MARV &
RINDY ROSS QUARTERFLASH--Goodbye Uncle Buzz
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(import : Ross
Productions RP002)
1982年にシングル“Harden My
Heart”(当時の邦題は“ミスティ・ハート”)で一世を風靡したものの、その後ヒットに恵まれず、殆ど「一発屋」扱いされてるクォーターフラッシュの新作。
彼女たちがアルバムをリリースするのは、91年の『ガール・イン・ザ・ウィンド』以来、実に17年ぶり。当然のことながら(?)、グループの中核をなすマーヴとリンディのロス夫妻の2人以外のメンツは総入れ替えとなっており、アルバム名義どおり、これはもう「クォーターフラッシュ」というバンドではなく、ロス夫妻のデュオによる作品と考えたほうがしっくりくる(苦笑)。
往年のクォーターフラッシュといえば、看板ヴォーカリストのリンディがサックスも演奏するのがウリだったけど、本作では全12曲中3曲しかサックスを吹いていない。そのぶん、彼女自身の歌をじっくり聴かせるところに重きを置いてるようだ(もっとも、マーヴがリード・ヴォーカルの曲が2曲もあるけど...苦笑)。
昔のクォーターフラッシュは、オレゴン州出身なのに田舎臭いところが無く、どこか洗練された感覚のサウンドが身上だったけど、本作では、中盤の一部の曲ではカントリーっぽくなってる(苦笑)。が、なんとかギリギリのところで踏み止まり、アチラ側(カントリーの世界)には行ってません(苦笑)。昔のクォーターフラッシュの面影を最も残す“Crazy
Quilt”、ハーモニカやホーン隊が加わり陽気な“Trying To Find
A New
Way”いう曲もあるけど、アコースティックな感覚の“Home”、リンディのサックスがイイ味出してる“The
Child Who Raised Her Mother”、ドラマティックな“Opening
Doors”を始め、秋の夜長にピッタリのオトナの音楽が聴ける。
ラップ(?)を彼女たちなりに取り入れた(?)ダークな“This
Business Of Music”は異色曲。
R.I.Y.L. : Sarah
McLachlan, Paula Cole, Dido
(2008.10.29)
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QUASI--The
Sword Of God
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(国内盤 :
P-ヴァイン PCD-24091)
エリオット・スミスの人脈につながる(...っつうか、バック・バンドにも参加してた)デュオ、クワージの4枚目。キーボード奏者のサム・クームズと、ドラマーのジャネット・ワイスからなるクワージはこのアルバムから『UP』レーベルを離れ『Touch
And
Go』に移籍したんだけど、そのせいなのか、音からインディー臭さが消え、かなり聴き易いポップな作風にに仕上がってます。「スーパー・ドラマー」ジャネット・ワイスさまが外見からは想像つかないくらい可愛らしい声で歌ってるのを始めとして、ヴォーカル面での成長が著しいッス。ジャネワイのドラム・プレイがフィーチュアされた“Seal
The Deal”が聴き応えアリ!
R.I.Y.L. : BUILT
TO SPILL, MODEST MOUSE
(2001.10.4)
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QUEENSRYCHE--Operation
: Mindcrime II
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(国内盤 : ワーナー
WPCR-12262)
ハード・ロック/ヘヴィー・メタルの世界で名盤中の名盤と謳われるコンセプト・アルバム『オペレーション:マインドクライム』(1988年作)から18年経った2006年の今、ついにリリースされた続編。
『オペレーション:マインドクライム』の続編だから、今作もコンセプト・アルバムであり、『オペレーション:マインドクライム』の最後では刑務所に収容された主人公のニッキーが20年の刑期を終え、シャバに戻ってきて、彼の人生を台無しにしたドクターXに復讐を果す...というストーリーに沿い、1曲目の荘厳な序曲“Freiheit
Ouverture”から壮大なる『ロック・オペラ』の世界が繰り広げられてます。決して、憎い相手へ仇を討っただけにとどまらないストーリーも深い(ただし、18年前の『オペレーション:マインドクライム』ほどストーリーに波乱万丈さは無いケド)。アルバム通して聴いてイイのは勿論のこと、ストレートなロック・ナンバー“I'm
American”、ロニー・ジェイムズ・ディオがドクターX役で登場する“The
Chase”、一連のストーリーに終止符を打つバラードの“All The
Promises”など、楽曲単位で魅力を放つ佳曲も多いので、『オペレーション:マインドクライム』を聴いたことがないひとにもそれなりのアピールをする作品になっています。
