I AM
GHOST--Lovers' Requiem
|
|
(国内盤 : ソニー
EICP-672)
バッド・レリジョンやオフスプリングを輩出したパンクの名門レーベル『Epitaph』が推す、女性ヴァイオリストを含む6人組、アイ・アム・ゴーストのフル・デビュー・アルバム。
リード・ヴォーカルのスティーヴがミスフィッツを思わせるような(?)ヴィジュアルをしてることからも判るとおり、ゴスからの影響が色濃い。時折スクリームが入ったり、ヴァイオリンが前面に出た曲(“We
Are Always
Searching”など)ではイエローカードに聴こえたり...と、今ふうのヘヴィー/ラウド・ロックの要素を備えてるだけではなく、アルバムのオープニングから賛美歌を思わせる荘厳なコーラスから始まり、ツイン・ギター編成でギター・ソロがギンギンなところは伝統的ヘヴィー・メタルの様式美の要素もある(苦笑)。お蔭で、ヘヴィー・メタル専門誌『BURRN!』の藤木クンの推薦盤にもなってます。藤木クンのお蔭で私はこのアルバム買いました(笑)。
女性ヴァイオリストのケリスが本職のヴァイオリンだけでなく、コーラス付けたり、時たまスティーヴとヴォーカルの掛け合いをするなどヴォーカル面でも活躍大。彼らの曲がポップで親しみ易く聴こえるのは、かなりのところケリスのヴォーカルの貢献だと思ってます。是非ともライヴを観てみたいバンドの1つ!
ちなみに、一番好きな曲は、中盤以降どか〜〜〜ん!!!と盛り上がる“This
Is Home”。
R.I.Y.L. :
MISFITS, YELLOWCARD, THE USED
(2007.1.30)
|
いきものがかり--桜咲く街物語
|
|
(国内盤 : EPIC
ESCL-2910)
昨年のメジャー・デビュー・シングル“SAKURA”で一部の注目を集めてた、吉岡聖恵を看板ヴォーカルに据えた男女混成3人組青春ポップ・ユニットのデビュー・アルバムで、これまでリリースしてたシングル曲6曲(両A面扱いの“うるわしきひと”と“青春のとびら”を含む)を収録し、早くも彼らのベスト・アルバム的な選曲になっている。
元々ギター片手にストリート・パフォーマンス演ってた男2人組に吉岡が加わって今の編成になったということあって、山下穂尊の吹くハーモニカや“KIRA★KIRA★TRAIN”、“君と歩いた季節”、“夏、コイ”といった音数の少なくアコースティックな感触が強いシンプルな楽曲にその片鱗がうかがえ、これが彼らの特徴になっている。が、アコースティックな音造りへのコダワリをスッパリ切り捨ててからの時間が長いのか、殆どの曲はベースやドラム、キーボードを加えたバンド編成でプレイされている。
彼らの曲は、女性ヴォーカリストが居るというのに、全曲男性メンバーが歌詞を書いてる「ジッタリン・ジン」状態。彼らのヒット・シングルで代表曲でもある“コイスルオトメ”は、男性側からみた「こうあってほしい」と願う理想の少女像としか思えないが、女性ならたぶんこんな歌詞は書かない(書けない)だろう。その歌詞のクサさとわざとらしさ、そしてそんな歌詞を恥ずかし気もなく張り切って歌ってる(ように聴こえる)吉岡の歌とのミスマッチがミョーに笑える。
音楽メディアではすっかり「吉岡と他2名」の扱いだが、歌詞も曲も男2人が書いているからいくらメディアで吉岡が持ち上げられても「自分たちが居てこその『いきものがかり』」と男たちは余裕を感じてるに違いない。吉岡が自分で歌詞を書いたり作曲し始め、ユニット内の力関係が変わった時、彼らの音楽がどう変化するか、ちょっとだけ楽しみ(苦笑)。
R.I.Y.L. :
G0!GO!7188の“こいのうた”、ジッタリン・ジンの歌詞
(2007.4.30掲載予定分を2007.11.23に掲載)
|
the
Indigo--My Fair Melodies 2
|
|
(国内盤 :
ジェネオン GNCZ-1001)
市川裕一と田岡美紀のユニット「the
Indigo」による洋楽の名曲カヴァー集第2弾。ストーンズの“(I
Can't Get No)
Satisfaction”やポリスの“高校教師”といったロックの名曲が、喫茶店や美容院のBGMにピッタリな「オサレ」に生まれ変わってます(笑)。ディスコ・ビート導入が当時賛否両論を呼んだというKISSの“ラビン・ユー・ベイビー”など、「ディスコ・ビート」のかけらすら見当たりません!(笑) ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの“Sunday
Morning”などは原曲のイメージに近いものの、他の曲は大胆にアレンジがいじられ過ぎ(苦笑)。ベースの低音がブイブイ響く“Get
It
On”(オリジナル:T・レックス)や、ヴァン・ヘイレンの「あの曲」とはとても思えない“Jump”などが私のお気に入りです(笑)。
R.I.Y.L. :
Pizzicato Five
(2005.2.28掲載予定分を2005.6.9に掲載)
|
IVY--In
The Clear
|
|
(国内盤 : EMI
TOCP-66373)
