーディストが加える薄らとしたキーボードの音色のみの演奏で、リアムと歌い廻しが異なるノエルの歌唱に合わせ、ここでもファンが大合唱となる。これまでほぼ曲ごとにギターを替えてたノエルがギターを替えずにそのまま同じギターで弾き始めたアコースティック・コーナ−2曲目も、オアシスの曲。しかもデビュー曲の“Supersonic ”!!! オアシスというバンドがシーンに殴り込みをかけた名刺代わりの1曲が、前述の3人の編成で、酸いも甘いも噛み分けたオトナの哀愁を漂わせたヴァージョンで披露された(苦笑)。オアシス・ナンバー連発に大興奮の観客に「thank you very much!」とノエルが御礼を言ったところで、オアシス・ナンバー連発のアコースティック・コーナーは終了。
 ステージ上にギタリストとベーシストが戻り、5人が揃って“(I Wanna Live In A Dream In My) Record Machine”。この曲が終わるとノエルがメンバー紹介。ここまではステージ奥のスクリーンには何も映されてはなかったけど(少なくとも私は気付かなかった)、次の“AKA...What A Life!”ではスクリーンにイメージ映像が流れた。続くはオアシスの“Talk Tonight”。B面集『マスタープラン』で聴けるアコースティックなヴァージョンと違い、バンドでの演奏だったので、印象が全然違う(“Wonderwall”や“Supersonic”と正反対だ)。この曲の後、ステージ最前列に居たファンがノエル兄貴にどうやらサインを求めたらしい。差し出された紙を受け取りながらも「あいにく筆記用具がないから、後から書いとくよ」てな感じで気軽に応じたようなノエル兄貴(私には英語は分からんケド...苦笑)。この後ソロ・アルバムから2曲演奏。ノエルの勇姿に、私のすぐ近くに居た観客が「アンタ、カッコ良すぎ〜!」と興奮状態(苦笑)。ここで演奏された“Half The World Away”はバンドで演奏されたけど、原曲のアコースティック・テイストを損わないようなアレンジで披露。オアシスの曲はウケがよく、この曲でも手拍子入れるところでファンがしっかり手拍子してた。会場全体が和んだ“Half〜”の後、不穏なサウンドのイントロがつま弾かれ、スクリーンにも不穏な動画が流れる。“(Standed On) The Wrong Beach”だ。この曲が終わると、ノエル兄貴はギターを置いて、ステージ向かって右側の袖に消えていく。バンド・メンバーも後に続く。ライヴの締めにはそぐわないような曲(私は好きだケド...苦笑)で唐突な感じだったけど、ライヴ本編はここで終了。
 ファンがアンコール要求のクラップをしてると、随分アッサリとノエル兄貴がステージに戻って来た。アコースティック・セットの時の3人での演奏で、キーボーディストがイントロを奏で始めただけでファンから凄まじい歓声が上がる。“Whatever”だ。残りの2人もステージに戻り、5人が揃ったところで“Little By Little”。この曲が終わるとフロアから「ノエル! ノエル!〜」とノエル・コールの大合唱になる。ステージ前のフロアに居る客(もしかしたらフロア全体、ひょっとしたら会場全体だったかもしれない)が自分の名前を繰り返してるのを見て、何かしらのリアクションがノエル兄貴からあるかとファンとしては期待したけど、ノエル兄貴は観客に向けて首を傾げてみせ、ギターのチューニングしてるだけだった(たぶん、照れてたんだろう...苦笑)。ここで披露されたのは、ファンの間では“水戸黄門”の愛称で知られる“The Importance Of Being Idle”。勿論、ファンは大歓声で応える。アンコールではここまでオアシスの曲ばかり披露してたノエル兄貴、ソロ・アルバムは(ボーナス・トラックを除けば)10曲しか収録されてないうえ、本編で“Stop The Clocks”を除く9曲をすでに披露済みなのである(後から気付いたことだケド)。だから、アンコールがオアシス・ナンバーだらけでも仕方が無い(苦笑)。“The Importance〜”の後、ノエルがファンに英語でひとこと御礼を言ってから、キーボーディストがイントロを弾き始めたのは、“Don't Look Back In Anger”! 大歓声を上げたファンがノエルの歌に合わせて歌い始める。大きなホールというロケーションから
1998年の武道館公演を思い出したけど、会場全体が大合唱となる、まさに「オアシスのライヴ」そのものの状態となった。サビの部分、♪so〜Sally can wait〜にかかると、ノエル兄貴は歌を会場のファンに委ね、ギターの演奏に専念。ノエルに歌を委ねられたファンたちは大合唱で歌い切った。2回目の♪so〜Sally can wait〜も歌わずファンの大合唱に委かせたノエルだけど、3回目の♪so〜Sally can wait〜からはしっかり歌い、ファンとの大合唱で曲を終えた。この曲を大合唱で歌い切ってファンは心から満足したのか、ノエル兄貴がこの曲の後ステージを去っても、アンコール要求のクラップは殆ど起こらなかった。こうして、オアシスの名曲の数々を散りばめたセットのライヴは終わった。
 私の周りに居たファンも言ってたけど、「1/3はオアシスの曲」(実際には、それ以上...苦笑)。オアシスの曲でみんなが大合唱するという場を提供出来るというのは、もの凄い強みだ。ビーディ・アイも決して悪くはないけど、もし、オアシスの曲を演るノエルのライヴとの二者択一を迫られたら、やっぱノエル兄貴のほうを選ぶな、私は(苦笑)。オアシス・ナンバーをたくさん歌えて心底スッキリしたライヴだった。

【SET LIST】...'12.1.17 TOKYO DOME CITY HALL
1. (It's Good) To Be Free
2. Mucky Fingers
3. Everybody's On The Run
4. Dream On
5. If I Had A Gun...
6. The Good Rebel
7. The Death Of You And Me
8. Freaky Teeth (新曲)
9. Wonderwall
10. Supersonic
11. (I Wanna Live In A Dream In My) Record Machine
12. AKA...What A Life!
13. Talk Tonight
14. Soldier Boys And Jesus Freaks
15. AKA...Broken Arrow
16. Half The World Away
17. (Standed On) The Wrong Beach

(encore)
1. Whatever
2. Little By Little
3. The Importance Of Being Idle
4. Don't Look Back In Anger

OASIS live @ Naeba Ski Resort (FUJI ROCK FES.) '08.7.24

OASIS live @ Makuhari Messe '08.3.28

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OASIS live @ WTC Open Air Stadium (SUMMER SONIC '05) '05.8.13

OASIS live @ Yoyogi Kyougijou Daiichi Taiikukan '02.9.29

OASIS live @ Naeba Ski Resort (FUJI ROCK FES.) '01.7.27

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