VAULT...過去のオススメ盤

RECOMMEND TOP A B C D-E F G H I-K L M N-O P Q-R S T-V W-Z O.S.T./V.A.

MARTHA WAINWRIGHT--Martha Wainwright

(国内盤 : V2 V2CP-251)
 『FUJI ROCK FESTIVAL '06』で素晴らしいパフォーマンスで魅せてくれた女性シンガー/ソングライターのデビュー・アルバム。
 名前をみれば解るとおり、ルーファス・ウェインライトの妹であり、兄も数曲(“Don't Forget”でバック・コーラスとアレンジ、“The Maker”でバック・コーラス)参加している。が、このアルバムで聴かれる曲はルーファスの妹云々を抜きにして語られるべき彼女独自の世界を持つ内容。ギター弾き語りをベースに、ピアノ、ベース、チェロを重ねたフォークっぽいサウンドで'、そこらかしこに70年代の雰囲気(音だけじゃなく、マーサのルックスも...苦笑)が漂ってます。“Ball & Chain”で聴けるシャウトはジャニス・ジョプリンを彷佛とさせる。ジュエルの1st『心のかけら』っぽく聴こえる部分もあり、今や洗練され過ぎてデビュー当時のような歌を歌わなくなった今現在のジュエルに淋しさを感じるひとも是非聴いてみて下さい。
 個人的には、明るい“G. P. T.”や、過激なタイトル(苦笑)の“Bloody Mother F***ing A**Hole”がお気に入り。

R.I.Y.L. : Jewel『Pieces Of You』, Heather Nova, Patti Smith, Janis Joplin

(2006.7.31)

WE ARE SCIENTISTS--With Love And Squalor

(国内盤 : EMI TOCP-66518)
 ニューヨークの出身の3人組、自称『科学者』(苦笑)のメジャー・デビュー・アルバム。本国・アメリカよりも、英国での評判が高いという話もうなずけるくらい、U.K.ロックっぽいサウンドを出してる。このアルバムを聴いて真っ先に思い起こしたのが、フランツ・フェルディナンド。軽快なノリや曲に漂うユーモラスなセンス、ドラミングなどにフランツとの共通点を感じます。ヴォーカル(兼ギタリスト)のキース・マーレイの声には、マンサンのポール・ドレイパーを思わせるし、なんの予備知識もなくこのアルバムを聴いたらU.K.バンドと思ってしまうことでしょう。アメリカのバンドだけど、U.K.ロック・ファンに大推薦!
 ちなみに、日本盤は「インチキな円盤」(←まだあったの?...苦笑)で、『愛することとみじめさと』などというトンデモない邦題が付いてます(苦笑)。

R.I.Y.L. : FRANZ FERDINAND, THE STROKES, MANSUN

(2006.3.31)

WE ARE SCIENTISTS--Barbara

(import : Masterswan Recordings MSR01CD)
 ニューヨークを本拠地として活動してるのに、U.K.バンドみたいなサウンドを出すことで話題となった自称・科学者たちの3rdアルバム。
 前作(2nd)のリリース直前に、ドラマーのマイケル・タッパーが脱退。その影響か前作はどこか冴えない仕上がりだった。その影響からか、メジャーからドロップを余儀無くされた彼ら、新たなドラマーとして元・レーザーライト(で英国人)のアンディ・バロウズを迎え、心機一転をはかった本作ではデビュー・アルバム『愛することとみじめさと』で聴かれたような、文科系草食系男子のような弱々しさが漂う、ユーモラスなパワー・ポップで、U.S.バンドなのにU.K.ロックなサウンド...という彼らならではのユニークさが戻ってる。時折きらびやかなキーボードを織りまぜる躍動感あふれる明るい楽曲群がとっても魅力的な作品で、インディーからの再出発作としては上場の出来といえるのではないでしょうか。

R.I.Y.L. : 昔のSUPERGRASS, DODGY

(2010.9.29)

