ヒロくんのLIVE REPORT '11 PART 16 BONNIE PINK

 BONNIE PINKのセルフ・カヴァー・アルバム『Back Room -BONNIE PINK remakes-』リリースに伴うアコースティック・ライヴ・ツアー、その名も『Acoutistic Live Tour 2011“@thebackroom”』を10月19日に金沢で観て来た。今回のライヴ、開演時間が18:30だというのに、いつもの平日ライヴの感覚で19:00開演と思い込んでたお蔭で、会場の金沢21世紀美術館シアター21に着いたのは19:00ギリギリ。ということで、私が会場入りした時にはとっくの昔に演奏が始まっており、しかも、演奏がひと段落ついたM.C.タイムの時間だった...(汗)。仮に、開演予定の18:30から10分遅れてライヴが始まったと考えても、最低3曲は演ってる...(泣)。定刻どおりに18:30開始だとしたら、5曲くらい演ってるかも...(激泣)。会場入口に着いて、チケットをもぎられる時に「演奏中は階段を上がらないで下さい」とスタッフに言われて初めて自分がライヴ開演時間を間違ってたことを悟り、一気に血の気がサーーーっと引いた私、失意の真っ只中の状態で、ステージに向けて必要最低限の照明のみ当てられてるなか、会場入り。いったんステージ前を通らないと座席には行けない構造になってるため、M.C.中のBONNIEのすぐ前を通ることになった。ここまで間近でBONNIEの姿をみるのは、2005年の『Golden Tears』ン時のツアーの石川県文教会館以来だろう。その名のとおり劇場or映画館のような造りになってる会場であり、座席は多く見積もっても200席くらいだろうか。観客はみんな雛壇状の座席に座って観られるハズ(全自由席)なのに、場内が暗くて空席がどこにあるかも分からないため、ひとり後ろのほうでスタンディングで観るハメに...(泣)。
 私が会場入りした時にはステージにはベージュ系のワンピース(もしかしたらツー・ピースだったかもしれない)を着てアタマに花の髪飾りをしてたBONNIEと、ベーシストかつ今回のツアーのバンド・マスターで、さらにはセルフ・カヴァー・アルバム『Back Room』のプロデューサーでもある鈴木正人さんの2人のみが居た。ちょうどBONNIEが「私の書いた昔の曲、たまに私が歌ってやらないと誰も歌ってくれず、それまま埋もれていってしまう」などと、今回セルフ・リメイク・アルバムをリリースしよう考えるに至った心境について説明。そんな昔の曲たちが鈴木さんの素敵なアレンジによってビックリするくらい生まれ変わったとBONNIEが鈴木さんのアレンジを誉めると、鈴木さんは「いや〜、(BONNIEが書いた)元の曲がイイからですよ」と、BONNIEと鈴木さんがお互いを誉め合うような展開に(苦笑)。鈴木さんは、オリジナルではトーレ・ヨハンソンなどの大物がアレンジした曲を今回リアレンジすることになり、「『せっかくのオレのアレンジをこんなのにしやがって!』って叱られるんじゃないですか」などと歴代のプロデューサーたちに恐縮気味なところも(苦笑)。ここで『Back Room』から、「ホントは(BONNIEひとりの)アカペラのみで構成しようと思ってたんだけど、ヴォーカルだけでは頼りなかったものだから鈴木さんにウッドベース入れてもらいました」などとBONNIEがウラ話を披露した曲“Paradiddle free”。アルバムではBONNIEのヴォーカルの多重録音のため、「ライヴでは演れないと思ってた。だけどライヴでは観客をパート分けしてその場で練習してもらってみんなで歌うのもいいかな」などとBONNIEは一旦は思いついたらしいけど、ヴォーカル・ハーモニーが形になるまで観客に練習させてたら2時間くらいかかってしまいそうなことを理由に観客に歌ってもらうのは諦めて、助っ人の『オープンリール君』を連れて来たとのこと。鈴木さんが連れて来たという『オープンリール君』、その名のとおりオープンリールのレコーダー(苦笑)。みんな、懐かしいでしょ?...と訊きたかったようだけど、観客のなかにオープンリールのテープ・レコーダーじたいを知ってるひとが少なく、反応は乏しい。鈴木さんなんか「お父さんが持ってるの、見たことない?」と観客に訊いてた(苦笑)。この『オープンリール君』、「ライヴが終わったら抽選で1名様に差し上げます」などと鈴木さんが冗談を言うと、みんな真に受けてしまった(これが、のちにBONNIEが語った金沢の観客の特徴である『妙な間』なんだろう、きっと...苦笑)。「『オープンリール君』をここでプレゼントしちゃったら、この後のツアーで使えなくなっちゃうから...」などと慌ててフォロウしたBONNIE、『オープンリール君』に録られたBONNIEの多重バック・ヴォーカルを流しながら、BONNIEと鈴木さんのウッドベースで“Paradiddle free”を演奏。次の曲になると、一旦ステージを離れてたと思しきギタリストがステージに戻って来た。