ひとつだけこのアルバムの欠点を挙げるとしたら...このアルバム聴いてるうちに、18年前の『オペレーション:マインドクライム』を聴きたくなることだな(苦笑)。『オペレーション:マインドクライム』と本作についてはこちら→も参照
R.I.Y.L. : DREAM
THEATER, PINK FLOYD, YES
(2006.5.31)
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くるり--アンテナ
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(国内盤 :
スピードスター/ビクター VICL-61306)
ASIAN KUNG-FU
GENERATIONのような(笑)明らかなフォロワーを生んだりするなど、今や日本のロック界において、その動向が注目される存在になった
くるりの、ドラマー交代後初のアルバム。
『TEAM ROCK』〜『THE WORLD IS
MINE』で押し進めてたディジタル化がメンバー間の音楽指向の違いを生み、ドラマー交代につながったのでは...と勝手に推測してたけど、このアルバムで聴かれるサウンドは『TEAM
ROCK』以降のサウンドを推し進めるのではなく、反対にミョーにアナログな方向に行った印象。もともと和風っぽいエッセンスがあった(日本のバンドだから当たり前だって?...笑)くるりだけど、“Race”で聴けるリフに代表されるように今回は「純和風」とでも呼びたくなるようなくらい(苦笑)。岸田が和服着てる宣材写真撮ってんのもよく分かる(苦笑)。
「歌ごころ」とをこれまで以上に大切にしたかのような今回の変化を積極的に支持しますが、もっくん辞めたのは正解だったのか、ちょっと考えちゃう...。
R.I.Y.L. :
『図鑑』の頃までの くるり(笑)
(2004.3.31)
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RAINER
MARIA--Long Knives Drawn
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(import : Polyvinyl
Records PRC-057)
女性ヴォーカリスト(兼ベーシスト)のCaithlin De Marrias
を看板に据えた3人組(残り2人は男)の4枚目のフル・アルバム。
ホールからポップさとコートニーの「ドラ猫ヴォーカル」と「ふてぶてしさ」を抜いたようなパンキッシュなインディー・ガールズ・ロックを披露してます。Caithlin
の声がコリン・タッカー(スリーター・キニー)っぽく聴こえるせいか、『ディグ・ミー・アウト』以降のスリーター・キニーを思わせるたくましいサウンド。いずれにせよ、USインディー・ガールズ・ロックが好きなひとにオススメ。スリーター・キニー・ファンは即買い!
個人的には、ほのかに哀愁漂う“The Imperatives
”がお気に入りだったりします(笑)。
R.I.Y.L. :
SLEATER-KINNEY, HOLE
(2003.9.30)
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RED HOT
CHILI PEPPERS--By The Way
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(国内盤 : ワーナー
WPCR-11300)
レッド・ホット・チリ・ペッパーズの3年振り通算8枚目のスタジオ作。ギターにジョン・フルシアンテが復帰した前作『カリフォルニケイション』の延長線上にある作風で、内省的で枯れた味わいのある歌モノ・ロックを聴かせてくれていて、昔のチ×ポに靴下被せてハシャギまくるバンドというイメージの片鱗さえうかがい知ることは出来ないほど(苦笑)。本作もジョンの持ち込んだモノが大きいようで、繊細さや優しさ、諦念が漂うサウンドは、U2をも思わせる。殊に、“Minor
Thing”のアウトロでのジョンのギター・プレイはモロにU2の“New
Year's Day”を彷佛とさせる。
R.I.Y.L. :
『Californication』、U2
(2002.8.29)
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R. E.
M.--Reveal
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(国内盤 : ワーナー
WPCR-11010)
3人組になって再スタートを切った前作『UP』は、個人的にはツマらなかったんだけど、この2年半振りのアルバムではビル・ベリーの不在にもう慣れたのか往年の輝きを取り戻してます。今作は近年の彼らにはないくらい楽曲が充実。ここまで「うたごころ」あふれる名曲揃いなのは'92年の『オートマティック・フォー・ザ・ピープル』以来じゃないでしょうか?(個人的には'94年の『モンスター』も好きだけど) “Imitation
Of Life”は2001年の“Man On The Moon”か?
R.I.Y.L. :
『Automatic For The People』
(2001.6.30)
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R. E.