WE ARE THE FALLEN--Tear The World Down

(import : Universal Republic B0014253-02)
 元・エヴァネッセンスで、名盤『フォールン』のメイン・ソングライターだったギタリストのベン・ムーディーが、かつての同僚(元・エヴァネッセンス)だったロッキー・グレイ(ds.)とジョン・ルコンプ(g.)の2人と、アメリカの人気オーディション番組『アメリカン・アイドル』のファイナリスト、カーリー・スミスソン(vo.)と結成した新バンドのデビュー・アルバム。
 前述のいきさつから、どーしてもエヴァネッセンスと比較してしまうけど、エヴァネッセンス同様、荘厳なシンフォニック・メタル/ゴシック・メタルを披露してる。そもそも「俺たちこそが『フォールン』だ!」と高らかに宣言するバンド名を名乗ってる以上、彼らが『フォールン』からかけ離れた音を演るハズは無い(苦笑)。
 オープニングを飾る“Bury Me Alive”はストリングス導入のエンディングなど劇的な創りで、もの凄くインパクトがあり、「傑作だ!」と興奮してしまったけど、曲が進むにつれてフツウになった(苦笑)。ベン・ムーディーは『フォールン』制作時と同じ哲学で楽曲を創造したんだろうけど、カーリー嬢のヴォーカリストとしての幅がエヴァネッセンスのエイミー・リー未満のため、単調になりがちなのが難点か。ただ、エンディングかと思うくらい仰々しい“St. John”や、ホントのエンディング・ナンバーのタイトル曲のドラマティックな音世界は、流石。
 2006年秋に2nd『ザ・オープン・ドア』をリリースして以降、ず〜〜〜っと音沙汰のないエヴァネッセンスの新作を待ち続け、待ちくたびれたエヴァネッセンス・ファンに『代替品』としてオススメします(苦笑)。

R.I.Y.L. : EVANESCENCE

(2010.8.19)

WEEZER--Weezer (The Green Album)

(国内盤 : ユニバーサル UICF-1002)
 みんなが待ちに待ってたウィーザーの4年半ぶりの新作。ヴォーカリスト/ギタリスト/ソングライターのリヴァース・クオモが自分自身の感情を赤裸々に投影し過ぎた前作の反省にたち、デビュー作に近い感触。ガッガッガッガッとくるリフがヘヴィーな“Hash Pipe”や、♪hip hip...がユーモラスな“Island In The Sun”など一聴しただけで印象に残る曲多し。プロデューサーは元・カーズのリック・オケイセック。

R.I.Y.L. : WEEZER『Weezer』(1st)

(2001.5.31)

WEEZER--Make Believe

(国内盤 : ユニバーサル UICF-1040)
 ウィーザーの3年ぶりの5thアルバムは、なんと、スレイヤーやレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、AC/DCなど多くのハードロック系の名盤を手掛けた大物中の大物、リック・ルービン・プロデュース作。したがって、これまで以上にハードロック色が濃くなるかと思ってたら、1stや3rdのサウンドを踏襲した作風。クィーンの“We Will Rock You”を思わせるリズム・パターンが耳に残るリーダー・トラック“Beverly Hills”、ブロンディの“Sunday Girl”と河島英五の“酒と泪と男と女”を足して2で割ったようなメロディー(笑)の“The Other Way”、歌い出しだけが瞬間芸的にチープ・トリックの“I Want You To Want Me”にソックリな“Pardon Me”などが印象深い。リヴァースの永遠のテーマを歌った(笑)“Hold Me”やウェットな“The Damage In Your Heart”、粗くロックしてる“We Are All On Drugs”など、『ウィーザー節』も健在。
 ラストの“Haunt You Every Day”は、マシュー・スウィートのアルバム『ブルー・スカイ・オン・マーズ』ラストの“Missing Time”をどことなく連想させるなぁ...。

R.I.Y.L. : WEEZER『Weezer』, WEEZER『Weezer (The Green Album)』

(2005.5.31)

WHITE LIES--To Lose My Life...

(国内盤 : ユニバーサル UICP-1104)
 英国の3人組、ホワイト・ライズのデビュー・アルバム。
 音楽雑誌『CROSSBEAT』6月号の新谷洋子さんのコラム『LYRICIST LOUNGE』で「こんなに暗いホワイト・ライズはなぜイギリスで受けるのか?」などと書かれているのを読んで興味を持ち、このアルバム買ったんだけど、確かに、1曲目のタイトルからして“Death”だし、曲を聴く前から暗そうだ(苦笑)。だけど、実際に音を聴いてみたところ、言われているほど暗くない(苦笑)。どこか飄々としたハリー・マックヴェイのヴォーカル、(“A Place To Hide”のイントロに代表される)'80年代に流行ったようなダサく古臭いシンセサイザーの音色など、彼らのサウンドを聴いて暗さのあまり絶望の淵に沈んでしまうようなことは一切なく、逆に、ユーモラスな音像に思わずニヤリとしてしまう。フランツ・フェルディナンドなど今ふうのU.K.ロックっぽいところもあれば、スパンダー・バレエなどの'80年代ニュー・ロマンティックにも通じるところもあると思います。
 「暗さ」をウリにしてるっていうのは、彼らなりのユーモア/ジョークなんじゃないかと思うんだけど...(苦笑)。