ここ日本では「ファウンテインズ・オブ・ウェイン(F.O.W.)のアダム・シュレシンジャーのサイド・プロジェクト」扱いされているけど、大傑作『アパートメント・ライフ』(1997年作)で彼女たちの存在を知った私にとってはF.O.W.こそが「アイヴィーのアダム・シュレシンジャーのサイド・プロジェクト」だった(笑)。しかし、アイヴィーとしてリリースしたここ数作がイマイチだったのと、F.O.W.の人気爆発により、私のなかでのアイヴィーの位置付けも「ファウンテインズ・オブ・ウェイン(F.O.W.)のアダム・シュレシンジャーのサイド・プロジェクト」に変わろうとしていた2005年の今、突如リリースされた4年ぶりの新作。
フランス人女性ヴォーカリスト、ドミニクを看板に立て、ユーロ・ポップを思わせる「オサレ」な感覚とサウンドは従来どおりだけど、このアルバムから所属レーベルをサラ・マクラクラン、ロン・セクスミス、ニール・フィンらを擁する『Nettwerk』に移し、心機一転した効果なのか、楽曲にみずみずしさがあふれてる。イントロのシンセが1980年代を思わせる“Thinking
About You”、メロディー展開にクセのある“I've Got You
Memorized”、アップテンポな“Corners Of Your
Mind”、R.E.O.スピードワゴンの1985年のヒット曲“Can't Fight
This
Feeling”(邦題は“涙のフィーリング”)を思わせるメロディーで始まる“Ocean
City Girl”などに耳を引かれます。
話は変わるけど、どうしてアダム・シュレシンジャーはいつも写真では実物よりもはるかにカッコイイんだろう?....って、CDのブックレットを見て、思った(笑)。
あっ! このアルバムの日本盤も、CCCDだッ!!!
R.I.Y.L. :
FOUNTAINS OF WAYNE, Vanessa Paradis
(2005.4.30掲載予定分を2005.6.13に掲載)
|
JETS TO
BRAZIL--Perfecting Loneliness
|
|
(国内盤 : ビクター
VICP-62190)
USインディーズ・シーンで長く活動してる3人のミュージシャンが結成したジェッツ・トゥ・ブラジルの3枚目のアルバム。
このアルバム聴いて、今のジミー・イート・ワールドやセイヴズ・ザ・デイあたりを思い出したけど、エモ一辺倒に押すんじゃなくて、アコースティックなシンプルでナチュラルな感触も大切にしたサウンド。手練のミュージシャンたちが出してる音とは思えないほど、サウンドが若い...と言うか、青い(苦笑)。個人的にはザクザク・ギターが表に出たタイトル曲、青いがゆえの哀愁漂う“Lucky
Charm”、何故か宮崎美子の“ノー・リターン”(八神純子・作曲...って、今も憶えてるひと、居る???...笑)ソックリな“Wish
List”、エモの風味が強い“Autumn
Walker”あたりの中盤からの流れが気に入ってます。
このアルバムにひとつ悪いところがあるとするなら、それは...曲数が多過ぎること...(苦笑)。
R.I.Y.L. :
JIMMY EAT WORLD, SAVES THE DAY
(2003.4.30)
|
JEWEL--This
Way
|
|
(国内盤 :
イーストウエスト AMCY-7330)
アメリカはアラスカ出身の天然自作自演少女の3rd。今までよりもカントリーな感触が増えたような気がします。一番カントリーっぽいのが“Love
Me, Just Leave Me
Alone”で、この曲ではマリア・マッキー(ローン・ジャスティス)ばりのシャウトを聴かせていて、意外な一面みた気がしました(笑)。従来のポップ路線の曲も“Standing
Still”など充実しております。
R.I.Y.L. :
Heather Nova, Natalie Merchant, Shannon Curfman, LONE
JUSTICE
(2001.12.18)
|
JEWEL--0304
|
|
(国内盤 : ワーナー
WPCR-11580)
『アラスカ生まれの天然少女』というイメージが強過ぎるシンガー/ソングライターのジュエルが、その「アコースティック・ギター1本構えながら歌う素朴なシンガー」という従来からのイメージを完全に投げ捨てて、打ち込みやらシンセやらを大胆に導入し、電子音ピコピコなサウンドに挑戦!!! 昔からのファンの間では賛否真っ二つに別れる問題作だけど、「あのジュエルがこんなサウンド・プロダクションに挑戦した!」と思うとニンマリ、「2003年最大の『お笑いアルバム』」とこの作品を位置付けてる(笑)私はこの大胆なイメチェンを積極的に支持したい!(笑) ロウファイな味付けのある“Intuition”が個人的にはツボにハマった(笑)。「ミョーに自己主張の激しいリズムだ」と思ったら、何かと話題の(笑)Abe
Laboriel Jr. がドラマーとして参加。
R.I.Y.L. :
Britney Spears, Christina Aguilera(笑), Abe Laboriel
Jr.(爆笑〜!!!)