M.--Accelerate
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(国内盤 : ワーナー
WPCR-12857)
スタジオ録音作としては通算14枚目となるR.E.M.の新作。
1997年にビル・ベリー脱退後...っつうか、彼の脱退前の『ニュー・アドベンチャーズ・イン・ハイ・ファイ』から...おとなしめで内省的な作風のアルバムのリリースが続いてた彼ら、ポップな『リヴィール』(2001年)は好きだったけど、'80年後半から'90年代前半ににかけてオルタナティヴ・ロック・シーンを先導してた時のようなパワーが無く、物足りなさを感じてた。しかし今作では、まさにシーンの頂点に登り詰めんとする勢いのあった頃の20年前の彼らを彷佛とさせるような若々しいロック・サウンドが聴ける。文字どおり「accelerate」されたアルバム(笑)。前作との間にライヴ盤をリリースしたことが転機となったのかも。ここ数年、前述のような理由で彼らに対する興味がだんだん薄らいできてたけど、このアルバムでは久しぶりにアツくなれました。35分足らずで全11曲駆け抜ける様も小気味いい。
不満をひとつ言うなら...アートワークがもっとセンスよければねぇ...(苦笑)。
R.I.Y.L. :
『Document』、『Green』、『Out Of
Time』、『Monster』
(2008.5.31)
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MIRANDA
LEE RICHARDS--The Herethereafter
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(国内盤 : EMI
VJCP-68420)
'60年代〜'70年代の女性シンガーのリイシュー物か?...と見間違えそうな古臭いセンスのジャケットのミランダ・リー・リチャーズ嬢のデビュー作。
古臭いセンスのアルバム・ジャケットのとおり、サウンドのほうも'60〜'70年代の女性シンガー/ソングライターっぽい(笑)フォーク調。シタール入ってインドっぽくなる曲が入ってるところも、モロ'60〜'70年代(笑)。アルバム通してホンワカしてて、暖かく柔らかい『癒し系サウンド』。『アラニス以後』の今の攻撃的な女性シンガーばかり聴いて疲れた耳を癒すのに最適です(笑)。アンディ・ベル(現・オアシス)の嫁のイーダのサウンドが好きだったひとに特にオススメ!!!(笑)。
R.I.Y.L. : Idha,
Edie Brickell, THE SUNDAYS, Jewel
(2002.10.30/11.9)
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ROCKET
FROM THE CRYPT--Live From Camp X-Ray
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(国内盤: ビクター
VICP-68029)
メジャー・デビュー盤で名盤の『スクリーム・ドラキュラ・スクリーム!』では「バカの国からバカを布教しにやってきた」ようなドブ板ブチ抜きぶりの豪快さに満ちたパンク・ロック・アルバムだったけど、次作『RFTC』では音が整理され過ぎで豪快さに欠け、インディーズに戻った『グループ・サウンズ』ではメンバー・チェンジもあってノリがイマイチ。だけど前作から2年置かずにリリースされたこの作品はここ数作のスランプを振り払うほどの充実ぶり。「バカの国からバカを布教しにやってきた」ような豪快さも戻り、ホーン隊もブイブイいわせてるし、スピードのヴォーカルもまるで高笑いしてるかのよう。スタジオ作にもかかわらず、ライヴ・アルバムと間違えそうなタイトル付いてるけど、このアルバムで聴けるパンク・ロック・サウンドの生々しさと迫力はまさに「ライヴ」。10曲入りで30分足らずでアルバムが終わるところもまた、潔し。
ちなみに、個人的に一番気に入ってる曲は“Can't You Here
It”です。
R.I.Y.L. :
ROCKET FROM THE CRYPT(笑)
(2002.12.31)
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RUSH--Rush
In Rio
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(国内盤 : ワーナー
WPCR-11695〜7)
2002年の『ヴェイパー・トレイルズ』ツアーの最終日、11月23日のブラジル、リオ・デ・ジャネイロの「マラカナン・スタジアム」での4万人の観客を集めたライヴを丸ごと収録した3枚組のライヴ盤。
これまで、『世界を翔けるロック』('76年)、『ラッシュ・ライヴ〜神話大全』('81年)、『ラッシュ・ライヴ〜新約・神話大全』('89年)、『ディファレント・ステージス』('98年)と、4つのライヴ作品をリリースしてるRUSHだけど、すべて複数会場の音源を繋ぎ合わせた作品ばかりで、1回のライヴを丸ごと作品化したライヴ・アルバムは今回が初めて。それだけに(完成度は劣るかもしれないけど)ライヴならではのナマナマしさはこれまでの作品とは比較にならないほど。ブラジルの観客の反応、声援はもの凄く熱狂的で、Disc
1 の“Tom
Sawyer”から大合唱しっ放し。インストゥルメンタルの“YYZ”も(インスト曲なのに!)大合唱。この日のライヴの盛り上がりぶりがよく分かります。
RUSHには数タイトル、ベスト・アルバムが出てますけど、どれも選曲に難アリで、今年の5月に日本盤が出た『ザ・スピリット・オブ・レディオ〜グレイテスト・ヒッツ1974〜1987』よりは、このベスト選曲(ベスト選曲って言わないのは、マニアだけ...苦笑)の3枚組ライヴ盤買ったほうが「RUSHの何たる」かがよく分かる。これからRUSHを聴いてみようというRUSH入門者にオススメ!
R.I.Y.L. : LED
ZEPPELIN, YES, DREAM THEATER
(2003.11.30)
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