R.I.Y.L. : FRANZ FERDINAND, SPANDAU BALLET

(2009.6.30掲載予定分を2009.7.13に掲載)

THE WHITE STRIPES--White Blood Cells

(国内盤 : V2 V2CP-128)
 全米カレッジ・チャートでNo. 1を獲得するなど、全世界的に盛り上がりをみせてる、ホワイト姉弟による2人組の3rdアルバム。アメリカのカントリー・ミュージックやブルースからの影響が大きいガレージ・ロックでポップさは皆無(苦笑)。ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンっぽいところや初期のBECKのようなところもある。ドラム(姉・メグ)とギター(弟・ジャック)の2人による演奏でベースが無いんだけど、ベースの不在を埋めて余りあるくらいジャックのつまびくギター・リフは表情豊か。どこかで聴いたことあるようなフレーズばかりなものだから、一聴しただけでギター・リフが頭にこびり付いて離れません!(笑) 10年後に「2002年の音楽シーンを代表する歴史的名盤」として語られる可能性が大きい傑作! 大推薦!!!
 あ、ジャックのヴォーカルの耳触りは...トム・ペティっぽいかも(笑)。

R.I.Y.L. : THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION!, BECK『Stereopathetic Soulmanure』&『One Foot In The Grave』,Tom Petty

(2002.7.31)

WITHIN TEMPTATION--The Heart Of Everything

(国内盤 : ロードランナー RRCY-21281)
 看板女性ヴォーカリスト、シャロン・デン・アデル嬢を擁するオランダ出身の6人組ゴシック・メタル/シンフォニック・メタル・バンド、ウィズイン・テンプテーションの4th。
 彼女たちのほうがず〜〜〜っとキャリアが長いため、「ソックリ!」とか「似てる」などと比較するのも憚れそうだけど(苦笑)、エヴァネッセンス(以下、エヴァネ)を思い起こさせるようなドラマティックなメタルを披露してる(特に、男声ヴォーカルと女声ヴォーカルの掛け合いがある“What Have You Done”が、エヴァネの“Bring Me To Life”を思わせるほか、“Final Destination”がエヴァネの“Tourniquet”っぽい)。シャロンのオペラティックなヴォーカルやストリングス導入により、エヴァネ以上に劇的になってる曲も多い。エイミーがどんどんメンバーのクビを斬り、「エヴァネの今後はどーなる!?」と不安になってるファンは、是非これを聴いて下さい(笑)。
 ただ、欠点を言うと、似たような曲調が多く、アルバム聴いてるうちに、「これと同じ曲、このアルバムに入っていなかったっけ?」と思ってしまうところ。“What Have You Done”がオリジナル・ヴァージョンとロック・ミックスの2つが収められてるから、そう感じちゃうんだろうけど(苦笑)。

R.I.Y.L. : EVANESCENCE

(2008.1.31掲載予定分を2008.2.26に掲載)

WOLFIE--Where's Wolfie

(国内盤 : フィルター PRPH-2016)
 日本盤が続々リリースされる『パラソル・レーベル』所属アーティストの作品のなかからウォルフィーを紹介。
 リード・ヴォーカルが男性で、可愛いロリ声の女性コーラスが入るギター・ポップ...ということで、パステルズを連想しちゃったけど、さらに、アナログ・シンセのチープな音で修飾が施されてポップさが増強されています。インディーズなので音質が悪いけど、それが気にならない...というギター・ポップ好きのアナタ、必聴!