「(次の曲は)アルバムではハープが入ってるんだけど、ハープも今日は持って来られなかったんですよ〜〜〜」と観客に申し訳なさそうなBONNIE、「その代わりアレンジを工夫して、また違った感じの曲に仕上がってます。『続Back Room』といった感じなので楽しんで下さい」などと言って、“Last Kiss”へ。この曲が終わると、一旦ステージを離れてたパーカッショニストもステージに戻り、今回のツアーのメンバー(BONNIEも含め)4人が揃ったところで、BONNIEもアコースティック・ギター(以下、アコギ)を構え、“Present”。ステージ中央のBONNIEの左側にバンマスの鈴木さん、左にギタリストが居て、BONNIEの背後にはパーカッショニストが居る。“Present”を演り終えるとアコギを下ろしたBONNIE。“Present”で『ハコ』を叩いてたパーカショニストは次の“Burning Inside”ではドラムセットに就いた。ここでM.C.タイムとなり、BONNIEが「スペシャル・ギタリストを紹介します!」とギタリストを紹介。ギターは今回のツアーも八橋義幸さん! 
Superflyのバックで忙しいだろうし、アコースティック・ツアーだということもあって、八橋さん以外のギタリストかと思ってた(苦笑)。BONNIEが「御家族が観に来られてるとか」と話題をフると、富山県高岡市出身であること、高校時代にはよく金沢まで遊びに来たりデートしに来たりしてたこと、富山の鱒寿司よりも金沢の笹寿司のほうが好きなことなどを語った八橋さん。笹寿司について、BONNIEが八橋さんに「今日のお弁当にはいってたアレですか?」と訊いてたのが微笑ましかった。八橋さんがBONNIEのツアーで金沢に来たのは2001年の『Just a Girl』ツアー以来のハズで、あの時も富山県出身の話をし、御家族が観に来てた(苦笑)。あの時と一番違うのは、BONNIEとのツアー歴が長くなってトークの持ち時間が長くなったことだな(爆笑〜!!!)。ここでBONNIEが「前のアルバム(『Dear Diary』)に入ってる曲で、カナダで録ったせいか独特のコブシがかかったギターになってるため、今後はそうそう演れないなぁ〜と思ってたけど、八橋さんとなら演れると思ったので、『八橋節』で聴いて下さい」などと紹介し、八橋さんのギターとBONNIEの歌のみで“Grow”を披露。ここら辺りから『Back Room』に入っていない曲が次々と披露されていく。“Grow”では御役御免だった鈴木さんとパーカッショニストがステージに復帰し、鈴木さんは今度はキーボ−ドを担当。ここで“日々草”。BONNIEは皮無しタンバリンを振りながら歌い、観客も曲に合わせて手拍子する。続くは“金魚”! この曲ではBONNIE自らキーボードを弾いたので、前の曲でキーボードを弾いてた鈴木さんは本職のベースに戻り、パーカッショニストはドラムを叩く。私がBONNIEを聴き始めた3rdアルバムである『evil and flowers』収録曲だけに思い入れは深い。しょーじき、今回のライヴ、『Back Room』からの曲以外いったい何を演るか全く想像つかなかっただけに、この曲を演ってくれてとても嬉しかった。ここで、BONNIEはギターを構え、3月の東日本大震災の話題に触れ、震災のショックで音楽を続けるか、辞めるか真剣に悩んだと話す。しかし、16年も音楽演ってきたBONNIE、今さら違う道は選べない。音楽聴いて会社で嫌なことがあっても忘れられたり、音楽には人を癒す力がある。これからも音楽で人々を力づけていこう...と考えて音楽を続けることにしたそうだ。そーいや私も会場に入った時には遅刻したという事実にうちひしがれてたけど、BONNIEの音楽を聴いてるうちに遅刻したことじたいを忘れそうになったくらいなんだから(苦笑)、BONNIEの言うことは、正しい。ここまで前フリすれば次に何の曲を演るか、BONNIEのファンならみんな想像がつくだろう(笑)。東日本大震災へのチャリティー・ソング“The Sun Will Rise Again”だ。困難や悲劇を忘れされてくれそうな前向きで力強いこの曲が終わると、BONNIEはアコギを降ろし、鈴木さんがキーボードに就いて“Heaven's Kitchen”へ。通常のライヴではこの曲ではみんな♪heaven's kitchen〜heaven's kitchen〜...と腕を振り上げるのがお約束になってるのに、アコースティック・ライヴでいつもと勝手が違うせいか、誰も腕を振り上げない。観客はみんな席に就いたままで、誰も立ち上がらない。私はBONNIEのライヴ(ファンクラブ・イヴェントは除く)は今回が12回目であり、毎回この曲が演奏されてるのを観てるけど、こんな“Heaven's Kitchen”、初めてみた(苦笑)。私ひとりだけでも腕を振り上げようと思ったけど、目立ち過ぎるので、ヤメた。次の曲は“Fish”。この曲でBONNIEはアコギを構えたけど、彼女のアルバムのなかで一番アコギ色が強い『Let go』からであるこの曲、オリジナル・ヴァージョンからしてすでにアコーステックな感触があり、他の曲とは違って改めてアレンジをし直す必要は無かったようで、よくよくみると、八橋さんも鈴木さんも弾いてる楽器はエレキだ(苦笑)。