(2003.7.26)
|
JJ72--I To
Sky
|
|
(国内盤 : EPIC
EICP-143)
美形ベーシストのヒラリー・ウッズ嬢(こればっかり...笑)を擁するアイルランドの3人組の待望の2ndアルバム。どこか少年らしいあどけなさが残った前作『JJ72』から大幅に筋力アップした印象。U.K.モノらしいウェット感やダークさ、メランコリックなサウンドはそのままながら、“Serpent
Sky”のようなラウドな曲もあり、アルバム通して聴くと起伏がハッキリした構成になってて聴いてて飽きが来ない。マーク・グリーニーのヴォーカル・スタイルがビリー・コーガンっぽいこともあり、スマッシング・パンプキンズの名盤『メロンコリーそして終わりのない悲しみ』を想い起こさせる。スマパンほどのスケールの大きさはまだ描き切れてないけど、1stからの成長ぶりに感服。
R.I.Y.L. : THE
SMASHING PUMPKINS、DOVES『Lost Souls』
(2002.10.30)
|
KAISER
CHIEFS--Yours Truly, Angry Mob
|
|
(国内盤 :
ユニバーサル UICU-1131)
『FUJI ROCK FESTIVAL
'07』にも出演した、本国では労働者階級からの絶大な支持を集めているという英国の5人組の2ndアルバム。
メンバー全員が並んでるイカツいジャケット(苦笑)や、『アングリー・モブ〜怒れる群集』なる邦題からラウドで激しいロックを想像してしまうけど、英国のロックの伝統に根ざしたロックを演ってる。そのように聴こえるのは、ヴォーカルのリッキーの美声ともいえる声質、それとキーボード・プレイヤーの存在が大きい。サウンドのあちらこちらに漂うユーモラスな感覚も彼らの魅力。
♪ruby〜ruby〜ruby〜...のリフレインがキャッチーな“Ruby”(邦題は“ルビー・ルビー・ルビー”)、マッドネスのようなハチャメチャぶりを感じる“Highroyds”、「いかにもU.K.」といった湿り気たっぷりの曲“Love's
Not A Competiton (But I'm Winning)”と“Try Your
Best”、スカやツー・トーンの影響を感じる“Thank You Very
Mauch”、マンサンみたいに聴こえる“I Can Do It Without
You”、ユーモラスな“Everything Is Average
Nowadays”(これもマッドネスを思い出してしまったが...苦笑)...と、楽曲もヴァラエティーに富んでいる。
ヴォーカルのリッキーがもっとイケメンだったら、日本でも人気が出て、今以上に評価されてるハズだと思うんだけどなぁ...(苦笑)。
R.I.Y.L. : BLOC
PARTY, THE FUTUREHEADS, MADNESS
(2007.8.31掲載予定分を2007.11.13に掲載)
|
KAISER
CHIEFS--Off With Your Heads
|
|
(国内盤 : Hostess
HSE-60012)
新たに『英国の国民的バンド』の仲間入りを果たしたカイザー・チーフスの3rd。
マッドネスなどに通じるようなユーモアあふれるロックをこれまでの2枚のアルバムで披露し、着実に支持を広げてきていた彼ら。これまでの彼らのアルバムには必ずバラードふうの聴かせる曲が収録されていたけど(2ndでいえば、“Love's
Not A Competition (But I'm Winning)”や“Boxing
Champ”など)、本作は徹底的にノリのよい軽快なポップ・ロックにのみ収録曲を絞ってる。そのためか、彼らのライヴ・パフォーマンスのノリをそのまんま持ち込んだような躍動的なアルバムに仕上がってる。楽曲のヴァリエーションという面では確かに幅は狭まったものの、そのぶん焦点が絞れ、彼らの音楽的指向や方向性が明確になった。これを、「進化」と積極的に支持したいと思います。
ちなみに、私が一番気に入ってる曲は“Addicted To
Drugs”です。
R.I.Y.L. : BLUR,
PULP
(2008.12.6)
|
KEANE--Perfect
Symmetry
|
|
(国内盤 :
ユニバーサル UICI-1078)
英国の3人組・キーンの3rd。
不勉強なもので、これまで彼らのアルバムを聴いたことがなく、彼らの曲はリリー・アレンがカヴァーした“Everybody's