R.I.Y.L. : THE PASTELS

(2000.2.21/2.23)

WOLFIE--Tall Dark Hill

(国内盤 : WAH! RECORDS PECY-45001)
 ウォルフィーが、驚愕のニュー・アルバムをリリース!!! ヘタヘタ(笑)ヴォーカルに、チープなシンセ...がトレードマークになっていた彼ら、そのトレードマークだったチープなシンセを引っ込め、(彼らにしては)ハード・ドライヴィンなギターを前面に出したギター・アルバムをリリース!!! だけど、ジョーとアマンダのヴォーカルが載った途端、いつものポップなウォルフィーに戻るのでした(笑)。結局のところ、ギターがうるさめだろうが、どこかハンドメイドっぽいチープさが残るポップな楽曲は、いつものウォルフィーそのまんま(笑)。

R.I.Y.L. : WOLFIE(笑)

(2001.8.5)

THE XX--XX

(国内盤 : HOSTESS YT031CDJ)
 サウス・ロンドン出身の4人組(現在はメンバーが1人離脱して3人組)の新人バンド、ザ・XXのデビュー・アルバム。
 ギター、ベース、キーボード、ビーツ...のシンプルでスカスカのサウンドで、ザ・キルズにつながるような退廃的なムードを漂わせつつ、ソニック・ユースやペイヴメントなどのUSオルタナからみたいなペラペラ乾いたギターの音色が印象的。そして、このバンドの最大のウリは、オリヴァーとロミーの男女ツイン・ヴォーカルでしょう。この2人の、まるで囁くかのように投げやりなヴォーカルの掛け合いはホント、退廃的(笑)。デーモン&ナオミのような脱力感もある(苦笑)。真の意味でのオルタナが大好きなひとに薦めたいと思います。
 ちなみに、一番好きな曲は、“Night Time”です。

R.I.Y.L. : THE KILLS

(2009.12.9)

矢野絢子--窓の日

(国内盤 : ユニバーサル UPCI-1033)
 高知県出身のピアニスト&シンガー/ソングライターの2ndフル・アルバム。
 シングルで井上陽水の“氷の世界”をカヴァーしていた(させられていた?...苦笑。ちなみに、本作には未収録)ことで興味を持ったんだけど、その“氷の世界”のカヴァーとは違い、アルバムで聴けるのは、ピアノと矢野絢子の歌だけをベースにしたシンプルな曲が延々と続く。本人の吹くハーモニカや、ヴァイオリンやコンガ、アコーディオンが被さる曲が時たまある程度。一聴してレコード会社の先輩(笑)小谷美紗子を思い出した(苦笑)。たしかに、ピアノを弾きながら真っ直ぐな歌を投げかけてくるのは小谷美紗子と共通だけど、小谷美紗子ほどドロドロした女性の感情も無いし、青臭い正義感も無い。次に頭に浮かんだのが、ギターをピアノに置き換えた岡北有由(苦笑)。これまたユニバーサル所属(だった)アーティスト(苦笑)。これは、自叙伝的な“ふたつのプレゼント”が岡北有由の“わたし”と被ることから来る印象だろう。声じたいは少年みたいで、小谷美紗子にも岡北有由にも似てるが、ジッタリジン・ジンのボーカル春川っぽくもある(苦笑)。
 演ってる音楽じたいは面白いと思うけど、決して大衆ウケするような音楽じゃあない。レコード会社の先輩にあたる小谷美紗子も岡北有由もすでにユニバーサルには居ない。彼女には息の長い活動を望みたいものです(苦笑)。
 ちなみに、“ふたつのプレゼント”が私にとってのフェイヴァリット。
R.I.Y.L. : 小谷美紗子, 岡北有由

(2005.12.12)

矢野絢子--あいのうた

(国内盤 : GREEN DROP VRCL-2504)
 『高知県が生んだ才能』矢野絢子の4thアルバム。
 2005年の『窓の日』リリース後、メジャーとの契約を終了し、インディーズに活動の場を移してた彼女の、ライヴ会場手売り&
『蒼い鳥ショップ』の通販onlyでひっそりとリリースされてた3rd『星ヲ抱ク者』に続く作品。
 基本的にこれまでの延長線上の作風で、矢野絢子本人の力強い「うた」とピアノを軸とした楽曲が延々と続く。バンド編成で演奏されてる曲も半数近くあるけど、主役はあくまでも矢野絢子の「うた」とピアノ。
 矢野絢子の声は、少年のように真直ぐでナイフのような切れ味を持ってる。活動の場をインディーズに移し、商業的配慮を全く考えなくてもよい制作環境にあるせいか(註・「メジャー時代の彼女が商業的な配慮をしていた」という意味ではない。誤解のないように!)、歌詞も鋭さを増している(“札付き”や“最後の冬”など)。彼女の鋭い歌詞の真直ぐな「うた」を聴いてると耳が痛くなってくる。だけど、聴くのを止めることが出来なくなるような麻薬的な魅力があるんだよなぁ...。

R.I.Y.L. : 小谷美紗子

(2007.10.30)