このエレキ編成のまま次の“Tonight, the Night”へ。この曲のアレンジはもはやアコースティックではなく、完全にエレキだ(苦笑)。途中メンバー紹介も兼ねてのメンバーの見せ場(ソロ・タイム)を盛り込み、まずはベースの鈴木正人さん、次いでドラム/パーカッションの坂田 学さん(元Polaris、アルバム『Back Room』にも参加)がソロをみせ、BONNIEがワン・コーラス歌った後、八橋義幸さんがギター・ソロで締めた。“Tonight, the Night”が終わると、素晴らしい演奏を聴かせ続けるバック・バンドを讃えるBONNIE、「私のほうがこっち(客側)に座って(バンドを)観ていたいくらい」などと話してたけど、これはちょっと誉め過ぎじゃあ...(苦笑)。最後の曲として、まだBONNIEが大学生(赤髪時代)の時に作った曲を演るという話になる。「若いうちは、破壊願望があったりするじゃないですか...」などと語り始めたBONNIE、「その時はまだギターを始めてなくて全部ピアノを使って作曲してたんだけど、プロデューサーのトーレ・ヨハンソンの趣味でギターがメインのロックなアレンジに変えられてしまった。今回鈴木さんがピアノ・メインの素晴らしいアレンジに作り替えてくれて、もともとこの曲はピアノで書いたんだってことを改めて思い起こさせてくれた」とのこと。ということで『Back Room』収録のピアノ・メインのアレンジで最後に“Do you crash?”を演奏。この曲を歌い切ると、「どうもありがとう!」と観客に御礼を言ったBONNIE、改めて「on bass、鈴木正人! on drums、坂田 学! on guitar、八橋義幸!」と3人のバンド・メンバーを紹介してからステージ向かって右側の袖に引っ込んでった。
 会場に残された観客たちがアンコール要求のクラップをしてると、5分弱ほど経過してからようやくBONNIEたちがステージに再登場。観客を待たせてる自覚があったのかどうかは知らないけど、BONNIEが発した第一声は「よかったぁ〜、みんな帰ってなくって」(苦笑)。アンコールでは最初からギターを構えたBONNIE、1曲目は「前のアルバム(『Dear Diary』)のなかではシングルにしたいと思ったほど気に入った曲だったんだけど、何故かシングルにはならなかった。けど、ファンからの反応をみてるとこの曲を気に入ってくれてるひとが結構多くて、この曲をシングルにしようと思った自分の感覚には間違いは無かった」などと前置きしてから、“流れ星”。この曲を演ると、金沢のファンについて、「いつも温かい」と感謝の意を示したBONNIE(ただ、油断してるとたまに妙な間が空くことがあるのが金沢の特徴とのこと)。金沢でライヴを演ると、美味しい魚目当てにライヴに直接関係無い筈のスタッフまでいつの間にか同行してるなどと話してファンを笑わせた後、「私、聞くところによると今まで170曲くらい作ってるそうです。あと自分が何回ツアーに出られるのかと考えると、この170曲、全部歌うことがあるのかなぁ〜と思ったりする。震災があったからこんなこと考えちゃったんだなぁ...」と語ったBONNIE、「今回初めてBONNIE PINKのライヴに来たひと!」と観客に挙手させると、10人ほどの観客が手を挙げた。その次に「今回座れる会場だから来たひと!」と観客に訊いたけど、これは挙手なし。しかし、BONNIEによるとスタンディングだと子供を連れて来られないけど、座席があるなら連れて来れるってことで座れる会場を有り難がる向きもあるようで、実際にこの日の会場に2人の子供を連れてる観客を見つけたBONNIE、子供に自分が好きだった音楽を聴かせて、その子供がまたその子供にその音楽を聴かせる...というふうに、私がその曲を歌わないようになっても、私の音楽がいつまでも聴き継がれていくようになればうれしいとBONNIEは語ってた。ここで、今年作った数少ない新曲であり、ウェディング・ソングのようなラヴ・ソング“Look Me In The Eyes”を披露。曲を歌い終えると、観客に御礼を言い、改めて鈴木さん、坂田さん、八橋さんの3人のバンド・メンバーを紹介したBONNIE、ステージからの去り際にファンからプレゼントをもらい、「プレゼント、もらいました〜〜〜!」と、もらったプレゼントを観客に掲げてみせ、ステージ最前列の観客たちと次々と握手したり、手のひらどうしを合わせたりしながら上機嫌でステージの袖に引っ込んでった。こうして、(おそらく)2時間に亘ったライヴは終了。
 シンプルなアコースティック・セットだったぶん、BONNIEのヴォーカルの上手さがより引き立ってた貴重なライヴ。ここ最近のツアーでは演ってなかった曲も数曲演ってくれた。これで遅刻さえしなければなぁ...(泣)。『Back Room』に収録された10曲は間違いなく演ってるだろうから、少なくとも、“A Perfect Sky”と“Ring A Bell”は間違いなく聞き漏らしてるね、私...(涙)。