Changes”しか知らなかったんだけど、このアルバムを聴いて、今までこんなに良いバンドを見逃してたことを知り、悔しくなりました(苦笑)。
コールドプレイやトラヴィスをもっと元気ハツラツ・活動的にしたようなポップなサウンド。だたし、「元気ハツラツ」とはいうものの、流石は英国のバンドだけだあってアメリカの脳天気おバカ・バンドとは違い、気品あふれ、どこかユーモアを漂わせた知的なサウンド。トム・チャップマンの歌唱力のあるヴォーカルも、英国的気高さを醸し出してます。
彼らのサウンドがどこかユーモラスな響きをもってるのは、ヴォーカル、キーボード、ドラムの3人しか居ないという独特のギターレスのバンド編成のせいかもしれません。
イントロ・リフが効果的なオープニング曲“Spiralling”、トムのアツい歌唱が胸をうつ“Perfect
Symmetry”、バラードの“You Don't See
Me”、荘厳さにあふれ、アルバムのクライマックスともいえる“Playing
Along”などがオススメです。
R.I.Y.L. :
COLDPLAY, TRAVIS
(2009.2.27)
|
THE
KILLS--Keep On Your Mean Side
|
|
(国内盤 : キング
KICP-928)
大西洋を挟んで、デモ・テープをやり取りしながらパートナーシップを築いていった...という米・フロリダ出身の女性ヴォーカリストのヴィヴィと、英国人の男性ギタリストのホテルによる2人組、ザ・キルズのアルバム。ストロークス〜ホワイト・ストライプスの活躍以降、脚光を浴びてるガレージ・ロックな音を出してる。ヴィヴィのヴォーカル・スタイルが、P・J・ハーヴェイやエラスティカのジャスティン・フライシュマン、パティ・スミスなどに似てるため、これらのアーティストを思わせるサウンド。“Fuck
The People”は、プリテンダーズの“Brass In
Pocket”(邦題“恋のブラス・イン・ポケット”)っぽいので、クリッシー・ハインドみたいに聴こえる(苦笑)。いずれにせよ、ヴィヴィの姐御肌なヴォーカルがこのザ・キルズの看板なのは間違いない。クールネス漂うヴィヴィのヴォーカル、カッコイイよ!
R.I.Y.L. : P J
Harvey『Rid Of Me』, ELASTICA『Elastica』, Patti Smith, THE
PRETENDERS
(2003.6.30)
|
THE
KILLS--Midnight Boom
|
|
(国内盤:Hostess
HSE-10062)
米国人女性ヴォーカリストのヴィヴィと、英国人男性ギタリストのホテルによる2人組、ザ・キルズの3rdアルバム。
2003年のデビュー作『キープ・オン・ユア・ミーン・サイド』は高く評価していたんだけど、2nd『ノー・ワウ』(2005年発表)が(個人的に忙しい時期にリリースが重なってしまい、あまり聴き込めなかったとこが災いしてか)イマイチな印象だったため、彼女たちに対する興味も薄れてたところにりリリースされたこの3rdでは、デビュー作にあったような頽廃さや気だるさが戻っていて、「これこそ、キルズ!」という作品に仕上がってます。パティ・スミス〜クリッシー・ハインド〜P.J.ハーヴェイ...の女性ロック・ヴォーカリストの系譜につながるクールなヴィヴィのヴォーカルも最高〜!!!
彼女たちの音楽はいつ聴いても、タバコの煙が充満した場末のクラブで演奏してる光景が目に浮かんで来るんだけど、どうしてだろうねぇ...?(苦笑)
R.I.Y.L. : P J
Harvey, Patti Smith, THE PRETENDERS
(2008.6.30掲載予定分を2009.7.30に掲載)
|
古明地洋哉--「灰と花」
|
|
(国内盤 : ミディ
MDCL-1410)
インディーズの頃から注目を集めてた男性シンガー、古明地洋哉(こめいじひろや)のメジャー・デビュー盤。基本的にはギター弾き語りタイプのシンガーなんだろうけど、このアルバムではバックにバンドやヴァイオリストを従えてます。先行シングル(両A面扱い)だった“ライラックの庭”一曲にまず、ガツン!!!と殺られた(笑)。そして“SWEET
RAIN”の歌詞、♪“気のふれた世界で正気を保つこと それこそが狂気だ”と誰もがうそぶく〜も頭から離れません(笑)。これから夏の盛りになるというのに、この黄昏れた音にドハマリ! 2001年のベストアルバム最右翼候補!!!
R.I.Y.L. :
中村一義, 山崎まさよし
(2001.7.5)
|