矢野真紀--あいいろ

(国内盤 : EMI TOCP-22221)
 3月に新譜『遥歌』をリリースする予定の矢野真紀が、去年の3月にリリースした5曲入りのミニ・アルバムを今さらながら紹介。
 アルバムのプロデューサーによってかなりサウンドが変わる傾向にある矢野真紀、いまだに亀ちゃん(亀田誠治師匠)時代の2nd『そばのかす』のサウンドを懐かしむファンが多いようですけど、このミニ・アルバムで彼女が聴かせてるのは、'70〜'80代の日本の歌謡曲を思わせるサウンド。1曲目の“ボクの空”は、平尾昌晃&畑中葉子の“カナダからの手紙”みたい(笑)。2曲目の“子守唄”にもかなりその傾向があります(笑)。他の3曲はそこまで歌謡曲っぽくはないけど、この音造り、笑わせてもらいました。
 ちなみにこのアルバムでは、3thアルバム『この世界を生きて』から手を組んでる寺岡呼人(ex. JUN SKY WALKER(S))がプロデューサーやってます。コイツがこのサウンドの仕掛人でしょうか?
 あ、これ、インチキ円盤(CCCD)...(苦笑)。

R.I.Y.L. : 平尾昌晃&畑中葉子“カナダからの手紙”に代表される'70〜'80代歌謡曲

(2004.2.29)

矢野まき--本音とは愛よ

(国内盤 : 喝采/キング WTCS-1002)
 2005年リリースの『いい風』以来、4年ぶりの矢野真紀のオリジナル・スタジオ録音作。
 前作『いい風』以降、初心者向けお試しアルバム的位置付けの中途半端なベスト盤『やのまき』、他のライターが書いた曲を歌うだけのミニ・アルバム『BIRTH』などの企画盤ばかりのリリースが続き、『茶会』(女性のみ参加可能なライヴ)の開催も途絶え、ハッキリ言って厳しい創作環境になってた彼女。アーティスト名を「矢野真紀」から「矢野まき」に改名し、心機一転を図った本作はアタマからストレートなロック調の曲が続き、これまでのモヤモヤを吹き飛ばす会心作となった。
 矢野真紀のファンにもイロイロ居ると思うけど、個人的には亀田誠治師匠がプロデュースした2ndの『そばのかす』が最高傑作と考えおり、この時代の彼女の作風に近い“本音とは愛よ”、“ユートピア”を聴いて久しぶりに「まきめ節」を堪能した気になった。“ユートピア”の情念の籠った歌い廻しって彼女独特のモノじゃないですかぁ〜!? 一方、亀田師匠の後に彼女と組んだ寺岡呼人が強烈に推し進めた『歌謡曲路線』(???)も否定し切れずに居る私(アルバム『あいいろ』なんか最高だしね)としては、寺岡時代を踏襲してる曲(たとえば、“のろいのように”、“青い鳥のストーリー”など)があるのもそこそこうれしかったりします。『いい風』なんか、アルバム全体が寺岡路線ってのがイヤだったワケで(苦笑)、亀路線と寺岡路線が絶妙のバランスで同居するこのアルバムで、彼女が見事に最盛してくれることを祈ってます。ちなみに、アルバム・ジャケットは、亀路線と寺岡路線の「ふたりの矢野真紀」が同居してるっていう暗喩ですかねぇ...?
 ちなみに まきめは今作では、中期のBONNIE PINKとの仕事でも知られる松岡モトキと組んでます。

R.I.Y.L. : 『そばのかす』

(2009.7.31/10.3)

YELLOWCARD--Ocean Avenue

(国内盤 : EMI TOCP-66217)
 夏頃から話題になってたヴァイオリン奏者が居るエモ/メロコア・バンド、イエローカードのメジャー・デビュー・アルバム。
 このバンドを、掃いて捨てるほど居る他のエモ/メロコア・バンドとしっかり差別化するのが、やっぱりヴァイオリン。もともと今のUSロック主流のエモの流れを汲んで劇的な楽曲群がヴァイオリンが加わることによりますますドラマティックになっとります。
 ヴァイオリン云々...を抜いても、ヴォーカルの声質のせいか、ほのかに哀愁漂い、疾走感あふれる胸キュン・エモ・サウンドやってる彼ら、セイヴズ・ザ・デイやジミー・イート・ワールドのファンは、是非とも聴くべき。