【SET LIST】...'11.10.19 金沢21世紀美術館 シアター21(註・遅刻のためライヴ途中から)
. Ring A Bell
. A Perfect Sky
. Hickey Hicky
. Cotton Candy
. So Wonderful
. Paradiddle free
. Last Kiss
. Present
. Burning Inside
. Grow
. 日々草
. 金魚
. The Sun Will Rise Again
. Heaven's Kitchen
. Fish
. Tonight, the Night
. Do you crash?

(encore)
1. 流れ星
2. Look Me In The Eyes

BONNIE PINK live @ Nagoya Bottomline '10.11.20

BONNIE PINK live @ Kanazawa Eight Hall '09.07.12

BONNIE PINK live @ Kanazawa City Bunka Hall '07.9.14

BONNIE PINK live @ Niigata Lots '06.9.18

BONNIE PINK live @ Ishikawaken Bunkyou Kaikan '05.10.28

BONNIE PINK live @ Namba Hatch '03.3.29

BONNIE PINK live @ Osaka Sangyo University '02.11.3

Bonnie Link (BONNIE PINK fan club) 1st meeting '01.12.26

BONNIE PINK live @ Kanazawa AZ Hall '01.12.5

Bonnie Pink live @ Shibuya Koukaidou '00.8.26

Bonnie Pink live @ Niigata Phase '00.7.27

Bonnie Pink live @ Shibuya Koukaidou '98.7.26

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