R.I.Y.L. : NAHT, SAVES THE DAY, JIMMY EAT WORLD

(2003.12.31)

より子--記憶

(国内盤 : EMI TOCT-26837)
 小児癌を患い、今も再発との闘病を続ける異色の経歴を持つ女性シンガー/ソングライターのメジャーでの4thアルバム。
 いちお、ピアノ/キーボード弾き語りが彼女のメイン・スタイルとなるんだろうけど、これらのスタイルを逸脱した仰々しいアレンジの曲もある(“Shadow”のようなロック然とした曲など)。
 インディーズ時代からの主要レパートリーで、ソニンがカヴァーしたことでも知られる“ほんとはね。”の再録音、メジャー・デビュー・アルバム『Cocoon』収録の“あなた”の再録、童話ふうのストーリーに沿ったメルヘンチックな“CHOCOLATE”など聴きどころは多いけど、個人的には♪今日一日の〜出来事をピアノに〜弾いて話したら〜呆れて笑われた〜...と無邪気に歌う“働く!より子ブギ”のバカバカしさに大いにウケてしまいました(苦笑)。

R.I.Y.L. : 小谷美紗子とか

(2009.9.30)

ゆう--てんのみかく

(国内盤 : 東芝EMI TOCT-25297)
 GO!GO!7188のリード・ヴォーカル&ギター&作曲担当の「ゆう」こと中島優美のソロ。
 GO!GO!7188と差別化を図るために、ピアノが入ったり、ヴァイオリン、ヴィオラなどのストリングスが入ったり、三味線までも入れたり(笑)ソロらしくやってますが、ゆうが歌うと、GO!GO!7188そのものに聴こえます(苦笑)。GO!GO!7188は昭和歌謡っぽい味付けのあるロック・バンドですが、そこから離れたソロ作品はギター・バンドという枠から離れているぶん、ますます昭和歌謡っぽい(苦笑)。
 先に出たGO!GO!7188のベース&作詞担当の浜田亜紀子のソロ『キラリ』が「脱・GO!GO!7188」して、女のコらしい感情を全面に出したナマナマしい作風と対照的に、あくまでもクール。GO!GO!7188では他人(浜田亜紀子)が紡ぐ言葉を歌うから感情があまり表に出ずにクールなのかと思ってたけど、自分が作詞した歌を歌っても、どこか醒めた感覚が残る「うた」なのでした(苦笑)。ゆうは何歌ってもクール...そんな歌い手なのでしょう。
 ドラマーとして、GO!GO!7188のターキーが参加(笑)。

R.I.Y.L. : GO!GO!7188

(2004.5.31)

ZEBRAHEAD--Playmate Of The Year

(国内盤 : ソニー SRCS-2319)
 いわゆる『ミクスチャー系』のバンドだったゼブラヘッド。本作ではラッパーの出番を抑え気味にして、陽気なヤンキーの兄チャンたちによるポップ・ロックに進化。シュガー・レイが馬鹿やらなくなった『跡地』を埋めるのはコイツらか?

R.I.Y.L. : SUGAR RAY

(2000.8.31)

ZWAN--Mary Star Of The Sea

(国内盤 : ワーナー WPCR-11469)
 元スマッシング・パンプキンズのビリー・コーガン&ジミー・チェンバレンの新バンド、ズワンのデビュー・アルバム。ビリーが歌えばそのまんまスマパンに聴こえちゃうけど(苦笑)、スマパンにあった攻撃的だったり挑戦的だったりした部分や、ナルシストっぽい部分が消えて、かなりポップ。スマパン時代と比較するとミョーに明るく華やいだ感触があるけど、これは紅一点のベーシスト、パズ・レンチャンティン嬢によるバック・コーラスの貢献度合いが大きいと思う。曲のタイトルも“Baby, Let's Rock!”や“Yeah!”など、初心者にとって取っ付き易い文句を選んでたりしてることからも、'90年代のオルタナ大王・ビリーがより多くのひとに門戸を拡げた意図が窺える...というのは穿ち過ぎ?(苦笑) “Jesus, I”〜“Mary Star Of The Sea”のように、インプロヴィゼイションの要素の強い難解な部分を持つ曲もあるけど、アルバム全体のイメージはあくまでもポップでフレンドリィ。

R.I.Y.L. : THE SMASHING PUMPKINS

(2003.2.24)

 

RECOMMEND TOP A B C D-E F G H I-K L M N-O P Q-R S T-V W-Z O.S.T./V.A